だいきゅうわ
今日から新学期が始まる。それに伴って改めて自己紹介をしておくのもアリではないのかと思ってる。俺の名前は竜崎 辰輝。アニマルタウンにある湾岸第二中学校、通称わんにゃん中に通う二年生だ。
部活は無所属でいわゆる帰宅部というやつだ。元々部活の候補はあってこの中学には珍しく馬術部というものが存在する。このわんにゃん中も例に漏れず動物がたくさんいる。馬もいるから馬術部が存在し、去年体験入部したけど肝心の馬に蹴られそうになったり噛まれそうになったりして馬場園先生から入部は断念した方がいいと告げられた。それくらいのレベルで俺は動物に懐かれない。俺をまともに相手してくれる動物はこむぎとユキと大福くらいである。まあこむぎは出会った当初は噛まれまくったりしたけどな。人よりも身体が丈夫じゃなかったら陽子さん曰く大変なことになってたらしい。
そんなわけで新学期初日、珍しくいろはを迎えに玄関のインターホンを押して声をかけたのだがあのバカは寝坊したらしい。待つのもアホらしかったので置いていった。寝坊するのが悪いと思いながら学校に到着する。親友の兎山 悟にサッカー部の猪狩 勝を始めとしそれなりに見知った連中が揃っていた。
「あっ、竜崎くんおはよう」
「もしかして一緒のクラス?」
「おうっ。蟹江と大熊も同じクラスなのか」
「うんっ、今年一年よろしくね」
「そういえばいろはちゃんは?一緒じゃないの?」
「あのバカ寝坊したらしい。だから置いてきた」
ここでならうわぁ酷いとか最低とか言われかねないことを俺はやってるのだがこの二人は「ああっ、いつもの事か」くらいの程度にしか思ってなかった。蟹江と大熊はいろはの友達ということもありそれなりに交流はある仲ではあるんだけど同じクラスになったことないから言うほど話したことないんだよなぁ。
「あまりいろはちゃんをぞんざいに扱うといろはちゃんが怒ると思うよ」
「そうそうっ、幼なじみなら朝起こすくらいしてあげないと」
「・・・それは普通逆じゃないか?」
アニメとかだと主人公の男の子が幼なじみの女の子に起こされて朝食を作ってくれてるというシーンは見たことあるけどいろはは寝坊するし自分で料理もあまりするタイプではないからイメージがつかない。
それに俺が仮にいろはを起こすとしていろはがもし着替え中だったとしたらどうなるかなんて簡単に想像できる。じゃあノックしたらいいとか思うかもしれないがこむぎが人間になれるのと犬特有の異常な嗅覚のせいで一切通用しないのよ。どうあっても事故になるのは目に見えてるわけで。
「おはようっ辰輝、もしかして今年も同じクラスか?」
「出たなサッカーバカ」
「猪狩くんもおはよう」
「一緒のクラスなんだね。朝練はもう終わったの?」
「ああっ、それと辰輝。この間の試合の助っ人ありがとな。お前のおかげで強豪校のチームにも勝てたよ。ウチの部長も言ってたがやっぱりサッカー部に来ないか?」
「悪いが遠慮しておくよ。俺は別にスポーツ好きじゃないし」
「そっか・・・じゃあまた気が変わったらいつでも言ってくれよな。ショウはいつでもお前を歓迎するぜ」
またな、と言って勝は他のクラスメイトに挨拶しにいく。軽く遊ぶ程度のスポーツなら良いが運動部に所属してまではやりたくない。基本的に時間が多く拘束されるのと休みの日に練習あったり大会あったりで朝練とかもあるってなったら家の手伝いが全くできない。俺もそろそろ席に行くか。とりあえず奥の席に悟もいるし偶然にも隣っぽいしな。
「おはよう〜もーっ、酷いよ辰輝くん。置いていくなんて」
「寝坊したお前が悪い。てかお前も一組?」
「うんっ、一緒のクラスになれてすごく嬉しいっ。これからは学校の時もそうでない時もずっと一緒にいられるね」
「えーっ・・・」
ただでさえ学校以外でも一緒にいること多いのにクラスも一緒かよ。俺は露骨に嫌そうな顔をするといろはは頬を膨らませる。こいつたまに子どもっぽい仕草をするよな。そんなに俺と同じクラスになれて嬉しいかよ。そういうもんなのかねぇ。
「竜崎くん、いろはちゃんをぞんざいに扱ったらメッでしょ」
「いろはちゃんだって女の子なんだからもっと優しくしてあげないとね」
