異世界イッセー   作:規律式足

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 ハイスクールDDは短編での補完が多いですね。作者も驚いてます。



第五十九話 テニスの○○様②

 

 部長の悪魔活動報告書の手伝いを賭けたテニス決戦当日。

 そんな時間あるなら報告書を書けばよいのでは、と思わなくもないが、より良い報告書のためということにしておこう。

 

「ウフフ。逃げずに来たことだけは褒めて差し上げてよ」

 

 先にテニスコートで持っていた安倍先輩が不敵な笑みで俺達を迎え入れてくれた。フェンスの向こうでは様々な怪物が俺達を睨んでいた。物凄く失礼な話ではあるが、ライザー師匠の眷属の皆さんより強そうな集団ですね。まあ実戦だったら、師匠とユーベルーナさんの二人でなんとなりそうですが。

 ただ異様な気を発している魔獣達の中で、マスコットキャラのデュラハン胴体・本田さんがこちらに手を振ってくれた。

 これが、異文化交流。

 

「今日は、勝たせてもらうわよ」

 

 部長が自信満々に宣戦布告した。本当に勝負事大好きですよね。まあそんなとこが可愛いけど。

 

『本人に言ってやれよ』

 

 それはちょっと恥ずかしい。

 

「試合形式はシングル二戦、ダブルス一戦の三試合。二戦勝ったほうの勝ちですわ。ワタクシとリアスさんは選手として確定。残る選手はお互いくじ引きで決めましょう」

 

 くじは阿部先輩が用意してくれていた。わざわざ用意してくれるとはありがたい。しかし、テニスは授業でもやったことがないから当たらないといいのだが。朱乃さん、木場、ゼノヴィア、あとは小猫ちゃんは大丈夫だろうが、俺とアーシアとギャスパーは不安だからな。念の為に奥の手はあるけど、できれば使いたくないし。くじの先端の色が青ならシングル、赤ならダブルスだ。

 

「シングルですわ」

 

「シングルだ」

 

 良かった。朱乃さんとゼノヴィアならなんとかなりそうだ。

 

「ダブルスだわ」

 

 部長はダブルスか。ならば木場だ、木場なら勝てる。という願いは当然のように叶わず、俺の引いたくじは赤かった。

 

「私のパートナーはイッセーみたいね。頑張りましょう」

 

「セイイッパイガンバリマス」

 

 アカン、アカンて。奥の手使用確定じゃん。

 

『なんでそんなに焦るんだ相棒?』

 

 そもそもテニスのルールをフワッとしか知らんのよ。単語がカタカナばっかだし。

 

『珍しく普通に役立たずだな』

 

 はあ、使いたくないなあ奥の手。

 

『先に二勝すれば良いから大丈夫だろ』

 

 いやそれ、フラグ。

 そんなわけで一戦目。朱乃さんの相手は。

 

「よろしくお願いしま〜す♪」

 

 両腕が翼の、女の子の魔物か。しかしグランバハマルの魔獣とは大違いだな。

 

「ハーピーね。有翼の魔物だわ。主に女性が多いの」

 

 こんな魔物もいるのか。鳥寄りの存在なのか、人寄りの存在なのか気になるな。ずいぶん可愛らしいが、魔物の業界も奥が深い。胸は大きいし、足が鳥みたいだが、七割くらいは人間の美少女だな。

 そのハーピーは器用に翼でラケットを持ち、朱乃さんとコートの上で対峙する。あれじゃあ飛べなくないか?もしやダチョウタイプのハーピーとか。そんな疑問を抱きつつ、俺は朱乃さんを応援する。

 

「あらあら、隙だらけですわよ、ハーピーさん!」

 

「いや〜ん。この悪魔のお姉さん、つよ〜い」

 

 試合は朱乃さんの圧倒的な勝利で終わり。ハーピーにテニスを覚えさせたのは凄いけど、特別に上手いわけでもなかったしな。いや、ハーピーにテニスを仕込んだのは凄いけど。

 これで、一勝。元悪魔祓いで身体能力の高いゼノヴィアが勝てば自動的にオカ研の勝利だ。奥の手を使わずに済む。

 

『どんだけ嫌なんだお前』

 

 アレは多分ドライグも嫌だと思う。思いついておいてなんだが。

 

「さて、私の番だね」

 

 ゼノヴィアがラケットをクルクル回しながらコートに向かう。この学園に入学するまでスポーツ経験はなかったらしいが、体育の授業での活躍ぶりは聞いているからな。きっと大丈夫だろう。

 

「お相手願います」

 

 対戦相手は、下半身が蛇の女性。これまた容姿が整っているな。まあ女タイプの魔物は美人であることが多いよな、人魚とかアラクネとか。

 

「ラミア族ね。彼女達も女性が多い種族よ」

 

 そんな外国の魔物がまたなんで日本に。俺が首を傾げていると、デュラハンの本田君が皆にスイカを振る舞ってくれていた。あ、冷たく美味しい。しかし小猫ちゃん、暇だからってスイカ半分は食べ過ぎでは?

