「喫茶ドラコネットの新作?もうそんな時期か・・・」
季節の変わり目がやってくるたびに喫茶ドラコネットは新作メニュー(お試し)を開発していて期間限定で売っている。人気があればレギュラー化もするこの企画は客層に合わせたりジャンルから考えたりするがこの店の客層の大半は40代以上が多く、家族連れのお客さんは少なく学生とかになると更にマイナーなお客さんになるのである。必然的にお年寄りでも食べられる軽めのものいわゆる軽食やデザートになってくるが・・・
今回はじいちゃん曰く、若い人向けのメニューも置きたいらしい。じいちゃんはお年寄りもとい自分の世代の料理への提供は完璧だが話題性が移り変わりする若者向けのメニューを考えるのが苦手な一面がある。古風でレトロな味わいを残しつつ若者にも向けられるメニューの開発が今回のテーマらしいがそもそもそういうコンセプトにしてるからこのお店は若い客層が少ないのにも原因があるのでは?と思ってしまう。
メニューを開いても喫茶ドラコネットの商品は全体的に値段が高めなのもあるしな。その代わり味の保証は絶対なんだけど・・・
とにかく安いかつ映えるメニューを開発して宣伝するのが重要になってくるだろう。悟みたいに物好きでたまに通う若い人なんて滅多にないし・・・しかたない散歩がてらメニューの案を考えるか。ちょうど買い出しもしないといけないし。
今日は店主であるじいちゃんとスタッフの猪熊のばあさんもいることだし俺は買い出しのついでに新作アイデアのため散歩することにした。どうせ今の店内にはマダムトリオ(常連)しかいないしな。そんなわけで河川敷の方を歩いていたら見知った連中と泥だらけの何かがいた。
「何やってんだお前ら・・・」
「辰輝くん、実はさっきこの近くで遊んでた子がガルガルの卵を見つけたらしくて」
「・・・なんだと?」
「それで犬飼さんたちと合流して探すことにしたんだけど・・・」
「こむぎ、急に走ると危ないっていつも言ってるでしょ・・・」
なるほどね。こむぎが追いかけたボールを突進して泥まみれになり、いろはも巻き添えを喰らったってところか。まあよくあることだな。よくはないけど・・・
「ったくいろはも泥だらけじゃねーか。立てるか?」
「・・・ありがとう辰輝くん」
俺はポケットに入ってたハンカチでいろはの顔についた泥や汚れを拭き取る。にしてもガルガルの卵が近くにあるのか。孵る前になんとかできるのが一番だが・・・とりあえずそこの水道でこむぎ洗い流した方が良くね?
「あれもしかして猫屋敷さんじゃない?向こうにいるの」
「本当だ!おーいまゆちゃーん!」
「へっ!?」
そんなこんなでまゆがちょうど通りかかったので何をしてるのかを聞いたらPretty Holicで出す新作コスメを置いてもらえるようになるかもしれないから考えていたけどアイデアがまとまってないらしい。そういえば前そんなこと言ってたな。てことは俺と似たようなところか。
「ふふっ、こむぎちゃんは元気いっぱいだね。それに・・・」
「それに・・・どうしたの?まゆちゃん」
「ちょっと昔のことを思い出してね。ユキと出会ったときのこと」
「えっ!?あのユキちゃんが泥まみれだったの!?」
「そういえばそうだったな」
「って辰輝くんも知ってるの!?」
「聞きたい聞きた「うわあああああ、聞きたい聞きたい聞きたい聞きたい 」」
こむぎの、興味があるのはわかるが今はまゆがいるんだから喋らないでくれお願いだから。本人は思い出に浸っていて気にも留めてないが。
「まあそうだな。あれは確か・・・・」
そう言って俺とまゆはユキと出会ったあの日のことを思い出す。今から約4年前の話になる。当時、というが昔から今にかけて割とウチの両親は揃いも揃って家を開けてることが多い。てか正確には別居という表現が正しい。これは別に仲が悪いとかそう言うわけではなく単純に海外で働いてるため帰ってるのが年に1、2回なのと職業柄忙しいこともわかるしじいちゃんがいたから寂しくはなかったのだが・・・