「・・・へいへい」
なんでお前ら二人はいろはの肩を持つのだろうと疑問に思うがまあ仲のいい友達をぞんざいな扱いにしたらそりゃ怒るかという理由で納得した。
「それで3人でなんの話してたの?」
「それは・・・」
キーンコーンカーンコーン
「予鈴なっちゃったからまた後でね」
「いろはちゃん。今年もよろしくね」
「うんっ、よろしくね」
そう言って俺たちは席に着く。偶然にも俺たち全員席が近くらしい。そしてチャイムがもう一度鳴るタイミングで先生が入ってきた。今年の担任はどうやら馬場園先生みたいだな。去年の体験入部の件もあり馬場園先生とはそれなりに会話をする方である。
「担任になった馬場園 清です。担当は馬術部の顧問をやっています。私は人間万事塞翁が馬という言葉が好きで・・・」
人間万事塞翁が馬・・・将来のことは予測できないという意味で,幸せなことが不幸に,不幸なことが幸せにいつ転じるか分からないので物事に一喜一憂しない,右往左往しないというたとえだ。そういえばウチのじいちゃんは座右の銘ではなかったけど『出会いに偶然はなく全ての出会いは必然』と言っていて出会いに意味がないならそもそも会うことがないと言っていた。その出会いは必ず何かの意味があるとか。
「さてと私の話はここまでにして今日は転入生を紹介します」
馬場園先生が言うとそこに一人の女の子が入って・・・ってまゆじゃねーか。あっ、そういえばわんにゃん中に通うとか言ってたな。スッゲーガチガチに固まってるけど大丈夫だろうか。もう少し肩の力くらい抜けよって思うがそもそも緊張しすぎて端にいる俺たちにまず気付いてないな。
「は、はっ、初めまして。
と盛大にまゆは自己紹介をミスった。ヤベェ顔が青ざめて吐きそうになってねぇかアレ?仕方ない、助け舟を出すしか・・・
「まゆちゃん、おーいっ」
「いろはちゃん・・・」
「犬飼さん、知ってるのかね」
「はいっ、まゆちゃんの家はPretty Holicっていうお店をやってて可愛い猫を飼っててちなみに名字は猫屋敷!」
と俺が助け舟を出す前にいろはが助け舟を出してくれた。ナイスだいろはと俺と悟はグッジョブと親指を立てる。そのまままゆのサポートをしてあげてくれ。
「私も猫ちゃん好き!」
「どんな猫ちゃんを飼ってるの?」
「え、えっと・・・ユキって名前で雪みたいに真っ白い猫なんです。白いのはとってもきれい好きだから・・・爪とぎとかグルーミングが上手なんです。お風呂が苦手で嫌がるけど、ふてくされた顔もすっごく可愛くてこの前なんか・・・」
いろはのおかげで持ち直したところまでは良かったがユキの話題になった途端に限界オタクっぷりを披露してしまう。色んなオタクがいるがまゆはさしずめ猫限界オタク・・・というよりユキ限界オタクがしっくりくる。その後もいろはが助け舟を出してくれたおかげでクラスの雰囲気は一気にいいものへと変化した。こういう底抜けのなく明るいところやみんなを引っ張っていくのがいろはのいいところなんだよな。俺と違って友達作りがうまいやつだと思う。ついでに動物とも仲良くなれるしな。めちゃ羨ましい。動物と仲良くなれる能力とかもし本当にあるんなら少しくらい分けてくれ。
「それじゃあ席は犬飼さんの隣にしようか。犬飼さん、学校を案内してくれるかな?」
「はいっ、喜んで!」
とそんな感じでいろはの隣にまゆが座ったのでまゆが目の前にいるって形になる。まゆがこっそりこっちを向いてよろしくとだけ言ってきた。
「それではまずこのホームルームでは自己紹介及びいろいろな事を決めていきたいと思います」
簡単な自己紹介を済ませてからいろんなことを決める。まあ委員会とかクラス委員とかあるけど・・・一応クラス委員以外は決まった。
「それであとクラス委員のみだが男女一人ずつ誰かやってくれる人はいないか?」
そういうのはクラスメイトを引っ張っていけるやつだったり責任感強いやつがやるのが一番だが誰も手を上げようとしない。というのもウチのクラスはどうやら部活に入ってる生徒が多く委員会との掛け持ちが難しいらしい。悟は生物部所属だし向いてそうな人は軒並み部活に入ってるからなぁ。
