異世界イッセー   作:規律式足

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 原作アンチ描写あります、閲覧注意。



第三十一話 球技大会本番

 

 放課後に球技大会に備えて一通り球技を練習したり、初めての部活動だからと皆のためにハチマキに刺繍したりしているうちに時は流れ、球技大会当日を迎えた。

 同じクラスの連中が常に最低二人は担架やら救命機器を用意してスタンバってる中、パーンパーンと開始の花火が鳴り響く。

 今日の天気は夕方から雨という予報だから、なんとか降らずに終わって欲しい。

 雨で濡れて透けた女子の体操服などまさに凶器だからな。でも個人的には濡れた髪とか色気あって良いと思う。う。想像したら心臓が。

 

『救急隊員の皆さーん!急患でーす!』

 

 大丈夫だドライグ。

 まだ俺は耐えられる。

 

『開会式すらしてねえよ』

 

 ただ気になる事が一つある。

 グレモリー眷属の仲間である木場のことだ。何日たってもアイツは様子がおかしいままなのだ。

 そして見覚えのあるあの目。

 グランバハマルの時に何度も見た記憶がある。

 

『今は考えるな。ソレも相棒のトラウマだろうが』

 

 ドライグ。

 

『ドラゴンである俺にはよくわからん感覚だ。しかし今考えることではないということはわかる』

 

 そうだ、な。

 せっかく部長やアーシアが楽しみにしているんだ。俺も存分に楽しまないと。

 けどさ、ドライグ。

 アレはトラウマじゃない。

 俺の罪なんだよ。

 

 

 球技大会は問題なく進行していった。

 俺を知る誰もが気にしていた体調面だが、陽介さん直伝の感受性を殺す技術を使用することで無事切り抜けられている。

 ス、とした虚ろな表情になるのが欠点といえば欠点だけど、気絶するよりよっぽどいい。

 まあ正確には応用だけどな。

 陽介さん曰く、理論上どんな嫌なことでもそれを心で感じさえしなければノーダメージ。それが心を殺される前に先に殺しておく技術。

 俺はソレを嫌なことではなく性的な刺激に入れ替えて使用している感じだ。心がエロとかエッチいとか興奮する感覚を殺しておく。そうすれば俺は危険でデンジャーでバイオレンスな球技大会でも気絶することなく切り抜けることができる。

 

「「「「兵藤が悟ったああああ!!」」」」

 

「見ろよあの顔」

 

「ああまるで、この世の苦しみから開放されたかのようじゃねえか」

 

 周囲はなんか騒ぎになってる。

 けれども俺の心は揺るがない。

 揺らぐ心は、もう死んでいるのだから。

 

 種目はどんどん終わっていく。

 部活動対抗戦は最後の方だ。まずはクラス対抗戦で、野球をクラス男女混合チームで行う。

 次に男女別種目で昼を挟んで部活対抗戦だ。

 種目はドッジボール、つまり闘球。

 きちんと力加減しないと受けた相手が、ボッ、となりそうで怖いな。

 まあ人間に化けた妖怪とか陰陽師やら異能力者とか居るから多分大丈夫だろうけど。 

 クラスの皆とではなくオカルト研究部で固まって待機している。これは規定はなくどこに座っても良いのだ。

 

 

 

「部長(悪魔だとバレないように)頑張れぇ!!」

 

 場所はテニスコート。

 俺は例のス、とした表情のまま部長へとエールを送っていた。

 クラス対抗戦の野球は無事に終了。うちのクラスはスポーツ万能なヤツが多いからいいとこまでいけたけど、俺が力を抑えた状態では野球部男子の多いクラスには勝てませんでした。

 コートのリアス部長とソーナ会長は、体操服ではなくわざわざテニスウェア着用の本格的なテニスを人から少し逸脱(とはいえこの世界の一般人の身体能力も陽介さんの世界に比べたらおかしいけど)した動きで繰り広げていた。

 

「会長さまァァァ!キャー!」

 

「リアスお姉様ァァァ!!」

 

 女子達の黄色い声援が湧く。

 男子達も歓声を上げるがその視線はボールより美少女二人に注がれている。

 

「イッセーの愛の応援を受けた私は負けないわ!!」

 

「ク、これが愛の力なのね」

 

 なんかスポコン漫画のワンシーンをやっているけど気にしない。

 

「会長ぉぉぉ!!勝ってくださぁぁぁい!」

 

 ソーナ会長もソーナ会長で匙から愛の応援を受けているのになあ。本人は気がついてないのかな?