「知り合いに頼まれて2週間程、前の職場に戻ることになってのう。まだ小学生の辰輝を一人にするわけにもいかんしのう。さてさてどうしたものか」
俺のじいちゃんは謎がとにかく多い。じいちゃん自身も純日本人ではないらしいのだがその出生や生い立ちなど俺はじいちゃんのことを何も知らない。俺が生まれたときくらいに喫茶店を始めた話だけど本当に謎が多い人だ。料理は美味しいんだがなんか少し作り方とか変わってたりと文化の差というやつらしい。それでじいちゃんは当時小4だった俺をどうするかを考えていた。じいちゃん曰く俺を連れて行くわけにはいかないらしくかといって父さんや母さんも仕事が忙しいのもあって何も知らない外国でも実質一人にしてしまうため当初は犬飼家に2週間預けるという考えでいたらしいが・・・
「それなら冬休みに仕事のついでに山間の村へ旅行に行くんだが親父がよければ辰輝を連れて行ってもいいか?その後はウチでしばらく預かるからさ」
「貴行がいいならわしとしても助かるが・・・」
「なーに、まゆも連れて行くし辰輝がいいならそのつもりでいるからな。どうせ兄貴は忙しいんだろ?」
ちなみに俺の親父はレンジャー・・・自然保護官の仕事をしてる人だ。動物の保護やエコツーリズムなどの動物や自然と触れ合うという内容でとてもハードだが楽しくて生き甲斐の一つらしい。アニマルタウンから海外へ出たのもそういうのをもっと触れたかったからという理由らしい。まゆのお父さん・・・貴行さんも日本から世界のどこへでも行く写真家だから兄弟同士通じる何かがあるのかもしれないな。そんなわけで俺は猫屋敷家に2週間預かることになり久しぶりに会ったまゆに挨拶したのだが・・・
「よろしくお願いします・・・」
「もしかして俺、怖がられてる?」
まゆは怖がってるのか恥ずかしがってるのか分からないが目を逸らしながら挨拶をする。毎度のことながら傷つくなぁと思いつつそういう自覚もあるのだがこの顔はもしかしたらじいちゃんに遺伝子したのかもしれない。じいちゃん曰く、大事なのは見た目ではなく内面や心の在り方と言って辰輝なら心配ないとは言ってたけど・・・そんなわけで写真家の仕事のついでに俺たちは3人で山間の村へとやってきた。雪をあんまり見たことなかったから柄にもなく浮かれてしまった。そして古民家の撮影をしてるときに泥だらけの白い猫を見つけた。それが今のユキとの出会いだった。
「キレイだねあの猫さん」
「そうだな」
「触ってもいいかな?」
「・・・やめておいた方がいいかもな。友達が言ってたんだけど猫は警戒心がすごく強い生き物だから近づこうとしてもすぐに逃げられたり逆に威嚇したり攻撃したりすることもあるらしいよ」
悟の教えもあるが純粋に出会った頃のこむぎを思い出した方が大きかった。この顔のせいで自分は何かこの人に酷いことをされるのかと思ったこむぎは「やられる前にやる」という理論で会うたびに俺に突進したり噛みついてきたり威嚇してきたりと色んな意味であれは忘れられなかった。昔から動物には懐かれなかったけどここまで敵対心剥き出しなのも珍しい気がした。以来俺は出来る限り動物と距離を置くことにしている。というより陽子さんに注意されて距離をおかざる得なくなったというか・・・
「辰輝くんの言う通りだよ。それにあの猫は首輪をしていない。おそらく野良猫だろう、勝手に触ってはいけない」
俺はともかくまゆは色んな意味で繊細なやつだからたかが相手が猫だとしても思わぬ怪我につながる可能性がある。まあそれはこむぎのときに嫌と言うほど思い知らされたが。父さんも言ってたけど動物と心を通わせることは簡単ではないからな。まあ俺の体質は父さん譲りなところがあるらしいけど父さんはここまで酷くはないらしい。打ち解けられる分まだマシとは言ってたけど。
閑話休題
あの猫について色々聞くと最近住み着いた野良らしい。住民の人たちによるとその猫は極度の人間嫌いらしく誰にも近づかないんだとか。そんな感じでやってきた村だけどやることがなかった。この家のものは自由に使っていいと言われてはいるが古民家のため何もない。どうすりゃあいいんだよ。
