ハイスクールDD原作の短編集からの話です。
長くなったので、分けます。
しかし、短編で結構色々情報ありますよね。
こんにちは皆さん。暑い夏ですね。
クーラーという、グランバハマルにはない文明の利器にときめきが止まらず、思わず恋をしてしまいそうですが、兵藤一誠は今日も元気に生きています。
『衣替えによる薄着で死にかけてるからな』
夏場とは即ちデンジャーゾーン。
今日もまたドキドキが止まらないぜ。
『そのドキドキは不整脈』
三大勢力会談というイベントが終わり、いつもの日常に戻っていた。
今日はリアス部長は生徒会室に行き、他の部員達はオカルト研究部でのんびりと過ごしていた。
「王手。僕の勝ちだね」
「むっ。詰んだ。私の負けか」
木場とゼノヴィアは将棋。
「ゼノヴィア先輩の五連敗。やはり脳筋」
小猫ちゃんは観戦。
「邪魔しないでよラッセー!」
「ガー、ガガー!(テメェが邪魔なんだよギャスパー!)」
ギャスパーはラッセーと俺の膝に座ろうと争い。
「喧嘩は駄目ですって〜」
アーシアはその仲裁をしようとしている。
「あらあら」
朱乃さんが淹れてくれたお茶を飲みながら、俺は部員達を眺めていた。
「ただいま。いま帰ったわ」
戻ってきたリアス部長。生徒会への要件は済んだのだろうか?
部員全員が揃ったところで、オカ研会議。リアス部長が困り顔で話を切り出した。
「部の活動報告書を提出しなければいけないのよ」
きちんと部費のでる駒王学園は、活動報告書の提出義務がある。
だから今日も部長自ら提出しに行ったのだが。
「表向きの活動報告書は『UFOと悪魔の関連性』のレポートで済んだわ。問題は悪魔としての活動報告書なのよ。最近色々と事件が起きていたものだから、すっかり忘れていたわ」
堕天使、アーシア、婚約、レーティングゲーム、聖剣、コカビエル、会談、和平、と色々ありましたからね。
悪魔の活動報告書。
本来なら冥界の学校に通わなければならない部長が、日本に留学するために出されている課題だ。
リアス部長は、人間との契約とは別に、日本の妖怪や魔物を研究することで単位を得ていたのだ。
貴族社会な冥界もかなり柔軟なんだなあ。
てっきり趣味やらネタやらと思っていたオカルト研究部にもきちんと意味があったようだ。
「そういうわけで、今から冥界に提出する活動報告書を作成するわ。いつも通り、まず町外れの沼に棲む物知り河童に話を聞きに行きましょうか」
居ましたねそんなの。
『悪魔に転化する前に見つけて、必死に目を逸らしたよな』
だって河童なのにラッパーだったし。
「部長、あの河童は故郷に帰りましたよ。実家のキュウリ栽培を継ぐそうです」
「そう、ここでラッパーを目指すよりは堅実だわ」
木場の言葉にリアス部長が頷いていた。
なんか河童が夢破れた若者みたくなっとる。俺は知らなかったが、この町のオカルト業界ではそれなりに知られていたようだ。小猫ちゃんなんてファンだったみたいだし。
さらに、実家は実家で跡取りが戻ってきたことで、昔ながらの妖怪式農法の伝統が保てたそうだ。
どこの世界も悩みは一緒なのか。
「では、四丁目の古ぼけた御屋敷に住み着いていた噂好きのデュラハンね」
ヨーロッパの魔物がなんで日本の片隅に住み着いているんだろう。
というかソイツも見たなあ!!
『タクシー乗り場で病院まで、とか言ってたな。馬は乗れなかったようだが』
馬は乗り物扱いだっけ?
