時系列アニメ9話
「あんのクソ羊がぁあああああああ」
冒頭から屋上で俺は例の羊にブチギレていた。そんなわけで新学期2日目に事件が起きた。何と今日は転校生がまたこのクラスに来るらしい。まゆについては親戚ということもあり知っていたが2日目に転校生が来るってのもなかなか珍しい話だなと思った。そんなこと考えていたらクラスメイトの勝が朝練を終えて教室にやってきて俺に話しかけてきた。朝、すごいことがあったらしい。
「とにかくそいつの身体能力がすごいんだよ。俺がサッカーの朝練でシュートをしたんだけどなそいつが大ジャンプして軽々と止めたんだよ」
「お前のシュートをか。何者なんだそいつ?」
猪狩 勝はサッカー部の中でもかなりの実力があるほうだ。2年生でありながらレギュラーに入るくらいは上手い。そんなコイツのシュートを軽々と止めるなんて只者ではないのは確かだ。
「それがよ、見たことないやつでさ。もしかしたら噂になってる転校生なのかもしれない」
「ふーんっ・・・」
「あっ、でも犬飼と一緒にいたから犬飼の知り合いなのかもしれないな」
「・・・・ん?」
犬飼・・・いろはの知り合いで女の子?まさか・・・いやありえないだろ。いろはの両親にも隠してるわけで。
「ちなみにどんな奴だったんだ?」
「えーっと特徴はカクカクシカジカで・・・そういえば犬飼がその子の頭を撫でていた・・・って辰輝、どうしたんだ?顔が少し悪いようだけど保健室行ってくるか?」
「・・・そうするよ。すぐ戻る」
「ホームルーム始まるまでには帰ってこいよ」
俺はスマホをポケットにしまって1階の保健室・・・ではなく3階の屋上へ向かう。そして屋上で叫んだ今回の話の冒頭に戻る。勝から特徴を聞いたけど間違いない、転校してきたのはこむぎだ。でもそれならなんで・・・こんなことができるのはあの羊しかいない。俺はニコガーデンにいる羊に電話をする。ちなみにアニマルタウンからニコガーデンからは特殊な電波により届くらしい。特殊な電波ってなんだよ。
「はいっもしもし辰輝くんですか。私に何か用ですか?」
「・・・事情を説明してもらおうか。クソ羊」
「クソ!?えっと・・・何かありましたか?辰輝くん」
「何があったかじゃねぇ。どういうことだこむぎが学校に通うって。あいつ元は犬だぞ!一体何をしやがった貴様!」
「もう耳にしたのですか、それなら話は早いです。いいですか辰輝くん、心して聞いてください」
要約するとこむぎが学校に通えるようになったのはニコダイヤの奇跡によるものらしい。ニコガーデンは正体不明の襲撃を受けてよりその力の大半は失われてたらしいがキラリンアニマルが9匹いるうち3匹が戻ってきたことによりそのニコダイヤとやらの力が少しだけ戻ったらしくその力によりこむぎが中学校に通えるようになったと。なんだよそのアルティメットご都合主義展開は。俺はそんなの認めないぞ!絶対にだ。
「そして辰輝くんはこむぎ様、いろは様のサポート。以前のガルガルの学校襲撃で辰輝くんも考えが少し変わったと聞いています」
「まあ、あんなのを見せられたらなぁ・・・」
「この先ガルガルが学校に出ない確率は0というわけではありません。以前のように学校に現れた場合いろは様一人で対処しないといけなくなります。いろは様の負担を減らすためにも二人には常に一緒にいてほしいのです」
なるほどな。確かにこの前もこむぎが良くはないが勝手に家から出ていろはに会いに行ったのが幸いしてガルガルになったニコアニマルを救うことになったのも事実。フレンドリベラーレはこむぎといろは・・・ワンダフルとフレンディの合体技だ。もしまたガルガルが学校に現れたと考えるとメエメエの考えも一理ある。
「こむぎ様といろは様のサポートを学校でもお願いしたいのです。悟君にはガルガルについて調べてもらってもいますし」
「・・・分かった。そういう理由でこむぎを通わせるというなら俺からは反対はできない。ただ・・・」
「ただ?」
「・・・・・すまん。正直に話すと面倒を見切れる気がしない」
「そこは気合いでお願いします。私ではあの二人は話すらまともに聞きませんので。それと後で辰輝くんのお家に私が愛用しているニコガーデン特製の胃薬を送っておきますので」
「胃がボロボロになる前提で胃薬送るのやめてくれませんかね!?」
