犬系女子との付き合い方   作:りんご(仮)

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やっとタイトル通りの話ができます。やったね。


だいさんわ

"喫茶ドラコネット"

 

それはここアニマルタウンにあるレトロな雰囲気の喫茶店。ドラコネットとは小さな竜や子供の竜を意味する。祖父が名付けた喫茶店の名前だ。現在はそこでマスターとして経営している祖父と俺の二人暮らしである。

食事の提供と同時に来店者の悩みの相談も受けている。これは祖父の前職に大きく関係してるらしく仕事柄よく相談事をされてたらしい。喫茶店という場を利用して悩みを解消するのも祖父にとっては老後の楽しみのひとつだとか。

 

閑話休題

 

今直面してる問題・・・悩みといえばこむぎの人間化。そしていろはもこの前、プリキュアになったらしい。プリキュアの存在とガルガル。実際の状況を確認してないからなんとも言えないが2人はガルガルになった動物たちを助けるためにしばらくプリキュアとして戦っていくらしい。果たして俺に出来ることはあるのだろうか。そんなことを考えながらカップを拭いていたときだった。勢いよく扉が開く音が鳴ったのは・・・

 

「やっほーたつき、こむぎと一緒にあそぼ!公園行こっ、こむぎフリスビーしたい」

「おいこむぎ。ウチにいきなり来るのはもうこの際構わないが今は仕事中だ。てかいろははどうした!?」

「いろはは・・・バスケの試合の助っ人あるって言って出かけちゃった。せっかく人間の姿になれたのにこむぎはお家でお留守番って言われた」

 

そういえばこの前のバレーボールの練習試合の助っ人に出てたっけ。いろはは身体能力高いしみんなに慕われてるからな。あとものすごいお人好しだからな、頼まれたら基本断れない性格だ。なるほど、それで寂しかったのか。陽子さんや剛さんも仕事中だしな。まあ俺もじいちゃんの手伝いをしてるから暇ではないんだが。お店はお客いなくて暇だけどな()

 

「しかしどうやって家から・・・って聞くまでもないか。その姿だったら」

「たつきなら喫茶店にいるからこむぎと遊んでくれると思って」

「いや遊んでやりたいんだけど仕事中だし悪いけど・・・」

「くぅん・・・・」

「ってわーっ、待て泣くなこむぎ。分かった分かったから、遊ぶから」

「わーいやったー、たつきだーいすきっ」

 

そう言ってこむぎはぎゅーっと抱きしめてくる。人間になった反動がスキンシップが前より過剰になってないか?あくまでこむぎ(犬)基準ならいつも通りなのかもしれないけど・・・いくら犬だったからってこうも思いっきり抱きしめられるのは恥ずかしい。俺はそう思いながらこむぎの頭をなでなでする。犬のときと同じで髪がふわふわで気持ちいい。この髪質は犬のときの名残なのだろうか。

 

「おやおや騒がしい声がすると思ったらお客さんかい」

「じいちゃん、いや実は・・・」

 

そんなことを思ってたら厨房で作業してたじいちゃんが戻ってきた。こむぎの人間化については他言するわけにもいかないしどうしよう。

 

「うむっ・・・だいたい見てればわかる。その子、辰輝の友達じゃろ、お店のことはいいからたまには出かけてきなさい」

「いやでも・・・」

「見ての通りお店に客はおらん。平日のこの時間は忙しくなることはほぼない。それに・・・」

「それに?」

「人生の青春は一度きり、後悔のないようにしないとな。店の手伝いもありがたいが友達とも遊ぶことは大事じゃぞ」

「・・・そっか。まあじいちゃんがそう言うなら。こむぎの家に連絡入れないとな」

 

俺は剛さんに連絡して今日はいろはの代わりにこむぎを散歩に連れて行くと伝えた。剛さんは「姿が見えないと思ってたら辰輝くんに会いに行ってたのか。こむぎは辰輝くんのこといろはと同じくらい大好きだからな」と言っていた。とりあえず気をつけて行ってきなさいとだけ言われてリードを受け取ったけど・・・

 

