異世界イッセー   作:規律式足

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 天閃の聖剣→エクスカリバー・ラピッドリイ
 夢幻の聖剣→エクスカリバー・ナイトメア
 透明の聖剣→エクスカリバー・トランスペアレンシー
 擬態の聖剣→エクスカリバー・ミミック
 破壊の聖剣→エクスカリバー・ディストラクション
 形貌変器→ザックスレイラ キャトルフ



第三十七話 決戦開始。

 

「リアス先輩。学園を大きな結界で覆っています。これでよほどのことがない限りは外に被害がでません」

 

 学園の対応にあたってくれたソーナ眷属の報告を匙が行ってくれた。

 

 フリードの誘いで向かった洋館で堕天使幹部コカビエルの宣言を聞いた俺は。すぐに部長達に連絡した。

 学園ではなく駒王町の自宅で対応にあたっていたリアス部長とソーナ会長はその報告にすぐさま学園に向かうも、コカビエル達は既に何らかの儀式の準備に入っていた。ゆえにコカビエルと戦うにしても周辺に被害が及ばぬように結界にて隔離を行ったのだ。

 幸い、学園は無人(旧校舎にグレモリー眷属の僧侶が封印されているが)だったため、襲撃されて被害がでることはなかった。

 もっとも相手は聖書に名前を連ねる堕天使。如何に才覚あろうとまだ未熟な悪魔達の結界など、その気になれば簡単に吹き飛ばせるだろう。

 それをしないのはあくまでまだ余興の段階だからだろう、ヤツにとっての本番とは援軍としてくるだろう魔王様の軍勢との戦いだからだ。

 

「フリード」

 

 木場がフリードに投げ渡された球体を握りしめながら俯いていた。

 彼の想いに自身の葛藤から応えきれなかったことを木場は悔やんでいる。

 

「魔王様方には連絡を入れました。ですが到着なさるまで一時間かかるそうです」

 

 朱乃さんが皆にそう伝える。

 部長達は堕天使幹部の襲撃という半ば戦争のような状況に、冥界本部に緊急連絡をしたのだ。

 魔王であるサーゼクス様は眷属を率いてこちらに向かっていて、セラフォルー様は堕天使本部への確認をしているとのことだ、

 援軍が来るまで一時間、それだけの時間をこの場の者達でなんとかしなければならない。

 そのこの街全ての命を預かる重圧、まだ成人してない(俺は微妙)俺達は押し潰されそうになる。

 鉄火場には慣れてる俺でも、何かを背負って戦うのは慣れていない(グランバハマルの民は仕事で守ったけど、一部を除いて滅んでくれないかな認識)。

 だが、

 

「私達生徒会は、シトリー眷属の名にかけて結界を張り続けてみせます」

 

 こんな時に行動できるからこその王。

 

「さて私の下僕悪魔たち。私達はオフェンスよ、結界内に飛び込んでコカビエルの注意をひくわ。

 死ぬことは許さない!生きて帰ってあの学園に通うわよ!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

 リアス・グレモリー、ソーナ・シトリーは眷属を率いる主として下僕に道を示したのだ。

 ならばこちらも全力で応えるのみだ。

 

 

 正門から堂々と入り込み。

 罠や伏兵の類はない。

 コカビエルは他の堕天使を引き連れてきてないのだろうか?

 

「あれは、」

 

 木場が校庭を見れば、そこには五本の聖剣が神々しい光を発しながら宙に浮いていた。その下の校庭の地面には魔法陣が描かれている。

 そして魔法陣の中央に聖剣計画の首謀者、バルパー・ガリレイが祈るように儀式を執り行っている。

 

「これはいったい」

 

 誰かが呟いた疑問、それを聞きつけたバルパーが答える。

 

「五本のエクスカリバーを一つにするのだよ」

 

 元は一つの聖剣、できても不思議ではないか。

 

「バルパー、あとどれくらいだ」

 

 空中から感じていた気配が声を発した。

 部員全員で見上げれば、椅子に腰掛けたまま中央に浮いてこちらを見下すコカビエルがいた。

 演出的に格好良いがアレはどんな仕組みだ。

 空飛ぶ椅子に座っているのか。椅子ごと自力で浮いているのか、堕天使や悪魔は別に力まなくても空に浮かぶことはできるけど、あの姿勢はリラックスできるのか?

