犬系女子との付き合い方   作:りんご(仮)

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お待たせしました、時間かかりましたが無事更新できました。今回はアニメ11話の話です。


だいじゅうさんわ

喫茶ドラコネットの特徴としてはとにかく若いお客さんが珍しいことにある。しかも中高生のグループだけ、もしくは中高生一人が入ってくることはほとんどない。それだけ学生側からしたら敷居が高いと思われてる。まあやっぱり値段だよな。喫茶ドラコネットは全体的に商品の値段が高いところに問題があるから。

 

それでも一応新メニューの『ラネージュ・ラング・ド・シャ』は学生向けの値段になっている。その層を狙った商品で作ったからな。まあもっとも学生来ないと意味ないんだけど。にしてもいろはたちは今頃、見晴山でガルガルの調査をしてる頃だろうか。というのも先日、学校で見晴山に謎の巨大生物が出たという話題があがり、話を聞く限りガルガルだろうと判断していろは、こむぎ、悟の3人で向かっている。当初は俺も行く予定だったが最近、パートの猪熊さんが体調悪いらしくて今日もお休みしている。じいちゃんはお店を回すくらい一人でどうとにでもなるとは言ってたがそういうわけにもいかないだろ。そんなことを考えていたらポケットに入ってるスマホから着信が入る。まゆから?

 

「もしもし、まゆか。どうかしたか?」

「えっと、辰輝くん。今日いろはちゃんたちと見晴山に行ってるんだよね?」

「いやっ、店にいるけど」

「えっ!?行ってないの!!この前、いろはちゃんたちと学校でそんな話してなかった?謎の巨大生物を調べに行くって」

「約束してたんだけどパートの猪熊さんが体調崩してな。仕方ないから俺は店に残ることにしたんだよ。なんだ?やっぱりお前も行きたかったのか?」

 

けどやめておいた方がいいぞ、マジでガルガルだったら洒落にならないしな。一般人のまゆを巻き込むわけにはいかないから仮にまゆが勇気を出していろはに声をかけても難しかっただろう。まあ、まゆはコミュ症だからそんな心配要らなかったが・・・

 

「いやっ、そういうわけじゃあ・・・けど辰輝くんが山に行くって話したらユキがすごく心配して。いろはちゃんたち、大丈夫だよね!?」

「心配ないだろ、悟もついてるしな」

 

俺は悟ほど動物の生態に詳しくないからな。それに俺がいたところで正直邪魔にしかならないんだよなぁ。だって真っ先に俺、ガルガルに狙われるし。身体能力には自信があるとはいえこの前は結構やばかったしな。アライグマのガルガルに郵便ポスト投げられたときはどうなることかと。

 

「ならいいんだけど・・・ユキ、大丈夫。辰輝くん行ってないって。あっ、ユキも安心してるよ」

「しかしユキに心配されるとはな・・・」

「ユキ、辰輝くんのこと大好きだもんね。あっ、私お母さんに買い物頼まれてたの忘れてた。もう切るね」

「おうっ。あと、暇だったらでいいから店に来てくれよ。この前見せたやつ、改良して完成版を作ったからな」

「そっか、じゃあ買い物の帰りに顔出すね」

 

そう言ってまゆは電話を切った。実はこの前じいちゃんに新作を見せたらもう一工夫した方がいいと言われた。というのもラネージュが雪という意味ならプラスしてアイスクリームつけた方がより連想できるのではということになり牛乳たっぷりのバニラアイスを付け足して『ラネージュ・ラング・ド・シャ』という形で完成させた。確かにラング・ド・シャが猫の舌という意味を知ってる人は少ない。なおさらラネージュだとより伝わりにくいからまゆの飼い猫のユキとアイスを掛け合わせてこのメニューが生まれた。あとは学生とか来てくれればなぁと考えて開店から30分・・・

 

「こう言ってはなんだがクソ暇だな」

 

まあ開店してまだ時間も経ってないし喫茶店は大体昼がピークだしな。お休みだからと言って人が多くなることはあまりない。もちろん平日よりお客さんはいるがどうしてもショッピングモールや商店街に客を取られがちである。店の場所も問題の一つだよなぁ。そんなことを考えていたら扉の開く音が聞こえた。

