異世界イッセー   作:規律式足

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 コカビエルとの戦い決着です。
 オリジナル展開のため閲覧注意。
 今回は不快な方も出そうで不安です。



第四十一話 決着

 

 この空気でやるのか。

 地面に降り立った戦争大好き堕天使のコカビエル。この騒動のメインである戦いを前に、俺はげんなりとしていた。

 バルパーを始末しようとして、フリードを見送ってくれたことからこだわりや矜持の類がある人物だと見て取れるが、だったらこのままひいてくれないかなと思う。

 正直いって今の俺からしたらコカビエルは脅威ではない。

 神話に記された伝説的堕天使の一角であることは分かる。積み重ねた歳月がイコール強さであることは。

 だが、そんなもん知らんとばかりに、歴史的建造物にダンジョンや遺跡を片っ端から攻略・破壊の限りを尽くした、英雄やら偉人とは完全に無関係な出自である陽介さんを知る自分には、恐れることなんてできないのだ。

 

「さあやろうか!闘争をなあっ!!」

 

 興奮し、オーラと戦意を撒き散らして叫ぶコカビエル。経験の足りない部長達は圧倒されて怯んでしまっているようだ。

 

「俺がやります」

 

「いいえ、皆で倒すのよ。貴方だけに頼りきりでは仲間なんて言えないもの」

 

 恐怖を抱えたまま一步踏み出す。

 その強さをリアス部長は持っているようだった。

 彼女の言葉に、

 全身から雷光を迸らせてる朱乃さんが、

 同志との絆である聖魔剣を握る木場が、

 無表情だけど仲間想いな小猫ちゃんが、

 ゼノヴィアの治療を終えて、ラッセーを連れたアーシアが、覚悟を決めて頷いた。

 

「部長のそんなとこに惚れますよ」

 

 仲間を奮い立たせる王としての魅力。

 自分にはない強さを持つ彼女に自分は惹かれているのだろう。

 

「ふふ、もっと惚れてもよいのよ」

 

 一瞬キョトンとなった部長は、頬を赤らめて嬉しそうに笑った。

 

「これが悪魔、か」

 

 そんな俺達をゼノヴィアは憧れるように、嬉しそうに見つめていた。

 

「やるわよ私の可愛い眷属達!

 コカビエルを倒して日常を取り戻すわよ!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

 赤龍帝の爪を構え、木場と並び立ちながら俺は仲間達と声を揃えて頷いた。

 俺が全力を出せば瞬殺できる相手。

 それでもでしゃばる気にはならなかった。

 

「こい」

 

 俺達の気勢に、歴戦の堕天使は敵として不足は無いとばかりに構えた。

 

 

 それからしばし、

 破滅の魔力と雷光が飛び交い、赤龍帝の爪と聖魔剣の斬撃が軌跡を描き、光の槍が交差する戦いが繰り広げられた。

 堕天使幹部の名に偽りなく、コカビエルは実力を示した。

 しかし、アーシアに助けられた恩を返そうとゼノヴィアがデュランダルを握り参戦してきたところで、コカビエルは上がったテンションのまま叫んだ。

 

「仕えるべき主を亡くしてまで、おまえたち神の信者共はよく戦うものだなあ!!」

 

 え?

 

『ヤベ』

 

 その言葉の意味をすぐさま理解したのは心当たりのあるドライグだけだった。

 

「どういうこと?」

 

 部長が怪訝そうな口調で訊く。

 コカビエルは無知な者達を嘲るように笑う。

 

「フハハ、フハハハハハハハ!そうだった!お前達、下々までアレの真相は語られていなかったな!なら、ついでだ。教えてやるよ、先の三つ巴戦争で四大魔王だけでなく、神も死んだのさ」

 

 あー。そうなのか。どうりであの大戦以降は、どの歴史書でも神が先頭に立たずに象徴的な扱いになっているわけだよ。

 ねえ、ドライグさん?