「それじゃあ先生が指名してもいいかな?個人的に適任者だと思う奴が男子に一人いてな」
とりあえず早く決まっておわってくんねぇかな。今日は授業という授業ないんだから早く帰りたいって気持ちが割とある。まあぶっちゃけやりたい奴がいるならもうそいつでいいだろ。
「竜崎くん、やってみないか?クラス委員長」
「・・・・は?」
「竜崎くんになら任せられると先生は思うんだが。部活も所属してないしさりげなく気配りとかもできるしな」
「いやっ、いやいやいや待ってくれ先生。俺はクラス委員なんて微塵もやる気は・・・」
そう言って先生に抗議しようとしたらクラスメイト男子は揃いも揃って乗っかった。このめんどくさい役職を押し付ける気満々でいるらしい。てめぇらふざけんな、マジでしばくぞ。
「まあでも竜崎くんって意外と頼りになるよね」
「見た目はすごく怖いのになんだかんだで優しいもんね」
「去年は教室の花瓶に水やってたし」
「いやそれは・・・」
そもそも花瓶に水をあげるのは職業病というか花瓶にお水入ってないと気になるんだよ。ウチの店は内装に気を遣ってて花瓶も何個かあるから当たり前のように花のお手入れをしてるだけで・・・
「というわけで竜崎くんと一緒にクラス委員やりたい奴は「はいっ!私がやりますっ!」おおっそうか。犬飼さんはクラスメイトに頼られるし猫屋敷さんにもフォローを入れてくれてたし部活も所属してないですもんね。竜崎くんの幼なじみでもある犬飼さんなら問題ないだろう」
「いや待てっ・・・だから俺は」
「というわけでクラス委員は男子が竜崎くん、女子が犬飼さんに決定します」
周りを見ると「男子が竜崎なら女子は犬飼だよな」とか言ってたし女子は女子で「やりたかったけどまあいろはちゃんなら仕方ないなぁ」って言ってた。なら変わってもいいんだぞ?俺はやりたくないから。
「辰輝くん、よろしくねっ」
「ぐぬぅ・・・・」
「まあ、困ったら僕もサポートするから」
「じゃあ悟、変わってくれるか?女子はいろはだぞ?ほれほれ」
「うーんっ・・・変わってあげたいけど生物部の動物の世話って結構忙しいんだよね」
「・・・知ってた」
いろはがクラス委員やってるしワンチャン変わってくれるかなって思ってたけどここわんにゃん中の生物部はかなりハードなところあるんだよな。まあ世話する動物も多いし健康チェックが多いから大変さはよく分かってるから無理強いは出来ないけど・・・仕方ない、やるしかないか。
「というわけでクラス委員になったということで犬飼さんと一緒に猫屋敷さんの学校の案内をしてくださいね」
「まあそうなるよな。
「まゆって・・・竜崎、猫屋敷さんのこと知ってんの?」
「あっ・・・・」
やべぇ、学校の中なんだから普通に猫屋敷さんって呼べばよかった。って心の中で思った時には既に手遅れだった。
「えっ、猫屋敷さんっ。竜崎くんと知り合いなの?」
「あっ、えっと・・・知り合いというか親戚同士で・・・小さい頃からよく遊んでいたっていうか」
「竜崎、テメェ彼女欲しいって言っておきながら幼なじみに犬飼さんいて更に美人の猫屋敷さんが親戚だなんて聞いてないぞ」
「そーだそーだ!竜崎、その辺のこと後で全部吐いてもらおうか」
ちくしょう、めんどくさいことになりやがった。俺が彼女欲しいって言ってたのはクラスメイトの男子は結構知ってるけどその度にみんな犬飼がいるじゃん。あんな可愛い幼なじみがいるなら犬飼でいいだろ贅沢言うなとか言ってくる。そりゃ幼なじみじゃなかったらいろはに告白してた可能性はあったかもしれんが幼なじみだと距離近すぎて
「もしかしていろはちゃんのライバル登場!」
「幼なじみと親戚ってよくあるテンプレじゃない?」
「問題は猫屋敷さんにその気があるかどうかだけど」
「でも仲は悪くなさそうよね」
「三角関係という奴ですか!ですか!?」
と一部の女子も盛り上がっていたがそもそもそういうのはアニメはゲームだけの話なんだよ。幼なじみや親戚は恋愛対象外なのよ。
「静かに!とにかく決めることは決めたので次は資料を配ります」
