異世界イッセー   作:規律式足

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 5巻開始です。



第六十話 冥界へ

 

 阿部先輩とのテニス対決で最強生物となった日から時は流れ、俺・兵藤一誠は高校生活二度目の夏休みを迎えております。

 テニス対決以降、デュラハンの本田さんとメル友(古い)になったり、阿部先輩からも依頼を受けたりするようになりました。

 依頼内容は買い物の付き人をやれなどで、それを知ったリアス部長達がデートじゃないかと憤慨したりしましたが、最近ではそんな嫉妬する彼女達が可愛らしく思えてしまいます。

 そんなこともあってか、就寝時にはリアス部長やアーシアだけではなく、朱乃さんも寝室に訪れるようになって、朝まで快眠な日々です。

 

『いやそれ気絶』

 

 大きな出来事と言えば、夏休みに入ってすぐに我が兵藤家自宅のリフォーム、建て直しが行われました。

 正確には、父が三十年ローンを組んだマイホームは壊さずに、そのまま冥界のグレモリー家に転送されたそうです。今はグレモリー本邸の庭にありますが、正式に俺の領地が決まったらそちらに動かすそうです。どこにするかは両親の希望を第一にするとしましょう。

 そして新たな兵藤家ですが、悪魔の力をフル活用したおかげか、家族皆で焼き肉に行っている間に工事は終了して、以前の五倍くらいは大きくなりました。

 

「たまげたなあ」

 

 ニンニク臭漂わせる父の言葉が、兵藤家全員の本音でした。

 凶悪性と強さと非情さと残酷さはグランバハマルの方が遥かに上だと思いますが、こういった生活に関わる力の使い方ではこちらの世界も負けてはいません。

 ちなみに隣近所の皆さんは、好条件で他所に引っ越されたそうです。今後、より悪魔関連の騒動があると考えると安全面からもそうした方が良いですね。

 新たな兵藤家の間取りは、一階は客間とリビング、キッチン、和室。二階は俺、部長、アーシアの部屋で、俺の部屋を挟む形です。なお部屋からの行き来も可能なので、より入り浸る未来が見えますね。

 家具も元あったものは、前のマイホームにそのまま置かれて、新しく購入しました。そのお金までだされて両親が恐縮していましたが、悪魔側の事情だからと押し切られてしまいました。巨大なテレビとシャンデリアまであり驚きましたね。

 三階は両親の自室、書斎、物置。四階は、朱乃さんとゼノヴィア、あとは小猫ちゃんも引っ越す予定です。神社は良いのかなと朱乃さんを見たら、幸せそうに笑っていたので何も言えなくなりました。

 

「朱乃と距離が近いわ」

 

 リアス部長から頬を引っ張られます。最近は嫉妬が激しくなりがちですね。ただ、彼女らとの触れ合いも身体が大分慣れてきたようで、以前よりはマシになりました。エロ関連のジャッジは厳しめですが。

 五階と六階はまだ空き部屋状態で、今のところはゲストルームの予定でしたが、いつの間にか一部屋をライザー師匠が占拠してました。リアス部長は荒れましたが、俺は嬉しいので問題無しです。

 さらに屋上には庭もあって、父はそこに野菜を作りたいそうです。屋上だと虫が来にくいから意外と良い場所らしいですが、受粉を虫だよりにできない手間がかかりますね。

 トドメに地下も三階まであり、地下一階は広いスペースでトレーニングルームや、映画鑑賞もできて、大浴場も設備している。地下二階は丸々室内プール。地下三階は書庫と倉庫。

 SEBAの某歌劇団の劇場みたいな豪邸ですね。ネタをふったら空中要塞にされそうなのでやめときますが。

 さらにさらに、エレベーターもあり、四足歩行の方や下半身が蛇な方も移動しやすいバリアフリーとなっています。

 兵藤家というより、グレモリーの拠点となった我が家ですが、家族全員それを受け入れているから問題はないですね。

 

 

 

 そんな新たな兵藤家の、自室でのことです。

 

「冥界に帰る、ですか」

 

 自室でまったりしていた俺に、部長はうなづいた。俺の部屋にはオカルト研究部のメンバーが集合している。

 同居しているメンバーはラフな格好で、到着したばかりの木場と小猫ちゃんは普段着だ。なおギャスパーは女装姿でダンボール箱へ、その上にはラッセーが乗っかっている。

 これだけ人数がいても、新たな部屋は余裕があり、高そうなデカいソファーに座りこんでいた。

 

「夏休みだし、故郷へ帰るの。毎年のことなのよ」

 

 帰省、というわけですね。

 授業参観でわかったけど、家族仲も良いから向こうも待っているだろうし。

 

「そういうわけでもうすぐ皆で冥界に行くわ。長期旅行の準備をして頂戴ね」

 