「それでどうするんだこむぎ?リード受け取ったし普通に散歩するか?それともさっき言ってた通り公園行ってフリスビーするか?」

「うーんっ、あっそうだ!せっかくだから人間になってたつきと遊びたい」

「まあそれはいいが・・・」

 

するとこむぎはどこからかパクト・・・ワンダフルパクトって名前だっけ?それを取り出してワンっと言うと犬から女の子の姿に変化した。改めて見るとなんか色々とすごいなぁ。どう言う仕組みなのかめっちゃ気になる。

 

「それじゃあしゅっぱーつ、ほらったつき」

 

そう言ってこむぎは手を差し出してくる。なんだろう、こむぎの意図が全く読めない。まさか手を繋ぐとかか?子どもじゃあるまいし・・・

 

「ほらっ、手 繋ぐよ」

「へっ?」

「だってこれはおさんぽだよ。人間は首にリードなんてつけないけどそのかわり手を繋ぐよね。だからこむぎのおてて、たつきにつないでほしいの」

 

ああ、なるほど手を繋ぐのは人間同士が散歩するのにしてる行為のことを指してると思ってるのか。まあはぐれないように手を繋ぐこともあれば仲良しの同性の・・・男はないにしても女の子ならまあありそうだから表現としてはあながち間違いでもないのか。ただ異性同士で手を繋ぐことはそれはもはや・・・

 

「どうしたの?こむぎとおてて繋ぎたくない?」

「いやっ、別にそういうわけじゃないんだが」

「・・・こむぎね、よく夢を見てたんだ。人間になってたこむぎはいろはやたつきと3人で手を繋いでたの。こむぎが真ん中で両隣にはいろはとたつきがいて、だからさたつき。こむぎの手を繋いでくれる?」

 

たかが手を繋ぐだけなのにめちゃくちゃ真面目に考えさせるなぁと思う。まあ少なくともこむぎにとって手を繋ぐは人間同士のお散歩くらいの認識でしかないのか。まっ、今はそう言うことにしておくか。

 

「いいぞこむぎ、ほらっ」

 

右手を差し出すとこむぎは左手で指を絡めるようにしてぎゅーっと握る。そんなに強く握る必要もないがまあそれはこれから教えていけばいいか。普通の散歩で仮に手を繋ぐとしても指を絡めることなんてないけどは。ていうよりこの繋ぎ方は・・・

 

「どうしたの、たつき。顔が赤くなってるけど」

「なんでもねぇよ、行くぞ」

「それじゃあしゅっぱーつ」 

 

意識したら急に体温が上がってきたけどこむぎは犬だからこのことを理解してない。ていうより言って理解できるかなんだけどな。とりあえず散歩といってもどうしよう。商店街とかあっちの方に行ってみるか。

 

「賑わってるね、すっごくワンダフルだよ!」

「今は春休みだしな。こうやっていろんな学生とかこの時間に見かけるけど・・・」

「あっ、ねぇ見てみてあっちの人たちもこむぎたちと同じように散歩してるよ!」

「いやっ、あれは散歩というか・・・」

「あっ!あれ見てたつき!なんか並んでるよ、これなんの列?」

「あー、キッチンカーでソフトクリーム売ってるな。珍しいから並んでるのか?」

「たつき、ソフトクリームって?」

「暑い時に食べるととても美味しいスイーツ・・・でいいのか?アイスの仲間の一つだけどまあとにかく甘くて美味しいやつだ」

「それこむぎ食べてみたい!たつきおねがぁい」

「・・・はぁ、いろはには内緒だぞ」

 

というより今のこむぎにアイスを与えて大事なのだろうか?まあ今のこむぎは人間だしソフトクリームの原料は牛乳だし問題ないだろ(暴論)

いろはにバレたら俺の命はないかもしれないけど。

 

「いらっしゃいませ〜」

「ソフトクリームをひとつ。俺はチョコバニラで」

「ソフトクリームとチョコバニラですね。もしかしてカップルさんでいらっしゃいますか?」

「ねぇたつきカップルって?」

「恋人とかそう言う意味・・・って言っても分からないよな。とにかく俺たちはそんなんじゃないんで」

「あらあら〜そんなにぎゅ〜って手を繋いでるのに。お兄さんシャイなんですね」

 