 その後二人はうどんを奢る約束でよりヒートアップしたり、テニスをテニヌにしたりしながら激闘を繰り広げた。観戦してるテニス部の方々が項垂れていたりもしたけど、上級悪魔二人が人間の公式大会には出られないでしょ。

 最終的にラケットさんという尊い犠牲によりこの戦いは幕を閉じた。命を燃やし尽くしたラケットさん達は後で弔ってあげよう。

 そして大会は部活対抗戦へ。

 

 

「ブ、ブルマ」

 

 なんで教育機関から駆逐されたよろしくない意味で有名な体操服をアーシアが着ているんですかね。

 あまりの衝撃に感受性を殺す技術が解けかけたぞ。

 白い生足が露出するその服。

 ヤバい、直視したら死ぬ。

 

『それはそれでおかしい』

 

「あの桐生さんから聞いたんです。ドッジボールの正装はブルマだって。それにこの姿になればイッセーさんが喜ぶって」

 

 桐生、オマエヲコロス。

 いや世代的に小学生の時にはもう廃止されていたんですけどブルマ。

 知っているのも中学時代にアレな本を読んだからなんだけど。

 というかどこで入手したんだコレ。未だに一般流通してるもんなのか?

 そしてドッジボール・闘球の正装はプロテクターだろ。

 

「ダメですか?」

 

 君が恥ずかしがっている時点でダメに決まってるでしょ☆

 恥ずかしそうな上目づかいでこちらを見てもかわいいだけだぞ☆(錯乱)。

 

「「ブルマ、ね」」

 

 貴女達二人はマジでやめてください。

 体操服がエロ衣装にジョブチェンジするから。

 何かを検討しだすお姉様二人を必死に静止して、再び感受性を殺す技術を使用してから俺はオカルト研究部の皆にハチマキを配る。

 夜なべして作った「オカルト研究部」と刺繍したハチマキ。裁縫はグランバハマルで慣れていたから上手く出来たぜ。

 

『店に依頼するのも一手間だったからな』

 

 神聖魔法なら天然素材でさえあれば服とかも治せるけど、俺は使えなかったからな。

 だから自分の服は自分で仕立て直してたんだ。

 

「イッセーって意外に器用ね。うまくできてるわ」

 

「やり続けてたらこのくらいできますよ」

 

 今の俺なら机に空いた小さな穴ごしに目隠ししながら金閣寺の刺繍ができる。

 

『そこはドラゴンにしとけよ』

 

「予想外の出来映え」

 

 ありがとう、小猫ちゃん。

 

「宝物がまた一つ増えましたわ。他の部活動も柔道着とかユニフォームを着用してるから良い感じね」

 

 サバゲー部とコスプレ研究会とかは凄いことになってますね。

 

「ほら、木場の分」

 

「う、うん。ありがとう」

 

「体調悪いなら無理すんなよ」

 

「ん、大丈夫だから」

 

 とても大丈夫には見えないけどな。

 その後のドッジボールはアーシアのブルマ姿により会社がヒートアップしたり、生徒会メンバーで参加した匙が全校生徒から集中狙いされたりした。俺も狙われそうなもんだけど、むしろ普通より弱めに投げられてたな。

 優勝は俺達オカルト研究部。

 同じくらい動ける筈の生徒会が匙のリタイアにより弱体化したおかげだろう。

 いや、神罰あれとか祈りながらボール投げるのは反則だよ。悪魔特攻の魔球(聖球?)だったじゃん。

 

