いつもより短めとなります。
決戦日。
グレモリー眷属の居城地下にゲーム場へ移動する専用の魔法陣が存在する。
俺達はその魔法陣に集まり、もうすぐ始まるゲーム場への移動に備えていた。
アーシアとゼノヴィア以外は、駒王学園の夏の制服を着ている。アーシアはシスター服で、ゼノヴィアは初めて出会った時に着ていた悪魔祓いのコスチュームだ。どうやら二人ともそちらの方が気合が入るそうだ。観戦しに来ている天界関係者がどんな反応するのか、少し不安になるなあ、悪魔は面白ければ良し、な風潮があるから気にならないのだが。そしてシトリー側も駒王学園の制服のようだ。
出発前にグレモリー家の皆様方と俺の両親、アザゼル先生が応援の言葉をかけてくれた。うん、さらっと混じっていたね俺の両親。初冥界がレーティングゲーム当日とかどうなんだろうか?というか打ち解けるの早いなパパンとママン。自分が思うよりあの二人はとんでもない人物でないかと、今更ながらに思うのであった。
ついにゲームが始まる。若手悪魔同士、魔王の妹二人の決戦、他勢力を招いた初めてのレーティングゲームが。
注目されるこの一戦。
なんとしても、勝つ。
魔法陣でジャンプした先は、テーブルだらけの場所。レストランか何処かと周囲を見渡せば、テーブル周囲にファストフードの店が連なっていた。
異空間にてレプリカを創る、悪魔の技術とは本当にとんでもない。
記憶にある場所だなと、周辺を見回れば、そこは広大なショッピングモールだった。
覚えがあるわけだ、松田と元浜と何度も来た場所なのだから。
「駒王学園近くのデパートが舞台とは、予想してなかったわ」
部長の言葉に全員が頷く。
確かに部長も会長も知っている場所ではあるが、ここが舞台になると誰が想像できるというのか。
すると店内アナウンスが流れ出した。
今回もグレイフィア様が審判だ。
そして今回のゲームだが、
戦場は駒王学園の近隣にあるデパート。
転移された場所が本陣。
こちらは二階東側で、あちらは一階西側。
デパート内部は完全に再現されており、施設内にある、ペットショップ、ゲームセンター、飲食フロア、本屋、ドラッグストアなどにある物品は使用することができる。本は読めるし、食品は食べれるなどだ。
また特別ルールとして、回復アイテム「フェニックスの涙」は両チーム一つずつ支給されている。
そしてこれから作戦を練る時間は三十分であるということ。
さらに、こちらリアス・グレモリー側は、「兵士」赤龍帝・兵藤一誠の「覇龍」と「精霊魔法」の使用禁止と「僧侶」ギャスパー・ヴラディの神器使用禁止という制限が言い渡された。
そして最後に、『バトルフィールドとなるデパートを破壊し尽くさない』というルールを告げられた。
なんか、こちらをガチガチでルールで縛っている感じだな。特にギャスパーなんて、コウモリ化による偵察くらいしかできなくなったぞ。逆に考えれば、次の機会ではなんとかできるようにと、やるべきことが定まるわけだが。
またグレモリー眷属得意の高火力攻撃も封じられた。となれば周囲を破壊しないように、遭遇戦で各個撃破しかないか。
まあ、それはグランバハマルの貴族の子飼い時代に慣れているけど。
「とりあえず、開始前までに佑斗に偵察してきて貰って現状の把握。開始後に違和感があったら向こうが何かしてきたとわかるわね。ギャスパーはコウモリに変化して、デパート各所に飛んで頂戴。今回は偵察役に専念してもらうわ」
「「了解(です)!」」
二人が飛んでいった後も作戦を決める。
まず四組に別れる。
俺と小猫ちゃん、木場とゼノヴィア、が進行。後詰として部長と朱乃さんとアーシア、ギャスパーは単独で監視と報告。という形だ。
ギャスパーが単独で心配ではある。監視役など真っ先に狙われる存在だからだ。だがルールで大規模破壊ができない以上は、多数のコウモリになって散っているギャスパーを纏めて撃退などできない。
そして、ソーナ様達が一塊になって突っ込んできても、この組み合わせなら他の組との合流までは耐えきれるだろう。
破壊し尽くさない、というルールだから壁を壊すくらいなら大丈夫ではあるし。
「ゲーム開始まであと少し。各自それまでそれぞれのリラックス方法で待機して頂戴」
そこで皆、一旦解散となった。
よく通う近所のデパート、物品の使用が可能なのだから暇潰し手段は事欠かない。
部長は、飲食フロアで紅茶を楽しみ。ギャスパーはドーナツ店のドーナツを食べようか食べまいかして、アーシアとゼノヴィアはハンバーガー屋前であれやこれや話していた。木場はドラッグストアで物色中か、使えるものもあるだろうしな。
さて、俺だが特に何もせずに皆を眺めている。解散となるとすぐにバラバラに散るのもリアス・グレモリー眷属の特徴だよな。
割と全員が個人主義なところがある。だからそれぞれの行動を眺めるだけで充分面白いのだ。
待てよ、本屋を再現されているならばエロ本読み放題なのでは?