しかし、この町って魔境過ぎませんか。
いやこの学園があるからオカルト存在が集まっているのかもしれないけど。
「あのデュラハンは先日、重度の頚椎ヘルニアになって、専門の病院に入院しましたわ」
どこからツッコめば良いのか分からないレベルだなあ。
「そう、デュラハンも大変ね」
デュラハンが頚椎ヘルニアになるという情報だけで充分な気もするけど、オカルト業界じゃ普通みたいだし無理か。
「なんか情報源らしき者たちと連絡が取れないみたいですけど、フリードとかに聞いてみますか?」
アイツならなんか詳しそうだし。
意外とコミュニケーション力が高いから、オカルト存在と知り合いになってるかも。
「それは最後の手段ね。大丈夫よ、まだアテはあるから」
どんだけ人外魔境なのこの町。
「この学園に魔物の知識が豊富な人間がいるのよ」
居るんだ、しかも人間。
パコーンパコーンとボールを打ち返す音がする。部長に連れられた先はテニス場。休日だがテニス部員達が元気に活動している。
「あんまり来たことないんだよな」
「そうなのか?」
俺の呟きにゼノヴィアが訊いてきた。
「来たら死ぬし」
「死ぬのかっ?!」
この学校って元女子校だから男子テニス部がなくて(創ろうとした勇者もいたが、スケベ心を見抜かれて処された)、テニスって体操服姿で飛んだり跳ねたりするから、目の保養だけど、心臓に優しくないんだよ。
「儚い赤龍帝」
『セットで俺を巻き込むな塔城』
見たいけど見たら死ぬ、という悲しい現実に涙を流しながら部長の後に続く。
テニス場近くのベンチで待ち合わせの約束をしているそうだ。
駒王学園は、悪魔と親交のある特殊な環境の人間も受け入れているそうで、約束の相手も悪魔の事情を知る者の一人だとか。
悪魔がきちんとした他種族との交流をしていることに驚き、そんな相手が転生悪魔になるのかなと思った。
そんな思考をしている俺の耳に、パカラパカラと馬の蹄の音が聞こえた。
「オッホッホッホ!ごきげんよう、リアスさん!貴女がここに来るなんて珍しいわね!歓迎するわよ!」
巨軀の馬に騎乗した女性が高笑いしながら現れた!栗毛を上品そうなロールにしてる、微妙にレイヴェル様とキャラ被りしている人だ。乗馬部の方だろうか?この学校ならありそう。
いや、三年のテニス部部長の安倍清芽先輩か。松田と元浜が三年を代表する美人だと写真を見せてきたな。
そして、その彼女の後ろに居る存在。彼女は首無しの甲冑騎士と二人乗りして来たのだ。
ヒヒーンと嘶く巨馬から先輩は降りると「どーどー」と宥める。かなり手慣れているようだ。同時に首無し騎士も降りてきた。
「ウフフ、良い馬でしょう?この町に住むデュラハンのスミス氏のお首が入院したので、その間預かることになりましたの」
首だけの入院で良いのかデュラハン。わけのわからない生態だ。
頭が無いけれど会釈する胴体にこちらも頭を下げる。なぜか腕にスイカを抱えているが、頭の代わりだろうか?食べ物よりボールにすれば良いと思うけど。
「あら、魔物を学校に連れこむのは校則違反よ」
初耳なんですが、そのルール。
「お首が入院中、胴体君は単独行動できないでしょう?だから、ワタクシのところで馬と共に預かっているの」
一緒に入院では駄目なのか?
先輩の話によると、胴体さんはタダ飯はいけないとテニス部のマスコットキャラクターとして働いているそうだ。生徒会長から許可はでていて、部員にも好評らしい。
オカルトの秘匿が本当にされているのか、本心から疑問である。
「それでリアスさん。何のご用かしら?」
「テニス部部長の安倍清芽さん、悪いのだけど魔物使いとしてインタビューしてもいいかしら?それと使役している魔物と妖怪についていくつか教えてくれると嬉しいわ」
魔物使いの方なんですね。使い魔マスターとの違いが気になります。
「嫌ですわよ」
部長の頼みを安倍先輩は即座に断った。
彼女は、学園に通えることに感謝はしているが、悪魔とは一定の距離をとって付き合いたい、というかなり真っ当な考えを持っていた。
「対価への警戒は分かるけど、今時、その程度の取り引きで大それたことなんてしないわよ?」
「美人を見たら死ぬ方とか居ましたけど」
森崎さんとか、あれから何度試しても女性との関わり=死、なんですが。前世で何かやらかしたのかあの人。
部長のフォローをしなければならない立場だが、つい本音が。