 

「いらっしゃいませ・・・・」

 

お店に入ってきたのは一人の女性・・・女の子だった。しかもすごく若い。年は俺と同じかそれに近いくらいだろう。そんな人が一人で入ってきた。喫茶ドラコネット、天変地異の前触れかもしれない。

 

………よかった

「どうかなさいましたか?お客様」

 

とりあえず過去に喫茶ドラコネットでブロンドの髪をした女の子が店に来たことはない。てか一度見たら忘れられないくらいには整った容姿をしている。喫茶ドラコネットでは珍しい新規のお客さんだ。この店は9割近くが常連だしな。

 

「・・・なんでもないわ」

「お席へご案内します。こちらへどうぞ」

「・・・・」

「どうかされましたか?お客様」

「・・・その口調、やめてもらえるかしら」

「・・・へっ?」

 

俺に近づくなりこの人はいきなりこの口調をやめろと言われた。もしかして俺の口調、何か変だったのだろうか。知らないうちに粗相をしてしまったのではと困惑してじいちゃんの方を向くと縦に首を振った。粗相とはかしてないがお客さんの要望だからいつも通りで構わないという意味らしい。いやっ、初対面のお客さんだぞいいわけあるか!と思ったがその女の子はジト目でこちらを見てくる。そんなに俺の敬語が気持ち悪かっただろうか。正直傷つく。

 

「はぁ・・・これでいいか?」

「私に対して敬語も特にいらないから。というか自然にしてもらえない?」

 

そう言って彼女は空いていたカウンター席に座る。自然に振る舞えってことはこの人はもしかして俺のことを知ってる?いやっ、さっきも言った通りこの人のことを一度見たら忘れられないくらいには容姿が整ってる。どこかでもし会ってるなら忘れないはずなんだが・・・

 

「それでご注文何にしますか?」

「・・・」

「何かたべたいものはあるか?」

 

流石にこれくらいの譲歩は許してもらえるかと思ったがダメらしい。じゃあありがたく崩させてもらおう、俺もその方が楽だし。てか常連ばっかりだから基本は実はこのスタイルなんだよな。こむぎが来たときにひさしぶりにあんな感じになったけど・・・てか人のこむぎ以来の新規客になるのか。てか人のこむぎも除外だし親戚のまゆも除外だけど。そう考えるとほんと中々この店の新規って来ないよな。単体のお客さんは特に・・・

 

「新作・・・この店の新作を食べたい」

「『ラネージュ・ラング・ド・シャ』だな。よしっ・・・じいちゃん、『ラネージュ・ラング・ド・シャ』を一つ」

「ふむ・・・辰輝よ、せっかくだからお前が作ってみなさい」

「えっ?じいちゃんならもうメニュー覚えてるだろ」

「そうじゃが・・・お主が頑張って考えたメニュー。それにお主と同じくらいのお客さんだから辰輝が作るのがいいじゃろ。やってみなさい」

「・・・分かった」

 

まゆからも好評だったし自信がある。牛乳たっぷりキンキンに冷やしたアイスクリーム。そして朝仕込んだクッキーを周りに置く。作ると言ってもほとんどできてるから軽い仕上げなんだけどな。

 

「お待たせしました。『ラネージュ・ラング・ド・シャ』です」

「・・・・」

「どうかしたか?」

「この真ん中に乗ってるこれは?」

「これ?アイスだけど・・・」

「そうっ・・・」

 

アイス知らないってことはないよな。ただの確認なのか女の子はぶつぶつと言っていた。

 

「そのアイスはな牛乳たっぷり使って作ったバニラアイスなんだ。この『ラネージュ・ラング・ド・シャ』のメニュー名の由来がユキ・・・親戚が飼ってる猫でこれがすげぇ可愛いんだよ。基本的にはツンツンしてるんだけどな、けど甘えてくるのがすごく可愛くて。なんでか知らないけど動物に嫌われやすい体質の俺にも心を許してくれてる・・・懐いててくれててな。小学校のときは高頻度でユキに会いに行ってて・・・って悪い悪い。これじゃあまゆ・・・親戚のことを言えないな」

