今話は、特にとある人物達にアンチ・ヘイトが強いので閲覧注意です。
若手悪魔達の会合前に起きた一騒動。
それを俺、兵藤一誠が威圧でおさめた後、破壊された大広間は駆けつけたスタッフによって修復され、ほぼ元に戻った。
改めて若手が集まり、主達のみで挨拶を交わしているが、遅れて来られたソーナ様以外の彼ら彼女らの意識は俺へと向いていた。
それぞれ名乗りを上げているが、それも俺に言っているようにも聞こえた。
主であるリアス・グレモリー様と、面識あるソーナ・シトリー様を除いて、
アガレス家次期当主、シークヴァイラ。
バアル家次期当主、サイラオーグ。
アスタロト家次期当主、ディオドラ。
グラシャラボラス家次期当主、ゼファードル。
アガレス家は大公、バアル家は大王、他四家は現四大魔王を輩出した家となる。
ただ、グラシャラボラス家に関しては、次期当主候補の方が不慮の事故死をとげられ、急遽ゼファードル様が擁立された形らしい。そのためか御本人もやる気はなく、今回の顔合わせも無理やりだったとか。
柄の悪いヤンキーにしか見えなかったゼファードル様だが、亡くなられた次期当主候補様のことを口にする時にだけ、確かに辛そうな表情をされたのだ。
しっかりと話せば問題ない人物かもしれない。そんな風に俺は思った。
ちなみにもう一人気になったディオドラ・アスタロト様についてだが。
人の良さそうな顔して自分以外の全てを見下す、実に悪魔らしく、貴族らしい、そんな人物のように感じた。
挨拶も済み、軽く雑談していたが、ついに伝統行事がはじまる時間となった。
若手悪魔の面々が案内されたのは、異様な雰囲気が漂う場所。
若手悪魔達を見下ろせるよう高さのある席に上層部の方と魔王様方は座っていた。
俺達眷属悪魔は、それぞれの主の後ろに並んで待機している。始まるまでの静寂、この身の引き締まるような緊張感は嫌いではない。
いよいよ始まりなのか、リアス部長を含めた若手六人が前にでる。
「よく、集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認するため、集まってもらった。これは一定周期ごとにおこなう、若き悪魔を見定める会合でもある」
初老の男性悪魔が手を組みながら、威厳ある声で言う。
「さっそく、やってくれたが。まあ仕方あるまい」
他の方がため息をつきながら言うが、やらかした本人であるゼファードル様は知らん顔だった。
「キミたち六名は家柄、実力的に申し分のない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めて貰おうと思う」
一番上の段のサーゼクス様がそうおっしゃった。
力を高め合う、レーティングゲームでも行うつもりなのだろうか?アザゼル先生も、冥界の合宿中にレーティングゲームをセッティングしたと言っていたしな。
「我々もいずれ『禍の団』との戦に投入されるのですね?」
サイラオーグ様がそう質問される。戦の矢面に立つのは貴族である上級悪魔の義務。気になるのも当然か。
「それはまだわからない。だが、できるだけ若い悪魔は投入したくないと思っている(赤龍帝以外)」
なんかサーゼクス様が本音を隠して質問に答えたような気がする。だがその答えにサイラオーグ様は納得できないようだ。
「なぜです?若いとはいえ、我らとて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先人の方々からご厚意を受け、なお何もできないとなれば」
「サイラオーグ、その勇気は認めよう。しかし、無謀だ。成長途中である君達を戦場に送り、失ってしまうという最悪の事態を私は避けたいのだ。
君達は宝だ。だからこそ、今はまだ段階を踏んで成長して欲しいと思っている(イッセー君がいるし)」
なんかサーゼクス様がチラチラとこちらを見ているような気がするな。サイラオーグ様は不満のありそうな表情で一応納得してくれたようだ。
その後は、上層部の方々からのお話や、魔王様からの今度のゲームについてなどの興味深い話が続いた。うむ、実に為になる。
「さて、長い話に付き合わせて申し訳なかった。なに、私達は若いキミ達に、私達なりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい」
