六巻の終了です。
パーンパーンと空砲の音が鳴り響き、プログラムを告げる放送案内がグラウンドにこだまする。
本日は駒王学園体育祭。
保護者も観にくる学園の一大イベントだ。
通う生徒にオカルト関係者がチラホラいるせいか、一部観客席が見た目からしてモンスターな人達やら集団もいるが、いつものことなので誰もがスルーしていた。
実はオカルト関係とか秘匿してないだろ。
ディオドラ・アスタロトのレーティングゲームにおきた旧魔王派襲撃事件からしばらくたった。
その後の顛末について軽くまとめておく。
まず、禍の団の一大勢力である旧魔王派は瓦解した。リーダーである先代魔王の血を引くシャルバ・ベルゼブブは四肢を切断され氷漬けのまま監獄へと封じられることになった。
もう一人の首領格であるクルゼレイ・アスモデウスは恋人でありすでに捕縛され現政権側についたカテレア・レヴィアタン様の説得により降伏。
現政権に不満のあった彼だが、今回の騒動には恋人への想いがあったようだ。
その二人の存在もあり、降伏に応じる悪魔達もかなりいたようだ。貴重な純血悪魔を無駄に減らさずによかったと思う。
またクルゼレイ様のファルビウム様への不満についてだが、ファルビウム様の書いた『如何に自分が魔王をやるのが嫌で仕方ないか』というタイトルの本数冊分の文章を読まされ、不平を言う気が失せたらしい。
嫌がらせは現職を務めさせることが一番良いと理解したようだ。
さて、もう一人の首謀者こと、内通者で裏切り者で今回の騒動にこちらが対策できた、一番の功労者である、現四大魔王であるアジュカ・ベルゼブブ様の身内の若手悪魔ディオドラ・アスタロトについてだ。
旧魔王派と繋がり、自らの欲望を満たし、他家の跡取り候補・次期当主暗殺の手引きをしたヤツの罪は重い。さらに堕天使側から人工神器『閃光と暗黒の龍絶剣』と反転術式の盗難の罪もある。
ゆえに下された罰は冥界の監獄に投獄となった。その程度と思われるだろうが、そこは冥界の性犯罪者ばかりを収監した監獄であり、潰された顔面は完全に癒やされた優男のディオドラは、先輩達からとてもとても愛される日々を送ることになるだろう、これから百年も千年もずっとずっと。
ディオドラの件で問題になったのはヤツの眷属達についてもだ。眷属だけではなく、さらにヤツの館に囲っていた悪魔になっていない女性達もだが元は有名なシスターや各地の聖女達ばかりだった。
ここまで攫われたり、堕落させられて今まで気づかなかった教会には関係者一同呆れ果てていたが、教会上層部の欲深い連中と繋がりのあったディオドラの手腕を誇るべきかもしれない。
いやその能力を別方面でなんで活かすことができなかったんだろうか。
言葉巧みに誘惑されたり、アーシアのように魔女認定させて追放させたり、身内を人質にして従わせたりされた彼女達だが。
眷属悪魔になった者、自ら身を汚されたと思う者は俺が形貌変躯の精霊魔法で人間や汚される前の身体に戻してやり、さらに希望者には記憶消去までした。
だがディオドラの部下として罪を犯したことを悔いる者もいて、彼女らは冥界の監獄へ収監されることを望んだ。またディオドラから神の死を知らされた者や、上層部に嵌められた者達は教会に戻ることを拒否し、冥界内の孤児院で働くことを選んだ。
そして、一番扱いに困った者達もいる。欲望に完全にのまれてしまった、清貧な生活を受け付けなくなった者達だ。ディオドラの被害者であり、犯罪に関わっていなかった彼女らは、色事にはまってしまった者は娼館で働くことに決め、贅沢な暮らしを望む者やメイドとして働きたがる者は上級悪魔に引き取られることになった。
今回の件でこれが一番大変だったとサーゼクス様達はぼやいていたそうだ。
ちなみに教会の欲深い連中及び、堕天使の裏切り者はきちんと粛清されたそうだ。
ディオドラが律儀にあるいは迂闊にノートにまとめておいてくれたおかげだ。
あとはアスタロト家に関してだが、冥界での信用を一切失い、現当主の解任。当然ながら魔王輩出の権利もまた失われた。まあまだ若い扱いの四大魔王様があとどれくらい務めるかは分からないのだが。
アジュカ様も当然ながら責任を問われたが、彼自身も襲撃を受けたこと、彼に代わる人材がいないこと、本人が嬉々として魔王を辞めようとしたことが理由で、魔王を辞める事態にはならなかったそうだ。
さて、今後の事についてだ。
テロが続いてばかりの若手レーティングゲームは大きな見直しが必要となった。
中止や情勢が落ち着くまで延期も考えられたが、どうしてもリアス・グレモリーとサイラオーグ・バアルの一戦だけはやって欲しいと熱望されているらしい。