「まゆ、出かけるのか?」
「うんっ・・・ちょっと白猫ちゃんに会いにね。あっ、パパには内緒にしててよ。もちろん勝手に触らないから。だからえっとそのっ」
「・・・別に言ったりしないから。けどまゆに何かあっても困るしあとめちゃくちゃ暇だからついていってやる」
もし仮にあの猫が襲い掛かってもまゆを守ることくらいなら多分出来るはずだ。そんなわけで連日、俺たちは白猫に会いに行った。にしても日に日に寒さが増してるな。猫ちゃんが寒くないように・・・風邪をひかないようにと気を遣ってまゆが手袋の片方をあげたり帽子をあげたりしてたら・・・
「へっくしっ!?」
「お前が風邪引くのかよ!?」
まあそりゃ手袋や帽子をあげたら風邪引くかもしれないけど。とりあえず体温計で測ってみたけど微熱だし一日安静してればすぐに熱も下がるだろうから俺が面倒見ることにした。
「だからおじさんは仕事に行ってください。まゆは俺が見ておきますので」
「うーんっまゆが心配だけど辰輝くんがそばにいたら安心か。それじゃあ辰輝くん、まゆのことお願いね。直ぐに帰ってくるようにするから」
ここ数日でそれなりに出来ることは判明したしここの家は好きに使ってもいいという言質はとってるから俺は土鍋を使って作ることにした。土鍋で米を作るなんて新鮮だな。作り方はテレビで見たことあるし大丈夫だろうけど・・・
とそんなノリで土鍋を使っておかゆ作ったけど思いのほか上手くいった。日々の経験って大事なんだなって思う。最近は俺もじいちゃんに習って料理や家事をすることになったし。家事はともかく料理は覚えれば楽しいから案外料理することは向いてるのかもしれない。こむぎと出会うまでは料理をするなんて考えてなかったから人生何があるか分からないものだな。
「まゆ、起きてるか?」
「うんっ・・・白猫ちゃんは大丈夫かな?風邪ひいてないといいけど」
「白猫心配してお前が風邪ひくのは流石に迂闊だと思うぞ。とりあえずおじさんには誤魔化しておいたからな」
まゆがはしゃぎまくって風邪をひいたと伝えておいた。まあある意味貴行さんもなんとなく察してはいたのだろうが深く聞かなかったあたり多分気づいてたんだろう。一応触らないと言う約束は守っていたしな。すげぇ触りたそうにはしてたが。
「まゆ、とりあえずおかゆ作ったけど食べられるか?」
「これ・・・辰輝くんが作ったの?というより料理できたんだ」
意外だなぁと言う顔でこっちを見てくるがそんなに意外だったのだろうか。人は見かけによらないって言葉があるが・・・まあいいや。深く考えるのはやめよう。
「ほらっ」
「いただきます・・・熱っ!ゴホッゴホッ」
「あっ、すまん。冷ますの忘れてた」
そういえばこいつ猫舌なの忘れてた。一応冷ましたつもりなんだがどうやらまだ熱かったらしい。仕方ない、もう少し冷ますか。
「ふーふー・・・ほらっ、これでどうだ?」
「はむっ・・・うんっ、すごく美味しい。優しい味がする」
「そりゃよかったよ」
「辰輝くんって怖い見た目してるけど意外と優しいよね・・・」
「"意外と"は余計だ。俺は常に温厚で優しいからな。全く・・・ほらよっ」
なんかまるでこむぎの餌付けをしてる感覚がいるがこむぎといろははどうしてるんだろうな。今頃怒ってなければいいけど。親戚の旅行について行くから2週間近くいないのをうっかり伝え忘れたし。喫茶ドラコネットは閉めてるし。
「にしてもさっきから外から音が聞こえるけど・・・」
「お客さんか?ちょっと見てくる」
そう言って俺は扉を開けるが外に出ても誰もいなかった。いたずらかもしくは風の音なのかと思って閉めようとしたら鳴き声が聞こえた。真下を見るとそこには例の白猫がいた。
「お前、なんでここが・・・」
「ニャー」
「もしかして、まゆに会いにきたのか?」
「ニャッ」
まあすることもないから毎日白猫に会いに行ってたんだけどな。もしかして心配になって見にきてくれたとか?