「いつ異世界行っても平気なように、常に準備はすんでます」

 

 空間魔法は便利だよな。

 カレー粉とか、前回欲しかった物は常備してある。

 

『そろそろ整理したほうが良くないか?』

 

 む、確かに。

 すぐに取り出せるからと適当にぶち込んでいるからな。

 

「さり気なくトラウマ感があるわねイッセー。グランバハマルの記憶は見たいけど、お兄様に止められているのよね。 

 アーシアはラッセーの時に行ったけど、ゼノヴィアは初めてだったかしら?」

 

 部長の問いにアーシアが頷く。

 

「は、はい!二度目ですが、生きてるうちに冥府に行くなんて緊張します!し、死んだつもりで生きたいとおもいます!」

 

 アーシア、混乱してるのか、意味がわからないこと言ってるよ。

 

「冥界か。天国に行くために主に仕えていた私が、悪魔になって地獄に行くとは。なにやら皮肉な話だな」

 

 ゼノヴィアが元悪魔祓いだからか沈んでいるよ。

 

『魂だけで移動したグランバハマルも近い場所かもな』

 

 グランバハマルは地獄だった。

 まんまじゃねえか。

 

「八月の二十日過ぎまで残りの夏休みをあちらで過ごします。こちらに帰ってくるのは八月の終わりになりそうね。修行やそれら諸々の行事を冥界で行うから、そのつもりで」

 

 夏休みのスケジュールはそんな感じか。ミルたんに連絡入れておかないと。松田と元浜にもだな、去年も海やらプールやらナンパに誘ってくれたし。

 すこし残念かな、アイツラも楽しい友達だから。

 

「ごめんなさいね、イッセー。予定を勝手に決めてしまって」

 

 俺の表情を察したリアス部長がそう謝ってきた。

 

「気にしてませんよ。むしろ楽しみなくらいです」

 

 死者の魂が辿り着く場所で、管理する領域もある冥界か。どんなとこなのか。

 

「俺も冥界に行くぜ」

 

『ッ!?』

 

 アザゼル先生の声に皆が驚いていた。

 イケメン黒髪男性が突然出現したように感じた部長達は面食らっていた。

 

「ど、どこから入ってきたの?」

 

 部長が目をパチクリさせながら訊く。

 

「うん?普通に玄関からだぜ?イッセーは気づいていたしな」

 

 そうは言いますが、部長達を驚かすために気配を隠してましたよね。俺と目があった時に、バレた、って顔になったし。

 

「ま、修行不足だな。それよりも冥界に帰るんだろう?なら、俺も行くぜ。俺はお前らの『先生』だからな」

 

 会談から僅かな期間ではあるけど、豊富な神器の知識と、百戦錬磨の経験から、指導役として全員が認めるところ。

 戦闘者、発明家、研究者、政治家、指導者と万能な天才とはまさに彼のことだろう。

 アザゼル先生は懐からメモ帳を取り出すと、開きながら読み上げる。

 

「冥界でのスケジュールは、リアスの里帰りと、現当主に眷属悪魔の紹介、兵藤ご夫妻との顔合わせ。あと、例の新鋭若手悪魔たちの会合。それとお前らの修行だ。俺は修行の監督で、お前らの予定がある時はサーゼクス達との会合か。ったく面倒くさい」

 

 本心から面倒そうなアザゼル先生。やるべきことはきちんとやれるから本当に凄い人だよな。ちなみに慕われている証として、この町に堕天使達がよく来るようになった。側に仕えたいと願われるくらいなんだよな。

 

「では、アザゼル先生も冥界まで同行するのね?行きの予約もこちらで一緒にしますか?」

 

 部長の問いに先生は頷く。

 

「ああ、よろしく頼む。悪魔のルートで冥界入りするのは初めてだ。いつも堕天使ルートだから楽しみだぜ」

 

 冥界か、どうやって行くのか。魔法陣ならルートを楽しみとか言わないだろうし、乗り物か、なにかか?

 冥界は悪魔と堕天使で両断された、海の無い地球のようなとことしかまだ知らないんだよな。

 

 とりあえず、連絡しとくか。

 

『すまん。今年はお前らと海に行くのはパスだ。部長達と予定があってな。二人の夏の成功を遠い空の下で祈っている』

 

 メール送信、と。

 

『死ぬなよ!!遠い空の下とか不穏な響きなんだがっ?!』

 

『荒療治?!リアス先輩は焦り過ぎだろ!!』

 

 親友達よ。

 今年は救命活動無き夏休みを堪能してくれ。





 補足・説明。

 原作より、アザゼル先生は敬われてます。イッセーをからかわない分だけ真面目に見えますから。

 松田と元浜
 イッセーが心配でナンパに集中できなそう。



 感想いつもありがとうございます。
 返信は滞ってますが、楽しみに見て、仕事と執筆の活力になっています。 

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