私はずっと一人で平気だと思ってた。あの日あの場所で、辰輝とまゆ・・・二人と出会うまでは・・・
汚れている私に・・・寒そうな私に自分のことなんて顧みずに手編みの帽子を送ってくれたまゆ。私は気が付いてしまった。ずっと寂しくて寒くて冷たくて・・・
一緒に居たいと思ってしまった。けどそれは結局叶わないことで諦めるしかないと思ってた別れの前の日の夜、最後に一眼見ようと思ってまゆと辰輝のいる古民家に行って私はふとこっそりあの会話を聞いてしまった。まゆのお父さんと辰輝の会話を・・・
『もしまゆがあの白猫とずっといたいと言って、もし白猫も同じ気持ちなら受け入れてくれませんか?』
『ふむっ・・・』
『ここ数日、ずっとまゆと一緒に行動してまゆが白猫に自分の身に付けてた帽子をあげたり手袋をあげたりして結果的に自分が風邪をひいてしまいました。けどそれはまゆがどうしようにもなくあの猫が好きなこと。そして動物を飼うということがどれだけ大変なのかもわかってるはずです』
辰輝は全てのことを話した上で私とまゆを繋ぎ止めてほしいとまゆのお父さんにお願いした。初めは怖い人だなと思っては居たけど、誰よりも適切な距離で見守ってくれて理解してくれる。自分の体質を知った上でこれからのことを話してくれた。その時初めて私にとって大切な存在が二人もできた。まゆと辰輝の優しさのおかげで私たち、友達になれたのよ。どうやら二人が来たみたい。あとは任せて大丈夫そうね。
「ニャミー・・・」
「私はまゆを安全なところに連れていくわ。後は任せるわね。辰輝・・・」
「俺のことは心配するな。行くんだニャミー」
私はまゆを抱き抱えてこの場を後にした。辰輝も心配だけど身体能力はかなり高いし、ガルガルをあそこまで弱らせたから後はあの子たち二人でなんとかなるでしょ。
〜☆〜
ニャミーと合流したらニャミーはまゆを連れて先に戻った。そしてワンダフルとフレンディはフレンドリレラーベでガルガルを元の動物に戻した。
「それにしてもユキちゃんがキュアニャミーだったなんて」
「こむぎすごく嬉しいよ。ユキがプリキュアだなんてすごく心強い」
「新しい仲間ができてよかったね」
「うんっ!」
そう言ってこむぎといろはは大喜びしてたけどそう甘い話ではないんだよ。初めからユキがお前らのことを仲間意識を持ってたらフクロウのガルガルが出た時点で自分の正体を打ち明けてたはずだ。
「とりあえずまゆちゃんのところに戻ろっか」
「そうだねっ」
そして俺たちは元のレジャーシートを敷いていた場所に戻ってきた。
「まゆちゃん」
「いろはちゃん・・・さっきはごめんなさい。私勝手に・・・」
「どうしてまゆが謝る必要があるのかしら?」
「ユキ・・・何を言って・・・」
「ユキもプリキュアだなんて嬉しい。これから一緒にプリキュアしよっ!」
「一緒・・・なぜ?私はただまゆと辰輝を守りたいだけ!それなのにあなたたちは私の大切な二人を危険なことに巻き込んでる!」
「それは・・・」
今回の件に関してはユキが間に合わなかったらまゆも俺も怪我をしかけた。それに関してはみんなそれぞれ思うところもある。
「ユキ・・・」
「辰輝・・・ガルガルと関わったらこうなると分かっていたから巻き込みたくなかったのに。関わらないでと言ったのに。あなたはそれを身に染みて理解してるのに・・・」
「そうだな。けどこれだけは言わせてくれ、俺が止めてまゆが素直に頷くと思ってるのか?」
もちろん、今回に関しては俺たちには非しかない。俺も悟もガルガルに気を取られすぎて小さな家族の命もまゆが勇敢に助けようとしたこと。そのせいで一歩間違えれば俺もまゆも大怪我することは間違いなかった。この壊れてるペンダントがなければ本当にヤバかった。だからこそユキの気持ちも理解できる、その上で言わせてもらう。
「辰輝っ!」
「ユキ、やめてっ!辰輝くんは悪くないっ!」
「まゆ・・・そうね、辰輝はまゆのことを身を挺して守ってくれたのに」
「ユキ・・・そもそもまゆがすぐにそれで理解してくれるならキュアニャミーの最初のあの忠告はその時点で聞いてたはずだぞ」