 

 大会終わって外は雨。

 片付けも間に合ったのは幸いだったけどオカルト研究部で問題が一つ。

 

「祐斗、貴方どうしたの?」

 

 木場の状態についてだ。

 部長は眷属だからイベントにやる気をだせと強制してなかった。

 むしろ、体調が悪いなら休めとまで言ってくれていたのだが。

 

「すいません部長。ただ、思い出してしまったんです」

 

「祐斗」

 

「僕が貴方に命を拾われるまで、何を思って生きていたのかを。なんのために力をつけたのかを」

 

「それは、」

 

「僕は聖剣エクスカリバーに復讐したい、破壊したいんです」

 

 だからあの写真を見てから思い悩んでいたのか。

 自身の願望を思い出したから。

 

「すいません、失礼します」

 

 それがいけないことだと理解しても、抑えきれない願望が自分の心を焦がしていて悩み苦しんで、呆けていたんだ。

 

「祐斗、これだけは言っておくわ。  

 たとえ復讐に走ろうと私は貴方を、仲間を手放さない。絶対に一人で行かせないわ!」

 

 去ってゆく木場に部長はそう告げたんだ。

 

 

 復讐か。

 グランバハマルでもよくあった。

 俺は復讐するほど彼処に拘りも関わりも付き合いもできなかったけど、

 貴族に雇われた冒険者として、復讐しようとする人達を討伐したことはある。

 どちらが悪いのかは言うまでもない。

 理不尽を強いていたのは貴族だった。

 見逃したこともあるが、その結果より酷いことになった。

 だから感情に蓋をして対処したんだよな。

 最悪な記憶で、俺の罪だ。

 

 そんな俺が木場になんと言えるのか。

 何も思いつかないよ。

 

 

 その後、部長から俺とアーシアに木場の過去、聖剣計画について教えられた。

 聖剣エクスカリバーを扱える者を人工的に生み出し育てる計画(ブリテンのアーサー王伝説と聖書の神に関連があったかどうか気になったが、まあ簒奪改変は宗教のお家芸みたいなもんかと納得)。

 その計画で聖剣に適合できないからと木場と同期達は処分された。どうにもきな臭い話だ、なぜ処分する必要がある?たとえ適合できなくても養成された信徒ならば兵隊として使える筈、わざわざ処分する理由がないだろうに。

 恐らく適合できなかっただけではなく、何か表沙汰に出来ない処置をされたから処分されたのだろう。

 どちらにしろ胸くそ悪い話だ。

 

「彼ら教会の者達は私達悪魔を邪悪な存在と言うけれど、人間の悪意こそがこの世で一番邪悪だと思うわ」

 

 それは本当にそうですね。

 貴女達と関わるたびにそう思いますよ。

 というか貴女が本当に悪魔なのか疑ってます。

 

「(むしろ天使が本当に天使なのか疑問)」

 

『あれらは聖書の神の先兵以外の何者でもないからな』

 

 聖書の神が絡まないところで人類救済などせんだろとドライグは言う。

 欲望と契約を謳いながら人情を理解する悪魔、身内のために悪魔とも交渉する堕天使。

 それに比べて、人類にとって一番イメージの良い筈の天使こそが最も異質で歪んだ存在なのかも知れない。

 





 補足・説明

 ハイスクールDDの組織で天界教会が一番面倒です。
 とりあえず天界と教会は別組織で上下関係なだけと認識しています。
 天界・天使はシステム維持こそが第一でそれ以外は手を回す余裕がない。天使存続のために祈りを集めるため手段を選んでいないと解釈。
 教会は天界からの恩恵を得てその命令に従っている感じ。
 悪魔と堕天使による人類オモチャ扱いも事実だからよりややこしいですね。
 
 考え過ぎるとアンチにしかならないので、書きたい本筋からブレ過ぎない程度に絡めて書いていきたいと思いますので、どうかご了承ください。

 ていうか、エクスカリバーは本当にいつからなんで聖書勢力の物にされてんだよ。

 
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