神器→セイクリッド・ギア
赤龍帝の籠手→ブーステッド・ギア
神滅具→ロンギヌス
禁手→バランス・ブレイク
覇龍→ジャガーノート・ドライブ
紅髪の滅殺姫→べにがみのルイン・プリンセス
悪魔の駒→イーヴィル・ピース
光剣顕現→キライドルギドリオルラン
記憶再生→イキュラス・エルラン
記憶忘却→イキュラス・キュオラ
疾風駆送→ワーグレントスラドセルド
と、なります。
ルビが多い原作なので気がついたら前書きに記載しておきます(毎回ルビは大変なんで)。ちなみに後半4つは異世界おじさんの魔法です。
俺、異世界帰りの赤龍帝・兵藤一誠が眷属悪魔に転生してから数日。
悪魔の活動時間である深夜に町中をチャリで爆走しチラシを配っていた。
現代の悪魔は魔法使いや悪魔信望者が儀式をする時をスタンバっているだけではない。
仕事は足で稼ぐ。
簡易版魔法陣を自らで配ることにより、より効率的に契約を結ばせるのだ。
無論片っ端から配るのではリサイクル業者さんの仕事を増やすだけ、部長から渡された悪魔の科学が生んだ秘密道具である携帯機器に表示された契約するであろう人物宅へと配達する。
新人悪魔の最初のお仕事。
ついでに市内の地理の把握と運動もできるからかなり有意義な時間だ。
『DDD』
ちなみに途中で飽きたドライグは寝ている。なんだその音、いびきのつもりなんだろうか。まあ戦いの気配を感じたら起きるから問題はないな。
悪魔社会の勉強。
人間界での活動内容の把握。
やるべきことが沢山あって覚えるべきことが山程あって、そんな日々に充実していると思った。
この世界に帰還した時は、もう戦いたくないと思っていた。平穏に生きたいと考えていた。けど、向こうで培った全てが活かせない生活に窮屈で息苦しいようにも感じていた。
働かないで生きられるくらいの蓄えがあろうと労働に勤しむ、人とは(悪魔だけど)なんとも不思議なものだ。生活にやりがいはやはり必要なんだろう。
しかし、点滅する箇所が多いな。毎日チラシを配っても無くならないのだから、悪魔の仕事とは案外身近なものなのかもしれない。
まあでもそれよりも、
チャリって素晴らしい。
グランバハマルには無かった移動手段・自転車。徒歩か馬車の二択(飛空魔法は魔力が尽きたら落ちるから使用しなかった)ぐらいだから凄く快適だ。道路も舗装されていて足腰の負担が殆ど無い、やはりこっちの世界は素晴らしい。
異世界帰りの利点は元の世界のささやかなことに幸せを感じれることなんだろう。如何にこちらが快適で便利な世界なのかよく分かる。さらに食生活も良い。
帰還してから数年経った今でもハンバーガーを泣きながら食べてしまうくらいだ(行きつけのお店はそれで泣くほど美味しいのかと評判になったとか)。
あと悪魔関連については異世界グランバハマルの時のように両親に説明してある。異種族に転化することは親不孝なのではと今更ながら気になったが、両親は快く了承してくれた。やりたいようにしなさい、それが二人の意思だったんだ。
そんな日々を過ごしていた放課後。
友人二人、というか同じ教室の生徒達にオカルト研究部に入部することを伝えたら、部室に担架はあるのか、AED(自動体外式除細動器、つまり電気ショックができる機械)は設置してあるのか、保健室までの運搬ルートは把握しているのかと確認された。
いや求めていた反応と違うのですが。
もっとこう、羨ましがられたり、嫉妬されたりとかはないのでしょうか?