なのにまゆはキュアニャミーに会いたくてわざわざガルガルが出たのを分かった上で見晴山に向かったんだ。そしてその後もいろはたちは正体がバレて・・・ニコガーデンの時もそうだ、ニャミーは関わるなと言ったのについてきた。こうなってしまった以上仕方ない。
「まゆ、ユキ・・・とにかくお前たちは一度ちゃんと話し合うべきだ。その上で今後どうするかを決めろ。とりあえず今日はこのまま解散しよう。これ以上は話しても仕方ない」
「辰輝がそう言うなら・・・まゆ、帰るわよ」
「ちょ、ちょっとユキ・・・」
これ以上の言い合いも攻め合いも何も意味を持たない。今回は運良く怪我人が出なかった。それでいいっ、いちいち気にしててもキリがない。大事なのはまゆとユキ、二人の気持ちだ。
「辰輝くん・・・」
「いろは、こむぎに悟も。今からニコガーデンに行くぞ」
「えっ!今から!?もう日が暮れちゃうけど・・・」
「そんなに時間はとらせない。それにこうなった以上話しておかないとな。キュアニャミー・・・ユキについて」
いろはにキラニコトランクを取り出してもらってそのままニコガーデンへ向かった。とりあえずメエメエを呼んだけど・・・
「なんだこいつらは・・・」
「そういえば辰輝くんは会うの初めてだっけ?この子たちがキラリンアニマルたちだよ」
「よろしくキラ、怖いお兄さん」
「怖っ!?」
「ウサギ、それは失礼キラ。仮に本当のことだとしてもそれは心の内に留めておくものキラ」
「そういうペンギンも声に出てるキラ」
「・・・すまんメエメエ、今日は解散しよう」
「待って辰輝くん、まだ聞きたいこと何も聞けてないよ!」
「離してくれいろは、こむぎ。俺はお家に帰って寝るんだ!」
前々から気にはしてたけどやはり怖がられる体質の原因の一つは見た目も大きく関係してきてるのだろう。かと言って顔を整形なんて簡単なことでもないし・・・・
「たつきはそのままでも十分かっこいいから気にすることないワン!」
「そうだよっ、辰輝くん。だから落ち着いて。人基準だと辰輝くんみたいな人も珍しくないし・・・」
「・・・すまん。取り乱した」
とりあえず話には聞いてたけどあれがキラリンアニマルか。個性の強い愉快な集団と聞いてたけどこいつらが王様ゲームを提供した元凶だよな。
「それで辰輝くん・・・最初に一つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「いつからユキちゃんがキュアニャミーって気が付いてたの?」
「・・・まあそうなるよな。ユキがニャミーだと確信したのは見晴山にハリネズミのガルガルが出たあの時だな」
「そんなに前から気が付いてたの!?」
「じゃあどうしてこむぎたちに教えてくれなかったワン?」
「・・・ユキがそう望んだからだ」
「ユキちゃんが・・・そう望んだ?」
今更隠しても仕方ないし全てを話すことにしよう。ユキがどうしてプリキュアになれる力を手に入れたのか。
「以前クマのガルガルが出たときのこと覚えてるか?」
「キュアニャミー・・・俺がガルガルだった時も容赦なかったからなぁ。はぁああああ!キラーッ!」
そう言ってキラリンベアーは瓦4枚を叩き割った。その小さな体のどこに力があるのか気になったが今はそんなことどうでもいい。
「たまたまPretty Holicの近くに出てきてまゆを守るためにプリキュアの力を得たらしい・・・それと」
「まだ何かあるのかい?辰輝くん」
「クマのガルガルが出る前にアライグマのガルガルが出たことがあっただろ?」
「たつきが街の方へ逃げたらそのガルガルがそのまま街の方へ追っかけた時だよね」
ちなみに郵便ポストを投げられたりと殺意マシマシだったのは今でも覚えてる。身体能力の高い俺じゃなかったら大怪我してるところだぞ。
「その時に偶然ユキが見てたらしくてな。そしてクマのガルガルが出たのはその日の夜だったんだよ」
まゆや俺を守りたい力がまゆの作ってくれた首輪のチャーム。あれが光ってコンパクト・・・シャイニーキャッツパクトに形を変化させた。
