スマホ投稿だからギャスパーのセリフを打つのが面倒です。この子叫び声ばかりだし。
グレモリー眷属「僧侶」ギャスパー・ヴラディが、封印から開放されてから翌日。
「ほら、走れ。デイウォーカーなら日中でも走れる筈だよ」
「ガー♪」
「ヒィィィィィッ!!デュランダルを振り回しながら、蒼雷龍の子供と追いかけてこないでぇぇぇぇッ!!」
彼は今、元悪魔祓いにしてデュランダル使いであるグレモリー眷属「騎士」ゼノヴィアと、魔女にしても元聖女であるグレモリー眷属「僧侶」アーシアの使い魔である蒼雷龍ラッセーに追いかけられていた。
「私と同じ「僧侶」さんにお会いできて光栄でしたのに、目も合わせてもらえませんでした。ぐすっ」
ほらアーシア泣かないの。
ギャスパーの対人恐怖症による態度で、ロクに交友できないことがショックなアーシアが残念そうにしている。
同じ駒の仲間と会うのをずっと楽しみにしていたからな。
「ギャー君、ニンニク食べれば健康になれる」
「いやぁぁぁん!小猫ちゃんが僕をいじめるぅぅぅ!」
ゼノヴィアとラッセーだけじゃなく小猫ちゃんまでニンニクを持って追いかけまわしている。
なんかもう訓練とか関係ない気が。
どうしてこうなったんだろうな。
俺が遠い目をしながらその光景を眺めていると、
「え、何あれイジメ?」
と、生徒会メンバーにしてソーナ眷属「兵士」である匙がドン引きしながら現れた。
「ども」
「よー、兵藤。解禁された引きこもり眷属がいるとか聞いて、ちょっと見にきたぜ」
「じゃあついでにざっくり説明するよ。
名前はギャスパー。「変異の駒」でグレモリー眷属の「僧侶」になった、神器持ちのハーフヴァンパイア。
神器は「停止世界の邪眼」で本人はまだ制御ができない。
吸血鬼だけど血が苦手でレバーも嫌い。
ダンボールに引きこもると落ち着くらしい」
「属性盛り過ぎじゃね?」
「あと男性だけど女性の服を着こなすお洒落さん」
「あー、女になりたいから女装してるタイプじゃなくて、可愛いから着てるタイプか。似合ってるからタチが悪いな」
「人前に出したら性癖を破壊しまくりそうだよな」
「勘弁してくれよ。この町はもともと変態だらけなのによ」
うん、本当に。
「で、あのイジメ行為は?」
「部長に教育を頼まれてな、それでゼノヴィアがとりあえず鍛えようと言い出して、持久走?をしてる。
ラッセーに変な遊びとかを教えないで欲しいんだけどなあ」
ゼノヴィアと小猫ちゃんと共にギャスパーを追いかけまわすラッセーを見ながら、俺はそうぼやいた。
「兵藤はあんまり乗り気じゃないのか?」
「やる気の無いヤツに無理強いしても、時間の無駄だからな」
冷たいようだがそれが俺の本音だ。
それに、俺はギャスパーが鍛えることに必要性を感じてはいない。
仕事は今までだってきちんとしていたんだから、人前に少しでも出れるくらいになれば充分だと思う。
「意外だな。なんとか出来るようになるまで面倒を見るとか言いそうだと思ったんだが」
本人が望むならそうするさ。
でも嫌々やらせるのは気がすすまない。
「それに俺って最弱から鍛錬して出来ることを増やしていったタイプだから、力を制御できないってのがイマイチ分からないんだよ。それなら悪魔祓いとして正式な訓練を受けたゼノヴィアの方が適任かなって」
禁手も覇龍も極限状態でモノにしたから、制御できないなんてことは無かったしな。
「アレでか?」
「うん、ちょっと後悔している」
悪魔祓いの時にあんな訓練をしてたとか、無いだろうなあ。
「まあ、肉体スペック上げれば自然と扱えるようになったら良いなあって感じだよ」
「願望じゃねーか」
「吸血鬼だから血を飲めば強くなるだろうと思って提案したら、全力で逃げるし」
「種族としてどうなんだソレ」
なんかもう新種の生き物だよな彼。
「それで匙は花壇の手入れ?」
「おう、学園を綺麗に見せるのは生徒会の「兵士」たる俺の仕事だ」
えっへんと胸を張る匙の姿に、業者に頼んだらという言葉をかけることが出来なかった。
ザッザッ。
「これは警備がザルなのか、許可を得ているか、どっちなんだろうな」
『サーゼクスと同じ下見なんじゃないか?』
誰がここへ近づいてくるか気配から察して、俺はゲンナリとなる。
「へえ、眷属悪魔の皆さん方は集まってお遊戯してるわけか」
浴衣を着た悪そうな男性、堕天使総督アザゼルは現れるなりそう言った。
「そんな感じですね」
「違うだろ」
お遊戯と言われたら否定はできない。
ラッセーと小猫ちゃんはそんなトコだろうし。
「よー、赤龍帝。あの夜以来だ」
「どうも、今日は会場の下見ですか?堕天使総督アザゼル様」
臨戦態勢になろうとした仲間達に大丈夫だと伝える。
「察しが良いな。
まあ赤龍帝の示すようにやる気はねえ。
散歩がてらに見学してるだけだ、聖魔剣使いはいるか?興味あるんだが」
「木場はサーゼクス様の元で聖魔剣を調べてますね。あり得ない禁手だから気になられたようで」
別に隠すことではないから素直に答える。
この場に彼がいないのはそれが理由だ。
リアス部長と朱乃さんは会談の準備で、木場は神器の調査だったのだ。
「そうすんなら俺も混ぜろよ。ロクに知識もないだろうに」
神器研究において先をゆく自負があるからこその言葉みたいだな。でも他勢力だから無理でしょ。
ボリボリと頭を掻きながら近づいてきたアザゼルは、とある木を指さす。
「そこに隠れているヴァンパイア」
いつの間にそこまで移動したんだ?