くそがこの女の顔面ぶん殴ってやりてぇ。ここぞとばかり煽りやがって。こむぎが彼女だったらそれで話はまとまるけど彼女じゃないしまずそれ以前にこむぎは犬だし。けどあれなのか、側から見たら俺とこむぎもカップルに見えるのか。やってることはただの散歩なんだけどな。ただここで店員のお姉さんに「ただ散歩をしてるだけ」と言っても微笑ましい目で見てくるだけだろ。無視だ無視。

 

「彼女さんが可愛くて照れてるんですね」

「彼女ってこむぎのこと?」

「そうよ、さっきからちょくちょくそこのお兄さん顔を赤くしてるんだけど見た目によらず初心なのね。モテそうなのにあまり女の子慣れしてないところとか」

「放っておいてくれませんかね!?」

 

こちとらモテた試しねーよ!彼女いない歴=年齢だぞ。そりゃ彼女欲しいとか思ってたりもするけどそんな簡単にできたら苦労はしない。自分で言って悲しくなるが俺は多分モテる分類ではない。

 

「ふふふ、少しからかいすぎちゃった。カップルではないのは残念だけどでも面白かったので特別にカップル割で安くなりまーす。ごめんなさいねお詫びで彼女さんの分はタダにしておきますので」

「だから彼女じゃねーって!」

「そう言ってるじゃないですか。カップルではないのは残念だけど」

「コイツ・・・・っ」

 

日本語って難しいなと思いながら俺は怒りをなんとか抑え込みソフトクリームを受け取った。こむぎの分はタダでいいと言われたので俺は自分の分だけお金を払う。まあ俺もそんなにお金持ってる方じゃないから安くなるならそれに越したことないしな。

 

「散歩でソフトクリーム買っただけなのになんかすげぇ疲れた」

「これがソフトクリームかぁ。いっただきまーす、あー・・・」

「ストップ!ストップだこむぎ!」

「どうしたの?もしかしてこっちの味の方がよかった?」

「そうじゃなくて・・・」

 

アイスをそんな豪快に大きく口を開けて食べようとするやつ初めて見たぞ。というより犬の感覚で食べようとするから必然的に一口が大きくなるのか。

 

「いいかこむぎ。ソフトクリームというのは舌で少しずつ舐めてから食べるんだ。一気に食べると頭が痛くなるぞ」

「ソフトクリームって一気に食べると頭が痛くなるの!?」

「キーンってなるんだ。アイスクリーム症候群と言って脳にある神経が刺激されて脳が痛いと勘違いして頭痛を起こす現象・・・だったかな?」

 

昔いろはがかき氷を一気に食べて頭痛くなってたから悟のやつがどうして痛くなるのか調べてた気がする。というよりこのキーンってなる現象に名前があるのも知らなかったが。

 

「はむっ・・・うーんっふわふわで美味しいっ!甘くて冷たーい、ねぇたつき!すごく美味しいよこれ」

「そうか、良かったな」

 

そう思いながら俺も一口食べると思わず「美味っ」と声が出てしまった。そこら辺で買うソフトクリームより明らかに濃厚度合いが違う。並んでるのが気になったから買ったけどこんなに美味いのかよ。というよりこんな美味いものを一個タダにしてくれたのか。太っ腹な人だな、なんか申し訳なくなってきた。

 

「じーっ・・・」

「どうかしたか?」

「たつきのも美味しそう」

「よかったら一口食べるか?」

「いいの!?」

「ああっ・・・」

 

俺はスプーンで掬ってこむぎの方を向ける。俺はソフトクリーム、スプーンで食べる派だからな。そのまま食う人の方が多いけどスプーン派もいるんだぜ。一応頼んだらスプーンもらえるしな。

 

「ほらっ」

「あーんっ、うーんっ。チョコバニラの方も美味しい。あっ、こむぎのソフトクリームも食べる?」

「いやっ、俺は別に・・・」

「でもこむぎたちの前でお散歩してた2人もあんな感じでやってるよ」

 

このバカップルが、てめぇら何公衆の面で堂々といちゃついてるんだ。こむぎの教育に悪いから今すぐやめろ。さもないと今、目の前でしばき回すぞゴルァ!?

