今作に抱く今のところの願望。
・こむぎといろは、はよ仲直りしろ
・あとユキは早くしゃべれ。おしゃべりぬいぐるみが四月くらいに出るけどあと半月は長い(切実)
だいいちわ
人間化したこむぎに押し倒される数時間前の話をしよう。今日も変わらないいつも通りの朝を迎える。俺の家は喫茶店をやっていて祖父が一人で切り盛りしながら経営している。あまり自分のことを話さない不思議な人ではあるがコーヒーを淹れるのが上手でいつかそんな人間になりたいという夢を持ってバリスタを目指すことにした。
そんなわけで日常的に時間がある時は祖父の元で修行という形で家の手伝いをしている。昔ながらのレトロな雰囲気でいろんな風景の写真が撮ってあるが場所を聞いても思い出の地とだけ言って教えてくれたことは一度もない。まあそれはともかく俺はこの店の孫として日々、ここで研鑽しながら生活してる。
「今日もいい天気だ。おはようじいちゃん、朝の準備手伝うよ」
「おお辰輝、今日はその必要はないぞ」
「なんで?またいつものように不定期にお店閉めるの?なんか用事とか?」
「ほほほ、今日は店は閉めんよ。そうじゃなくて今日は親戚の猫屋敷さんが引っ越してくる日じゃろ」
「ああ・・・そういえばそうだったな」
引っ越した先でコスメショップ・・・確か名前はPretty Holicだったか?相変わらず猫屋敷家は行動力の化け物だ。いやっ・・・1人を除いてか。
「貴行・・・もとい猫屋敷の亭主は今はアフリカにいるしすみれさんたちで荷解きは大変じゃろ。辰輝、久しぶりに会うついでに手伝いに行ってきなさい」
「・・・はぁ、じいちゃんの頼みなら仕方ないな。分かったよ。それで、その『Pretty Holic』ってどの辺にあるの?」
「リビングの机の引き出しに手紙が入っとる。そこに住所が書いてある。それと・・・」
「それと?なんだよじいちゃん」
「引っ越し祝いに差し入れの一つでも持って行きなさい。ウチの宣伝も兼ねての」
「相変わらず抜け目がないなぁじいちゃんは。了解、差し入れ用意して持っていくよ」
差し入れはどうすっかなぁ。まあ無難にクッキー辺りにでもしておくか。最近遠出して親戚の猫屋敷家に行くこともなければ話すこともなかったしあいつ・・・元気でやっとるといいけど。ちなみにウチの喫茶店は持ち帰り用でクッキーとかも用意している。レトロな雰囲気で若い人が寄り付かないからそれを改善するために出した俺の案の一つだ。祖父は色々と物知りだが俗世というか流行りにとにかく疎い部分がある。まああまり興味もなさそうだし仕方なのないことなのかも知れないが・・・
そんなこんなで準備して俺は家を出る。祖父からは猫屋敷家に電話をして俺を行かせることは伝えるらしいから早よ行ってこいとだけ言われた。地図見たけどここからだと少し遠いな。さてと行きますか。
そして『Pretty Holic』を目指して移動をすると大きな石の前に1人の人物が立っていた。兎を連れていて俺のよく知る人物だ。
「よっ、悟」
「うわっ、びっくりした。なんだ辰輝くんか、脅かさないでよ」
「相変わらず考え事をしてると周りが見えなくなるところあるよな」
それに関してはこれから会いに行く
「んで悟はここで何してるんだ?大福と散歩?」
「えっ、ああうん。そんなところだね。それとは別に少し気になってね。この石のことなんだけど」
「この石って鏡石のことか?」
「うんっ。この街って動物の多い街だから通称アニマルタウンって呼ばれてるように鏡石にもどうして鏡石と呼ばれてるか理由があると思ってね」
「確か一説によれば鏡石に映ると願い事が叶うとかも言ってたよな。なあ悟、例えばもしその鏡に姿が映ったとしてもし願うならお前は何を願う?」
「・・・うーん、そうだな。もっと大福と仲良くなりたいとか・・・かな?」
「つまらん・・・」
「そっちから聞いておいてその返しは酷くない!?」
いやだって既にお前と大福って仲良いじゃん。あっ、大福ってのは悟の飼ってるうさぎの名前だ。そしてこいつは親友の兎山 悟だ。しかしありきたりすぎてつまらない。悟は少し真面目すぎるところがあるからな。まあそこがこいつの長所ではあるんだが。