「変身アイテムは違えどその力のルーツは多分こむぎといろは。二人と同じものだと言っていい」
「同じ力を持ったプリキュアってことでいいんだよね」
「・・・けどまゆや俺を守るために得た力もガルガルを助けたりすることには興味がないらしい」
「でも辰輝くんならユキちゃんを説得できるんじゃない?」
「たつき、こむぎからもお願い。ユキを説得して。ユキの強さなら味方になってくれればすごく心強いよ」
「それは難しい相談かもな・・・」
あの様子を見る限り・・・というよりこむぎといろははまゆを巻き込んだ側の立場だ。まゆを危険に晒した二人とは一緒にプリキュアやりたくないんだろう。
「それに俺はお前たちの味方でもありユキの味方でもある。どっちかの肩入れはできない。これが俺の今の気持ちだ」
「そっか・・・」
「たつき・・・もうまゆを巻き込まない方がいいのかな?」
「そうだな・・・さっきの件のこともあるとそうなんだがそれを最終的に決めるのはこむぎでもいろはでもユキでもない。決断するのはまゆ自身だ。けどまゆにとってお前たちは数少ない友達でもあるんだ。だからまゆがもし何か困ってたらその時は友達として力になってやればいい。誰かを守りたい、助けたいと言う強い気持ちはお前たち二人が1番理解してるはずだ」
「それはもちろん。言われなくてもそのつもりだよ。ねっ、こむぎ」
「ユキがまゆを守りたい・・・気持ちは一緒ワン。だからちゃんと話せばきっと分かり合えるワン」
今は少し様子を見てそれから改めて決めればいい。それに俺がここに来たのはもう一つ目的がある。
「メエメエ・・・少し話したいことがあるけどいいか?」
「それはキュアニャミーとはまた別件ですか?」
「ああっ、というのもこれを見てほしいんだ・・・」
「これは・・・何かの破片でしょうか?何か不思議な力を感じますがもう機能は停止してますね」
「やっぱりメエメエには分かるんだな」
じいちゃんの持っていたこのペンダント。不思議な力が備わっていて俺とまゆを守ってくれた。耐久性がすごく高いものだったがトラのガルガルの連続攻撃で壊されてしまった。別世界の出身であるメエメエなら何か知ってるのかもしれない。
「詳しいことは分かりませんがニコダイヤに似た何か不思議な力をこれからは感じます。しかしこの物質がニコガーデンやニコダイヤと異なるのも事実です」
となるとこの力の源とも言えるものは地球上のどこかで取れたものなのだろうか。しかし仮にそうだとしてこの力は何かによって付与されたものなのだろうかそもそも元々これそのものが珍しいものなのだろうか・・・
「ちなみに辰輝くん、これをどこで?」
「じいちゃんが出かける前にくれたんだよ。お守り代わりに身につけておけって。じいちゃんの言うことだし何か意味があるのだろうと思ってつけたんだけど・・・」
そしたらガルガルに攻撃される際に障壁が展開されて俺とまゆを守ってくれた。
「ふむ・・・こんな不思議な力を持つペンダントを持っているあなたのおじいさんは何者なのですか?」
「俺にも分からないんだ。長いこと一緒に住んでるけど俺は喫茶店のマスターとしてのじいちゃんしか知らない」
出かけるときも明確な行き先をじいちゃんは言わないし当たり前のように気配を消すこともできるし少なくとも身内に言う言葉ではないのかもしれないが只者ではないことだけは分かる。
「辰輝くん・・・」
「とりあえずじいちゃんが戻ってきたら聞いてみるよ。もう日がくれるしとりあえず解散しよう、また明日な」
そんなわけで俺たちはそのままニコガーデンで解散して帰路についた。
ここまで読んでくれてありがとうございました。今後の投稿の予定をまとめておきます。
6月6日〜6月10日 ここまでの間で本編18話後半、オリジナルの話を投稿します。
6月11日の投稿でキュアリリアン(本編19話をやります)ここで新学期編を完結させて6月14日の投稿で新章に入ります。新章は本編が1学期が終わり夏休み入る前までで想定しています。よろしくお願いします。