サーゼクス様の言葉に全員が聞き入っていた。本心からの言葉こそ聞く相手の胸を打つものだからな。
「最後にそれぞれの今度の目標を聞かせて貰えないだろうか?」
サーゼクス様の問いかけに最初に答えたのはサイラオーグ様だった。
「俺は魔王になるのが夢です」
魔王か。当代は亡くなった先代の役職を継いだ形だが今後はどうなるか分からないからな。
先代のように亡くなられた穴を埋める形にはならないと良いが。
まあ、見た限りだと殺しても死なないような方々のように感じたが。
「私はグレモリーの次期当主として生き、レーティングゲームの確実大会で優勝することが近い将来での目標ですわ」
続いてリアス部長が発言した。
堅実ではあるが彼女らしい。眷属として主の目標を叶えてみせなければな。
その後に、アガレス、アスタロト、グラシャラボラスと続いた。サイラオーグ様のような大胆な夢ではなく、部長のように堅実な目標だった。
だが、最後に残ったソーナ様。彼女が口にした目標の件で騒動が起きることになった。
「冥界にレーティングゲームの学校を建てることです」
? よく分からないな。
シトリー家がグレモリー家と同格ならば、自領に建てたければすぐに出来ると思うのだが。
まあ、人の目標をどうこう思うのは野暮な話だな。
そう俺は思ったのだが、上層部の方々は眉根を寄せていた。
「レーティングゲームを学ぶところならば、既にある筈だが?」
確認するようにソーナ様に訊く。
あるのか、ならばソーナ会長達はそこで学んでから建てるのだろうな。
「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔しか通うことが許されない学校のことです。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える別け隔てのない学び舎です」
何を言っているのか分からないな。
レーティングゲームの学校を建てたいのか、下級悪魔や転生悪魔も通える学校を建てたいのかどっちなんだ?
そもそもレーティングゲームに参加できるのは、悪魔の駒を下賜される上級悪魔ではないのか?
いや、俺が考えることではないか。
ソーナ会長の眷属である匙は誇らしげに聞き入っているが、目標の詳細を聞いているのかな?
しかし、
『ハハハハハハハハハッ!』
会場の皆様方は笑いだしてしまった。
どうしよう、笑う箇所がわからない。
「それは無理だ」
「これは傑作だ!」
「なるほど夢見る乙女というわけですな!」
「若いというのはいい!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせの場でよかったというものだ」
わからない。
具体性が無さすぎて意味がわからない発言をしたから可笑しいのだろうか?
「私は本気です」
セラフォルー様もうんうんと力強く頷いていた。「よく言った!」と言わんばかりのご様子だ。魔王という立場上、妹を応援できないがそれでも心配なんだろう。
「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔・転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出されるのが常。そのような養成機関を作っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰すことになりますぞ。まったく関係ない、たかが下級悪魔に教えるなどと」
別に教育程度は良いのでは、と思うが。実力高い悪魔を養成し、そこから眷属を選出することに問題はないだろうに。悪魔の駒により、実力は底上げされるのだから。
ただ、それはレーティングゲームの王を育成する学校ではなく、レーティングゲームの駒を育てる学校になるな。
ソーナ会長はどうしたいのやら。
ますます混乱する俺だが、上層部の発言に我慢できなくなった匙がやらかしてしまう。
「黙って聞いていれば、なんでそんなに会長の、ソーナ様の夢を馬鹿にするんスか!!こんなのおかしいっスよ!叶えられないなんて決まってないじゃないですか!俺達は本気なんスよ!」
