犬系女子との付き合い方   作:りんご(仮)

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というわけで今回の内容はこむぎ生誕祭を記念したSSです。誕生日を祝う話・・・ではなくこむぎメインのオリジナルエピソードをお届けします。こむぎの誕生日の日に出すネタを何しようかと考えてたのが5/10だったため「メイドの日」を取ってメイドの話にしました。簡単に説明すると主人公の家、もといお店をこむぎが手伝うという話です。

スペシャルエピソードのため時系列表記はありませんが一応まゆに正体がバレる前くらいを想定しています。


Special Episode「こむぎ、メイドになるワンっ!」

「いろはに置いて行かれた・・・」

 

ある昼下がりのお休みの日の出来事、こむぎが起きるといろはがいなくなっていた。詳しい話をこむぎに聞くと剛さんの仕事の手伝いでいろはを連れて行ったらしい。こむぎも連れて行こうかと思ったけどものすごく気持ちよさそうに寝てたから剛さんがこむぎは寝させてあげようということで置いていったらしいと陽子さんが話してたみたいなんだけど・・・案の定こむぎはいろはに置いて行かれたことにより拗ねていた。

 

「それで俺のところに来たわけか」

「うんっ、だってお母さん忙しそうにしてたしこむぎがいても邪魔になるだけだから」

 

ああ、そこは理解してるのね。だからこそいろはに構ってもらおうかと思ったけどいろはは剛さんと出かけてていないから仕方なく人間の姿になって俺の家を訪ねたと。しかしこう言ってはなんだが今日は家の手伝いをしている。俺もこむぎに構ってる余裕はないんだけど今日は猪熊さんは公休でお休みだし。

 

「ところでたつきはよくお店のお手伝いしてるけど楽しいの?」

「まあそうだな、料理の研究もできるしいろんな人と話できるからな。俺は楽しいと思ってこうやってじいちゃんの手伝いをしてるわけだしな」

「ねぇ、たつき」

「なんだ?」

「こむぎもたつきのお手伝いしていい?」

「それって喫茶ドラコネットで仕事をするってことか?」

 

正確には手伝いになるけど。アルバイトできるのは原則高校生以上が基本だし。あっ、でもこいつは元が犬だからそんな縛りはないのか。いやっ、俺たちと同い年ってことになってる時点で無理なものは無理だけど。

 

「いやっ、いくらなんでもそれは無理だろ」

「こむぎもたつきのお手伝いがしたい!」

「と言われてもなぁ・・・」

 

駄々をこねたところで俺にはどうすることもできないのよ。つまりこむぎには悪いけど諦めてもらうしか・・・

 

「つまり・・・メイドさんになりたいということじゃな」

「あっ、マスターだ!やっほー」

「こんにちはお嬢さん」

「じいちゃん、いつの間にいたんだよ」

 

今、全く気配感じなかったけどなんの前触れもなくいきなり現れて話しかけてこないでほしい。心臓に悪いから。ウチのじいちゃん、竜崎 龍郎。喫茶ドラコネットの経営者であり常連さんからはマスターと呼び親しまれてる。こむぎもじいちゃんの名前を覚えられなかったらマスターって呼んでおけばいいと伝えておりそこからマスター呼びが定着した。

 

「ところでたつき、メイドって何?」

「簡単に言えば給仕する女性のことだけど・・・」

「本来は家政婦と言って身の回りのお世話をするという意味なんじゃが・・・どうもこの国はそうではないらしいからのう」

 

そうっ、本来のメイドはじいちゃんのいう意味なんだけど日本だとメイド喫茶とかありお客さんをご奉仕するという意味の方が強い認識がある。喫茶ドラコネットはごく普通の喫茶店なのだがそのかわり制服が限りなく執事喫茶とも呼べるベースに近いためたまに勘違いされることがある。しかしウチはそのようなオプションはない。

 

「まあ簡単に言えばこんな服を着て接客するんだよ。ほらっ・・・」

「可愛いっ、これがメイドさんの服!?こむぎも!こむぎもメイドさんの服を着る!メイドさんの服着てたつきのお手伝いするっ!」

「って言ってもウチにメイド服なんてあるわけ・・・」

「辰輝よ、それなら更衣室の奥の扉の中に入ってるぞ、ちょっと待ってなさい」

「いや待て!なんでそんなもんがウチにあるんだよ!じいちゃん」

 