 第二戦は意外な展開となった。

 

「む、やる!」

 

 ゼノヴィアは苦戦していた。

 

「そこ!」

 

 ラミアとテニスの噛み合わせは思いの外、良かったのだ。コート中央にデンと構え、ボールは長い身体を活かして拾っていた。コート上を駆け回るゼノヴィアよりも有利だったというわけだ。

 

「申し訳無い、力量不足だった」

 

 部長に謝るゼノヴィア。かなり見応えある試合だから良かったとは思う。

 

「問題ないわ、私とイッセーで決めてくるから!」

 

 その俺が足手まといなんですが。

 

「ワタクシも最後のダブルスに当たりましたわ。パートナーは雪女ですわね。おいでなさい、ワタクシの可愛い雪女ちゃん!!」

 

 阿部先輩が怪物の群れに向かって叫ぶ。

 雪女か、薄い着物を着た妖艶な美女とうイメージなんだが、どうなんだろ?

 しかし、真夏のテニスコートに連れてきていい存在なのだろうか?

 

「ホキョォォォォオオッッ!!」

 

 あ、杞憂でしたね。

 だって雪女がゴリラだもの。

 白いゴリラがドラミングしながら咆哮をあげてるもの、夏の暑さぐらいなんてことねえよアレ。

 

「紹介しますわ。雪女こと、イエティ(メス)のクリスティよ」

 

「ウホホ」

 

「ア、ドーモ」

 

 日本で語られる雪女は別口の妖怪か、神器所有者だったのかね。

 

「あら、クリスティに対して反応しないとは驚きですわね。大抵の方は叫びますのに」

 

 まあ、イメージとの差が激しいし。

 

「不条理には、慣れてますから」

 

 グランバハマルの魔獣は大抵クリスティみたいなのだったし。

 

「イッセー、雪女の冷凍ブレスは強烈よ!食らえばたちまち氷の像よ」

 

「氷漬けには慣れてますけど。イエティか雪女かで名称を統一しません?」 

 

 メスしかいないのかイエティ。

 

「イエティ達が、雪女の方が良いって騒ぐのよ」

 

「オスのイエティさん達が可哀想なんですが」

 

 雪女のオスです、ってどんな気持ちで名乗っているんだろうか。

 

「さあ、最終戦の始まりですわ!」

 

 うん、こんなツッコミどころ満載の人の所に派遣されたらツッコミ死する。なんとしても勝たないと。

 やはり、やるしかないか。

 

「イッセーさん、応援します!クリスティちゃんに負けないで!」

 

「頑張ってね、イッセー君。カッコいいところを期待してますわ」

 

 オカ研の皆が応援してくれる。けどすいません朱乃さん。カッコいいところは見せられません。

 相手は、ブンブンとドデカイラケットを振る雪女(メスイエティ)と、テニス部部長。リアス部長がテニスに自信があるとはいえ、あまりにも不利。

 だから、

 

「形貌変躯」

 

 なるしかない、あの最強の生物に。

 

「え、誰?」

 

「変身、した?」

 

「いや、誰?」

 

「なんですの」

 

「ウホホ?」

 

『田淵先生じゃん、懐かしいなオイ』

 

 眼鏡をかけた腹の突き出た中年男性へと変身した俺。本人に会ったことはないが、無事に成功したな。

 

「○~♀❇∥‡!!」

 

 陽介さんの中2の時の担任である、討論のマジ強い男性。恐ろしい怪物だがこの場合は頼るしかない。

 

「勝負をつけよう。

 俺が田淵先生に成り代わる前に」

 

「「「「無駄にリスク高っ!!」」」」

 

『変身魔法ってそんなもんだからな』

  

 さあ、刮目せよ。

 最強生物の実力を。

 

 

 

「私達の負けですわ。仕方ないですわね、インタビューにお答えします」

 

 と阿部先輩はつまらなそうに呟いた。

 俺達は勝った。

 流石は最強生物、田淵だ。

 

「イッセー、なんでさっきの人に変身したの?てっきり未来の姿になるのかと」

 

 そっちもゴリラですけどね。

 嫌ですよゴリラ対決とか。

 

「田淵先生、テニス部の顧問だったので」

 

 いやー、陽介さんから聞いておいて良かった。

 

「「「えええーっ!!」」」

 

 真夏の空にオカ研の叫びが響くのであった。

 





 補足・説明
 
 タイトルなんですが最初は、テニスの最強生物様。でした。モロバレだからやめましたが。
 原作だと主人公とデュラハンがキレる、雪女イエティですが、この作品ではスルーします。
 それ言ったら、リアス達も悪魔らしくないですし。
 ちなみにクリスティは、日本アルプス出身らしいです。
 田淵先生で勝てた理由はイッセーの身体能力だからですね。ルールとか知らないから不安だったのです。

 次回は、また短編やるか本編5巻にするか悩んでます。
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