まるで俺の胃がボロボロになるのが前提のような言い方をしやがって。いや多分ボロボロになるのかもしれんが。人間の常識ほぼゼロの犬を中学に通わせて本当に大丈夫なのか。最悪、いろはや悟のサポートも借りないと正直俺に対する負担がえぐい気がする・・・まあでも二人がガルガルと戦うことに比べたら些細なことか。俺はスマホの電源落としてポケットに入れる。覚悟を決めるしかないみたいだ。そして・・・
「わんわーん!」
「えっ・・・えーっとそれでは自己紹介を」
「こむぎだよ!よろしくっ」
「どこから来たの?」
「あっちだよ」
「好きな食べ物は?」
「えーっとねドライよりウエットだよ」
そんなわけでカオスな自己紹介の時間が始まった。まゆも大概だったがこむぎはそれ以上に酷いないろんな意味で。ドライよりウエットって・・・そうなんだろうけどそうじゃないんだよ。
「それはワンちゃんの食べ物でしょ。こむぎちゃん自身の好きな食べ物教えて」
「うーんっ・・・あっ、この前たつきと食べたソフトクリーム美味しかったよ」
「たつき・・・って竜崎くんの知り合いなの?」
「うんっ。あっ、それとたつきの作るオムライスはすっごく美味しいんだー。あとね、おやつの差し入れでクッキー持ってきてくれるんだけどたつきの作るクッキーがこれがまたすごく」
「待て待て待て待て待て!!!」
ドライよりウエットで好きな食べ物の話を止めて欲しかった。何余計なことしてんだよ。人間基準だとそいつ、俺が与えた食べ物しか食べてないぞ多分・・・いやっこむぎといろはがニコガーデンに行ったときグミみたいな木の実食べたって話はしてた気がするが・・・
「やっほー、辰輝」
「やっほー・・・じゃねぇよ!」
「あいつ、犬飼さんや猫屋敷さんだけでなく転校生にまで・・・」
「なんて羨ましい・・・じゃなくてけしからん奴だ」
「コ○ス」
横を向くと一部の男子から負のオーラが漂ってくる。早く誤解を解かないと大変なことになりかねない。てか一部殺害予告してる奴いたな。誰だそんな物騒なこと言った奴。
「龍崎くん、知り合いかね?」
「ええまあ・・・てなわけで改めて俺からも紹介させてください。彼女の名前は
メエメエと電話したときにどう誤魔化すかどう立ち回るかに関してはある程度頭の中で考えておいた。一番無難なのはいろはの従姉妹にしておくことだろう。一応いろはの家族なわけだしな。犬に名字があるのも不思議な感じだが・・・
「俺は犬飼家とは家が隣同士の幼なじみだからこむぎともそれなりに交友があるってだけです」
まあいろはの従姉妹という関係として紹介してしまえばみんな納得するだろう。いろいろと面倒なことも増えるが悟に相談して決めるのが無難だな。
「なるほど・・・委員長がどちらとも知り合いなのは都合がいい。犬飼さん、竜崎くん、転校生のこむぎさんの面倒を見てあげてくださいね」
「辰輝くん・・・にしてもよくこむぎちゃんが転校して来るの知ってたね(コソコソ)」
「勝のやつから朝練の話を聞いてメエメエに直接確認とったんだよ(コソコソ)」
とりあえず何も起こらなければいいなぁという淡い期待をしながら席に座って数秒後、勝のバカがこむぎに勝負を挑みやがった。勝だけに・・ってやかましいと俺は思ってしまう。こむぎは元が犬のせいで人間になった状態でも身体能力は別格だ。だから勝のシュートを止められるのもある程度納得はいく。
そして場所は教室からグラウンドへ。1限目は体育でサッカー、勝曰くこむぎはキーパーの才能があるらしい。まあ多分キーパーだけじゃないだろうけど。とりあえずめんどくさいので静観決めよう。朝からメエメエとのやりとりのせいで既に疲れてたりする。
「悟、ボール取られてるぞー」
「ってなんで辰輝くんはナチュラルに見学してるの!こっちのチームなんだから参加してよ!」
「残念だが悟、今日の俺は選手ではなく監督役だ。監督としてサポートしてやる。フレーフレー」
と適当な理由つけて俺はグラウンド外にいる。まあ心配いらねぇよ、こむぎの身体能力を考えればまず勝のやつがこむぎからゴールを奪うのは不可能だからな。よっぽどこむぎがヘマしない限り負けることはないだろう。サッカー部の勝がゴール奪えない時点で割と向こうのチームは絶望的だろうし。
「おもしろ〜い!もっと、もっとちょうだい!」
「どうする?猪狩でダメとなると・・・」