 

『物凄くどうでもいいことを気にするな。実は余裕あるだろお前』

 

 だってねえ。

 

「五分もいらんよ」

 

「そうか、頼むぞ」

 

 コカビエルはバルパーから俺達の方へと向き、

 

「それで援軍はいつくるんだ?」

 

「一時間後よ。お茶会でもしながら時間を潰したら?」

 

 部長はコカビエルの問いに強気で返す。

 その判断に間違いはないと思う。

 なにせ俺が会ったサーゼクス様の女王であるグレイフィアさんは、目の前のコカビエルより強いのだから。

 

「つまらんな、まあ準備運動がてらに遊ぶか」

 

「形貌変器」

 

 コカビエルが呟くと同時に柱ほどの光の槍をこちらに撃ち出してきた。

 それを俺は、木場からあらかじめ借りていた魔剣を精霊魔法で変形させて弾く。

 弾かれた光の槍は形を保てなくなり霧散した。

 形貌変器の魔法、ミルたんに使用した形貌変躯の魔法と同じ物体を作り変える魔法。

 シンプルなデザインだった長剣は、湾曲した鋭い爪の形となっていた。

 

「ほう、何だソレは?」

 

「赤龍帝の爪だよ」

 

 見た目は柄の箇所だけ細いドラゴンの爪。

 しかしその強度はかつて戦ったことのあるコカビエルこそ知っているだろう。

 光力は魔力と打ち消し合う性質がある。

 ならば魔剣よりもこちらの方が、堕天使や天使と戦う上では都合が良い。赤龍帝の籠手との親和性も高いしね。

 

『わざわざ魔剣を使わないで、そこら辺の木の枝でも良くなかったか?』

 

 だよね!

 今気づいたわ。それでもイケたよこの魔法。

 

「予想外に楽しめそうだ。

 赤龍帝、その実力を俺のペット相手に見せてみろ」

 

 どうやら興味はひけたらしい。

 ニヤリと笑ったコカビエルは指を鳴らしてペットとやらを呼び寄せた。

 すると闇夜の奥からズシンズシンと音を立てて異形の獣が現れた。

 

「(なんかもう逆に懐かしい)」

 

『いやグランバハマルの魔獣は移動に音をたてなかったろ。スルッと現れて奇襲をかけてきただろ』

 

 十メートルはあるだろう頭が三つある黒い巨体の犬。コイツはゲームで見た『グランバハマルにも居ただろ』。

 

「「ケルベロス!!」」

 

 有名どころを連れてきたな。

 もしや使い魔の森にも居たのだろうか。

 

「部長、片方は俺がやります」

 

 現れたのは二匹。

 一匹でも今の部長達では厳しいだろう。

 ならまずは一匹片付ける。

 

「頼んだわイッセー」

 

 さて久方ぶりの魔獣退治だ。

 赤龍帝の爪を握りしめて俺はケルベロスへと飛びかかった。

 

『結界があるから最大出力の精霊魔法が放てないのが厳しいな。グランバハマルは周辺を気にしないことだけは良かった』

 

 レーティングゲームの隔離空間ほどの強度はない以上は仕方がないことだ。

 巨体の手足を足場に接近し、ケルベロスの首を一つ斬り飛ばす。こっちのはグランバハマルのヤツみたく断面から新しく生えてこないようだ。

 

『もう犬じゃないだろアレ』

 

「「ギャオオ!!」」

 

 挟み込もうと左右から襲いかかる頭二つを飛び跳ねてかわし、刎ねた首の断面に赤龍帝の爪を突き刺して魔力を流しこむ。

 

「滅びろ!!」

 

 レーティングゲームでの合宿で学んだ魔力操作。ケルベロスの肉体内部に、悪魔の駒の影響で使えるようになった滅びの魔力を打ち込んだ。

 ボフッと膨らませた袋が萎ませたような音がして、ケルベロスの肉体は吹き飛ぶ。

 ボトリボトリと残された頭が地面に落ちるのを確認してから着地する。

 

「部長達は?!」

 

『善戦していたな』

 

 振り返って見れば部長達ももう戦いを終えていた。大出力の魔力を放って荒く呼吸している部長と朱乃さんと地面から大量に生えている木場の魔剣。小猫ちゃんは怪力にまかせて木場の魔剣を投げつけていたそうだ。

 だが決定的になったのは加勢しにきたゼノヴィアの存在。負傷したイリナはシトリー家の館に預けて治療してもらっているが、彼女は行方知れずだった。

 