そんな感じで授業が終わった後、まゆは蟹江さんたちに質問されまくっていた。転校生特有の洗礼という奴だな。そして俺はクラスメイトの同士・・・もとい非リア充に包囲されていた。助けてくれとまゆがこっちを見てくるが現実はな。残酷なんだよ、いろはもいろはで他の子と話してるし。
「さて竜崎君。君も隅に置ませんね」
「犬飼さんが幼なじみだけでなくあんな美人な転校生と親戚だったなんて」
「さてとどうしましょうか。処します?処しちゃいます?」
「おい待てお前ら。別にまゆ・・・猫屋敷とは何もないんだ信じてくれ!」
「だまらっしゃい!彼女、君の前では安心した顔をしてましたよ。あの顔、絶対気があるということですよ」
悪いがそれは絶対ないのよ。なぜならあいつ自身がただコミュ障で心細いだけで頼れるのが俺かいろはしかいないのが現状なわけで。それに質問攻めもまゆの得意分野ではないし・・・
「とにかく君の周りには可愛い女の子がいるってのに彼女欲しいとほざく奴が嫌いなんですよ」
「って言われてもな・・・」
とそんな感じで俺はクラスメイト男子の数人に拘束されて結局放課後になってしまった。とりあえず馬場園先生のお願いでまゆを案内することになった。
「ハァ・・・・」
「た、辰輝くん。大丈夫?」
「ああうん・・・なんとかな」
「それじゃあまゆちゃん。わんにゃん中を案内してあげるね」
「そういえばずっと思ってたんだけどなんでわんにゃん中なの?この街がアニマルタウンだから?」
「それもあるが正確にはこの学校の略称で湾岸第二中学の湾岸の『湾』で第二の『二』をにゃんと呼び中学校の『中』でわんにゃん中って呼ぶらしい」
少し無理矢理な気もするがここがアニマルタウンということもありこの略称はそれで概ね納得はしてる。学校のいろんな施設の案内に加えて動物の飼育小屋を最後に案内する。そこには生物部に所属してる悟の姿もあった。
「よっ、悟」
「辰輝くん、それに犬飼さんに猫屋敷さんも。ちょっと待っててね。今、カメの体調チェックをしてて・・・よかったら猫屋敷さんも餌あげてみる?」
「う、うんっ・・・それじゃあ」
そんな感じで悟の代わりにまゆが亀に餌をやる。この前の花見の時に顔を合わせていたおかげでまゆとどう接すればいいか分かってる辺り、悟は本当に人のことを見てるよなと思う。ちなみに俺も過去に餌をあげようとしたが餌ではなく俺の指を噛もうとしてたことがあった。亀が噛むときの心理は三つあるけど俺の場合は単純に恐怖心からのものらしい。俺、動物に嫌われすぎじゃね?
「とりあえずまゆちゃん送ってきたよ。悟くん、生物部の体調の記録書けた?」
「こっちも日誌書けたし俺も帰る・・・・なんだこの気配は」
「まさか・・・ガルガル」
外に出ると黒い化け物がいて建物を壊した。いやなんなんだよアレ。いやっ、まさかアレがそうなのか。
「いろは!」
「辰輝くんはそういえば見るの初めてだっけ。私がガルガルをなんとかするから辰輝くんは悟くんと一緒にみんなを避難させて」
「お前はどうするんだよ?一人で大丈夫なのか?」
「正直こむぎがいないとキツいけどなんとかしないと・・・」
「いろは!!!こむぎが来たよー」
「こむぎ!えっ、なんで!」
「話は後だ。こむぎがいるならむしろ都合がいいだろ」
「辰輝くん、こっちだよ」
「ああっ。いろは、こむぎ。任せたぞ」
そう言って俺たちは先生や飼育員、ボランティアの人たちと連携して動物や生徒たちを避難させる。とりあえずこれで全員か?いやっ、まだうさぎが飼育小屋に1匹逃げ遅れてるらしい。
「辰輝くんっ!?」
「心配するな、すぐに戻る」
「けど辰輝くんじゃあ助けようとしても抵抗されるんじゃあ・・・危ないよ」
「今はそんなこと言ってられないだろう」
壊れた建物はガルガルを倒せば元に戻せるらしいが受けたダメージが戻るかは分からない。むしろあんなでかい動物に何かされたら終わりだ。悟は足も早くなければ持久力もない。俺がいくしかないだろ。
俺は悟の静止を振り切ってうさぎ小屋に入る。そこには怯えているうさぎがいた。攻撃されようが構わない。うさぎが怪我するよりかは数倍マシだ。
うさぎは暴れて攻撃しようとするがそれをなんとか耐えて抱き抱えてからうさぎ小屋を出る。あとは合流するだけだが・・・
「辰輝くんっ!危ないっ!」