数分後、じいちゃんは段ボール箱を持ってきて中には綺麗にメイド服が仕舞われていた。喫茶ドラコネットに女性スタッフなんて過去にいたのだろうか。物心ついた時には既に男性スタッフばっかりの職場だったからな。スタッフの高齢化が進んで結果的にじいちゃんと俺と猪熊さんの3人しか残ってないけど。ちなみに喫茶ドラコネットは毎週水曜が定休日である。まあそれ以外でも不定期に店を閉めてることが多いけど・・・

 

「可愛いっ!これ、こむぎが着てもいいのっ!」

「構わんよ。更衣室を貸してあげるから着替えてきなさいっ」

「わーいっ、ありがとうマスター」

「・・・にしてもいいのかよじいちゃん。こむぎをお手伝いさせて」

「なにっ、これもいい経験になるじゃろ。それにあの子はいろんな経験をしたい。そんな楽しそうな目をしておる」

「なるほどな。まあ責任者(マスター)がそう言うなら俺からは何も言うことないが。しかしじいちゃん、なんでウチにメイド服なんてあるんだよ」

「喫茶ドラコネットは大抵のものはあるぞ」

 

というのも前職の名残らしい。俺やじいちゃんが着てるのも前職の制服を元に作り直したのがこれらしい。じいちゃん、あんたの前職なんなんだよとずっと思っている。しかし聞いてもじいちゃんにはぐらかされるのでもうあきらめたけど本当に何者なんだよこの人。

 

「着替えたよー!たつきどうかなどうかな!?」

「おおっ・・・」

 

なんというか予想以上に似合っている。じいちゃん曰く、前職の制服をこの国に合うようにデザインし直したものがこれらしいけど絶妙にこむぎとマッチしていた。というよりよくこむぎに合うサイズなんかあったな。

 

「似合う似合う?」

「ああっ、似合ってると思う・・・」

「わーい、たつきに褒められた。それでこむぎはどうしたらいいの?」

「あーっ・・・」

 

本当にどうしようか。簡単なのはホールの仕事だな。いらっしゃいませと声をかけて先に案内してお水の提供と注文を取る。これくらいなら多分こむぎにも出来ると思うけどこむぎがわんにゃん中に転入した時の自己紹介のことを考えると正直不安しかない。

 

「不安ならまずは練習するのはどうじゃろ」

「練習?」

「辰輝がお客さん役でお嬢さんはメイドとして接客するんじゃ。アドバイスは辰輝からもらうといい」

「なるほどー分かったよマスター、こむぎやってみる」

 

とりあえず今は誰もお客さんいないし俺がお客さん役Aとして相手をしよう。

 

「お嬢さん、これがパンフレットじゃが・・・」

「私の名前はこむぎだよ、マスター」

「こりゃすまんかったのう。こむぎちゃん、これを元にして辰輝に接客するんじゃ」

「なるほど・・・オッケー、こむぎばっちりだよっ!」

「うむっ。辰輝、もう入っても良いぞ」

 

なんでこんなことになったのやら。まあでもこむぎが楽しそうだし、何より珍しいことにじいちゃんも楽しそうにしてるんだよな。というより俺と誰かがいるとじいちゃんが嬉しそうにしている。やっぱり祖父としては孫にはもっと年相応にいてほしいものなのだろうか。まあ今はそんなこといいか。さてとお手並み拝見させて・・・

 

「わんわーんっ!おかえりなさいませ、ご主人様、お食事にする?お風呂にする?それとも・・・」

「待て待て待て待て!」

「あれっ、こむぎ何か間違ってた?」

「何もかも間違ってるわドアホ!」

 

いやっ、メイド服着てるから正しいのかもしれないけど喫茶ドラコネットは普通の喫茶店だぞ!

 

「でもマスターのもらったマニュアルにはそう書いてあって・・・」

「すまん、辰輝。間違えてメイド喫茶のマニュアル渡してたわ」

「なにしてるんだあんたはぁぁぁぁああああ」

 

俺は尊敬する実の祖父に思わずツッコミを入れるくらいには動揺していた。というより途中までは理解できたけど後半からは明らかに何かおかしかったぞ。というより・・・

 

「そもそもなんでメイド喫茶のマニュアルなんかあるんだよ!」

「それはここが喫茶ドラコネットじゃからな」

「いや理由になってねぇよ!」

 

さっき大抵のものはあるって言ってたけどなんでこんなよく分からないメイド喫茶のマニュアルなんかあるんだよ。

 

「そういえば・・・昔、この店のマニュアルを新しくしようという話になったことがあってな」

「おんっ」

「当時のスタッフに色々書いてもらっててな、そのうちの一つが・・・」

「これだと?」

「うむっ・・・・」

 

なるほど、そういうことなのか。結局じいちゃんが真面目にやって現在のクッソ分かりやすいマニュアルを完成させたけど・・・

 

「とりあえずこむぎ、普通に『いらっしゃいませ、お席にご案内します』でいいから」

 

気を取り直して俺は席に座る。こむぎってちゃんと字とか書けるんだっけ?