「そういう辰輝くんは何かあるの?願い事」
「とりあえず・・・彼女が欲しい」
「うわぁ・・・なんというかアレだね」
「いやだってよ、俺たちもう中学2年になるってのに彼女いないんだよ。彼女ほしいって思うだろ普通」
「いやそうかも知れないけどさ鏡石に願うのはちょっと違うくない?」
「何が違うくない?だ!流れ星に願うのも神社に願うのも七夕に短冊書くのも同じだろ。それにお前なら俺の気持ちくらい分かるだろ!」
「確かに辰輝くんの気持ちは分からなくは無いんだけど・・・」
「だよな。だってお前いろはのことが好きだし」
「うんそうなんだよ。僕、犬飼さんのことが好きで・・・ってなんで知ってるの!てか話したことあったっけ?」
「いや見ればだいたい分かるだろ。わかってないのはあの鈍感
「・・・幼なじみにバカ呼ばわりはひどくない?」
「とにかく悟が好きなのはいろはなのはこの際どうでもいい、俺は彼女が欲しいんだということを話してるんだよ」
「なるほど・・・ちなみになんだけどさ。辰輝くんは今、好きな人とかいるの?」
「・・・そこなんだよなぁ問題なのは」
彼女ほしいってって言っておきながら好きになる感情を知ってるというのは必ずイコールではないことだ。彼女持ちがいると殺意湧くししばき回したくなるしこっちが善意で部活の助っ人をしてやってると思ったら周りは彼女持ちがいて応援されたりとか。とにかくヘイトが溜まりまくるのよ。しかし本当にしばき回すわけにもいかないから彼女を作りたいわけで、俺の感情はまあ色々と複雑なのよ。
「ちなみになんだけどさ、辰輝くん的には犬飼さんってどう思う」
「どう思うって・・・幼なじみだしな。うんっ」
「それだけ?」
「それだけって・・・まさか俺にいろはが取られると思って心配してるのか?ハハハ可愛いところあるじゃねーか悟」
「いや別にそういうわけじゃないけど・・・」
「だいたい幼なじみと恋愛なんてアニメの見過ぎじゃないのか?所詮リアルでの幼なじみなんて腐れ縁の延長線上のことを言うんだぞ。だから心配するな、いろははただの幼なじみだからそんな感情は抱かないって」
「うーん・・・まあ少なくともキミにその感情がないのを知って安心したというかなんというか・・・じゃあさ辰輝くん。好きな人はいなくても好みのタイプとかは?一つや二つあるんじゃない」
「うーんそうだなぁ・・・」
確かに恋愛はしたことないし好きになるという感情を悟みたいに知ってるわけではない。でもそれでも好みのタイプというのはあるわけで・・・
「最近はな動物系彼女っていいなって思ってるんだ」
「動物系って・・・最近話題になってる犬系彼女とか猫系彼女とかのこと?」
「おうっ、ほらっウチってさ知っての通り喫茶店やってるからさ。まあじいちゃんは別にペット飼う事に関して禁止とかしてるわけではないが家に俺と祖父の二人暮らしで喫茶店やってるってなるとやっぱりその辺って難しくてな」
「うんうん、それで?」
「犬系彼女や猫系彼女だったらなんというか癒されないか?例えばだけどこむぎみたいに甘えてくれる女の子が仮にいたとしたら可愛いだろ!」
「それはそうかも知れないけどないけど・・・そうだった。動物飼えないから忘れてたけど辰輝くんも大概動物好きだよね」
「うるせぇ、ペットの癒しと料理は数少ない俺の娯楽だ。喫茶店の家の孫なのに趣味がペットカフェ巡りとか悲しすぎるだろ。それに・・・」
「それに?」
「こう言ってはあれだけど俺、全然動物に懐かれないんだよね」
実は俺は動物がとても大好きなところまではいいのだが絶望的に動物に懐かれない欠点があり、動物が飼えない上に懐かれないという二重の罠に嵌められて動物が飼えないなら犬や猫みたいな人と付き合えればいいのかという考えを持つようになった。
要するに犬みたいに元気いっぱいにスキンシップしてくれる人もいいし猫みたいにそっぽ剥くけど独占欲高めツンデレ系もいいなって思うんだよ。癒しになって彼女でいてくれるとかこれ以上の最高ないだろ他に!