 

ハハハと笑っていたら目の前にいた女の子は顔を真っ赤にした。俺、何かまずいことを言った?いやっ、いきなり親戚のペットの話をしたら怒る人もいるか。

 

「まあとにかくユキ・・・親戚の飼い猫をより連想できるようにクッキーにアイスを加えたんだ。キュアスタ映えもバッチリの一品だと思う」

 

そこそこいいね数貰えたからな、あれ。すごく意外だと思われるかもしれないが俺はキュアスタをやってる。なんでやってるのかと言われたら単純に料理のセンスとかをみてほしいのが理由だった。世界中の顔の知らない同世代の子だといろいろ言ってくれるので新メニューの研究代わりにキュアスタを使っている。中でも一人のフォロワーさんとはすごく仲が良くて個人的にチャットで互いに相談乗るくらいには仲がいい。もう4年くらいの付き合いなのかな。

 

「まあとりあえず食べてみろよ。喫茶ドラコネット、味の保証は約束するぜ」

「いただきます。はむっ・・・冷たくて美味しい。牛乳の味がはっきりと分かるわ」

 

まあユキをモチーフにして作ったメニューだしな。個性強めの新メニューだ。これでも結構美味しいんだよ。なぜならこの前こむぎと出かけたときに食べたソフトクリームを研究して生かしたからな。まさかあれが役に立つとは。

 

「こっちもすごく美味しい・・・これがあなたの作った・・・」

「・・・・」

「どうかしたかしら?」

「いいや・・・さっきから気難しい顔をしてたけどそんな風に柔らかい顔もできるんだなって」

 

不覚にも彼女の笑顔に見惚れてしまったのは内緒だ。気になるのはどうも向こう側は俺のことを知ってるっぽいが何者なのだろうか。

 

「だとしたらそれはあなたのおかげかもね。すごく美味しいわ」

「そっか・・・・」

「照れてるわね。ふふっ、そんな顔も(・・・・・)するのね」

 

そう言って彼女はスプーンでアイスを掬い取る。さっきからずっと気になる。どうも向こう側は俺のことを知ってるみたいだ。クラスメイトの誰かの知り合い、もしくは兄妹とかか?年が少し離れてればありえない話ではない。

 

「なあ一つ聞きたいことがあるんだけどお前は一体・・・」

「残念だけどそろそろ時間ね」

 

そう言うと時間がそろそろ12時を迎えようとしていた。約束があるのかわからないが何か用事とかあるのだろう。久々に中高生くらいの子が来てなんか少し楽しかった。

 

「それじゃあ会計だけど・・・えーっと」

「辰輝よ、今回はサービスということで無料で提供させてもらおう」

「じいちゃん!いきなり何を・・・」

「貴重な若いお客さんじゃ。今後もひいきにしてもらうにはこれくらい些細なこと。ほれっ、この店で使える割引券じゃ。今日は来てくれてありがとう。次は友達と来てくれるとこちらとしては嬉しい」

「・・・ありがとうございます」

 

そう言って彼女はそれをポケットの中にしまう。じいちゃん曰くこれがリピーターを増やす一つの方法である。じいちゃんの店にそんな余裕あったっけ?まあでも根強く常連さんが来てくれるのはこう言う面もあるからなのかもしれない。

 

「辰輝の同年代の客だしな。それに・・・」

「それに?」

「いやっ・・・なんでもないわい」

 

それだけ言ってじいちゃんはそのまま店の奥に行ってしまった。あの感じ・・・じいちゃんはあの人のことを知ってるのだろうか?俺がいない間に来たことが・・・あったら今みたいなことはしないか。じゃあなんで・・・

 

「帰る前にあなたに一つ忠告しておくわ」

「忠告?」

「ええっ、山には行かないで。お願いだから」

「山って・・・見晴山のことか?」

「少なくともあなたはこれ以上アレ(・・)には関わってはいけない。それじゃあ忠告したから」

 