はい、命大事にですね、分かりました。
心配されるのは嬉しいけどなんか違う。
生徒会の匙みたいに駒王学園中の生徒達から睨まれたいわけではないのだけど。
『贅沢な悩みだな』
人は自分に無い物を欲するのです。
それはさておいて、職場であるオカルト研究部へ向かう。今日はチラシ配りではなく契約者相手に悪魔の仕事を行う日だ。
『グランバハマルでの冒険者時代を思い出す』
懐かしいな、あの時は貴族相手に胸くそ悪い仕事ばかりしていた。ただひたすら日本に帰りたかった俺は情報収集のために身分の高い連中と繋がりを持とうとしていた。けど連中の依頼は人助けや魔獣退治なんて綺麗な仕事はありえなかった。
やめやめ。
これからオカルト研究部の皆に会うのにキツイ表情になっちまうよ。
意識を切り替えてから、旧校舎に入った。
「イッセー、貴方のチラシ配りも終わり。よく頑張ったわね」
部室の魔法陣が輝く中でリアス部長は俺を労ってくれる。この人はこういったことをきちんとする人なのだ。
他の部員、副部長の朱乃さん、木場、小猫ちゃんが居る前で頭を撫でられるのはいささか照れくさいがリアス部長は眷属との触れ合いが好きなんだろう。
「改めて、貴方にも悪魔としての仕事を本格的に始動して貰うわ」
悪魔としての仕事。
人の欲望を叶える、堕落への導き。
「はい、頑張ります」
「そんな気負わなくて大丈夫よ。最初だからレベルの低い契約内容からしてもらうわ」
俺の様子に微笑ましげに笑う皆。
なんかグランバハマルと違って周りの人全員が優しい感じがするなあ。
今回の仕事は子猫ちゃんに依頼された二件の仕事の内の片方。彼女の代わりとは果たして俺に依頼人の要望を満たせるのだろうか。
朱乃さんが魔法陣へ俺の悪魔としての刻印を読み込ませている。これが終われば転移用の魔法陣を使用できるようになるのだ。
「終わりましたわ」
準備が終わるまで仕事のマニュアルを読み込んでいた。悪魔の仕事も合理的なんだなあ。
「さあ行ってきなさい!」
「はい!」
プスンッ
準備が終わり部長の言葉と共に気合いを込めて転移しようとしたが。まるでエンストを起こしたような音がして転移が発動しなかった。
「「「「???」」」」
皆の疑問符浮かべた沈黙が痛いぜ。
それでどうなんですか、体内のドライグさん。
『魔力不足だな』
転移する魔力すら自分には無いんですか?悪魔の駒8個分なのに。
『それらが完全に馴染めば問題無かったがまだ終わってないぞ。精霊魔法のエネルギーである精霊力は別口だから相棒の内在魔力がクソ雑魚ナメクジな事実に今まで気づかなかったんだな』
使わないエネルギーに気づけるか。
『ま、肉体を鍛えたら悪魔の駒が馴染んで魔力を生成するようになるだろ。グランバハマル時代の肉体を取り戻す勢いで鍛えるんだな』
帰還直前の姿か。
あの時の自分はあんまり好きじゃねえんだけど。
『あの時の相棒こそが史上最強の赤龍帝だろうが、いや陽介とエルフには勝てんかったからあまり誇れないのだが』
まあ今は仕事をどうするか、現場までチャリかな?
『こっちに任せろ』
赤龍帝の籠手が輝き、倍加を複数回発動する。
それでようやくクソ雑魚ナメクジな魔力の俺が転移を発動できるようになった。
「いってきます」
居たたまれない気分のまま依頼人の元へ飛んだ。
「こちら悪魔契約サービス、グレモリーでございます」
「チェンジで」
厳しいぜ依頼人。
転移先の依頼人、ヤセ型の男性である森沢さんは魔法陣から現れた俺を見るなりそう言った。
「すいません、依頼が立て込んでいる場合は手の空いている者が請け負うことになっておりまして。契約書に明記されておりますが」
昼は公務員として働いている森沢さんは真面目だけど友人も彼女もいない、人との触れ合いを求めて悪魔契約のチラシを発動したそうだ。
悪魔の仕事とは一体?
「そうか、そうだよね。でも僕は小猫ちゃんが良かったんだよ」
「自分も依頼するなら彼女の方が良いですね」
「だろう!!」
市内に何人も居る常連客の一人である森沢さんは初めて契約を交わして小猫ちゃんに一目惚れして、それ以来何度も彼女を呼ぶようになったそうだ。現代社会の負の部分かな?
