赤い龍→ウェルシュ・ドラゴン
白い龍→バニシング・ドラゴン
紅髪の魔王→クリムゾン・サタン
実に刺激的な一日でした。
プールからでて俺は校庭の方へ歩いていた。
限定プール開きから、水泳指導とゼノヴィアの子作り希望から死亡。
師匠からフェニックスの涙を渡されてなかったら危なかったぜ。
『そういえばライザーはなんで来なかったんだ?この手のイベント大好きだろアイツ?』
あ、それは部長達に気を遣ってくれたから。新しく買った水着は最初に見せたいヤツ以外の男が見るべきじゃないんだって。アーシア達はスク水だったけど。
『さすがはハーレム王』
まあ今度は一緒に海に行く約束したけど、冥界には無いから楽しみだって。
『冥界もかなりデカイ湖はチラホラあるけどな』
ところでドライグ?
『ん?ああ、気づいたか相棒』
校門の側から感じる強者の気配。
これは多分、先日のコカビエルを回収しにきた白龍皇だろう。
「関わるの面倒だから、裏から帰ろっか」
『賛成』
ここから裏門まで距離はあるが面倒でも仕方ない。白龍皇とは初邂逅時の印象がよろしくないので、正直関わりたくないのだ。
ドライグにしても、二天龍?ナニソレ食えんの?レベルで因縁やら宿敵やらがどうでも良くなっているらしいので、あっさりと賛成した。
それに堕天使の味方、「神の子を見張る者」に所属しているなら会合前のトラブルは避けるべきだろう。
たく、プールの後に汗をかかすなよ。
校門の側に立つ銀髪の美少年が校舎を見上げている姿は絵になるが、野郎を眺める趣味はない。
グランバハマルでは割とありふれた容姿だからなおのことだ。
ただ部長には報告しないとな。
スマホを取り出して一報入れたところで、
「やあ、いい学校だな」
向こうから声をかけてきやがった。
距離はそこそこあるが、日曜日の夕方間近のため人通りはない。
ヤツが俺に話かけてきたのは間違いない。
「異種族、能力者、術士、神器持ち入り交じる混沌とした良い学校だよ」
一部変態もいるけど。
端から見たら留学希望者と在校生が会話してるように映るのかね?
ウチの学校って留学生(扱いの異種族も)が多いから。
「俺はヴァーリ。白龍皇・『白い龍』だ」
「俺は兵藤一誠。赤龍帝『赤い龍』って名乗れば良いか?」
挨拶には挨拶。これは敵相手でもだ。
「へえ、宿敵を相手に無警戒なのは、蛮勇なのか無神経なのか、それとも実力差すら分からないくらい弱いのか?どれなんだろうね」
正解は無関心。
白龍皇が禁手を発動してない状態でこの距離なら、モーションを視認してからでも造作なく殺れる。
光剣の一振りで首チョンパだ。
見たところ強いには強いが、その実力はグランバハマルの上位冒険者より弱いくらい。いやアイツラは魔獣蔓延る危険地帯を踏破する実力があり、遺跡から発見した神器以上の武具を装備してるからかなり強いけど。
あくまで自然体な俺(早く帰りたい)に、白龍皇は呆れ果てた顔になる。
「そうだな。たとえば、俺がここで兵藤一誠に魔術的なものをかけたりー」
殺るか。一応宿敵だし。
『陽介ならもう殺ってるよな』
あの人の判断速度は異常だから。
俺が白龍皇をスパッと殺ろうと光剣を顕現しようとしたところで、
二本の剣が白龍皇の首元に突きつけられていた。
瞬時に現れたのは木場とゼノヴィア。聖魔剣と聖剣デュランダルを白龍皇に向けていた。
さっきから後方で此方の様子を窺っていたのはわかっていたが、白龍皇の発言に『騎士』の速度で駆けつけたのだろう。
今の俺では『兵士』のプロモーションを使用しないとだせない速度。身体強化の魔法を使えば追い越せるが、やっぱりグランバハマルの時よりまだまだ弱いか。
「何をするつもりかわからないけど、冗談が過ぎるんじゃないかな?」
というか木場は今日は用事があるって話だったよな?首にぶら下がるゴツいレンズのついたカメラは何なんだ。
「ここで赤龍帝との決戦を始めさせるわけにはいかないな、白龍皇」
『決戦になる前に終わるだろ』
木場とゼノヴィアのドスの効いた声音。駆けつけてくれたことは嬉しいけど、君等ではまだソイツは厳しい。
「やめておいた方がいい。手が震えているじゃないか」
白龍皇の言うように、木場とゼノヴィアの手元は震えていた。絶大な力を誇る聖魔剣と聖剣を握りしめていながら、二人は表情を強張らせている。
「誇っていい。相手との実力差がわかるのは、強い証拠だ。俺とキミたちとの間には決定的なほどの差がある。コカビエル如きに勝てなかったキミたちでは俺に勝てないよ。まあわかってない者もいるようだが」
もう殺っちゃおうかなコイツ。
発言でブーメラン投げてる自覚なしかい。