「白猫ちゃんが来てるの?けほっけほっ」
「おいまゆ、お前は病人なんだから無理するなって」
「だってぇ・・・」
「ほらっ、大人しく横になってろって。というわけで白猫さん、今のまゆは風邪をひいてる。けどまゆがしたくてやったことだから気に病むことは・・・」
俺の言葉を無視して白猫はトテトテと家の中に入ってまゆに近づく。そして白猫は横になってるまゆのほおを舐めた。
「白猫ちゃん・・・今」
「にゃあ」
それだけを言って白猫はそのまま開いてるドアから出て行ってしまった。猫が相手を舐めるのは確か信頼の証だったよな。この村の人たちによるとあの猫は極度な人間嫌いだと聞いてたが・・・猫は舐める場所によって表現が変わる。顔は確か最大の愛情表現・・・
「行っちゃった・・・辰輝くん」
「なんだよ」
「早く治して白猫ちゃんに会いに行くね」
「そうだなっ」
そしてまゆは宣言通りその日に完治して見せたが次の日が猛吹雪になった。流石にこの日に会いに行くこともできず病み上がりということもあり断念したのだがまゆはずっと白猫のことを心配していた。そして次の日見事なまでに快晴でまゆは飛び出して白猫に会いに行った。また風邪をひかれても困るので俺も同行することにした。
「猫ちゃんいるかな〜?」
「ニャッ」
「よかった元気そうで・・・あのね猫ちゃん。お見舞いに来てくれてありがとね。すっごく嬉しかった・・・」
「まゆ」
「あっ、私ったらうっかりしてた。ごめんねそういうつもりじゃなくて・・・」
まゆが触ろうとしたところを俺は静止する。いやっ、本当はもうその必要はないのは分かってはいる。人間嫌いである白猫がまゆのことを認めてることくらい。
「えっとね猫ちゃん。今日はねお別れを言いに来たんだ。明日、パパと辰輝くんと家に帰るから。もっと一緒にお話ししたかったんだよ。家族のこととか私の住んでる街のこととか」
色々あったけどまゆは最後に「じゃあね、ずっと元気でね」とだけ伝えた。俺は寂しそうな顔をしてたまゆと背中を向けた白猫を見て決意した。きっと今の俺に出来ることはこれくらいだろう。だから・・・
「おじさん・・・話があるんだけど」
「なんだい?話って」
まゆが寝たタイミングで俺は貴行さんと二人きりになる。おそらくまゆが白猫に会いに行ったことは知ってる。だからこそ俺はお願いした。
「もしまゆがあの白猫とずっといたいと言って、もし白猫も同じ気持ちなら受け入れてくれませんか?」
「ふむっ・・・」
「ここ数日、ずっとまゆと一緒に行動してまゆが白猫に自分の身に付けてた帽子をあげたり手袋をあげたりして結果的に自分が風邪をひいてしまいました。けどそれはまゆがどうしようにもなくあの猫が好きなこと。そして動物を飼うということがどれだけ大変なのかもわかってるはずです」
貴行さんは俺に「続けて」と言われて俺は俺の想いを伝える。
「特に俺は動物に懐かれにくく幼なじみの飼ってる犬と打ち解けるのにすごく時間がかかりました。飼ううえで喧嘩することもあるかもしれない。けどなんだかんだでどんな白猫であってもまゆならきっと受け入れてくれるはずです。それに・・・・」
俺は猫の特性とまゆを看病していた出来事で何があったのかを全て貴行さんに話した。
「なるほどね」