 

『ピューピューピュー。いや、俺は神器にされた瞬間は生きてたから、詳しくは知らんし』

 

 ドラゴンが口笛吹いて誤魔化すなよ。

 聖書の神の死の秘匿。

 それは天使、堕天使においては神の存在こそが要だったからこそ。

 教会の信者にしてもそうだ。

 多くの者達は、神の力による救いがあるからこそ祈り、心の均衡を保っているのだ。

 だが、それでは。

 

「フリードも哀れなものだ。

 神のためにと生み出され使われたのに、その神が既に存在しないのだからな」

 

 木場だってそうだ。

 あの子達の研究施設の日々はなんだったんだ。

 

「ウソだ、ウソだ」

 

「主がいないのですか?主は、死んでいる?では私達に与えられる愛は」

 

 そして、ゼノヴィアとアーシアが特に衝撃を受けている。

 現役の信仰者。

 悪魔に転化しても祈る者。

 そんな二人に神の存在の否定は生き甲斐を失うに等しい。

 その姿は見ていられない程だ。

 

「そうだ、神の守護なんてなくて当然なんだよ。神は既にいないのだからな。四大天使共、天使長ミカエルはよくやっているよ、見事に神の代わりを務めているのだからなあ!!まあ神の構築した『システム』が機能さえしていれば、神への祈りも祝福も、悪魔祓いもある程度は機能するがな」

 

 そういうカラクリだったのか。

 しかし、こうして聞くと、聖書の神は創造に特化した神格だったんだな。

 まあそんなことはどうでもよいか。

 

「アーシア、ゼノヴィア、下を向くな」

 

 ショックを受ける二人に言葉をかける。 

  

 「「?!」」

 

「今までやってきたことに意味がなくなったように思えるかもしれない。積み重ねた全てが無駄だったように感じるかもしれない」

 

 特にこの二人の今までは神の為に捧げてきたようなものだからだ。アーシアの聖女としての日々も、ゼノヴィアの血に塗れた戦いの日々も。

 

「でもさ。

 その祈りと行動は、対価が欲しくてやっていた訳ではないだろう?神がナニカくれるからやってきたわけじゃないだろう?」

 

 無論、神からの祝福や死後の安寧を求めて教会へ所属している者達もいるだろう。

 けどこの二人は違う。

 

「たとえ死んだ神に届いていなくても、誰かの幸せを願う君達の行動は価値がある。

 どんな真実があっても、君達の歩んできた人生は、足跡は、決して汚れることはないんだよ」

 

 自分達の人生に意味が無かったなんて、そんな悲しいことを思って欲しくない。

 そんな想いを込めて語りかけた。

 

「赤龍帝」

 

「イッセーさん」

 

「胸を張れ。汚れることを厭わず進んだ君達の姿は美しいのだから」

 

 アーシアは当然として、ゼノヴィアも悪い子ではないと、この僅かな時間でも理解できた、だからこそ胸を張って立っていて欲しい。

 

「ふん、さすがは日本人。

 信仰心が薄ければ神の死すら気にしないか」

 

 神話関連の皆さんから日本人がどんな評価されてるのか、物凄く気になります。

 

「別に死んでても祈るだろ?

 無宗教者でもお盆になったら墓参りぐらいはするっての」

 

 というか、千年以上も人前に立たないことを疑問に思わないことが不思議なんですけど。

 

『人間からしたら神や天使は降臨しないのが普通の認識になってたからな。今思えばそうなるように調整してたんだろうが』

  

 そんな俺の言葉が、何故か皆を奮い立たせたようだ。神の死による衝撃を受けていたのにもう前を向いていた。

 

「終わらせるよ、コカビエル」

 

 ただまあコレ以上余計な情報を吐き出されても困るから、もう無理してやっちゃおう。

 というか、悪魔上層部に報告したらまずいことだらけだろうし。

 そう思い斬り捨てようと足を踏み出そうとしたら。

 

「強がるな赤龍帝。

 もはや貴様の底は知れた」

 

 コカビエルが憐れむようにそう告げた。

 

「?」

 

『底が知れたら勝てないと分かるだろうに』

 

 俺とドライグが?マークを頭上に浮かべていると、コカビエルは徐ろに語りだした。

 

「フェニックスとのレーティングゲームで貴様は禁手を使用したな、だが今の貴様は使っていない。

 いや使いたくとも使えないのだろう?」

 

 そんなことないけど。

 

『使わんだけだが』

 

「神器研究者であるアザゼルから聞いているぞ。貴様ら二天龍を宿す者達は、肉体を捧げ竜化させることで一時的に禁手に至れるとなあ!!

 だから未だに禁手に至っていない貴様は軽々しく使用することが出来ないのだろう!!」

 

 え?これ、勘違いされてる?

