星に導かれし者 ~戦闘狂の外部協力者は、転生した探偵見習い?~ 作:伊達 翼
ケルヴィンさんの仲間になって早数日が経った。
その間、俺は旅の準備をしながら方々に挨拶回りをしていた。
まず、ケルヴィンさんの屋敷へ改めて挨拶に赴き、そこで仲間にはなったものの、パーティメンバーとしては一緒に活動できない折を伝えた。
色々と言われることを覚悟したが…特にそういうことはなく、むしろこれから旅に出ることに対して心配されてしまった。
本当に良い人達だ。
旅に出れば気軽に会えなくなるものの、ケルヴィンさんが預けてくれたクロトさんの分身体経由になるが、配下ネットワークとやらで意思疎通はできるのできっと寂しくはないだろう。
次に精霊歌亭のクレアさんとウルドさん夫妻やパーズギルドの皆さんにも挨拶をしに行った。
短い間だったが、皆さんには大変お世話になったからな。
その際、ギルド長の『リオ』さんとも面会することができた。
正直、一発で正体バレたのは驚いた。
どうも、物珍しい装備を身に着けていたから、ちょっと気になって俺を鑑定したらしく、そこからは推測も交えてとなるが、俺が異世界人であると当たりを付けたのだとか。この時はまだ隠蔽のスキルすら取ってなかったからな。完全に俺の不注意ではあり、ケルヴィンさんの忠告通りになった形だ。
そのギルド長からケルヴィンさん同様、便宜を図るとの条件を提示されたが…今はこの世界を見て回りたいし、冒険者なら一つの所に留まるのももったいないかな、という理由で丁重に断った。
ギルド長はちょっと残念そうにしてたようだが、無理強いはしないと理解してくれたようだ。
そうした挨拶回りの合間にスキルを取得した。
この間のレベリングのおかげで、隠蔽、鑑定眼、青魔法の三種をS級まで上げられた。
ステータスの方も成長率倍化のおかげで、大幅に強化されている。
あとはメモリの武装に合わせてスキルを調整していくくらいかな?
ちなみに鑑定眼をS級まで上げたおかげか、装備一式とメモリの概要や各種の情報がやっとわかった。
(※詳しくはキャラ紹介に掲載します)
これでやっとネクサスの反映効果も活用できるな。
それと最後に火のエレメントのメモリの確認作業か。
反映効果はともかく、実物を確認して感覚を掴んでおかないことにはな。
というわけで、旅の途中にでも火のエレメントのメモリは確認するつもりだ。
………
……
…
そういう感じに俺が諸々の準備を進めていた時だった。
ケルヴィンさん達がS級昇格試験に赴くことになったようだ。
先に旅立たれてしまうが、これも時期的なものだろう。
当然ながら俺も見送りに行った。
その際、ケルヴィンさんから三着分の服一式を贈られてしまった。
いつまでも旅人装備ではなんだろうから、という理由のようだ。
まぁ、確かにそろそろ服は買い替えようかとも思っていたが…これは嬉しい贈り物だ。
その三着分の服一式はエフィルさんが作ってくれたもののようで、感謝しかない。
……ただ、性能が凄いことになっているような気もしないでもないが…。
服がS級装備というのもいまひとつ実感が湧かない。
いや、S級装備ならもう持ってるんだが…それとこれとは別問題というか…。
まぁ、深くは考えまい。
ケルヴィンさん達を見送った後、精霊歌亭で贈ってもらった服に着替える。
上に紅いシャツ(バリエーションとして蒼と白のシャツもある)、下に黒いスラックスのような長ズボン(これは三着分とも同じ色しかない)、その上から所々に紅いライン状の刺繍が入った黒いロングコート状の羽織もの(これも三着分とも同じ色だが、ライン刺繍の色はシャツと同じく蒼と白のバリエーションがある)、動きやすいようなコンバットブーツっぽいような靴(これは二足分)まであった。
残った二着分と予備の一足は新たに取得した保管のスキルの中に収納している(感覚的にはゲームで言うアイテムボックス的なものなのだろうか)。
そうしてお世話になった部屋を後にし、俺も精霊歌亭で最後の食事(お昼)を頂く。
「ケルちゃん達も行っちまったけど、しぃちゃんも行っちまうのは寂しいね~」
