星に導かれし者 ~戦闘狂の外部協力者は、転生した探偵見習い?~   作:伊達 翼

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第七話『情報不足』

 空がだいぶ暗くなってきた頃…。

 

「はぁぁぁ…」

 

 俺はケルヴィンさんの屋敷を後にし、盛大な溜息を吐いていた。

 

 結局…あの後、ケルヴィンさんの暴走…というか持病?…を赤髪の女性がチョークスリーパーで鎮圧してくれたことで、一応はなんとかなった。

 で、改めてケルヴィンさん以外の人達の紹介を騎士の御仁から受けた。

 

 普通、こういうのってパーティリーダーが最初に行うものでは…?

 と思わなくもないが…。

 

 とりあえず、それは置いといて…。

 

 まずは騎士の御仁こと『ジェラール』さん。

 自分のことを老騎士と言っていたが、老いてもまだまだ現役といった感じの好々爺っぽい雰囲気の御仁だ。

 精霊歌亭で見た時からずっと騎士甲冑を身に纏っているが、動きづらくないのだろうか?

 あと、兜すら脱いでないような気もするが、大丈夫なのだろうか?

 しかし、流石というか…隙がありそうで隙が見当たらない。

 なんというか…やはり、父方の伯父さんを思い出してしまう。

 世界観が違うので、伯父さんとはベクトルが異なるものの、ジェラールさんもまた武人なのだろうな。

 

 次に赤髪の女性こと『セラ』さん。

 元気いっぱいというか、元気はつらつとしたお姉さん、という感じの印象を俺は持った。

 言動がだいぶアクティブというか…なんだろう、感覚で動く天才肌に見えて時折理詰めで動いてるような気がしてならない。

 本物の天才とは、こういう感じの人が名乗るべきなのかもしれない。

 ただ…ある程度、観察して思ったのは、実は良いとこのお嬢様なのでは?

 と思わなくもない。一見、破天荒そうに見えるが、その所作にはところどころ品があるのだ。

 そういう意味では、母方の叔母さんを思い出してしまう。

 あの人も結構マナーというか、所作の一つ一つが洗練されてて…俺にもこのくらいは出来て当然、みたいな感じで教えてくるから、あれには参ったな…。

 

 最後にエルフっぽい少女こと『エフィル』さん。

 耳が少し長いと感じていたが、彼女はハーフエルフであるらしく、その影響らしい。

 それと、彼女は奴隷で、ケルヴィンさんの所有物扱いなのだとか。

 まぁ、異世界だし、地球にも奴隷制度はあったんだから驚くことではないが…いざ目の当たりにすると、何と言っていいかわからない。

 奴隷とは言え、ケルヴィンさんのパーティに属しているだけあり、彼女も立派な冒険者とのこと。ちなみに年下のようだが、俺はこの事実からさん付けすることにした。

 

 以上の三人とケルヴィンさんのパーティ。

 おそらくはジェラールさんがタンク役、セラさんが前衛アタッカー、後衛はケルヴィンさんとエフィルさんで固めているバランスの良いパーティなのだろうな。

 

 というか、ケルヴィンさんはどういう風にして今の地位を得たんだろ?

 その経緯も知りたいと言えば、知りたい。

 が、その引き換えに全貌の見えてないメモリを使っての全力勝負というのも割に合わない…。

 つか、俺の損が大きくないか?

 

 第一、異世界転生して右も左もわからないだろうに…。

 今の俺だってそうなのだから、ケルヴィンさんはいかにしてこれをクリアしたのだろうか…?

 

 とりあえず、お邪魔だろうし、そろそろ部屋の準備もできてるだろうからと逃げの一手を打った俺は悪くないと思いたい。

 まぁ、俺としては有意義な時間を過ごせた………のか?

 

 そんな疑問は残るものの…とりあえず、俺は一旦精霊歌亭へと戻った。

 

「おや、シノブちゃん。おかえり。街はどうだった?」

 

「いや、あんまそれどころではなくて…」

 

 実際、街を案内される、ではなく、新居の屋敷に招待された、になったからな…。

 

「? まぁいいさ。部屋の準備は整ってるけど、先に夕食を食べとくれ」

 

 そう言われて思い出した。

 

 そういや、俺…まだこの世界に来てから飯食ってねぇわ…。

 

ぐぅ~。

 

 思い出したら腹の虫も鳴いたので、さっさとテーブル席へと座る。

 

………

……

 

 異世界の初料理がここで良かった…!!

 

 飯を食ってからになってしまったが、報酬から宿代と料理の代金を支払い、部屋へと案内され、色々と説明を受けた俺は、ベッドに倒れながらそんな感想を抱いていた。

 それほどまでに美味だった。

 

 と、いかんいかん。

 寝るのはスキルを取ってからだ。

 

 そう思い、身を起こしてからスキル一覧を展開し、隠蔽と鑑定眼を探し、隠蔽をD級、鑑定眼をF級で早速取得した。

 

 これで説明文を見る限り、D級以下の鑑定眼を防げるはず。

 ただ…あの言い方からすると、ケルヴィンさんはどっちもS級を保持してそうなんだよな…。

 問題は他にそのくらい高い鑑定眼を持ってる人間がいるかどうか、だが…。

 う~ん…まぁ、こればっかりはそんな人に遭遇しないことを祈る他ないか…。

 

 さて、お次は鑑定眼の実践だな。

 悩んでいても仕方なし。その時はその時だろう、と結論付け、俺は次の作業に移る。

 

 各種装備を外し、ベッドの上に並べる。ついでにメモリも十二本並べてみた。

 こうして見ると…本当にメモリは色とりどりというか…異世界に持ち込んでいいのか、不安になってくるな…。

 まぁ、魚座を実際に使った時点でもう手遅れな気もするが…。

 

 ともかく、まずは装備一式とメモリの性能を知らなくては…。

 ということで、ネクサスを手に持って鑑定眼を発動……てか、どう発動するんだ?