自身の天才的閃きを実行しようとするが、
『開始前にリタイアする気か阿呆』
とドライグに窘められた。
「冗談だって。テヘペロ」
『身体があったら焼き払うくらいムカツク面だな』
手厳しいなドライグ。
「イッセー君のテヘペロ、萌え」
それを見て鼻血をだして悶える朱乃さんもどうかと思うけど。
「イッセー先輩」
ティッシュを探しにいった朱乃さんを見送ったら、今度は小猫ちゃんが現れた。てっきり食べ歩きしているのかと思ったよ。
「私に勇気をください」
そう言って俺の手を握りだす。
「使うんだね?」
その言葉で彼女の意思を悟る。
「はい。イッセー先輩のおかげで、あの力を忌み嫌う理由がなくなりましたから。でも、私は姉さまほど強くないから、もしかしたらと思ってしまって」
そっか。そうだよな。
姉の凄さを知ったら知ったで、自分にできるのかと不安になるよな。
「大丈夫だよ」
震えているその小さな手を笑顔を向けながら握り返してあげた。
「黒歌さんにあった強さ。大切な人のために頑張れる優しさが、君の中にもあると俺は知っているから」
「イッセー先輩は私が、妖怪猫又が怖くないのですか?」
「全然」
本当に怖いもの、それはグランバハマルの人間なのです。というか可愛い小猫ちゃんを怖がる理由が欠片もないよな。
「猫又の力を使おうと思います。姉さまほど強くないけど、それでも皆さんのお役に立ちたいから」
「俺は『史上最強の赤龍帝』だ」
「え?」
「自分が何者であるか高らかに名乗りを上げるとさ。案外そのとおりになれるもんさ。猫又が抵抗あるなら、自分は○○であると決めたらいい」
「私が、なんであるか、自分で決める」
「そうだな。冥界猫と書いてヘルキャット、とかどうかな?名称が違うだけで結構変わるもんだよ」
陽介さんもSEGAユーザーだからアレコレできると言って、本当にできていたからな。
『アレはおかしいって』
うん。いや本当におかしいよねあの人。
自分で言っといてなんだが。
「そうですね。史上最強の赤龍帝と共に歩む冥界猫、なんて素敵です」
そう呟いて小猫ちゃんは笑った。
どうやらもう大丈夫みたいだ。
「そろそろ開始か。行こう小猫ちゃん」
「はいっ!!」
さて、どうするかねシトリー眷属。
史上最強の赤龍帝と冥界猫がお相手だ。
俺は小猫ちゃんの手を握ったまま皆の元に行き、そしてそれを見た皆が、アリシアさんといちゃつく陽介さんを見つめるエルフさんの表情となっていた。
思わず恐怖から喉からヒュッて音がでちゃったよ。
意外と仲は悪くなかったけど、純粋な暴力とその偏愛ぶりからエルフさんて凄く怖かったんだよね。
補足・説明。
とりあえず今話はここまでです。
試合展開は、イッセー視点のみでやるか悩み中ですね。木場君サイドは原作よりは強くても大体同じ展開なので。
しかし原作でもガチガチに制限されてたリアス一行。大規模攻撃の制限とギャスパーの神器禁止は厳しいですよね。