 

「えっと・・・ご注文は何になさいますか?」

「とりあえずコーヒー1つで」

「かしこまりました。マスター、コーヒー1つで。たつき、どうかな?どうかな?」

「思ってたよりちゃんと出来てるな」

「やったー!わん、わん、わんだふる〜」

 

どうなるかと思ったけどさすがじいちゃんの作ったマニュアル。猿どころか犬でも理解できるくらいには簡単に解説されていた。じいちゃんがマニュアル渡し間違えさえなければ満点だったんだけどな。

 

「というよりこむぎ、その姿であまり動き回るな」

「えっ、なんで?」

「いやっ・・・なんでって言われても」

 

こう考えるとこむぎが着ているわんにゃん中の制服がキュロットなのはいい判断だったよな。メエメエがこむぎを理解した上での判断なのかたまたま用意したのがキュロットだったのかは分からないが。とにかくそんなにくるくるされるとスカートの中が見えそうになる。

 

「こむぎちゃん、最後にコーヒーを持って行こっか。辰輝、ブラックで良かったか?」

「ん?ああっ、ブラックでいいよ」

 

時間的にもうすぐでマダムトリオたちのご来店か。俺もコーヒー飲んだら仕事に戻るとするか。

 

「ねぇマスター、コーヒーって美味しいの?」

「美味しいけどこむぎちゃんにはちょっとまだ早いかのぅ」

「じいちゃんの作るコーヒーはめちゃくちゃ美味しいけどまずそもそもコーヒーには慣れってものがあるからな」

 

俺は子どもの頃からコーヒーばっかり飲んでたから今では平気でブラックで飲めるようになったけど普通は砂糖やミルクで飲むものだからな。

 

「こむぎもマスターのコーヒー飲みたい」

「ふむっ・・・これも経験じゃな。いいじゃろ」

「いや大丈夫かそれ」

「辰輝、何事も経験というのは大切じゃ。お主だって初めからコーヒーが飲めたわけではあるまい。なんでこんな苦いものが飲めるのか。繰り返すことで初めてその魅力に気がつくものじゃ」

 

まあじいちゃんの言うことも一理あるか。野菜だって本当に美味しいものは美味しいからな。そうやって克服する方法もあるし繰り返すことで耐性をつけたりそれがやがておいしいと感じるようになるのと同じか。

 

「喫茶ドラコネット特製のブレンドコーヒーじゃ」

「お待たせしました!はいっ、たつき」

「ありがとなこむぎ」

 

思ったよりちゃんと接客できてるし試験的にお鶴さんたち相手でやってもらおうかな。とりあえずあの人たちが来るまではコーヒーでも飲むとしよう。普段はこんなことしないんだけど今はお客さんもいないしこむぎの接客練習に付き合うためだしな。

 

「いただきます」

「いただきます!」

「ちょちょちょちょいっ!こむぎさんや」

「なーに?」

「悪いことはいわない、砂糖とミルクは入れておけ」

「けど、たつきはそのまま飲むんでしょ?」

「まあ俺は大人だしな。ブラックで嗜むんだよ」

「むーっ、こむぎもこのまま飲むもんっ!ゴクゴクッ」

「って待てこむぎ!いきなりそんな量を飲んだら・・・」

「ぶーーーーーーーーっ!!!!!げほっげほっ、にっがあああああああああい。何これっ、泥水みたいな味がする」

 

咳をしながら涙目になるこむぎだがブラックコーヒーの味でその解答は戦争になるからみんなは絶対、泥水とか言わないようにな。そもそもコーヒー飲んだことない奴に対してブラックはそもそも前提条件が間違ってる。というより・・・

 

「・・・・・っ」

「ゲホッゲホッ、あっ・・・・ごめんね、たつき。こむぎのせいで制服がびしょびしょ」

「・・・とりあえずシャワー浴びてくる。じいちゃん、少しの間こむぎを頼む」

 

とりあえずじいちゃんがいれば問題はないだろう。というよりこむぎにはコーヒーより紅茶を勧めればよかったのでは?ニコガーデンでは確かメエメエの淹れた紅茶飲んでた記憶あったし。この店はコーヒーと同時に紅茶もメインクラスで種類が揃ってたりする。じいちゃんの腕はコーヒーだけでなく紅茶も一級品だ。とりあえずシミにならなきゃいいけど・・・まずお風呂に入るか。お湯を溜めて・・・とりあえず体を洗うか。よしっ!

