異世界イッセー   作:規律式足

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 その頃の親友二人。

 海へとナンパへ出かけたが、イッセーからお土産はイノシシの干し肉か毛皮で良いか?というメールが送られてきて真剣にイッセーが心配になった。 
 ナンパする気にならず海を堪能していたら、海水浴場に迷い込んでいた人魚姫(年齢不詳)を助けてしまい、危うく第二、第三の浦島太郎か、人魚姫(年齢不詳)の婿になるところだった。亀じゃないんかい。



第七十話 匙の夢。

 

「では俺はこれで。魔王主催のパーティには俺も出席する。また会おう、兵藤一誠。それとマダ、ドライグ」

 

「ありがとうございました、タンニーン様」

 

『なあ今、マダオって呼ぼうとしなかったか?』

 

 グレモリー本邸前。

 夏休みの冥界山籠りも今日で終わりとなる。

 シトリー眷属とのレーティングゲーム当日である八月二十日。現在、八月十五日だ。まだ五日はあるのだが、皆と合流しての話し合いと、休息をとる時間にあてる。

 そして、ゲーム前に魔王様主催のパーティがある。眷属悪魔と若手悪魔を招待しているそうだから、試合直前の顔合わせが目的なのだろうか。

 ドライグ発案の強化プランは殆ど達成できた。悪魔の駒に合わせた神器の形態変化は、予想より遥かに簡単にできてしまったのだ。

 もっと苦労するものだと思っていたが、ドライグ曰く俺は経験が半端ないからコツを掴みやすいんだとか。やはり陽介さんとの戦いがあってこそなのだろう。

 

「ああ、俺もなんだかんだで楽しかったからな。そうだ、俺の背に乗ってパーティ入りするか?」

 

「よろしいのですか?」

 

「ああ問題ない。俺の眷属を連れて、パーティ開催日にここへ来よう。詳しくは後でグレモリーに連絡を入れる」

 

 うーむ、派手なパーティ入りになりそうだ。

 

「では、明日、またここへ来よう。さらばだ!」

 

 そう言ってタンニーン様は、羽ばたいて空へと消えていった。俺は見えなくなるまで手を振って見送った。

 

『誰がマダオ(まんま・駄目な・オタクドラゴン)だ』

 

「最近のドライグだと否定できないから」

 

 こっちに戻ってから緩んでいたけど、白龍皇に勝ってからさらにダラケだしたよな。

 

『う。いやだってもう頑張る必要があんまりなくてだな』

 

「悪いとは思わないけど、威厳を感じなくなってきたから気をつけなよ」

 

 そういう周囲の評価を気にしていたよな? 

 

『はい』

 

 自覚があったのか、ドライグは素直に頷いた。

 

「やあ、イッセー君」

 

 聞き覚えのある声に振り返ると、そこには木場がいた。着ているジャージは切り傷と刺したような穴がいくつもできていた。

 

「成果はあったかい?」

 

「それなりにな」

 

 山籠りで、周囲を気にせずに集中できる環境だったのはやはり大きい。

 人間界だとどうしても周りが気になるからな。

 

「おー、イッセーと木場か」  

 

 今度はゼノヴィアが現れた。しかし彼女は全身包帯だらけという、インパクトある姿だった。

 

「どうしたの、その姿?」

 

 驚きながら訊くと、ゼノヴィアは改めて自身の格好を見て言う。

 

「うん。修行してケガして包帯巻いて修行してケガして包帯巻いていたら、こうなった」

 

「大雑把だなあ」

 

 治療が追いつかない程に負傷を繰り返したのか、身に纏うオーラが以前より静かで厚みがあるわけだよ。木場のオーラも濃くなっているしな。

 

「イッセーさん!木場さん、ゼノヴィアさんも!」

 

 グレモリー本邸城門から、シスター姿のアーシアが出てきた。迎えにこさせてしまったかな?

 

「アーシア、久しぶりだな」

 

「はい、お久しぶりです。イッセーさん!」

 

 アーシアがリアス部長の眷属になってからこれだけの期間離れていたのは初めてか。

 彼女は嬉しそうに近寄ってきていた。

 

「あら、外出組は皆帰ってきたみたいね」

 

 次に現れたのはリアス部長。

 外出組。部長達はグレモリー邸で修行していたようだ。

 

「さて、皆。入ってちょうだい。シャワーを浴びて着替えたら、修行の報告会をしましょう」

 

 久しぶりに文化的な生活を送れそうだな。サバイバルライフも嫌いではないのだが。

 さて、どう報告するかな。

 

 