「けど犬系彼女が好みかぁ・・・けどそれなら最近の辰輝くんに
「私がどうしたって?」
「「うわっ!?」」
悟と彼女について熱く語らっていたらひょっこりといろはが現れた。いきなり現れるなよ怖いって。あと会うなりナチュラルに腕に抱きついてくるな。暑苦しい、やるなら俺じゃなくて悟にやれ。
まあいろはのスキンシップに関しては昔ほどではないしろ今に始まったことでもないからいいが・・・距離が近すぎてよくいろはと付き合ってる疑惑が出されてる。うぅ、別にただの幼なじみだから付き合ってないのに・・・
「い、犬飼さん偶然だね・・・あはは」
「やっほー悟くん。辰輝くんも」
「会うなりいきなりくっついてくるなよ。それでいろは、お前もさんぽか?」
「うんっ、今日はこむぎと一緒に町中お散歩するんだ」
「ワンワンっ!」
そう言ってキラキラと目を光らせながらこむぎは答える。やっぱいつ見ても可愛いなこむぎは。俺の癒しはお前だけだよ。
「それで2人はなんの話してたの?」
「ええっと・・・あの・・・それはえーっと・・・」
「テンパりすぎだろお前・・・鏡石の話をしてただけだよ」
「鏡石?」
「ああっ、姿が映ると願いが叶うという話があるだろ?いろはなら何をお願いするのかなーって悟が言ってた」
「ちょっ、辰輝くん!?僕そんな事ゴフッ」
俺は即座に悟のみぞおちに渾身のパンチを喰らわせる。確かにそんな話してないが本当のこと言うより誤魔化す方がいいだろここは。少し冷静になれ!待たせたないろは、話を続けたまえ。えっ?なんで悟くんの鳩尾なぐったかって?気にしたら負けだ。世の中には知らなくてもいいことの一つや二つあるんだよ。
「うーんそうだなー、じゃあこんなのは?世界中の動物とお話しできるとか!小さい事からよく鏡石にお願いしてたし・・・もし話せるようになったらもっとワンダフルだと思わない?」
「あーなんというか・・・」
「うんっ、犬飼さんらしいね」
それに比べて俺たちは思いっきり彼女ほしいとか下心出まくってる願いだったしな。まあ話題振ったのは俺なんだがな。悟は大福と仲良くなりたいって言ってたし。
「それで2人は何かお願い事でもしてたの?」
「いやっ、お願いというよりかはそういう歴史についてとか名前の由来についてとかそんなことを調べてるになるのか?だろ悟」
「よく分かったね辰輝くん」
「まっ、長い付き合いだしな」
分からないことがあったらいろんな手段使うからなこいつは。ウチのじいちゃんも物知りだからよく悟の話を聞いてるらしいしな。
「まあでも今はみんな一緒のクラスになれたらいいな。かな?辰輝くんも悟くんもクラス別だったし」
「そうだなー、今年はなれるといいなー」
「もーっ、なんか辰輝くん冷たくない?」
「そんなことない・・・てかいい加減離れろ」
「ねーねー、辰輝くんは私と違うクラスで寂しいでしょ?」
「いやっ、別に寂しくはな・・・いてててて!?関節決まってる、痛いって、分かった。寂しい俺も寂しいから」
「本当!?よかったよ!?」
腕がマジでいてぇ死ぬかと思った。別に四六時中会える距離にいるから同じクラスメイトになってお前と一緒にいたいとか特に思わないし。そんなことを思いながら俺は腕をさすってるとこむぎは心配そうに俺を見上げてる。心配するな、いつものことだ。もう半ば諦めてるところだ。
「それよりこれからどうする?よかったらみんなで一緒にお散歩しない?もちろん辰輝くんも」
「ワンワン!」
「悪いが俺はこの後用事だ。親戚が引っ越してくるらしくてな。じいちゃんが手伝いに行けって言うもんだから今からちょっとな」
「そっか、それなら仕方ないかぁ。残念だねこむぎ・・・」
「ワンっ・・・」
「ハァ・・・そんなしょんぼりするなって。そのうちまた散歩に行ってやるからさ」
「本当に!約束だよ辰輝くんっ。やったーっ、辰輝くんとお散歩だぁ」
「いやなんでお前が喜んでるんだよ」
こむぎはともかくいろはが俺とお散歩に行って喜ぶ理由が分からん。確かに昔はこむぎと3人でよくお散歩行ってたな。懐かしいなあの時はいろはと手を繋いでたっけ。その度にこむぎが拗ねるから2人で交互に抱っこしてたっけ?あの頃のこむぎはお散歩苦手だったしな。
「・・・やっぱりそうだよなぁ。犬飼さんって」
「何が?」
「ううん、なんでもないよ。じゃあ僕もこの後用事あって家に帰るからそろそろ行くね」
「おうっ、またな悟。たまにはウチの喫茶店にも顔を出せよ。じいちゃんも喜ぶ」
「うんっ、そうするよ。犬飼さんもまたね」
「バイバイ悟くんっ」
そう言って悟と別れて去り際にいろはが「楽しみだね、辰輝くんとのお散歩デート」とだけ言って行ってしまった。いろはよ、お前にいいことを教えてやろう。お散歩はな、デートではないんだよ。お散歩はお散歩なんだよと俺は思った。彼女いないからってからかいやがってクソが。いつか絶対に彼女作ってやるからな見てろよいろは。俺は握り拳を作って高く腕を上げた。
「やっぱり犬飼さんって辰輝くんのこと好きだよね。犬飼さんはともかく犬飼さん自身、あれだけ好意を見せてるのに微塵も気が付いてない辰輝くんも大概だよ」
幼なじみだからってのはあるかもしれないが自分の置かれてる状況が不憫だなと悟は思いながら帰路についた。
竜崎 辰輝
彼女なしの中学2年生。好きな人はいないが好きなタイプは犬系女子や猫系女子。いろはとは幼なじみで小さい頃からの付き合い
犬飼こむぎ
現時点ではまだいろはのペットもといただの犬。いろはと辰輝のことが大好き。
犬飼いろは
本作やべー奴の一人。辰輝に対しては完全に犬系女子(それに近い)なのだが辰輝がいろはのことを幼なじみとしてしか見てないので進展ゼロ。
兎山 悟
本作の不憫な人。アニメ本編通りいろはのことが好きなのだが肝心ないろはが辰輝のこと好きすぎてもはや絶望的。救いはないのか