ちなみにだが、クレアさんは俺の事を『しぃちゃん』と呼ぶようになっていた。
愛称で呼ばれるのがこんなに恥ずかしいとは…。
「改めてですが…短い間でしたが、お世話になりました」
俺がそう言うと…
「いいんだよ。またいつでも帰っておいで。ケルちゃんもそうだけど、元気な姿を見せてくれるのが一番さね」
「はい!」
当分は味わえなくなるだろうクレアさんの料理を噛み締めた後、精霊歌亭を出て俺も旅立つことにした。
「それでは、また!」
「気をつけて行ってくるんだよ~」
そして、俺はパーズの街から旅立つのだった。
………
……
…
勢いづいて旅立った、まではよかったのだが…。
「どこ行くかね~」
正直、特に目的地を決めていたわけではない。
しかし、こういう目的地を決めず、適当な道のりで旅するのも悪くないだろう。
まぁ、物資は有限なのだから早めに街なり村なりに辿り着きたいのだが…。
「ま、それもまた旅の醍醐味ってね」
まぁ、火のエレメントのメモリの感覚も掴んでおきたいので、とりあえず適当に展開するか。
というわけで、火のエレメントに属するメモリ…『
『牡羊座』
装身具は顔の目元を隠すような仮面。
守護服は赤を基調にした西洋風の貴族が正装などで着そうな衣装だった。
武装はグリップから両刃の刀身が出現した片手持ちの長剣。
『獅子座』
装身具はマント。
守護服はオレンジを基調にした西洋風の騎士甲冑だった。
武装はグリップから円錐状の大型穂先が出現した突撃槍。
『射手座』
装身具はモノクル。
守護服は紫を基調にした将軍クラスが着る軍服だった。
武装はグリップを中心にして形成された大型の弓。
という具合に全体的な印象は水が東洋風なら、火は西洋風といった感じで、騎士が持ちそうな武器なイメージが強かった。
つか、射手座の武装はなんとなく予測は付いてたし、実際予測通りだった。
剣、槍、弓とバランスが良いと言えば、バランスが良い構成なのも高ポイントだろう。
あと、牡羊座の装身具…身バレのリスクが最小限になるのもいい。……まぁ、バレた時はバレた時だが…。いや、服装でバレるか?
………………これも深くは考えまい。
まぁ、いずれにしろ。
これで地水火風、全てのエレメントの具現した形は把握できた。
あとは、反映効果の実践あるのみだが…。
これはちょっと慎重に行いたい。
いずれの効果も鑑定眼で把握はできたが、いずれも一癖も二癖もあるものだからな。
特に蠍座の反映効果なんて…時と場合によっちゃ大きな隙になりうるからな。それが致命的にならないとも限らない。
ともあれ、だ。
これでメモリのフルスペックを使えるようになったのだから、戦術の幅は広がるな。
しかし、だ。
そうなると、ちょっともったいないな。
ん?
何がもったいないかって?
そら、魔法だよ。
青魔法はS級まで引き上げた。
それはいい。一応は青魔導士として登録したからな。
でも…でも、だ。
青は水と氷を主軸にした妨害系と攻撃系のものが多いとケルヴィンさんの講義で聞いた。
魔法スキルはそんな青の他に炎と雷で攻撃的の赤、風と土でバランス型の緑、イメージ的に回復系な光の白、トリッキー系な闇の黒とあるわけだ。
せっかくメモリが地水火風というエレメントに属しているなら、そんなメモリの力を最大限活かすためにも、赤と緑も取得しようかと考えている。
まぁ、いずれにしてもS級にするには、またレベルを16ずつほど上げなくてはならない。
余りのスキルポイントでF級の剣術や体術などを取得しておこうかな?
ないよりはマシだろう。
俺の動き方的に。
そんなことを考えながら俺は適当に歩いていく。
そういえば、職業って変えられるものなのだろうか?
星導者という俺が持つ元来の職業は変えられんだろうが…ギルドに申請したらできるんだろうか?
ふむ…。
やったらやったで悪目立ちしそうな気もしなくもないが…一考の余地あり、だな。
………………本当に大丈夫かな?
今度ギルドに入る前に配下ネットワークでメルフィーナさんに聞いてみるか。
つか、俺…まだE級冒険者だしな…。
仮に変えられるなら、B級辺りに昇格してからにしよう。
うん、そうしよう。