『携帯に連絡すれば良かったよな』

 

 先に言えお前。

 ゼノヴィアは奪われた破壊の聖剣とは別の聖剣を振るってケルベロスを仕留めたようだ。

 

「気に入らねえな」

 

 勝利の余韻に浸る俺達に不機嫌な声が聞こえた。

 

「天然物のデュランダル使いが、エクスカリバー使いを兼任かよ」

 

 フリード・セルゼン。

 彼は俺達を、いやゼノヴィア個人を嫌悪と憎しみを込めて睨みつけ、吐き捨てていた。

 

「持たざるものの嫉妬か、狂人フリード・セルゼン」

 

 そんなフリードにゼノヴィアは挑発するように言う。なるほど彼女はフリードの過去すらも知らないのか。些か思慮に欠けるが悪人ではない彼女らしからぬ言葉だからな。

 

「ああそうだよ。テメェみてえなもんがいるなら俺達を作り出すんじゃねえっ!!」

 

「?」

 

「フリード」

 

 彼の怒声は、子供の泣き叫ぶ声によく似ていた。

 木場はその心情を察して見ていられなくなり目をそらす。

 

「赤龍帝の実力は充分。

 リアス・グレモリーもお遊びに夢中なガキに比べたら大分マシだな」

 

 クククとてコカビエルは空で愉快そうに笑っていた。

 

「完成だ」

 

 バルパーの声が響き渡る。

 儀式は終わり、五本のエクスカリバーは一つとなる。

 眩い光を発し重なりあった聖剣は数百年ぶりにかつての姿に近しい形へとなっていた。

 

「エクスカリバーが一つになった光で、下の術式も完成した。あと二十分もしないうちにこの町は崩壊するだろう」

 

「ついでみたく、んなもん仕組むな。闇剣顕現」

 

 衝撃的なことをバルパーが口にしたので、俺は悪態をつきながら顕現した闇剣を術式に向けて投擲する。

 魔法や電波のような力の流れを断ち切る闇剣の魔法。命中した瞬間狙いどおりに術式を破壊した。

 

「なあっ?!」

 

 驚愕するバルパー。

 コレを使えばエクスカリバーの統合だって防ぐことは出来た。

 だが俺はあえてソレをしなかった。

 

「フリード!そのエクスカリバーを使え。最後の余興に統合したエクスカリバーで戦ってみせろ」

 

 余興、か。

 そうじゃないだろう。

 

「ヘイヘイ。まーったく、俺のボスは人使いがあらいねえ。人として扱ってくれるだけどこぞのクソ共より遥かにマシだけど」

 

 イカれた笑みで表情を塗り固めたフリードは、統合されたエクスカリバーを握る。

 ゼノヴィアには冷たい眼差しを向けながら。

 

「リアス・グレモリーの騎士。約束通りともにあのエクスカリバーを破壊するぞ」

 

「いいのかい?」

 

「あのエクスカリバーの核となる欠片を回収できれば問題ない。

 もはやアレは聖剣と呼べぬ代物だ」

 

「うるせえよ」

 

 木場とゼノヴィアの会話を断ち切るようにフリードが斬りかかる。

 

「とっと失せろ、何も知らねえ犬っころ」

 

 エクスカリバーをゼノヴィアに突きつけながら、フリード・セルゼンは言い放った。

 

「すまないな、リアス・グレモリーの騎士」

 

 ゼノヴィアはエクスカリバーに並ぶほどに有名な聖剣デュランダルを握り締めながら告げる。

 

「君の望みは私とデュランダルが奪うことになる!!」

 

 エクスカリバーとデュランダルの頂上決戦だと彼女は叫ぶ。

 

「自惚れんな、俺の最後はテメェじゃねえ。

 正義を謳う無知な暴力装置じゃねえ。

 俺を討っていいのは、俺の被害者か、テメェらに踏みにじられた同胞だけだあっ!!」

 

 フリード・セルゼン。

 彼の聖剣を振るう最後の戦いがはじまった。

 





 補足・説明。

 長くなったのでここで切ります。
 続きの木場との戦いは描写したいシーンが多いのです全て書くと長くなりますので。
 作者は「魅せたい」というシーンまで書いたらそこで一話を区切る傾向にあります。
 

 ゼノヴィアちゃんの知らないがゆえのセリフをどうか許してあげてください。

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