 

『フェニックスの時は炎対策で使用してただけだしな』

 

「そんなイッセー、私のためにそこまで」

 

「イッセーくん」

 

「君はどこまで」

 

「イッセーさん、私には打ちあけてくれても」

 

「イッセー先輩の身体に竜になってた箇所ってありましたっけ?」

 

 皆に誤解が広まってるうーー?!

 

『なぜか相棒の身体の状態を把握してるヤツも要るんだが?』

 

(ていうかそんな取引あるなんて。私の身体だけが目当てだったのね、不潔よ、不潔だわ、ドライグ)

  

『話す機会が無かったからな。あとンなもんより苺大福を所望する。クリームやらスポンジケーキじゃなく粒餡のやつな』

 

(うす、買っときます。精神世界になら持ち込めるし)

 

「その程度なのか」

 

 失望するような声が響いた。

 さっきからこちらを伺っていたヤツだろう。

 

『気づいてたんなら言えよ』

 

 だから、コカビエルとの戦いで敢えて手の内を晒してなかったんだろうが。

 空から聞こえてきた声に、全員が上を見上げた。

 そこから感じたのは竜のオーラ。

 ソーナ眷属が張った結界をぶち破りながら、ソイツは地面に降り立った。

 周囲に被害は出してない。

 それだけ完全に自らの力をコントロールしきっているのだろう。

 そこには闇の中で輝く、一切の曇りも陰りも見せない白きものがいた。

 顔まで覆われた全身鎧。身体の各所には光り輝く宝玉が埋め込まれている。

 赤龍帝の籠手の禁手と同タイプと思わせる姿。

 違いといえば色と特徴的な光る八枚翼か。

 

「白い龍」

 

 最初にそう言ったのは同じ陣営のコカビエル。

 さて、援軍にでも来たのかな。

 今の俺なら禁手を発動しないと厳しいくらいの実力はありそうだ。

 

「赤に惹かれたか、白い龍。邪魔立ては、」

 

「いやお前の回収にきた。アザゼルは戦争を望んでいないからな」

 

 言葉と同時に鮮血が舞っていた。

 閃光のように動いた白龍皇がコカビエルの黒い翼をちぎったのだ。

 

「エグいなあ」

 

 翼ある種族にとって、もっともえげつない行為を平然と行う白龍皇に俺はドン引きした。

 そこからは一方的な展開となった。

『白龍皇の光翼』の能力を用いてコカビエルを蹂躪する白龍皇。

 時間経過と共に弱体化する身体でなんとか立ち向かうコカビエルだが勝てる筈もなく、ボコボコにされた後に肩にかつがれていた。

 そこにグレモリー眷属と戦いを繰り広げた強者としての姿は見る影もない。

 

「フリードは?居ないならいいか」

 

 そう呟いた白龍皇は光の翼を展開して空へ飛びたった。

 

「コカビエル程度に勝てないとは、期待外れだな。俺の宿敵くん」

 

 そう捨て台詞を吐いて。

 

「なあ、ドライグ?」

 

『なんだ相棒』

 

「自分より弱いヤツに雑魚認定されたんだけど」

 

『気にするな相棒。陽介もエルフもアリシアも強くは見えんかった』

 

「コカビエルもそうだったけど、俺って弱く見える呪いでもかかっているのかな」

 

『帰還にグランバハマルの神が絡んでいるから否定はできん』

 

 エクスカリバー強奪から始まった堕天使幹部コカビエル襲撃事件。

 それは、こんな虚しさを感じる空気の中で幕を閉じるのであった。

 とりあえず兵藤一誠は、堕天使一派が完全に大嫌いになったそうな。

 

 





 補足・説明。
 
 コカビエルについてあっさり流してしまいました。彼も改変しようかと悩みましたがなんかフリードに比べると盛り下がって微妙だったんで。

 アーシアとゼノヴィアへの言葉。
 彼女達は自分のためには祈ってないなと作者は思いまして。

 白龍皇ヴァーリの反応。
 イッセーへの冷めた態度は原作と異なり、普通の強者だったからです。何かやらかしそうな意外性がないから期待しない感じになりました。イッセー自身もコカビエルとの戦い開始から観察している白龍皇の存在にかなり苛立ってました。
 だから次章でフルボッコにします。
 
 イッセーと堕天使陣営。
 朱乃さん以外の印象が最悪です。
 アザゼル含めて友好的にはならないかなと。
 白龍皇もライバル認定は多分無理。
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