「なっ!!!」
これはじいちゃんが言ってたが、俺の動物からの好かれなさは他の人から見ると異常らしい。顔が怖いだけならともかくここまで懐かれないのもある意味才能とか。そしてそれはガルガルも例外ではない。ガルガルは何かに怯えてる。これがもし防衛本能なら・・・よけて茂みに隠れて凌ぐしか・・・
「大丈夫だよ辰輝くんっ!」
その瞬間、バリアが貼られて目の前には一人の女の子がいた。なんだコイツ・・・いやっ、これがもしプリキュアだとすると性格的に・・・
「いろはなのか?」
「今はキュアフレンディだよ。辰輝くん、早くそのうさぎを連れて悟くんのところに行って。ワンダフル、フレンドリータクトで決めるよ!」
「うんっ!たつき、後は任せてっ」
「ああっ・・・」
その後に二人はフレンドリベラーレという技でガルガルは元の馬の姿に戻って壊れた建物は全て元通りになった。そして俺はこの時に事の重大さを初めて思い知らされた。そして同時にこんな危険なことを二人がしてくれて何もできない自分が悔しくなるがいずれにしても俺にできることはメエメエに言った通り二人の心のケアだけだ。プリキュアとガルガルの件に関しては少し軽く見ていた気がする。もっと真剣にならないとな。
「ニコアニマルもみんなも無事、二人のおかげだね」
「それより辰輝くん、怪我はなかった?」
「二人のおかげで助かったよ。ありがとないろは。こむぎも・・・」
「辰輝くん、どうかしたの?」
俺は分かってるようで何も分かってないのを思い知らされた。そして俺がこれからどうすべきなのかを・・・
「正直に言うとプリキュアの件、ガルガルの件、ニコアニマルにニコガーデン。俺は少し事の重大さを甘く見てたよ。今まで実際に何が起きてるのかはこの目で見てなかったしな」
「たつき・・・」
「「辰輝くん・・・」」
「かと言って今更、俺にどうこうできるわけでもない。ガルガルを助けられる力がお前たち二人にないなら頼るしかできない。だから何かあったら言ってくれ。俺はこれまで通り、お前たち二人の心のケアくらいしか出来ないけど・・・」
これからはその点に関してはもう少しまじめに向き合うつもりだ。もう少し悟やメエメエから詳しく話を聞いておく、もしくはもっと早くどうなってるのかをこの目で確認すべきだった。
「じゃあご褒美に頭をなでなでしてほしいワン」
「頭をなでなでって・・・それいつも通りじゃね?」
「辰輝のなでなではほわほわであったかな気持ちになるワン。それを知らずに吠えたり威嚇したり、攻撃したりしてる動物は勿体無いことをしてるワン」
うんっ、それを昔。出会ったばかりの頃の君は全部俺にやってたんだけどな。絶対に仲良くなりたいと言う鋼の意志があったおかげでこむぎと仲良くなれたが大型犬とか馬とか命をかけないといけないレベルになってくると話は変わってしまう。どんなに理解されなくても怖がられても襲われそうになってもいつかは理解してくれる。それに・・・こむぎやユキ、大福みたいに懐いてくれてるやつもいるしな。俺はそう思いながら頭を撫でる。
「辰輝くん・・・私もそのっ、頑張ったよ」
「そうだなっ・・・」
これまではこむぎ相手なら犬を撫でてる感覚でいていろは相手なら幼なじみだから恥ずかしいと言う気持ちがあったがプリキュアとなって街を守るため、ガルガルを・・・ニコアニマルたちを助けるならお前の頭を撫でるくらい些細な事だ。
「辰輝くんのなでなで。私も好きだよ」
「そうかよ・・・」
「いろは嬉しそうっ!そうだっ、たつきまたオムライス食べたいワン」
「構わんが・・・今は犬の姿だから人間の姿になってからな」
「私も食べたいっ」
「じゃあウチに来るか。悟、よかったらお前も来いよ」
「うんっ、ありがとう。それじゃあお言葉に甘えて」
そんなわけで新学期初日、色々あったが実際の光景を目の当たりにして俺はいろはやこむぎともっと向き合うことを決めた。全てのニコアニマルを助けてニコガーデン、この街が平和になるまでは。
メエメエ「なるほど辰輝くんも理解したようですね。ではこのタイミングでニコダイヤの奇跡を発動させましょう」
辰輝「何やってんだぁメエメエ!?!?!?」
次回、アニメ9話です。