 

「たつき・・・」

「こむぎか・・・」

「そのっ。ごめんなさい、こむぎがムキになってたつきの忠告を無視して」

「・・・まあ、ブラックコーヒー慣れてる人間でもまずあんな飲み方はしない。失敗は誰にでもあることだし気にするな」

「・・・怒ってないの?」

「あんなので怒ってたらキリがないだろ。大切なのは失敗を繰り返さないことだ」

「失敗を・・・繰り返さない」

「こむぎは今回、ブラックコーヒーが飲めないこと、あの勢いで飲んではいけないことは分かっただろ?なら同じ過ちを繰り返さないように気をつける。それでいいじゃねぇか」

「たつき・・・」

 

前にも忠告したことがあったがとにかくこむぎは一口が大きい。犬がベースになってるから仕方ないがそれにより色々と気をつけないことがある。この前お散歩した時のソフトクリームもそうだ。こむぎには人として教えないといけないことが山ほどあるな。

 

「ねぇたつき。こむぎ、たつきのお手伝いするね」

「お手伝いって?」

「こむぎも辰輝とお風呂に入るっ!」

「そうか・・・・ん?こむぎちょっと待てっ!」

 

止めようとしたその時、こむぎは勢いよく扉を開けた。タオルも巻いてない、水着も着てない、文字通りすっぽんぽん・・・じゃないっ!

 

「うわああああああああああ、何やってんだこむぎ!」

「こむぎがたつきを汚しちゃったから。だからこむぎがキレイキレイひしてあげる。大丈夫、いろはがいつもこむぎにしてもらってるから。あっ、でも人間の姿でやったことないんだっけ?まっいっか」

「い・い・わ・け・あ・る・か・ぁ」

 

犬の姿ならともかく人の姿は100%アウトなんだよ!てかまずタオルで隠すか服を着ろ!?

 

「たつき」

「な、なんだよ・・・急に真剣な顔して」

「こむぎに洗われるの・・・いや?」

「・・・ぐっ。嫌じゃ・・・ねぇよ」

 

やってることはともかくこむぎはちゃんと反省している。反省してるからこむぎにとって出来ることが背中を流すことだ。少しのすれ違いがやがて大きな亀裂になるのはこの前二人がケンカをしてた時に知った。正直背中を流してもらう必要性なんてどこにもないのだがそうしないとこむぎ自身納得はしないんだろう。プリキュアの心のケアが俺の役目なのにその前にこむぎとケンカして泣かせでもしたら本末転倒だ。

 

「嫌じゃないけど他の人(男子)には絶対にするなよ。普通はしないんだからな」

「そっか、じゃあたつき以外にはしないね」

「俺にも今後しなくていいっ!」

「ぶーっ、だってこむぎはよくいろはやたつきに洗われてるのに逆がダメだなんて納得できない」

「そもそも俺といろはは一緒に洗いっこなんてないだろ。つまりそういうことだよ」

 

幼少の頃はカウントしないのが条件だけど。

 

「まあ・・・とにかくこむぎ、今回だけだからな」

「たつき!」

「あと、いろはには絶対に内緒だからな」

 

まあまさかいろはも人の姿のこむぎと一緒に入ったなんて思わないだろうけど。俺もよく泥だらけになったこむぎを洗ってたわけだしな。

 

「うんっ、こむぎ。お口チャックしておくね」

 

不安だ、ものすごく不安になってくる。またニコガーデン行ったときにメエメエが愛用してる胃薬分けてもらおう。天然物?らしいのですごく効果がある。あれの良さを知ると市販の胃薬に戻れなくなるので一種の麻薬さえ思えるほどだ。ちなみに胃が痛い原因は最近増えてたりする。どっかの家の猫のせいで。

 

「えへへっ、痒いところはございませんか〜」

「・・・大丈夫だ」

「もーっ、そこは『ございません〜』だよっ」

「それはあれか?いろはの真似か?」

「うんっ、いろははいつもこうやってこむぎを洗ってくれるんだよ。たつきは洗うの上手だけどあまり喋らないよね」

「普通は喋らないと思うけどな」

 

まあこむぎが人の言葉を喋れる特殊な犬でなければなんだろうけど。まあそうでなくてもいろはならやっていそうな感じはある。

 

「こむぎ、もう頭は大丈夫だ」

「それじゃあ今度は背中だね。次は前も洗ってあげる」

「背中だけでいいからっ!」

 

死んでも前だけは死守してやる。犬の全身洗うのと人間の全身を洗うのじゃあ話が大きく変わってくる。こむぎがいくらほおを膨らませようがこれだけは譲れない。

 