同時にソーナ・シトリーとシークヴァイラ・アガレスのカードも熱望されていて、パワー対パワー、戦術対戦術の戦いとなるだろう。
まあ予定はされているがまだ先の事で、若手は全員待機とのことだが。
レーティングゲームか、果たしてどうなるやら。
あとこれは余談なのだが、現在冥界内で『閃光と暗黒の龍絶剣』がブームとなっているらしい。確かに剣としてはそこらの聖剣魔剣に劣らぬ一品なのだが、なぜか大人達が話題にしだして子供達に広まり、模した玩具も販売される予定だとか。
そしてそれを聞くたびにアザゼル先生が奇声を上げてのたうち回っているそうだ。
普通に優れた人工神器だと思うけど『閃光と暗黒の龍絶剣』。
さて、思考はここまでにして体育祭に意識を戻すか。
『次は二人三脚です。参加する生徒はスタート位置にお並びください』
アーシアと並んで整列し足首を縛る。
「イッセーさん、頑張りましょう!」
「ああ、勿論だ」
この時は意識して無かったが、俺は感受性を殺す技術を使用していなかった。
順番となり、お互いの腰を手でおさえ、走る構えとなる。
空砲が鳴り響き、スタートだ。
「行くぞ、アーシア!」
「はい!」
俺達はスタート開始から抜群のコンビネーションを見せつけて快走していく。
一部の女子が倒れた相方男子を引きずった状態で全力疾走するという、紅葉おろしのような所業をやらかしている中で順調な走りだ。
「イッセー、アーシア!一番取りなさい!」
「いけますわよ!」
リアス部長と朱乃さんが応援をくれる。
「イッセー君!アーシアさん!一番狙えるよ!」
「イッセー!アーシア!いけぇぇぇえ!」
「二人とも頑張って!」
木場、ゼノヴィア、イリナも応援してくれる!
「イッセーせんぱーい!アーシアせんぱーい!」
「頑張ってください!」
ギャスパーも大声をだしてくれてる。クールな小猫ちゃんもテンションが高い!
「負けたら承知しねえぞ!」
『閃光と暗黒の龍絶剣』提督、ではなくアザゼルせんせの声も聞こえた。
「来たな!イッセー!カッコイイところ撮影してるからな!」
「イッセー!アーシアちゃん!頑張ってーっ!ファイトォ!」
父さん、母さん!息子と娘の晴れ舞台見ていてください。
「駆け抜けろ我が弟子よ」
「イッセー様!アーシアさん!あと少しです!」
ライザー師匠、レイヴェル様。
「兄貴ー!!アンタ達が頂点だ!!」
「「「「兄貴、アーシア姉さん!!」」」」
ゼファードル、眷属の皆。
「悪魔さーん、愛の力で頑張るにょー!!」
「かき氷いかがっすかー?ジュースもありますよー」
ミルたん、フリードはバイトだな。
「いや、身内多過ぎぃ!!」
「あ、ハハハ」
流石にツッコむわこんなん。
まあでも嬉しいし、楽しいよね。
色々あったけどアーシアとこうしていられることが、きっと幸せなんだ。
「アーシア、ずっと側にいてくれ。もう離れないでほしい」
「ーーっ!」
アーシアは泣きそうな顔になるけど我慢して走るのに集中した。
そして、俺達は走り抜けて一番にゴールテープを切った。
「よし!」
一番の旗を貰い、思わずガッツポーズをとる。
「やった!アーシアやったぞ!」
「はい!やりました、イッセーさん!」
俺とアーシアは手を取り合った。
「あの、イッセーさん」
「ん?」
するとアーシアは自身の衝動のまま俺に抱きつき、その唇を俺と重ねてきた。
柔らかい感触に意識がとびかける。
「イッセーさん、大好きです。ずっとお側にいますから」
「俺もアーシアが大好きだよ」
そう言って最高の笑顔のアーシアに、こちらも笑い返すのだ。
『ひょ』
あ、ヤベ。
ここグラウンドのど真ん中。
『『『『兵藤がキスされて死んでないだとおおおお!!』』』』
「そっちかいっ!!」
精霊さんの粋な気遣いか、アーシアが相手だからか。それでもこの世界に戻ってきて、ようやくマトモなキスをできた。
大切な彼女と幸せなキスに俺はただ満たされた気分になるのであった。
これからも守るよアーシア。
君が居てくれるだけで、俺は笑っていられるから。
なお、このあとにリアス部長達女性陣にキスされまくり同じ回数死ぬことになる。
補足・説明。
犯罪者達の扱いはこんなところ、シャルバは封印。ディオドラは囚人に未来永劫愛され続けます。
旧魔王派は監視されますが、現政権と打ち解けていく形です。
オッパイドラゴンポジションの、閃光と暗黒の龍絶剣。一番の被害者はアザゼルになりました。
二人三脚ネタ、分かる人がいたら凄い、晴れ時々豚のネタを入れました。
感想と評価をお待ちしております。