 

「あれは仲のいい男女がする行為だ」

「そっか、じゃあなんの問題もないね。こむぎとたつきはとっても仲良しだから。はいったつき、あーんっ」

 

そう言ってこむぎはソフトクリーム本体を差し出してきた。えっ、こむぎさん。マジでやるんですか?俺はそんな恥ずかしいことできませんよ!?

 

「・・・食べないの?」

「うぅ・・・」

 

こむぎが悲しそうな顔でこっちを見てくる。そして心なしが周りがそのヘタレ男がとかサイッテーとか聞こえる。幻聴であって欲しいけどここでこむぎのお願いを無下にしてもこむぎを悲しませた上に俺がクズ扱いされるだろう。それは避けなければならない!?俺は意を決してこむぎの食べかけの部分を一口舐めた。

 

「どうっ?おいしい?たつき」

「ああっ・・・おいしいよ」

「そっかあ!よかった、たつきが喜んでくれて。ソフトクリーム美味しいね」

 

正直味は分からなかった。一度も彼女できてない状態でこむぎとこんなことしたけど心臓がバクバクしておかしくなりそう。仮にこの先恋人ができたとして俺はちゃんとやっていけるのか。こむぎとの散歩のつもりが思わぬことになってしまった。

 

「はむはむっ・・・」

「こむぎ、口のまわりにクリームついてるぞ」

「へっ?」

「とってやるからじっとしてろ」

 

気がつくとこむぎの口の周りはソフトクリームでベトベトだった。犬はこういうのあまり気にしないからな。綺麗な食べ方もそのうち教えていかないとな。

 

「ほらっ、これでいいぞ」

「ありがとっ、たつき!たつきのほっぺにもクリームついてるよ」

「えっ、マジかよ」

 

スマホを鏡がわりにすると右のほっぺにちょっとだけどクリームがついていた。こむぎのソフトクリームを食べた時か。俺としたことが・・・・

 

「サンキューなこむぎ」

「待ってたつき!たつきがこむぎの顔綺麗にしてくれたから今度はこむぎが綺麗にしてあげる」

「そっか?じゃあティッシュ持ってるからそれで・・・」

 

拭き取ってもらおうと思ったらその前にこむぎがゼロ距離で接近して俺のほっぺについているクリームをそのまま舐めとった。

 

「えへへ、クリーム取れたよ、甘くて美味しいねっ」

「こ、ここここむむこむこむ」

「どうしたの?たつき、顔が真っ赤だけど」

「こむぎ!?直接舐めとらないでいいから!」

「えーっ、だって会うたびにこむぎ、たつきにペロペロしてるし問題なくない?」

「問題ありまくりだバカ!あとその姿で言ったら語弊しか生まないからな!?」

 

それは犬であるから許されるのであって人間の状態でやったら完全に事案だ。多分さっきのバカップルですら躊躇う行為だぞ!

 

「ハァハァ・・・」

 

それよりもだ、今までのスキンシップは犬だからどれも成立してたのであって人間の状態でやられるのは俺の心臓がもたない。早いうちにこむぎに人間の常識を教えないと。こむぎやいろはがプリキュアになってニコガーデンの動物を守るために戦うのは2人がそう決めたのなら応援するしできることをやる。何ができるか分からないと思ってたけどまずはこむぎに人としての常識を教えないとな。話はそれからだ!

 

「とりあえず今からは犬の姿に戻って散歩します。人気のないところに移動してもとの姿に戻してから公園でフリスビーするぞ」

「フリスビー!?やったー!」

 

そう言ってこむぎはワンダフルパクトを取り出してワンっと言うと犬の姿に戻った。そして剛さんから預かっていたリードをこむぎにつける。とりあえずこむぎが素直に頷いてくれてよかった。これ以上人間のこむぎと散歩は心臓に悪いからな。

 

 

この後めちゃくちゃフリスビーした。そして今日の出来事はこむぎと俺の2人だけの秘密となった。




竜崎 辰輝
本作の主人公。彼女欲しいと言ってる割に恋人っぽいことに関しては初心である。

犬飼 こむぎ
本人は散歩だと思ってるがやってることはガッツリデートな上に無自覚にイチャイチャしてる。ただ犬の感覚でやってるせいで自覚ゼロ。
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