「サッカー部の猪狩でダメならあとはスポーツ万能の竜崎くらいしかいなくね?犬飼こむぎからゴール奪えそうな奴って」
「けど竜崎は犬飼こむぎと一緒のチーム・・・ってまずあいつ何ナチュラルに監督やってるんだ。やる気なさすぎだろ」
「おい竜崎、お前も参加しやがれ」とかガヤが聞こえてくるが知ったことではない。今日のサッカーは生徒の自由なので選手である必要はどこにもない。監督だってサッカーにおいては重要な役割なんだよ。てなわけで早く試合続けやがれと思って見てみたのだが俺が監督やったせいで敵チームのゴールに入れるアタッカー不足というのもありクソなほど泥試合になり結果0-0の引き分けに終わった。
そしてその後の授業もいろいろあってなんとか乗り切ったものの午前の授業だけで割と俺の胃はボロボロに近かった。メエメエへ、今すぐお前の愛用しているニコガーデン産の胃薬送ってくださいとメールで送った。行動が予測できないってのもあるがまずは前提としてこむぎに人としての常識を教えないとな。
そして俺は昼休み、休憩時間の間に保健室で少し休んでいたら一悶着あったみたいでなんでも学校の池にガルガルが出たらしい。勝のやつがそのガルガルの卵をボールがわりにしてバランス感覚を鍛える練習をしてたとか。いやマジで何やってんだよ。
まあでもこむぎはこむぎでいろはや俺たちと一緒に学校でもいたいから頑張ることを選んだらしい。
「こむぎちゃんのサポートは大変だろうけどこむぎちゃんが君や犬飼さんと学校でも一緒にいたいと選んだことだから」
「・・・そうだなっ。メエメエの言った通り、今回も学校にガルガルが出た。そしてこむぎの気持ち、なんだかんだで尊重して頑張ると決めたらそれが一番か」
「じゃあ僕はこれから部活だから。またね辰輝くん」
「おうっ、またな悟」
そして帰り道、こむぎは勉強も頑張る、学校にいる間は犬には戻らない、人間の常識を覚えると約束してくれた。真面目な話、学校にいけるならなんだってやるのがこむぎの意志らしい。こむぎがそう望むなら俺たちも頑張らないとな。そして俺はいろはの家からニコガーデンに向かいメエメエが愛用してる胃薬を受け取った。ニコ様を相手してたときにはそこまで使ってなかったらしいが誰かさんのせいで最近は頻度が増えてるらしい。ほんとごめんなメエメエと流石の俺も同情するのだった。
時は少し遡り、昼休憩の時間。こむぎといろははお昼ご飯を食べるために屋上へ来ていた。予め悟からたまたま持ってたスプーンを拝借しこむぎはそれを使ってご飯を食べることにした。想定していたわけではないがこむぎは一応辰輝のオムライスを二度食べてるということもありスプーンの扱いだけには慣れていていろははホッとして胸を撫で下ろす。悟は生物部の所用で現在はこの場に不在である。辰輝は胃にダメージを受けたので現在は保健室にいた。
「えっとこむぎちゃん。聞きたいことがあるけどいいかな?」
「なーに?えーっと・・・」
「大熊だよ、こっちは蟹江」
「大熊に蟹江だね。それでこむぎに聞きたいことってなに?」
「こむぎちゃん、竜崎くんとも仲がいいんだよね。正直、竜崎くんのことどう思ってるの?」
この場に女子しかいないのをいいことに大熊は恋バナを始める。大熊と蟹江の二人は恋愛事が大好きであり現在はいろはの恋が成就するようにサポートをしている。しかし最近は辰輝の従姉妹である猫屋敷まゆの転校、そしてこむぎの件もありいろはにライバルが増えていると二人は見解していた。
竜崎 辰輝は顔こそ怖いがそれ以外は全く問題なくむしろ男子の中でも実は人気がある方なのであるが周りからしたら犬飼いろはとはよくっつけやとずっと思ってるわけなのだが肝心の辰輝本人がいろはを幼なじみとしてしか認識していないためなんとしても辰輝に意識させるためにこの二人はあれやこれやとサポートしている。しかしこの前提案した犬系女子作戦も結局効果は薄いまま春休みを終えてしまったのである。そもそもプリキュア、ガルガル騒動のせいでそれどころではないという事実もあったが・・・二人はいろはにとっては非常にまずい状況なのではと認識していた。
「たつきのこと?うんっ、大好きだよ。いろはと同じくらい」
「うーんっそっか。いろはちゃんと同じくらい大好きなんだね」
「うんっ、すごく優しいしこむぎの頭をなでなでしてくれるし一緒に遊んでくれるし、クッキーは美味しいしたつきは優しくてとってもカッコいいワン・・・じゃなくてカッコいいんだよ!」