「でも俺からはこれ以上何もいうつもりはないです。一緒に行くのかここで別れるのか選ぶのはまゆと白猫です。けどもしまゆが連れて行くと言って白猫が受け入れるならその時は・・・お願いします」
「・・・分かった。君がそこまで言うならまゆと白猫のことを尊重するよ。君はその歳で相当な修羅場を潜ってきたみたいだしね。そういうところは兄貴にそっくりだ」
「兄貴・・・って俺のお父さんと?」
「やっぱり親子なんだなって思うよ。動物に嫌われやすい体質でどうしようもなく動物が大好きなところとかな」
それでもお父さんは動物が大好きで現在の自然保護官の仕事を選んだらしい。けど君は君のやりたいことをやる。動物に向き合うか他のことをするのかを決めるのも自分自身だ。もし動物に関わることと同じくらいの好きなことを見つけられたらそれが君にとっての一つの道なのかもしれないとそう言われた。
そしてお別れの日、まゆは泣きながら私だってずっといたい、触らなくてもツンってされても一緒にいられたことが楽しくて嬉しくてずっといたいと言ってその白猫もそれを受け入れた。
「・・・辰輝くん、一緒にこの旅行に来てくれてありがとう。まゆ、その子を連れて行きなさい」
「パパ!」
「辰輝くんに礼を言うんだぞ。辰輝くんがまゆとその猫のこと、育てることの大変さとか色んなことを踏まえた上で一緒にいさせてやってくれと私に頼んだんだから」
「ちょっ、おじさんわざわざそれ言わなくても!?」
「辰輝くんっ!ありがとう」
「ちょっ、まゆ。苦しいって」
まあでもまゆのこんな嬉しそうな顔を見るのは初めてだな。こむぎと一緒にいることを選んだいろはのことを思い出す。あー、帰るのが怖くなってきたな。絶対いろはのやつ怒ってるよ。毎年一緒に初詣行ってたのにとかお雑煮やおせち食べたり羽付や凧揚げしたりしてたのにーとか言ってきそうで。
「まゆ、辰輝くんが苦しがってるよ」
「あっ、ごめん大丈夫辰輝くん!?」
「あ、ああ平気平気」
そんな感じで白猫を猫屋敷家の家族に迎え入れて今回の旅行は終わった。じいちゃんがアニマルタウンに帰ってくるのはもう少し後なのでもうしばらく猫屋敷家でお世話になることになった。
「ねぇ辰輝くん。泡の量ってこんな感じ」
「だいたいそのくらいだな。それから・・・」
そんなわけで俺は猫屋敷家でまゆに猫の洗い方を伝授していた。そんなに難しいことでもないが幼なじみの父親がペットサロンで働いててトリミングのプロだからな。小さい頃からそういうのをいろはと見てきたからだいたい感覚がわかるがそもそも俺はこむぎ以外の動物に触られるとキレられるので出来るとは言ってないが。あっでもこむぎは触れるから今度こむぎで試しに俺もやってみようかな。にしても・・・
「めちゃくちゃ綺麗な毛並みだったんだな」
「うんっ、綺麗な雪色。綺麗な雪色と雪の日に出会ったから名前はユキにしよう!どうかな?」
「ユキか。俺はいいと思うぜ」
白猫も特に反対もしてないので白猫もといユキという名前になった。とりあえずまゆとユキはこれからもずっといられるしめでたしめでたしってところか。
「にゃー」
「なんだよ白猫・・・じゃなくてユキ」
「にゃーっペロッペロッ」
「えっ・・・・・」
「ほうっ・・・
「あらまあ・・・」