「ハァ・・・なんかすげぇ疲れた」

「気持ちいいねぇ」

 

そして今はなぜかこむぎと背中合わせでお風呂に入っている。よく考えたらこむぎは人の姿でお風呂に入るの初めてだよな。こむぎが何かの拍子にうっかり口滑らせたら多分俺の人生が終わる。

 

「たつき・・・」

「なんだよ」

「こむぎ、いろはやたつきと話せるようになって良かったと思ってる。こうして言葉で伝えられるから。たつき、いつもありがとう。わたし(・・・)、たつきのことが大好きだよ」

「・・・ありがとな、こむぎ。その言葉を聞けてすげぇ嬉しい。動物に懐かれにくい俺をここまで好いてくれるのはお前とユキだけだ」

「・・・・・」

「どうかしたか?こむぎ」

「ううん、なんでもないよ」

「・・・?まあいいや、のぼせる前に上がるか」

 

少し長めになってしまったがお風呂から出てドライヤーもかけた。だいぶ匂いが取れたと思うけど・・・

 

「こむぎ、どう思う?」

「まだちょっと匂うけどこむぎは鼻がいいから人間の鼻なら大丈夫だと思う」

 

とりあえず仕切り直すために予備の制服を着て一階の喫茶店に戻ったら結構お客さんがいた。てか常連祭りしていた。

 

「おおっ、辰輝。こむぎちゃん。戻ったか、少し前に一気に常連さんたちが来てな。それ以外にも家族連れが・・・」

「家族連れは俺が対応する。こむぎ、常連さんたちを対応してくれ。常連さんがどの人かは俺が教える」

「うんっ。わたし、たつきのために頑張るねっ」

「さっきのように出来れば大丈夫だ。自信を持て」

 

とそんな感じで急で悪いがそのままこむぎにはお店を手伝ってもらうことにした。ほんの30ぷん程度とはいえ今日のピークは間違いなくこの時間だっただろう。

 

「疲れた・・・」

「こむぎ、よく頑張ったな。手伝ってくれてありがとう。これはそのお礼でウチの看板メニューの一つだ、食べてくれ」

「うわぁ〜ケーキだ。ケーキだよねこれ」

「ああっ、俺が小6の時に初めて喫茶ドラコネットで採用されたデザートだな」

 

シフォンケーキに甘い粉砂糖をまぶしてクリームを添えた商品だ。キュアスタのフォロワーの一人からアイデアをもらって完成させたものだ。喫茶ドラコネットの看板メニューのデザート。名前はましろ色シフォンケーキだ。

 

「甘くて美味しい〜けど少し甘すぎるかも」

「そういうものを紅茶とかコーヒーとかと一緒に飲んで楽しむんだよ」

 

甘すぎにしてるのはわざとだ。それはブラックコーヒーとか紅茶を飲みながら一緒に食べるのをコンセプトにしてるからな。ウチのコーヒーは美味しいがブラックコーヒーはハードルが高い部分もある。だからこの店のコーヒーや紅茶がおいしいと思えるような商品を作りたくて当時小6の時に完成させたものだ。

 

「こむぎ、紅茶なら飲めるよ」

「それならウチの自慢の紅茶を用意しよう。なーにこむぎちゃんには頑張ってもらったからその頑張りのご褒美じゃよ」

「マスター、ありがとうっ!」

 

そんな感じで今日はこむぎと一緒に喫茶ドラコネットで仕事をするという不思議な一日だった。ウチにも女性スタッフがいればもう少し華があるのかもしれないけど・・・今はいつものメンバーでやるのがなんだかんだで楽しいんだよね。猪熊さんはもうすぐでここをやめてしまうらしいけど。

 

この後、いろはがウチにやってきてこむぎを連れて帰ってくれた。一応こむぎには釘刺しておいたし大丈夫だろ。




そんなわけでこむぎ、誕生日おめでとう。誕生日の話はしてませんが最後にケーキを出すという形で祝わせてもらいました。本音を言えばこういう話をそれぞれのキャラでもっと書きたい。次回も一応オリジナルの予定です。けど考えてた内容がそのまま本編にぶち込める内容なのでもしかしたらそのまま本編行くかもしれません。

そういえば今更ですがお気に入り100件越えました。はっきり言って100件も行くなんて微塵も思ってませんでしたが少なからずわんぷりのSSの読んでくれてる人がいるのを嬉しく思います。他力本願しながらこれからも更新を続けます。

※1学期編が完結したらこの話をプロローグより上に持っていきます。それまではここに置いておきます。
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