「兵藤一誠、キミはこの世界で自分が何番目に強いと思う?」
凄くどうでもいいけど、多分全力のサーゼクス様には勝てるから。えっと、
『んー、トップ10には入るんじゃないか?アレしてから覇龍発動して奥の手を装備して切り札を用いれば、かなり強いぞ』
でも、ミルたんがいたじゃん。
『なんだよなー。仮にグレートレッドが一番だとしても、ミルたんで順位変動するし。無名の強者が存在しないとは、もう断言できない』
ミルたんという前例。
サーゼクス様曰く、それが悪魔上層部が襟を正した最大の理由らしい。
彼らは表に出ない強者達と下手な真似をして敵対したくないのだ。
「未完成のバランスブレイカー状態としたキミは上から数えた場合、四桁ー千から千五百の間くらいだ。いや宿主のスペック的にはもっと下かな?」
『節穴だなコイツ』
下手に情報を得ているから誤解しているのかな?いやその認識で何も困らないから良いけど。
「この世界は強い者が多い。『紅髪の魔王』と呼ばれるサーゼクス・ルシファーでさえ、トップ10に入らない」
それはないでしょ。
『普段からかなり手を抜いてるんじゃないか?あのメイド好き魔王』
そういえば全力をだしたのも、内乱時でも一度きりとか言ってたような。
同格であるアジュカ様とも喧嘩したこととかないらしいし。
「だが、一位は決まっているー不動の存在が」
そうなん?
『どうせグレートレッドだろ。まあミルたんとどちらが上かは微妙だな。もし戦われたら世界が滅ぶ』
「誰でも興味ないけどね、こっちは」
「なに?」
白龍皇が強さに拘っているのはわかった。
けど、どうでもいい。
「戦う時に相手の強さなんて関係ないだろ」
相手が自分より強いからどうした。
戦いなんて最終手段。
戦う時点で、負けたらお終いなんだ。
だったらたとえ相手が最強であろうとも、死ぬ気で勝つしかないだろうが。
「君とは、どうやら話が合わないようだ」
「強さと戦いに対するスタンスが違うみたいだから当然だろ」
必要だから強くなり、戦わないならそれにこしたことのない俺と、強くなりたいから強くなり、好んで戦いを求める白龍皇では、あまりに違い過ぎるから。
「ふん、ここまでくれば育ててどうにかなる次元ではないな、リアス・グレモリー」
白龍皇が視線を向けた先には、連絡を受けてこちらに向かっていた部長達がいた。
リアス部長は不機嫌な表情で、アーシアは困った様子、朱乃さんと小猫ちゃんは臨戦態勢だ。
「白龍皇、なんのつもりかしら?あなたが堕天使と繋がりを持っているのなら、必要以上の接触は」
「二天龍と称されたドラゴン。「赤い龍」と「白い龍」。過去に関わった者はろくな生き方をしていない。貴女はどうなるんだろうな?」
「幸せになるわよ」
白龍皇の言葉に部長はそう断言した。
『プッ』
まったく、 彼女のこんなところに心底惚れそうになるよ。
『メイベ「お黙り」』
「今日は別に戦いにきたわけじゃない。ちょっと先日訪れた学び舎を見てみたかっただけだ。アザゼルの付き添いで来日していてね、ただの退屈しのぎだよ。アザゼルにギャルゲー勧められるのもうんざりだったしな。ここで「赤い龍」とは戦わない。それに俺もやることが多いからさ」
白龍皇はそれだけ言い残すと、踵を返してこの場をあとにしていく。
だから俺はその背に声をかけた。
「近くなら「天奉」のタンメンがオススメだぞ」
『なに言ってんだお前?』
「情報感謝する。すぐに行こう。
タンメンはタンメンという麺料理としてラーメンとは別に区分すべきかいやワンタンメンや五目麺やちゃんぽんもあるししかしベースとなるスープは他のラーメンにも使用されるからチャーシュー麺などの具が多い麺と同じ括りとも〜〜〜」
『頼むヴァーリ。ラーメンのこととなるとそうなるのはやめてくれぇ』
「「「「「ナニアレ?」」」」」
「彼からニンニクと背脂の匂いがしたのでラーメン好きかなって」
戦いのスタンスでは合わないが、意外とそれ以外では話が合うかもしれない。
ブツブツと語りながら思考にふける彼の姿を俺達はただ見送るのであった。
『白いの哀れな。だがお前の不幸で気分が良いわ』
補足・説明
堕天使陣営がイッセーを下に見がちなのは、他所の陣営より神器情報が多いせいもあります。事前情報が自分達しか知らない特別なモノだから妄信しがちです。
また端から見たら少し鍛えた転生悪魔+赤龍帝の籠手ですので。
白龍皇
今回かなり命の綱渡りしてました。
イッセーにしても二天龍関連もあって殺ることに躊躇う理由が全くありません。
なお彼は○郎系ラーメン完食後の腹ごなしで散歩してました。