異世界イッセー   作:規律式足

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 その頃の桐生さん。

 アーシアとイッセーが進展することを望みつつ、木場✕イッセー本を書いてる。
 腐女子ではなく興味津々なだけ。



第六十八話 山籠り②

 

 夏休みになりグレモリー領にて山籠りを開始してから数日。

 ドライグ発案の強化案は、アニメの影響受け過ぎてお前それで良いのかと思わなくもないが、有用性は高いのでなんとか実現できないかと試行錯誤してみた。

 聖書の神が創り出した至高の宝具たる神器の、その形状を変えるなんて無茶な試みは、あっさりと成功した。

 赤龍帝の籠手に悪魔の駒の特性を合わせた、最適な形態はとりあえず形になったのだ。

 これは神器のもとからの仕様なのか、それともグランバハマルの神に転移させられた影響なのか、と答えのでない疑問を抱いてしまうが、良い結果にはかわりはない。

 強くなった、というよりは手加減しやすくなったというのが本音だが、破壊してもさほど影響の無いグランバハマルと違って、こちらの世界は周りにも相手にも気を遣う必要があり、手加減しやすくなるのは大きなプラスとなるのだ。

 山籠りと言えば、タンニーン様との関係もここ数日で大分改善した。最初は捕食者を見ているような目だったタンニーン様だが、俺達がこうならざる得なかったと察して、憐れみから優しくなってくれたのだ。

 また、冥界のドラゴン達の長として強き同胞の存在は歓迎するものだったんのだろう。

 一緒に狩りをしたり、自領に遊びに来いと誘われたりするほどに親しくなった。

 ちなみに、一度タンニーン様の全力のドラゴンブレスとぶつかってみたりもした。興味本位からの力比べだったのだが、流石な元六大龍王だ。隕石の衝突に匹敵すると称された息吹の威力は絶大で、俺も禁手を発動して、精霊魔法の光剣顕現を強化することでなんとか斬り裂くことができた。龍殺しの聖剣であるアスカロンでは耐えきれなかったであろう劫火。恐ろしい限りだ。

 覇龍を用いられたらどうかは分からないが、タンニーン様は白龍皇ヴァーリよりも強いと俺は感じた。

 なんか最近、強さの基準がヴァーリになりつつあるな。現段階ではわかりやすい目安だけど、彼もこの世界では上澄みの強者なんだがなあ。

 

「おー、やってんな。どうよ」

 

 そんな日々を過ごし、現在はタンニーン様と狩った巨大猪を解体していたところでアザゼル先生が声をかけてきた。

 

「美味いです」

 

 差し入れしてくれたリアス部長達による手製の弁当。アーシア、朱乃さん(あと木場)も作ったため品数が多く豪勢だ。

 解体途中だった巨大猪はそのままタンニーン様のオヤツになりバリバリと平らげられていた。

 今更だけど、ラッセーも連れてくれば良かったかな?家で飼ってるせいか最近野生を失いつつあるんだよね、あの子。

 

『アニメ見ながらオヤツを食ってたしな』

 

 ヤバいなソレ、ドライグじゃん。

 

『半ば隠居したようなもんだから俺』

 

 ドライグ化(自堕落ドラゴン)しつつあるラッセーに危機感を抱きつつ、弁当を頬張る。どれもうーまーいーぞー!

 

「グレモリー邸から食事を貰っていると聞いたから、サボっていると思っていたが、きっちりサバイバルをしていたんだな」

 

 建てられたツリーハウスを見て、解体されていた巨大猪を思い出しながらアザゼル先生は俺にドン引きしつつ言う。

 

「人間界とは違い、思い切り身体を動かせるのは気持ちがいいですね」

 

 元が人間だからかそこまで感じてなかったが、もどかしさに似た不満は蓄積されていたのだろう。

 いつも、ではなくても良いので偶に冥界に訪れたいものだ。

 

「わからんでもないが、程々にな。人間界で異形種が暴れる理由も大概がソレだからな」

 

 だろうなあ、と納得できる。

 人間界は快適ではあるが、窮屈でもあるのだから。

 

「そうだ、イッセー。サーゼクスからお前のレーティングゲームでの制限について言われたぞ」

 

「制限ですか。一撃くらったらアウト、とかですかね?」

 

 ソーナ様達には悪いが、それぐらいじゃないとレーティングゲームはともかく戦いにはならない。

 

「いや、精霊魔法と覇龍の禁止だ」

 

「制限になってますかソレ?」

 

 もとから使う気なんてなかったんだが。

 ライザー師匠相手に精霊魔法と禁手を使ったのは、彼が不死身のフェニックスであるからだ。

 よほどの相手でもないと、その二つは過剰過ぎる火力だ。

 

「覇龍を使えることに俺は驚いているけどな。強大な魔物を封印した一部の神器、独自の制御と封印の施されたソレらのみに許された暴走形態」

 

 そんな感じだったのかアレ。

 体得した時が半端なくピンチだったからさほど意識をしてなかったんだが。

 

「一時的に神に匹敵する力を得られるが、寿命を大きく削ること、理性を失うリスクがあるんだがなあ」

 

「寿命は倍加で伸ばしましたし、理性は失う余裕がなかったですね」

 

 暴走していたのは神化魔炎竜に変身していた陽介さんの方だったな。あんなの相手に理性を失ったら即死だったし。

 

「サラリととんでもないことができるのな。ウチのヴァーリだって、膨大な魔力を消費して数分間だけ扱えるってのに」

 

