戦闘校舎のフェニックス編のはじまりです。
調べたら使い魔編は2巻後のようでした。
俺の名は兵藤一誠。
異世界グランバハマルから帰還した当代にして史上最強の赤龍帝だ。
十年にも渡るグランバハマルでの戦いと迫害の日々に疲れきっていた俺は表向きは裏稼業に首を突っ込まない限り平和なニホンバハマルで只の高校生として穏やかに過ごしていた。
だがこの身に宿る、神すら屠る可能性を秘めた至高の神器【神滅具】が一つ【赤龍帝の籠手】を危険視した堕天使に命を狙われたことをきっかけに、ニホンバハマルのオカルト方面に関わることとなった。
生まれ故郷である駒王町を縄張りとする悪魔リアス・グレモリーの眷属となった俺は、魔女へと貶められた少女アーシア・アルジェントを利用しようとする堕天使一派を仲間達と共に蹴散らし再び日常へと戻ったのである。そう、仲間達と歩む新しい日常へと。
さて、そんな新しい悪魔な生活を過ごす俺ですが、堕天使との一件から早朝トレーニングを行っています。
「あー、やっぱり精霊魔法の補助がないとしんどいわ」
先日の実戦ではグランバハマルの日々から鈍ったかどうかすらも判断できないくらいあっさり終わってしまった。だからといって強さに余裕があると怠ける訳にはいかない。強者と驕ったその時から敗北は後ろに迫ってくるのだから。
また現四大魔王が一人、アジュカ・ベルゼブブ様の作り出した悪魔の駒には転化する際に様々な恩恵がある。向上した身体能力もその一つだ。
肉体の変質による違和感を把握し馴染ませねば予想もできない失態へと繋がりかねない。
それに素の身体能力向上は大事だ。
この世界にも魔封鳥のような精霊魔法使いの天敵がいないとも限らないのだから。
『陽介の話だと息が臭いから精霊が働きたくなくなるらしいな。匂いである以上こちらの世界で発生しないとは保証できんからな』
正直陽介さんの言ったあの駄々をこねたような精霊の反応にはイラッときたけと、悪臭が尋常ではないくらいのストレスになるのは納得できはする。
「さて、もうひと踏ん張りか」
「ずいぶんやる気があるのね」
気合いを入れた俺にジャージ姿のリアス部長が声をかけてきた。
「おはようございます、部長」
「おはようイッセー。朱乃から貴方がトレーニングをしてるからと聞いて様子を見に来たけど本当だったわね」
なんで朱乃さんが俺のスケジュールを把握してるのか気になるな。まだそんなに付き合いがあるわけではないのに。
『あの黒髪の娘は気がつけばずっと相棒を見ているな』
グレモリー眷属の女王としての役割を果たしているのかな?立場が緩めなオカルト研究部でも副部長として指示を出す立場だから。
『かもな(エルフ的な理由だと思うが)』
「眷属が頑張っているのに主が何もしないわけにはいかないわ。サポートするからガンガンいくわよ」
フンスとやる気出すとことか美人だけど可愛らしい人だよね。あと野暮ったいジャージも着る人次第で凶器になるんですね。心臓がバクバクしてきたよ。
『意味が違くないか?相棒の場合はガチで凶器だな』
マラソン、ダッシュの後は公園の広場で筋トレメニューの腕立て伏せをはじめる。実はグランバハマルではこういったトレーニングは殆どしないから新鮮な気分だ。
『トレーニングで疲労なんてしてたら狩られる世界だったからな』
故に鍛錬は実戦あるのみ。
まあ移動手段が馬車くらいだから旅をするだけで鍛えられたけど。
しかし、
「癖になりそうね」
なんで腕立て伏せをしてる男子の背中に乗るんですか部長。ジャージ越しとはいえスタイルのよく柔らかいお尻の感触がダイレクトに伝わるのですが。
部長のお尻の感触は素晴らしいけど昇天しそうになるんですよ。だから重量を加えるなら岩とかにしてください。貴女はあんまり重くないんだから。
「年頃の男の子だからもう少し反応しても良いじゃない?私はそんなに魅力ないかしら」
魅力は有り余る程のだけど死なないように精一杯なんですよ。喋る余裕もないですから。
「そろそろアーシアも来るから、そうしたら終わりにしましょう」
早く来てアーシア(切実)。
「イッセーさん、お茶です」
「ああ、ありがとう」
水筒を持参したアーシアからもらったお茶をすすって一息つく。まさか俺に美少女からお茶を手渡される日がくるなんてな。
『グランバハマルではいつもそうだったろ』
アレらはガワが良いだけのクリーチャーです。渡された飲み物に毒物が入れられてたのもしょっちゅうだったでしょうが。
「アーシアはどうしてここに?」
俺が問うと金髪美少女は頬を赤く染める。
「毎朝イッセーさんがトレーニングをしていると聞きまして、私もイッセーさんのお力になりたいなーって。今日はお茶くらいしか用意できませんでしたけど」
良い子や。
助けただけの俺にそこまでしてくれるなんてどこまで義理堅い娘なんだろうか。
エルフさんもこれが出来たらもしかしたら陽介さんと上手くいってたかも?