場所がバレたギャスパーが慌てふためくが、気にせずにアザゼルは続ける。
「「停止世界の邪眼」の持ち主なんだろう?五感から発動する神器は、持ち主のキャパシティが足りないと、自然に動きだして危険極まりない」
籠手という武装型とは違って、身体そのものだから発動しやすいのだろうな。
ギャスパーの顔、の両目を診断するかのように覗き込むアザゼル。ギャスパーは怯えて震えているが、何かされても俺が対処可能だ。
「たしか、ソイツの神器は「黒い龍脈」だろ?それでこのヴァンパイアの余分なパワーを吸い取りつつ発動すれば、暴走も少なく済むだろうさ」
なるほど、そんな使い方が。
「俺の神器って、そんな事も出来たのか。そういえば兵藤も神器は解釈次第でなんでもできるって言ってたな」
「へえ、随分と神器を使いこなしているみたいだな赤龍帝」
グランバハマルで陽介さんに勝つために、なんでも試してみたからな。片っぱしから倍加したり、エネルギーを譲渡してみたりとか。
それで必殺技といえるぐらいの強力な技もいくつかできたんだけど、すべて陽介さんには通じなかったなあ。
毎回初見の筈なのに、まるで知っていたかのようにあっさりと対処されていたもんだ。
そんな絶望の記憶を思い出していると、アザゼルが匙に神器についてレクチャーしていた。
「神器上達で一番てっとり早いのは、赤龍帝を宿した者の血を飲むことだ」
マジか、俺の血はドーピング飲料だったとは。
『竜血は素材として大人気だ。グランバハマルでの相棒の強さも竜の返り血を浴びまくったのもあるぞ』
そういえば訓練だと強い魔獣だからとドラゴン狩りばかりしてたもんな。
『それでも勝てなかったけど(絶望)』
落ち込むなよドライグ。気持ちは一緒だ。
「ヴァーリ、うちの白龍皇が接触して悪かったな。なーにあいつは変わったヤツだが、今すぐ赤白ライバルの完全決着をしようとは思っちゃいないだろうさ」
赤白ライバルて、歌合戦みてえ。
それに完全決着か、結果は見えてるよな。
『なんで勝てない、なんで負ける、あれだけ強かったんだ、あれだけ工夫したんだ、龍王すら相手にならない史上最強なんだ、肉体のある俺すら超えたのに、なんでただの人間である陽介に』
ドライグ帰ってこーい。
あかん、トラウマが復活しとる。
「じゃあなガキ共」
そう言ってアザゼルは去っていった。
流石は神器マニアか、勉強になったな。
じゃあとりあえず、
「一本いっとく?」
俺は取り出したナイフを手首に当てながらギャスパーに向けて、栄養ドリンクのコマーシャルみたいに爽やかに笑いかけた。
「結構です」
ギャスパーは引き攣った顔でそう拒否した。
しかし俺の血で神器の強化ができるならアーシアや木場にも試して貰うべきか。
部長に提案してから試してみよう。
有用性が確認できたら悪魔全体の力の底上げになるかもしれないし、フェニックスの涙のような貴重な交易品になるかもしれない。
体内の血液自体は赤龍帝の籠手の倍加→譲渡でいくらでも増やせるしな。
その後は、匙が仕事の手伝いと引き換えに訓練に協力してくれた。敵対勢力のトップの言葉を鵜呑みにするのはどうかと思うけど、持久走?よりはマシだろうし。
だが、やり方がわかったおかげかギャスパーもさっきよりはマシに訓練に参加してくれるようになった。
まあ、訓練自体よりも仲間と触れ合うことの方が大切なんだけどな。
帰ってきたリアス部長が用意してくれた手製のサンドイッチを皆で食べてから、俺達は夜まで訓練を続けた。
なお俺の血液については一応試して見るけど、販売までするつもりはないそうです。
売れると思うんだけどなあ。
補足・説明。
イッセーとしてはギャスパーの訓練に乗り気ではありません。
仕事してるから、身内と交流できるなら充分だろう認識です。
また精神が影響する神器に無理強いはロクな結果にならないと本能的に察しているのもあります。
なおイッセーは世界中の人々がすべてがギャスパーより強くなれば停止しないのにと不可能なことを考えていました。
そしてドライグは吸血鬼は蝙蝠などになって肉体を分割できるから、停止できなくなるまで弱体化させたらどうかと提案してブーイングされました。