「命の価値は平等じゃないのよ」
そっと目を逸らして部長は言う。
そんな様子を眺めていた安倍先輩だが、何かを思いついたのか、イヤらしい笑みを浮かべた。
「ウフフ、ワタクシ、いいことを思いつきましたわ。そこまでワタクシと取引したいのなら、こういうのはどうかしら?ワタクシの使役している魔物、それにリアスさんとオカ研のメンバーでテニス勝負をするの。勝ったほうが言うことを、負けたほうはなんでもただで叶えるというのは?」
またテニスボールさんが可哀想な目にあいそうなんですが?リアス部長とソーナ会長のやらかしを思い出してあげてください。
「あら、それは面白そうね。私もテニスなら自信があるし、良いわよ。私達が勝ったら、活動報告書作成の協力してもらうわ。清芽さんが勝ったら何を望むの?」
いや、悪魔がそんな簡単に条件をのんじゃ駄目ですよね?そういえば部長は勝負事が好きだった。
安倍先輩の視線がふいに俺のほうへ向き、何やらマジマジと見てくる。
「もしかして、貴方が噂の「赤い龍の帝王」こと赤龍帝?」
「ええ、そうですけど」
どんな噂なのやら。
美少女な先輩に興味深そうに見られるのは普通なら、悪くないんだけど。この人は、グランバハマルの貴族みたいな目をしているな、奴隷やら魔獣をコレクションにしているタイプの。
「決めましたわ。私が勝ったら、彼を貸してくださる?レアなドラゴンなんて最高ですわ!悪魔の眷属だから貰うのは無理でしょうから、しばらく貸していただけるーー」
「ダメよ」
リアス部長は笑顔で拒否。笑いながらも苛ついてるのがよくわかります。部長は眷属悪魔を大事にする方だしなあ。
「イッセーは繊細なのよ、すぐに死んでしまうの。だから誰かに貸し出すなんて無理なのよ」
「環境変化に弱い熱帯魚ですのっ?!」
儚くてすいません。
『前科持ちが言うと重みが違うな』
それを言うなドライグ。
部長の反応を見て、安倍先輩は嘆息する。俺の体質を聞いて悩んだみたいだが。
「なら、このお話は無かったことに」
「了解しましたわ」
突然の第三者の声が、安倍先輩の提案を呑み込む。振り返った先には朱乃さんがいた。
「私達が勝ったら、清芽さんは報告書作成の手伝い、清芽さんが勝ったら、イッセー君を一時貸し出す。それでよろしいですわね?」
まあ眷属悪魔ですから命令には従いますが、俺の意思も聞いて欲しいな、なんて思ったり。そんな俺にデュラハンの本田君が優しく肩を叩いてきた、仕草からだが同情してくれてるようだ。
言葉が無くとも通じ合う思い。
これが、異文化交流か。
「ちょっと朱乃!」
「ねぇリアス?
報告書を忘れたのはダァレ?」
部長が異を唱えようとしたが、威圧感ある笑みを浮かべた朱乃さんの前に押し黙る。あ、かなり怒ってますねコレ。報告書をやらないと最悪強制送還ですしね。
「ハイ、ゴメンナサイ」
謝罪し、テニス勝負を再度了承する部長。
「オホホホホホホホ!商談成立ですわね!正直言って、テニス部の主将たるワタクシと対決なんて無謀ですわ!」
いやソーナ会長とのテニヌを思い出すとそうでもないような。
「さらには、ワタクシの使役するかわいい魔物達はテニスも完璧にこなしますわよ!」
使役する魔物に何を仕込んでいるんだ?それとも魔物使い業界にはそんな競技でもあるんだろうか?
「上級悪魔のテニスをお見せするわ。貴方なんかに私のかわいいイッセーを渡すものですか!」
愛されてるのは嬉しいのだけどさ。
「それは楽しみですわ!ウフフ、なら、兵藤君を借りたら、あなたとは違う方法でかわいがって差し上げますわ」
ワー、タノシミダナー。
『恐怖で膝が笑っているぞ相棒』
だって下手したら死ぬし。
「ゴメンなさいね、イッセー君」
朱乃さんが、申し訳無さそうに謝ってきた。
「いや、これも務めですから」
振り回されてはいるけど、下僕の仕事の範疇だよな。
「安心して、もし負けたりしたら。
雷光で焼くから」
本気の目をした朱乃さんの言葉。
それはドチラをですか?
とは怖くて聞けませんでした。
しかし、俺、テニスをあまりやったことないんだけど。
あ、あの手があったか。
補足・説明。
ちなみにテニス部の勇者ですが、町中でゴリラとプリクラしてる姿を目撃されたとか。どんな刑に処されたんでしょうね(すっとぼけ)。
しかし、短編だと原作イッセーすらツッコミ役になるからヤバい世界ですね。