『無理だろ』
無理っすね。
あの陽介さんがそれで好意に気づくわけがない。帰還直前も適当な町で撒いて逃げてたし。
今、俺の横でニコニコと笑うアーシアは悪魔となることを選んだ。信心深い彼女がどれだけ辛い決断だったのか信心とは無縁の俺には察することはできない。だからきっかけとなった身としては彼女が悪魔になって良かったと思えるくらい笑って過ごせるようにしてあげたいと思っている。
ただお二人とも少し離れてくれませんか?
漂う良い匂いだけで意識が遠のくから。
「さ、休憩を終えたらこのままイッセーのお家に行きましょう」
少し何かを考えていた様子の部長はそう言って立ち上がった。
この面子でうちに何か用があるんですか?
「もう荷物が届いている頃だろうし」
自宅に戻ったら今日からアーシアと同居することを両親から伝えられました。
本気ですか。
俺の両親は、悪魔について知っている。
というか俺がグランバハマルに転移したことを含めて全て説明してある。
いくら魂だけの転移で端から見たらなんの変化が無いように見えても、自分が十年前とは変わっている自覚が俺にはあったからだ。
あとは拒絶されたいと言う思いも少なからずあった。何せ俺はグランバハマルで生きるために非道な事だって少なからずした。
そんなヤツがこんな良い人達の子供でいていいとは思えなかったからだ。
まあ、話した結果は現状から解るだろう。
この二人は変わり果てた俺を息子として受け入れくれたのだ。
だから最近悪魔に転化したことも包み隠さず伝えたんだけど。
「さあアーシアちゃん、今日から貴女は私達の娘よ」
「遠慮はいらないよ、どんどん甘えてくれ」
アーシアの境遇を知ったらこんな風になってしまった。いやまあ予想してたけど。
現在アーシアは旧校舎の一室を間借りしていたらしい。ただなんだかんだで個人戦闘力と生活力がある他の部員と違ってアーシアは一人暮らしさせるのは不安だからと家にホームステイすることになった。
いや同性の方が良い気もするけど、部員の中で一緒に住みたいのは俺だったそうで。
両親にしても可愛い娘が増えるのは嬉しいみたいだな。
「あの一誠にまた花嫁候補ができるなんて」
「挨拶にきた姫島さんといい、一誠にモテ期がきたんだろうか?アレ?俺のモテ期どこ?」
「モテ期が来たら、オマエヲコロス」
「いやだなあ俺は母さん一筋さ♡だから殺さないでくださいお願いします」
また両親がイチャイチャしてる。
あとなんか聞き捨てならない情報があったような。
とにかく喜んでくれて良かった。
これも親孝行なのだろうか。
俺の体質的にアーシアと同居は不安だけどなんとかしてみせる、ドライグが。
『俺かよ』
「一誠の体質は心配だけど」
「治癒できるならむしろ安心だね」
両親もその懸念はあったようだ、けどアーシアの同居はそれを期待してるんですね。というか部長としてはそちらが主な理由だったらしい。アーシアの境遇を考えたら治癒の力を当てにはしたくないけど、エロ耐性を付けるための訓練で自宅でもしょっちゅう死にかけているからな。
「イッセーさん、イッセーさんのお父さま、イッセーさんのお母さま、不束者ですがこれからよろしくお願いします」
「あらあら嫁入りみたいね」
「無論大歓迎さ」
その挨拶は果たして正しいのだろうか。
外堀にコンクリートを流されてる気がするのだけど。
『むしろ姫島が本丸に奇襲していた事実を危険視すべきでは?』
「花嫁ね」
「?」
そんなやり取りを見た部長が寂しげな表情になったことが俺はとても気になった。
補足・説明。
姫島朱乃さんは兵藤一誠君のスケジュールを何故か把握して、いつの間にか実家のご両親に挨拶まで行っております。
なんででしょうね?(恐怖)。
フェニックス編は作者のハーレムの価値観が【科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌】という作品に汚染されているので大筋は変わらないけど、関係や印象が変わると思います。