俺のところにきたユキは飛びついて俺の頬をぺろぺろと舐めてきて思わず動揺してしまう。そもそも俺は自他共に認める動物に嫌われる体質の持ち主で当たり前のように近所の犬に吠えられ何もしてないのにカラスにつつかれることもあるんだぞ。そんな俺を人間嫌いのこの猫が許したと言うのか・・・
「にゃあ」
「ふふっ、ユキがありがとうって言ってるよ」
「えっ?」
「辰輝くんのおかげでこうして私たち一緒にいられることになったから。辰輝くんがいなかったらあのままお別れだったかもしれないし」
いやでも俺がいなくても結果は同じだった気がするけどな。でもそっか、人間嫌いのユキが俺には心を許してくれたってことはもしかしたらこの体質も治るかもしれないと・・・
まあ結局そんなことはなかったんだけどな。あれからも俺に懐いてくれてるのはこむぎとユキ、そして俺を兄貴と慕ってくれる大福の3匹だけだ。それ以外はあいもかわらず犬に吠えられるし馬には蹴られそうになる日々だ。あと冬休み最終日の夜、帰ってきたら喫茶ドラコネットで頬を膨らませたいろはを見たときにはもう色々と覚悟をした。
「まあこんなところだよな。めちゃくちゃ長いこと話してしまったけど」
まあ短くまとめるとユキって可愛いよねって話なんだけど。ユキを飼うようになってからは小6の時までそこそこの頻度で猫屋敷家に行っていた。こむぎ以外に触れる動物がそこにいるんだぞ。そりゃ行くしかないだろ。幸いまゆの住んでた町はそう遠くもないしな。
「それでチャームをつけたユキがめちゃくちゃ可愛くて・・・そうだこれだ!」
「まゆちゃんどうしたの?」
「これだよこれ!ありがとね、じゃあ私もう行くから」
そう言ってまゆは走って行ってしまった。あの感じだと何かいいアイディアが思いついたみたいだな。俺も新作メニュー考えないとな。
「!!!」
「いろは、こむぎどうした?」
「ガルガルが出たワン!」
「マジかよ!」
「辰輝くんは隠れてて。君の動物に懐かれにくい体質はそのままガルガルにも依存するから真っ先に辰輝くんを襲う可能性があるよ」
いやめちゃくちゃ怖いなそれと思ったが以前学校でウマのガルガルに襲われた際に俺は狙われた記憶があるから否定はできない。だからこそ任せることしかできなかった。俺がいても邪魔になるだけだしな。よしとりあえず街に逃げよう!
「って!!!なんで追いかけてくるんだ」
「ガルガルゥ!!!」
「このままだと辰輝くんが。犬飼さんっ、こむぎちゃん!」
「「プリキュア、マイエボリューション」」
「辰輝くん、今行くから」
「こらーっガルガルしないの!」
この後俺は命からがらガルガルから逃げ切ることができた。なんで真っ先に俺を襲おうとするんだ俺は餌か何かかよ。とりあえずフレンドリベラーレで二人に助けられたけど・・・やっぱり二人だと負担だ大きいよな。せめてもう少し仲間がいればあの二人の負担も減るんだろうけど。
とりあえず当初の目的だった買い出しを済ませる。俺も喫茶店の新作メニューを一通り考えたので帰って試すことにした。
次回は12話を予定してますが・・・12話でいいか。アニメに追いつくことになるけど今週の投稿はもう無理なので次回は来週になるし。というわけで次回もよろしくお願いします。