匙よ。この会合で眷属悪魔に発言権は無いし。こう言った場合はまずは発言の許しを得て言うべきだし、そもそも敬語ができてないし、感情のまま怒鳴っちゃ駄目だろう。主への忠誠心以外は問題しかないぞ。
友人のやらかしに俺は頭を抱えたくなる。
「口を慎め、転生悪魔の若者よ。ソーナ殿、眷属の躾がなってませんな」
だからこうして主の評価が下がるんだよ。
「申し訳ごさいません。あとで言ってきかせます」
そして下げる必要の無い頭を下げさせる。
「会長!どうしてですか!この人達、会長の、俺達の夢を馬鹿にしたんスよ!どうして黙っているんですか!!」
「サジ、お黙りなさい。この場はそういう態度を取る場所ではないのです。私は将来の目標を語っただけ。それだけなのです」
会長が目を細め、匙も黙ったところで、場を引っ掻き回す声が響いた。
「ならなら!ウチのソーナちゃんがゲームで勝てば文句ないでしょう!ゲームで好成績を出せば叶えられるものも多いのだから!」
ここで貴女が出張るのもソーナ様の評価を下げるだけだと思いますが、セラフォルー様。
セラフォルー様がソーナ様を虐めるオジサマ達を虐めちゃうと発言した上、ガチで魔力を集めだしたので、割って入ろうと身を乗り出したところで、サーゼクス様の声が聞こえた。
「ちょうどいい。ではゲームをしよう。若手同士のだ」
レーティングゲーム、か。
「リアス、ソーナ、戦ってみないか?」
相変わらず人が悪い。
ライザー師匠の時と同じことをしようとされるとはな。
そのサーゼクス様からの提案に、リアス部長とソーナ会長はお互いの顔を見合わせ驚いていた。
そして俺は苦虫を噛み潰したような表情となる。
「もともと、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲームファンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させようと提案していたからね。だからこそ、ちょうどいい。リアスとソーナで1ゲームを執り行ってみようではないか」
元よりやろうとしていた企画をそう活用するのか。俺達の相手はソーナ・シトリー眷属、駒王学園生徒会か。
リアス部長と、ソーナ会長はそれぞれやる気のある表情を浮かべていた。
「公式ではないとはいえ、私にとっての初のレーティングゲームの相手が貴女だなんて運命を感じてしまうわね、リアス」
「競う以上は負けないわ、ソーナ」
幼馴染で何かと張り合う友人同士だからこうもなるか。
「リアスちゃんとソーナちゃんの試合!うーん☆燃えてきたかも!」
貴女は本当に自重してください。本気でやり合うかと思ったんですからね。
「対戦の日取りは、人間界の時間で八月二十日。それまで各自好きに過ごしてくれ。詳細は後日改めて送信する」
これで終わりか。
そう俺が一息ついたところで、サーゼクス様はさらに話を続けた。順当だが、あまりにもソーナ様達には屈辱的なルールを。
「なお、リアス・グレモリーの兵士である赤龍帝・兵藤一誠にはいくつかの制限をかける」
「「「「!?」」」」
「「「「!?」」」」
まあ、全盛期に変身とか駄目だよな。
「お待ちください!サーゼクス様!」
「これは、決定事項だ」
抗議するソーナにサーゼクス様は一切取り合わず、レーティングゲームは決定したのだった。
補足・説明。
多くの作品でツッコまれるソーナ会長の夢。作者もそれらの作品の影響を受けています。
原作イッセーは、とにかく『差別』に対しての拘りが強く、差別するヤツ=悪いヤツになってました。あとお偉いさん呼びなど無礼だらけです。
当作品のイッセーは、貴族だから差別して当然という認識で、差別しても区分であり、迫害でないなら反感をもちません。
ソーナ会長の夢に関しても、意味が分からない、というのが本音です。詳しくは次話にも触れます。
ただ、作者としては、学校を建てるだけなら問題ないが、自領のみで無い点と、レーティングゲームの制度の変更を求めてるように感じたのが問題だと思います。
スポーツや将棋などで女性の参加やリーグを創るのも大変だったのに、貴族が絡んでいる上、さらに困難なゲームですから。