 ウチのヴァーリ、と言ったことに気づいてアザゼル先生は、ハッとした表情になる。離反され、テロリストになろうともアザゼル先生にとって、ヴァーリは身内なんだろう。全く情の深い方だ。

 しかし、寿命ではなく膨大な魔力で代替可能なのか。今後はそうしよう。今の状態だと寿命の倍加はかなり難しいからな。ダメージもそうだが、一部の倍加付与に関してはグランバハマル時代の姿でないと使用できないのがもどかしくなる。

 

「二天龍の争いは、先に覇龍に目覚めた方が確実に勝ってきた。当代で赤龍帝が勝つのも納得だな」

 

 タンニーン様の言葉に俺はゲンナリとなる。自爆形態の早い者勝ちな因縁対決とか不毛過ぎるだろ。

 

『今の俺なら同意見だな』

 

 覇龍に至ること、それが最強の証明であることのように感じていた自分が虚しく感じるとドライグは言う。

 そんなモノでは勝てない存在にグランバハマルで遭遇したからな(あとミルたん)。

 

「イッセー、話は変わる」

 

 突然改まった口調でアザゼル先生が呼びかけてきた。

 

「はい」

 

 その様子に俺も気を引き締める。

 

「おまえ、朱乃のことをどう思っている?」

 

 アザゼル先生と朱乃さんのつながりを考えれば、当然の質問か。

 

「良い先輩で、素敵な女性、こんな俺を想って慕ってくれる人、ですね。いずれはその想いに応えたいと思っています」

 

 今は体質的に無理だが、精霊が絡んでいるとなると、成人したら治る可能性が高いんだよな。

 

「そっか。安心したぜ」

 

 ふぅとアザゼル先生は息をはいた。

 

「朱乃さんのお父さんについて、ですね」

 

「まあな、俺はダチの代わりに朱乃を見守らないといけない部分もあってな」

 

「古参の配下ってだけじゃないんですね」

 

「バラキエルは配下ってよりシェムハザと同じ大昔の仲間で、同時期に親父殿・聖書の神に創造された兄弟みたいなもんだ。散々一緒になってバカをやったもんだ。気づけば俺の周りは妻子持ちばかりさ」

 

 深くため息をつく先生。この人って独身を気にするタイプだったのか。

 

「大丈夫です。現四大魔王もサーゼクス様以外は独身子無しですから」

 

 グッと親指を立てたら、アザゼル先生は死んだ目になった。

 

「欠片も慰めにならねえよ。つーか大丈夫なのか悪魔達」

 

 婚期がタブーだとしっかり覚えておこう。しかし、四大天使も未婚らしいし良いのでは?

 なんか、先代の四大魔王とサーゼクス様の方が例外な存在みたいに見えてきたな。三勢力のトップ未婚だらけじゃねえか。

 

「まあ、それはともかく、俺は朱乃のことが気になるのさ。バラキエルや朱乃にとってみれば余計なお世話かもしれないがな」

 

「アザゼル先生って、情に厚いし、世話焼きですよね。慕われるのも納得です」

 

「ただのヒマで好き放題してるだけの独身堕天使だよ。おかげで白龍皇も育てちまったがな」

 

 でっかくなったガキ大将。

 きっとそれが堕天使総督アザゼルという男になんだろうな。陽介さんとは違う意味でカッコいい大人だ。

 

「ともかく、朱乃のこと、お前なら任せられるかもなんて思っている」  

 

「それは、また随分と見込められたものですね」

 

 彼女に何かあれば何があっても助けるつもりではあるが。もっとも朱乃さんに限らないのが、俺の優柔不断なところだが。

 

「あー、けど。気をつけろよ。この間、朱乃と同じタイプの古代魔導具を俺に売ったろ?凄い顔になってたぞアイツ。なるべく早く別のプレゼントを渡すことをオススメする」

 

「陽介さんがやらかした時のエルフさんみたくなってましたからね。けど唐突なプレゼントはご機嫌とりにしか見えないので、タイミングを見計らってます」

 

「先達から学んだか。

 わかってんならいいや」

 

 うん、渡した瞬間ヤベェと思ったからね。

 陽介さんの指輪関連によく似た状態になったよ。記憶再生では面白かったけど、自分のこととなるとマジで怖いから。気付かない陽介さんは本当に凄いや。

 

「朱乃に関してはお前に任せる。それより問題は小猫か」

 

「やっぱり、問題が起こりましたか」

 

 予想していたことに俺は頭を抱える。

 

「どうにもな。焦っている、というよりも自分の力に疑問を感じているようだ」

 

「グレモリー眷属の加入者と成長が凄まじいからですね」

 

「だろうな。俺が与えたトレーニングを過剰に取り組んでてな。今朝、倒れた」

 

「そうなりましたか」

 

 なるだろうなと思っていた。だが実際にそうなると苦いものを感じる。

 

「怪我はアーシアに治療して貰えるが、体力だけはそうはいかん。特にオーバーワークは確実に筋肉などを痛めて逆効果だ」

 

 二十日という短い期間が、焦りを増幅させたのか。休んでいるが、心はどうなるか。

 

「小猫は今日は休ませるとして。さて、行くか。イッセー、お前を一度連れて戻れと言われたんでな。グレモリーの別館に行くぞ。タンニーン、少しの間返してもらう。明日の朝に戻す」

 

「気にするな。見てるだけだったからな。俺も一度自分の領地に戻ろう」

 

 ワープした列車でもかなりかかる距離をひとっ飛びとは流石ドラゴンだよな。

 

「なにか用事ですか?」

 

「グレモリー家の女主人。ヴェネラナ殿がな」

 

 奥さまか、どんな要件だろうか。

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