 俺達リアス・グレモリー眷属が全員集合したのは実に二週間以上ぶりだった。

 アザゼル先生から修行プランをもらったあと、俺タンニーン様に連れられて山へと向かったが、皆もそれぞれ解散したらしい。

 外で修行していた俺、木場、ゼノヴィアはシャワーを浴びて着替えたあと、この俺の部屋に集まっていた。なんで俺の部屋なのか気になるが、まあ割といつものことだしな。

 で、集まって修行内容を話していた。木場は師匠である沖田総司との稽古、ゼノヴィアも修行内容を。俺も山籠りと神器の変形について。

 俺の山籠りについてで皆が引いてしまった。なんでも木場もゼノヴィアも外では修行したけど、山小屋、またはグレモリーが所有している別荘という環境の整った場所で生活しながらだったらしい。自力で一から住環境を整えたと聞いて、驚きよりも引かれてしまった。

 大変だけど、楽しかったんだがな。

 イマイチ伝わらなくてちょっと悲しいぜ。

 やらせたアザゼル先生の出来ると思わなかった発言にはイラッときたが、普通はそんなもんか。  

 

「成果も上々。報告会は終了。明日はパーティだ。今日はもう解散するぞ」

 

 先生の一声に報告会は終了した。

 こうして俺のサバイバル生活は終わりを告げた。

 

 

 

 次の日の夕刻、俺は駒王学園の夏の制服に身を包んで客間で待機していた。冥界で何気に知名度のある駒王学園の制服は、パーティの時に着ていても問題がないので便利である。

 グレモリーの紋様付きの腕章さえ付けていればパーティでOKなのだから驚きだが。

 ただ女性陣は準備に時間がかかるそうでメイドさんに連れていかれて、木場とギャスパーも用事があるそうでここにはいない。

 

「兵藤か?」

 

 聞き覚えのある声に振り返れば、匙だった。ソーナ・シトリー様の眷属にして生徒会員である彼がどうしてここに?

 

「会長が、リアス先輩と一緒に会場入りするってんでついてきたんだ。で、会長は先輩に会いに行っちまったし、仕方ないんで屋敷の中を彷徨いてたら、ここに出た」

 

 そういった時は主を待つべきなんだが、まだそこら辺は身についてないか。

 俺から少し離れた席に座る匙。真剣な面持ちで言う。

 

「もうすぐゲームだな」

 

「ああ」

 

「俺、鍛えたぜ」

 

 確かに、夏休み前よりはマシになった感じだよな。よほど良い指導を受けたのか。

 

「兵藤。先月、若手悪魔が集まった時の事を覚えているか?」

 

「うん、覚えているよ」

 

「あれ、俺達は本気だ。お、俺。せ、先生になることが夢なんだ!」

 

 突然、匙は顔を真っ赤にしてそう言った。高校生にもなると夢を叫ぶのは気恥ずかしいよね。特に男子同士だと。俺は精神年齢のせいで微笑ましく感じるけど。

 

「先生?レーティングゲームの?」

 

 俺の問いに匙は紅潮しながら真摯に答える。

 

「会長は冥界にレーティングゲーム専門の学校を設立しようとしている。ただの学校じゃない、悪魔なら身分関係なく受け入れる、誰にでも自由な学校なんだ。会長に聞いたけど、悪魔業界は少しずつ、差別やら伝統やらなんかが緩和されてきたけど、まだまだ根底の部分で受け入れ難い部分もあるって。だからレーティングゲームの学校も未だに上級悪魔の貴族しか受け入れてない。ゲームは平等でなければいけない。これは現魔王様達がお決めになられたことだ。平等なのに下級悪魔の平民にはゲームの道が遠いんだよ。おかしいだろ?もしかしたら、貴族以外の悪魔でもやり方次第では上級悪魔に昇格できるかもしれないのによ。可能性はゼロじゃない筈なんだ!」

 

 長いよ。

 最後まで聞いたけど、ゲームに身分差があるのはおかしいってことか。

 けど、そもそも参加できない魔王様がそんな発言されてもなあ。

 しかも内容が幕末の維新志士みたいだし。

 

「会長はそれをなんとかしたいって言ってた。下級悪魔でもゲームができることを教えたいって。だから冥界に誰でも入学できる学校を創るんだよ!会長はそのために人間界で勉強されてるんだ!スポットが決して当たらなかった者達に可能性を与えるんだ!一パーセントでも!ゼロに限りなく近くても!ゼロじゃなきゃ上級悪魔になれるかもしれないんだ!兵藤!俺達だって、その可能性を信じて上級悪魔になろうとしているだろ?」 

 

「ソウデスネ」

 

 ゴメン。俺はもう上から上級悪魔昇格を打診されてるんだ。白龍皇撃退が功績になってしまってなあ。上層部も俺の囲い込みに必死らしいんだ(サーゼクス様情報)。

 匙は拳を振り上げて宣言する。

 