「とりあえず来世、ではなく次回に期待するとして仕事内容のご確認をさせて頂きたいのですが」
「君って若いのに割り切り屋さん?というか今、来世って言わなかった?今世ではもう小猫ちゃんと出会えないの?」
「気の所為です。未来は未定ですから」
グランバハマルの仕事よりはマシか。なんだか切なくなるけど。
『人間も変わったもんだな』
「うん、これを着てもらおうと思って」
どこかの女子高生の制服を取り出す依頼人。これを購入する依頼人て凄いなあ。
「これは短門キユの制服だよ」
「短門、もしかして暑宮アキノの」
松田がリハビリで見せてくれたアニメの衣装か。
「悪魔くんも知っているんだね」
「そういう業界なんで」
どういう業界なんだろ?(遠い目)。
なるほどアニメの無表情キャラの制服を無表情キャラ(毒舌)な小猫ちゃんに着てほしかったのか、自分で着るよりは健全だなうん。
「なら変身魔法でそのキャラになることは可能ですが、どうしますか?」
精霊魔法は超便利。
「心惹かれる提案だけど、中身知っていると受け付けないタイプなんだ僕。せめて来る前から変身してきて」
「すいません、検討しておきます」
「まあ仕事熱心なのは伝わったから契約をお願いしようかな。君はどんな特技あるの?ちなみに小猫ちゃんは怪力が自慢で僕をお姫さま抱っこしてくれたよ」
「(なあドライグこれ先輩から嫌な仕事を押し付けられたんじゃねーの?)」
『(仕方あるまい、仕事なんてそんなもんだ)』
「とりあえずドラゴンなら古代竜クラスなら討伐できますし、ゴブリンとか軍団規模で殲滅可能ですね。気にいらない上司とか殺ります?」
『相棒相棒、冒険者時代に戻っているぞ』
ついうっかり。
「うーん心惹かれるけど、それはなあ。それにお高いんでしょう?」
前向きに検討してるよ依頼人。
「えっと新車買えるくらいの金額ですね」
渡された携帯機器で調べたら対価がそれくらいだった。命の値段にしてはどうなんだ?でも時価だしなあ。
「ならいいよ、あんなバーコード頭にそんなお金を使いたくないし」
結構真剣に検討してたよ公務員。
「えっと他には」
それから森沢さんからいくつか要望を聞いた、だが金持ちになる願いの対価は命で、ハーレムの願いでも対価は命だった。しかも回収タイミングがあまりにも酷すぎる。金が降ってきて死ぬとか美女・美少女が視界に入ったら死ぬとか、いや悪魔らしくて良いけど。
『人の価値は平等じゃない』、悪魔の無情な格言は床に手を付き嘆く森沢さんを示しているかのようであった。
「森沢さん、ドラグ・ソボールのファンなんですよね」
なんとか元気つけよう、契約を取ろうと本棚の年季の入った初版本を見つけて尋ねてみた。
「うん、直撃世代だからね」
これはコアなファンか。
ならイケるか。
「でしたら舞天術を体験してみたくないですか?」
俺もできるならやりたかったことの一つを提案してみた。今なら精霊魔法でできるのだから。
こうして初依頼は無事達成。
森沢さんは精霊魔法の疾風駆送で自在に夜空を飛び大変満足してくれた。
対価も命に関わるものではなくこちらとしてもほっとしたよ。
仕事は楽しかった、陽介さんとの付き合いから俺は年上の人と趣味の話をすることが好きみたいだ。
次の日の放課後。
主であるリアス部長から今回の仕事の件でお褒めの言葉を頂いた。契約後に書いて貰うアンケートで高評価、次も指名したいと書かれていたそうだ。
「後輩に契約先を奪われましたね(ニヤリ)」
「せめて少しは悔しがるフリくらいしたらどうですか先輩?」
ニヤリと笑ったよこの無表情系ロリ。
やっぱり嫌な契約先を後輩に押し付けたんだな。
まあ森沢さんを見たらわからないでもないけど、ロリっ娘のお姫さま抱っこではしゃぐ人だし。
「この街の変た·······趣味人には気をつけることです。悪魔もドン引きするレベルの変た趣味人がチラホラ居ますからね。これは先輩からの助言です」
変態って言いかけてるよね。
でも先輩からの助言は素直に聞いておこう。納得できる内容だからだ。
「さて今日の仕事はどんな変た依頼人かな?」
できれは変態でないことを祈るばかりだ。
『フラグだな』
お黙りドライグ。
だが祈りは届かない。いや悪魔なんだから当たり前のことだけど。
補足、説明。
暑宮アキノ→涼宮ハルヒ
短門キユ→長門有希
舞天術→舞空術
グランバハマル帰還直前の一誠(ネタバレ注意、作者のメモも兼ねてます)
某呪術廻戦に出てくるフィジカルギフテッドを一誠風にして赤龍帝の籠手を装備し精霊魔法を使いこなした存在+α、なお禁手と覇龍を体得済。
異名は【赤龍暴君】。
これほどの存在であっても異世界おじさんには勝てなかったのだからドライグの心が折れて当然。
異世界おじさんの前では良い子だったが、この時にはグランバハマル人には例外を除いて塩対応になっていた。