異世界イッセー   作:規律式足

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 導入回のため短いです。



第四十三話 会談へと。

 

 皆さんこんにちは、兵藤一誠です。

 春に悪魔を始めて季節はもう夏になりました。数ヶ月だと言うのにずいぶんと濃密な日々で、数え切れないくらい臨死体験をしたけど私は元気です。

 自宅にアーシア、リアス部長、ラッセーの居る生活にもすっかり慣れてはきたのですが、突発的に入浴時に乱入されるのは困りものです。

 鼻血による出血多量と心臓への衝撃で、生死の境を彷徨うことになってしまいますからね。

 最近ではラッセーが心臓に最適な電気ショックを出来るようになり、ずいぶんと助かるようになりました。マッサージにも丁度良いくらいにもできるから、この子は天才なのかもしれません。

 また、リアス部長がそうやって迫るとアーシアが張り合うので、より命の危険は増します。もっとも、二人の行動が純粋な好意からくるものだと理解しているので不快ではありませんが。死にかけるくらいなんてグランバハマルだと日常でしたから。

 

『向こうだともっと直接的だった』

 

 それこそがグランバハマルなんだろう。

 しかし、この体質はなんとかならないものか。性欲の衝動よりも、俺を想う二人に応えたいから手を出したい。けれどそれが物理的に無理なのがなあ。

 

『変身魔法で若返ればあるいはだが、かなり色事に厳しいんだよな精霊』

 

 たとえ今の体質とは違う身体になっても、色事関係は精霊の判断で打ち消される場合がある。記憶再生の魔法でモザイクがかかるところから明白だ。

 

「前途多難だよ」

 

 慕ってくれる女性の想いに応えたいけど、それが出来ない身体を恨めしく思う。

 せめてデートくらいはするべきか。

 アーシアとは頻繁にハンバーガー屋さんに行くけど、すぐに身体を密着させてくるリアス部長とは体質的に行けないんだよな。

 

『密着禁止デートか、難易度高いな』

 

 そんなドラマとかないかね?あれば参考にするんだけれど。

 さすがに精神年齢が精神年齢だから、鈍感系主人公のような思い込みやら勘違いはしない。

 なので好意を向けてくる女性達に応える形で付き合おうとはしている。

 

『いや、姫島やらレイヴェルやら木場やらに関してはスルーしてるから、鈍感系主人公ではあるぞ』

 

 相変わらずドライグは変な勘違いするヤツだ。

 

『オイ』

 

 まあ付き合うだけで、正式な交際まで踏み出せない自分は女誑しのゲスなんだろうな。

 ライザー師匠の域はまだ遥か遠くか。

 それに。

 

「メイベル」

 

 氷の妖精のようなダメ人間のことを、俺は忘れることができない。それがアーシアとリアス部長に踏み出せない最大の理由なんだろう。

 ライザー師匠なんか薄々察していて、一番好きな女をハーレムの一人目にしろと助言してくれたし。

 

「今、何をしているんだろうな?」

 

 その呟きは切なさと共に消えていった。

 

 なお、恋する乙女達がそのメイベルを血眼で探していることを、兵藤一誠は知らなかったりする。

 

 

 

「よー悪魔くん。今日も悪いな」

 

 最近悪魔契約の仕事で、堕天使総督が頻繁に依頼してきて困っています。

 二十代に見える黒髪でワルそうな風貌。

 浴衣ばかり着ているその人物が堕天使総督アザゼルであることは知っている。

 人でないことは見ればわかるし、何よりもドライグが顔を覚えていたからだ。

 実力はかなり高い。

 この世界で関わった存在では、ミルたんという超えられない壁を除いて一番だろう(サーゼクスら魔王との面識がないため)。

 まあ倒せない程ではないから依頼には応じているけど、そろそろ止めて欲しいな。

 いや依頼内容とかは別に良いのだ。

 夜中にパンを買いに行かされたり、夜釣りに誘われたりとかは気にならない。

 俺にとって一番の楽しみこそが悪魔の仕事なのだから。けれど如何に対価が支払われても、堕天使で人間ではないからか、冥界の悪魔契約システムには反映されないのがなあ。

 人の欲望を冥界全体のエネルギーへと変換する悪魔契約システム。教会の信仰システムよりも種族に決定的で重要ではないが、それでも冥界全体に大きく影響はしている。

 そろそろ断るべきかな。

 今夜の依頼であるレースゲームをプレイするアザゼルにそう提案しようか悩んでいた。

 

「しかし、ヴァーリが言うほど弱いとは思えないな赤龍帝」

 

「ヴァーリ?ああ先日の白龍皇ですか」

 

「なんだ興味なさそうだな。二天龍で宿敵だろうに」

 

「宿敵ですか。戦う理由がないので」

 

 軽口として色々と暴露してくるアザゼル。

 驚くことを期待していたみたいだが、無反応な俺につまらなそうな表情となっていた。

 

「つーか、俺がアザゼルだと気づいてたのか」

 

「堕天使であることは見ればわかりますし、ドライグが教えてくれたので」

 

「ん~~、予想より強いのは気配から分かったが。なんか年不相応に達観してないか?もっと青いのが普通だろうに」

 

「色々あったんで」

 

 精神年齢が三十手前ですから。

 

「それで何が目的で」

 

「見定め。つまらんヤツだと言う印象だな」

 

「敵の評価はどうでもよいです」

 

 アザゼルの酷評も気にならない。

 なんとなくだが、彼の基準が面白さと未知にあると察することができたからだ。

 未知はともかく、面白さはなあ。

 

「とにかくよろしくな赤龍帝・兵藤一誠」

 

 十二枚もの漆黒の翼を展開するアザゼル。

 

「こちらこそ堕天使総督アザゼル」

 

 俺も悪魔の翼を展開して応えた。

 

 これが今回の騒動の始まり。

 アザゼルがつまらんヤツという評価を一変させる、少しばかり前の出来事。

 まもなく史上最強の赤龍帝・兵藤一誠の実力の一端が、世界に知られることになる。

 





 補足・説明。

 アザゼルは仕事を楽しんでこなすイッセーの姿に好感を持ちましたが、青臭さがない点と自身への無警戒ぶりにつまらんヤツ認定しました。
 
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