 

 と思ったところで、手に持ったネクサスから半透明の板…つまり、ステータス画面が表示された。

 

 なるほど。

 念じることで自然と発動してくれるのね。

 って、感心してる場合ではなく、ネクサスの情報は、っと。

 

-----

 

『ネクサス』

星導者が持つS級装備の一つ。

メモリの力を『反映』させる機能を持つ。

 

-----

 

 ………………ん?

 短っ!?

 いや、F級の鑑定眼ならこんなもんなのか!?

 にしても、これだけってのは……えぇぇぇぇぇ…。

 

 ある種の絶望感に打ちひしがれながら俺は、出てきた説明文の意味を考える。

 

 しかも『反映』ってなんだよ…。

 S級装備なんだろ?

 もうちっと詳しく書いてくれよ。

 つか、星導者の関連項目の方に書いといてくれや…。

 

 いかん。

 この調子だと残り三つの装備も簡潔に書かれてる可能性が高い。

 

 一応、億が一の期待を込めて残る三つの装備も鑑定眼で調べた結果…。

 

-----

 

『ナイトブレス』

星導者が持つS級装備の一つ。

メモリの力を『装身具』として出現させる機能を持つ。

 

 

『スタードライバー』

星導者が持つS級装備の一つ。

メモリの力を『守護服』として身に纏わせる機能を持つ。

 

 

『ファルゼン』

星導者が持つS級装備の一つ。

メモリの力を『武装』として顕現させる機能を持つ。

 

-----

 

 おっふ…。

 

 俺はベッドの上で膝から崩れ落ちたぜ。

 

 昼に使っていた時に感じた印象の答え合わせじゃねぇか…。

 ネクサスの機能が『反映』と判明したことは収穫だが、その詳細がわからん。

 

 しばし絶望に打ちひしがれた後…

 

 …………わからんなら推理すればいいか…。

 

 そう、俺は親父の探偵稼業を手伝いながら、そのイロハを叩き込まれている。

 わからなければ、推測していけばいい。

 それが当たらずとも、推測によって可能性を消去していき、答えには近付けるからな。

 

 そこまで考えて思考を切り替える。

 

 まず、説明文にあった『メモリの力を反映させる』という言葉から考えよう。

 ふむ………これ、そのままの意味で単純に解釈していいのか?

 つまるところ、メモリの力を、俺に(・・)反映させる、ということなのだろうか?

 ゲームでよくあるバフやデバフを付与する、ということなら…まぁ、理解できなくもない。

 しかし、デバフは俺にとってほぼデメリットでしかない。

 メモリの特性にもよるが、反映させる、というのなら、他のモノにも付与が可能なのか?

 

 ただ、ここで一つの疑問が生じる。

 

 仮定として、もしそうだとしたら魚座が反応しなかった理由がわからん。

 単に使い方が間違ってたのか、それとも特性上の問題か、はたまた別の理由があるのか。

 ふむ。こういう時は別視点から物事を見るべきか。

 

 というわけで、俺はメモリ群に鑑定眼を行使することにした。

 少しでも情報が欲しいし、どういう力を秘めているのか、確認は必要だしな。

 

 その結果。

 

-----

 

『牡羊座』

火のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『励起』。

 

 

『牡牛座』

地のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『震動』。

 

 

『双子座』

風のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『同調』。

 

 

『蟹座』

水のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『屈折』。

 

 

『獅子座』

火のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『荷量』。

 

 

『乙女座』

地のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『分解』。

 

 

『天秤座』

風のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『均衡』。

 

 

『蠍座』

水のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『怒涛』。

 

 

『射手座』

火のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『砲撃』。

 

 

『山羊座』

地のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『侵蝕』。

 

 

『水瓶座』

風のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『流動』。

 

 

『魚座』

水のエレメントに属するメモリの一本。

メモリ内に宿った記憶は『波紋』。

 

-----

 

 うん。なんとなくわかってた!

 

 本日二度目の膝を屈し、俺は泣きそうになった。

 

 うぅ…。

 何故こうも情報が少ないのか。

 やはり優先すべきは鑑定眼の方か?

 ………いや、隠蔽だな。そこは妥協しちゃならない。少なくともレベル17になるまではスキル取得は我慢しないと。

 

 というか、漢字二文字の単語からどんな推測をしろと?!

 物事には限度というものがあるぞ。

 いや、いくつかの単語の意味はわかる。わかるが…能力の全貌が見えてこない…!!

 

 あと、地水火風のエレメントに属するってのはうろ覚えだけど、そういうのがあるってのはなんとなくで知ってた。

 知ってたが…なんだろう。同じエレメントで何か共通点でもあるのか?

 それともエレメントに属するってことに意味があるのか?

 

 情報が少な過ぎて逆に混乱してきた。

 

 ………………よし。

 考察はまた明日からにしよう。

 ついでに検証もしなくてはならないしな。

 

 というわけで、俺は装備一式を纏め、十二本のメモリを麻袋に入れてから枕の下に隠し、寝ることにした。

 微妙に後頭部が痛いが…まぁ、盗まれるよりはマシだろう。大丈夫だとは思うが…。

 ………確か、保管ってスキルがあったような…?

 ………まぁいいか。

 あれもこれも明日からだな。

 おやすみ!

 

 

 

 こうして俺の記念すべき異世界生活の一日は終わっていくのだった。

 濃かったような、なんというか…。

 うん。深くは考えまい…。

 Zzz…。

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