「へぇーそうなんだー。竜崎くんって意外と面倒見がいいんだね。いろはちゃんにも普段これくらい接してあげればいいのに・・・」
「あはは・・・」
それは全て犬の状態での話なので犬の話なら辰輝は動物好きではあるけど動物に全く好かれない性格なのも二人は知ってるため打ち解けれた動物にはものすごく甘いところがあるのだかそんなことを二人は知るはずもなく言えるわけないのでいろはは苦笑いしか出来なかった。
「ちょいちょいいろはちゃん」
「どうしたの?」
大熊は蟹江にアイコンタクトを取ってしばらくこむぎの相手をしろと伝える。蟹江も分かったとアイコンタクトを返してこむぎに話しかける。
「このままだとまずいよいろはちゃん。竜崎くんが動物系女子が好きだと言ってたから犬系女子作戦を提案したのに結局失敗してるっぽいっし。てかこむぎちゃんの方がよっぽど犬系じゃない?」
「えーっと・・・」
「隙あらば竜崎くんに抱きついてるし唯一の救いはこむぎちゃんにはその自覚がないことだけど・・・いろはちゃん、危機感を持った方がいいと思うよ。とにかく次の作戦を考えないと。猫屋敷さんのことも気になるし」
「そうは言っても・・・」
以前、辰輝とお泊まりしたときにもしこむぎがライバルになったら一番危険だといろはは感じていたが大熊の反応を見る辺り想像以上にやばい状況らしい。唯一の救いはこむぎが犬であることとそれが全てただのスキンシップとしか認識してないことだが・・・
「そういえばねこの前たつきとお散歩に出かけたんだ。アニマル商店街に行ってそれから一緒にソフトクリーム食べさせあいっこしたりとか」
「それってもしかしてデートなんじゃ」
「デート?よく分かんないけどすごく楽しかったよ。この後は二人で全力でフリスビーして遊んだし」
「・・・デートなんだよね?」
一般的なデートで全力フリスビーするのかと蟹江は腕を組んで考えてしまうがそもそも全力でやるフリスビーの状況がいまいち理解できてなかった。蓋を開ければ犬のこむぎが辰輝とそういう遊びをしてたので完全に犬と遊んでるだけなのだが何も知らない蟹江は朝のサッカーみたいな感じなのだろうかと考える。
「いろはちゃん」
「はいっ・・・」
「一応聞くけど春休み、辰輝くんとデートした?」
「・・・一応お散歩したよ。こむぎと3人で」
「こむぎちゃんがいたらそれはデートじゃないよ!?」
「間違えたえっと・・・」
こむぎと一緒にいたのは事実なのだがそれは犬の時のこむぎであって現在のこむぎではないのだがそれを説明することも出来ずいろははモヤモヤしていた。
「とにかくこのままだとまずいよいろはちゃん。こむぎちゃんって竜崎くんの好みドストライクな女の子だよ。ちょっと変わってる子だと思うけど知らない仲でもないんでしょ?」
「それは・・・そうなんだけど」
「とにかく竜崎くんをデートに誘うなりしないとこのままだとこむぎちゃんに取られちゃうよ」
「それは・・・嫌だけど・・・」
こむぎのことは大好きで大切だと思ってはいるが恋人関係なると話は変わってくる。小さい頃から誰よりもそばにいて・・・下手したら辰輝の祖父の次くらいには一緒に過ごしてきた仲。一緒にいた時間の長さはこむぎやまゆよりも長い。それはいろはにとっては絶対的なアドバンテージの一つであることも。
「私たちも応援してるんだからねっ」
「うんっ、本当にありがとう」
当の本人たち・・・こむぎと辰輝の二人は例の件をただのお散歩程度としか認識してないがまずいのも事実なのでいろはは気合を入れる。犬系女子作戦とか小細工はやめて正面からぶつかってやると。
「それにまだ竜崎くんの好きな人がいてそれなりに友好な関係の人が出てきたらもっと不味くなるしね」
「流石にもういないと思うけど・・・けど分かった。私、がんばるね」
「それでねたつきってすごく安心する匂いなんだよー。よく匂いを嗅ぐな恥ずかしいって怒られちゃうけど」
大熊といろはが作戦会議をしてる間にもこむぎは蟹江にたつきトークを続けていたので大熊と蟹江はマジでやばいんじゃねと心の中で思った。これだけ好き好きオーラ出しておいて本人に自覚はないのはある意味奇跡だなと思いいろはの手助けを続けることにした。
何もなければ次回は過去の話をします。ユキとの出会いの話。