「だ、だからこそ、俺はそこで先生をするんだ。いっぱい勉強して、いっぱいゲームで戦って、色んなものを蓄える。それで『兵士』のことを教える先生になるんだ。会長が俺にも手伝って欲しいってさ。こんな俺でも学校の先生になれるかもしれない。お、俺は昔は馬鹿やっていてさ、親に迷惑かけたし、周りの人間にも嫌われていた。でもよ、会長となら、夢が見れるんだ!俺は生涯会長のお側にいて、会長の手助けをする!会長の夢が俺の夢なんだ!」

 

 覗き(気絶するが)とか現在進行系で馬鹿をやっている俺には耳が痛い話ですな。

 しかし、惜しいな。

 良い夢だし、応援したくなるが。ソーナ様が言うからではなく、自分の目で見てからその夢を見て欲しい。そうすればもっと彼の魂は輝くだろう。

 

「立派な夢だと思う。いい先生になれよ」

 

「ああ、その為にも今度お前達を倒さなきゃいけないけどな」

 

「あ、うん」

 

「勝つぜ。上に馬鹿にされた以上、俺達は結果を見せなきゃいけない」

 

(そして、俺達グレモリーは圧勝しないと面目丸潰れという。なんともエグい組み合わせだ)

 

 しかし、先生か。ならアザゼル先生を手本にすべきだろうな。あの方考案のトレーニングメニューは的確だったのだから。

 

「ところで、兵藤はリアス先輩とどこまでいっているんだ?俺もいつかソーナ会長とデキ婚したいぜ」

 

 デキ婚は駄目じゃないかな?

 次期当主相手にそれやったら処分されるから。というかセラフォルー様がブチギレそうなんだよね。あの方、実の姉妹で結婚できる法案を通そうとして、上層部の皆様方を胃痛で倒れさせた実績があるからなあ。

 

「同じベッドで寝る(気絶)トコまで行っているけど。あと風呂に乱入(即死)してきたり、膝枕(瀕死)とか」

 

「はぁっ?!寝た?風呂?膝枕?なんだ、ソレ。お、俺は一度も会長とそんなこと」

 

「リアス部長以外にも、アーシアや朱乃さん、ゼノヴィアともあるけどな」

 

「(白目)」

 

「さ、匙くーん?おーい?」

 

『格差によるショックとは哀れな』

 

 呼びかけてみるが反応がない。ただただうわ言のように小言を呟いているだけの存在になってしまった。

 

「イッセーお待たせ。あら、匙君も来ていたのね」

 

 振り向くと、ドレスアップしたリアス部長。そして部員の面々がいた。

 皆、まるでお姫様みたいだ。朱乃さんも今日は着物ではなくドレス姿!うむ眼福なり。

 アーシアも恥ずかしげにしてるけど、凄く似合っている。ゼノヴィアも着慣れていない様子だけど、個人的にソレが良いなあ。小猫ちゃんも一回り小さいドレス姿だけど、ロリコンが見たら誘拐しそうなくらいの愛らしさがあるよ。

 問題はギャスパー君(♂)ですね。

 

「なんで君、ドレスなの?」

 

 ギャスパーもドレスを着飾っていた。似合っているのがなんとも言えないな。用事があるからいなくなったけど、これかい!

 

「だって、イッセー先輩に僕の綺麗な姿を見て欲しくて」

 

 恥ずかしげにこちらを見ないで欲しいかな。

 単なる女装癖で済まなくなりつつあるよね、君。しかし女性がコレを見てマインドクラッシュされないと良いけど。美少女だらけの悪魔に引けを取らないよこの子。

 

「サジ、サジ、どうしました?」

 

 同じくドレスアップしたソーナ会長は匙の様子を怪訝そうに見ていた。

 そこまでショックだったんだね。

 俺としては、グレモリー眷属とフェニックス眷属が当たり前だったから、これくらいの主との触れ合いが普通かと思っていたんだけど。

 ドレスアップも終えた頃、軽い地響きと共に何かが庭に飛来する重い音がした。どうやら来られたようだな。

 しばらくして執事さんが来て言う。

 

「タンニーン様とその眷属の方々がいらっしゃいました」

 

 さて、これから会場まで移動だな。

 

 なお、木場は普通に制服だった。これで彼までドレスだったらシバいていたよ。

 

 





 補足・説明。

 松田と元浜はなんかとんでもないことになりましたが、無事に帰宅できました。
 危うく初体験の相手が二人揃って下半身が魚の美少女(年齢不詳)に。なおイッセーがミルたんに二人の事を頼んでいたため、ミルたん(ヒルマノスガタかつ水着)+フリードVS竜宮城兵団の決戦が行われました。
 二人は清らかな身体のままです。
 フリードはトラウマが追加されました(紐ビキニはアカン)。

 匙の夢を知ったイッセー。
 自分にはもうない熱さに、眩しいものを見ている気分でした。ただ、あまり上層部を敵視するのは危ういと心配しています。
 あとデキ婚に限らず、ソーナ会長は、最強のセコムが怖いです。なお元婚約者もかなり危うかったです。
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