アレって・・・まさかガルガルのことか!いやでもなんで今の子がそれを・・・ガチャリと音を立てて彼女は出ていった。やっぱり彼女は俺のことを知っている!少なくとも俺が巻き込まれてるのはこむぎといろは、悟の3人以外は誰も知らないはず、じゃあ彼女は一体何者なのか。確認するしかない。

 

「待ってくれ!お前は一体・・・・」

 

扉を開けたそのときはもうどこにも彼女の姿は見えなかった。まるで消えてしまったかのような。今のは幻だったのだろうか・・・・謎が深まるばかりだ。しばらくそのまま長い時間そんなことを考えていたら・・・

 

「辰輝くん」

「まゆ、来たか。そのバッグに入ってるのは・・・」

「ユキのために買った牛乳なんだ。すごく美味しく飲んでて気に入ってたから・・・」

「ふーんっ、そっか」

「それでね辰輝くん。さっき不思議な子に出会ったの」

「不思議な子?」

「ブロンドの髪をして透き通るような青い瞳をした可愛い女の子なんだけど・・・」

「・・・なんだと?まゆ、それどこで会ったんだ!?」

「ええっ!?えっと・・・鏡石の近くだったかな?なんか山には行かないでって忠告されて。気がついたらいなくなってたんだけど・・・どうもその子私のこと知ってるぽくて・・・辰輝くん、どうかしたの?」

「俺も今日あったんだよその子に。それでまゆと同じことを言われた」

「辰輝くんも?このお店に来たってこと?」

「ああっ・・・」

 

俺とまゆが共通で知ってる人物の可能性が高くなってきたけどまゆもわんにゃん中に転校してそれほど時期は経ってない。謎は深まるばかりだけどとりあえず・・・

 

「飯食っていくか?」

「うんっ、そうするね」

 

ちょうどお昼頃なのでまゆに昼ごはん作ってやった。もし次会うことがあったら名前とか色々聞こう。確認したかったけど聞きそびれてしまったし。そしてその後、戻ってきたいろはたちにニコガーデンに召集されて久しぶりに訪れたら今回のガルガルは4体目のキラリンアニマルだったらしい。片手で腕立て伏せしてた。こんなのがガルガルになってたのか。悟曰く俺が同行してたら色々とやばかったかもしれなかったらしい。そして・・・

 

「あの傷は誰が?」

「はっきりとは覚えてないキラ。けどスッゲェ強かったぜ。もう一人のプリキュア!」

「「「はい?」」」

「誰ワン?」

「意味不メェ〜です」

 

どうやら知らないうちにこの街にプリキュアがもう一人増えたらしい。それにしてももう一人のプリキュア。ガルガルの存在を知ってて山に行くなと忠告したあの子は・・・まさか!?

 

「たつき、どうかしたワン?」

「・・・いやっ、なんでもない」

 

とにかく今日あった例の子、もし次会うことがあるなら思い切って聞いてみよう。そう俺は心に決めた。




ユキ「危なかったわ。私、ちゃんと人間ぽくできてたかしら?もう少しで辰輝に抱きつくところだった」

多分こんな心情だと思う↑そんなわけで後書きです。なんだかんだでアニメ本編に追いつきそうで追いつかないそんなペースを維持しながら進めていきます。オリジナル(季節ネタ)やりたいけどお花見以外特にやりたいことなかったので今月はもう特にオリジナルないです。5月はゴールデンウィークあるしその辺のネタで何かやりたいですね。

今回の話は主人公がユキに食べさせたいという望みを真の商品の完成を一番最初に食べさせるという形では叶えてあげました。辰輝が人間の姿のこむぎとユキに共通してあげたのがアイスクリームという共通点が地味に生まれた回でもある。


用語解説
キュアスタ
デパプリであったインスタのような何かのやつ。一応主人公がキュアスタの垢を持ってる。喫茶店の孫だし生まれてくる世界線間違えた可能性ある。

次回もよろしくお願いします。
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