異世界イッセー   作:規律式足

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第九十一話 放課後の一幕。

 

 放課後の部室にて。

 下校時間を間近にして、俺達はお茶をしながら修学旅行の話をしていた。顧問のアザゼル先生は今日は部室に来ていない。冥界に帰って何かの話し合いをしているそうだ。堕天使総督と教師と変身ヒーロー(哀)の兼業は本当に大変だと思う。それでも学園に顔を出すのだから、リアス部長やソーナ会長と同じで学園生活が楽しいのだろう。

 

「そういえば二年生は修学旅行の時期だったわね」

 

 リアス部室は優雅に紅茶を飲みながら言う。

 

「部長と朱乃さんは去年どこに行ったんですか?」

 

 俺の質問に朱乃さんが答えてくれる。

 

「私達も京都ですわよ。部長と一緒に金閣寺、銀閣寺と名所を回ったものですわ」

 

 リアス部長も思い出しながら続ける。

 

「そうだったわね。けれど三泊四日でも回れる場所は限られてしまうわ。あなた達も高望みせず、詳細な時間設定を決めてから行動した方がいいわよ?」

 

 経験者の話は参考になるなあ。どうやらあれもこれも見たいからと予定をたてたみたいだけど、バスや地下鉄の移動時間や、途中の寄り道などで上手くいかなかったらしい。

 

「部長ったら、最後に訪れる予定だった二条城に行く時間がなくなってしまって、駅のホームで悔しそうに地団駄踏んでましたわ」

 

 そういったところがリアス部長の可愛らしいところだよなあ。なんか聞いててホッコリとする。

 

「もう、それは言わない約束でしょう?私もはしゃぎすぎたわ。日本好きの私としては憧れの京都だからつい町並みやお土産屋さんに目がいってしまったわ」

 

 思い出を楽しそうに語る部長。特に京都は都市全体が観光地だから仕方ないよな。そういった予定外の行動も旅行の醍醐味だし。

 

「修学旅行で訪れるまで京都へは観光しなかったんですか?移動は魔法陣ですれば時短になりそうですが」

 

 俺が気になったことを訊ねると、リアス部長は人差し指をノンノンと左右に振った。

 

「わかってないわね。修学旅行で初めて京都に行くからいいのよ。それに魔法陣で移動なんて野暮なことはしないわ。憧れの京都だからこそ、自分の足で回って、空気を肌で感じたかったの」

 

 目を爛々と輝かせながら言う。好きなことだからこそ拘るものだからな。

 また学校行事だからこそ、と言う辺り留学生らしい考えだよな。

 リアス部長はこれからグレモリーを継いでも、人間界と冥界を行き来しながら生活したいとは日頃から言っている。本当に日本が好きなんだな。

 そういえば、修学旅行にはアザゼル先生もついてくると言っていた。彼もまた京都を堪能したいらしい。

 カップの紅茶を飲み干した後に、部長は話題を変える。

 

「修学旅行もいいけれど、そろそろ学園祭の出し物についても話し合わないといけないわ」

 

「あー、学園祭も近かったですね。駒王学園は、体育祭、修学旅行、学園祭の間が短くて連続して行いますもんね」

 

 畳み掛けるような行事の連続に二年生は大変だ。まあ三年生も大学受験なわけだが。

 学園祭は修学旅行の後にある。二学期は学校行事が多いよな(さらにハロウィンまで企画しようとした猛者もいたとか。流石に止められたが)。

 リアス部長は朱乃さんからプリントを受け取ってテーブルに置いた。どうやら、オカルト研究部の出し物をそれに記入して生徒会に提出するみたいだ。

 

「だからこそ、今のうちに学園祭について話し合って準備しておかないと。先に決めておけばあなた達が修学旅行に行っている期間中も三年生と一年生で準備ができるものね。今年はメンバーが多くて助かるわ」

 

 部長の言う通りだ。修学旅行も大事だけど、学園祭も頑張らないといけない。

 

「学園祭!楽しみです!」

 

 楽しそうなアーシア。アーシアもこういうイベントが好きだからな。

 

「うん。私もハイスクールの催しは楽しいぞ。体育祭も最高だった」

 

 ゼノヴィアも表情こそ変わらないが、瞳がキラキラと輝いている。体育祭で大暴れしていたからな。誰よりも種目に参加して、一位を乱獲してたからな。そのせいで最近は運動部からの勧誘が凄いことになっている。

 

「私もこういうの初めてだから楽しみだわ〜。良い時期に転入したよね、私!これもミカエル様のお導きだわ!」

 

 イリナも天に祈るポーズを取りながら言う。教会トリオは学園祭を心底楽しみにしているようだ。教会のしきたりや悪魔祓いの務めで、こういうのとは縁がなかったんだろうな。

 

「去年はお化け屋敷でしたっけ?俺はその時は所属してませんでしたが本格的な造りだと話題になってました」

 

 俺は当時はまだオカルト関係を敬遠してたから行かなかったんだよな。マジモンの気配がチラチラとしていたから。同じクラスの部長達の(エロい)お化け姿を期待して行ったヤツが、随分リアルだったと感想を言っていたのを覚えている。なんでも出てきたお化けが本物にしか見えなかったとか。

 

「だって本物のお化けを雇ったもの。リアルで当たり前よ」

 

 部長はサラリと告げる。

 

「学園祭ですよね?」

 

 良いのかソレ。

 俺が冷や汗をかきながらいうと、リアス部長は平然と笑顔で言う。

 

「ええ、人間に害を与えない妖怪に依頼して、お化け屋敷で脅かす役をやって貰ったわ。その妖怪達も仕事が無くて困っていたから、お互いちょうど良かったのよ。おかげで大盛況だったわ」

 

 まあ、ある意味オカルト研究部の活動の一環だよな。妖怪に仕事ないとか世知辛いけど。

 うふふと、部長と朱乃さんはお姉様的な仕草で微笑んでいた。

 

「あとで、生徒会にバレて怒られましたわね。当時副会長だったソーナ様から「本物を雇うなんてルール無視もいいところだわ!」って怒られましたわ」

 

 駄目やないかーい。

 

「じゃあ、今年もお化け屋敷にしますか?それとも段ボールヴァンパイアのサーカスとか、ニンニク料理の専門店とか?」

 

 ギャスパーのニンニク耐性修行してるから、レシピのレパートリーが増えたんだよね。

 今なら豆腐百珍ではなくニンニク百珍もいけそうだ。

 俺の発言にギャスパーがぷっくり頬を膨らませてポカポカと俺の頭を叩く。

 

「先輩のいじわるぅぅぅぅっ!すぐに僕をネタにするんだからぁっ!」

 

 いじれる後輩がいることが楽しいからな。今までこんな風に接せる年下なんていなかったからさ。卒業するまで先輩という立場でできることをしたいと思う。学生時代は今だけだもんな。

 俺の問いと提案に部長は「うーん」と悩んでいる様子だった。

 

「とりあえず新しい試みを」

 

 リアス部長がそこまで言ったところで、俺達全員の携帯電話が同時に鳴った。

 それが何を意味しているか知っているため、顔を見合わせた。部長は息を整えたあと、真剣な声音で言う。

 

「行きましょう」

 

 

 

 町にある廃工場。

 そこに俺達、グレモリー眷属+転生天使イリナは訪れていた。

 すでに日は落ちていて、空は暗くなりつつある。薄暗い工場内に気配が多数。そこには黒いコートを着た男性と人型の黒い異形の存在が複数存在した。そのモンスターの数は十どころではなく、狭い工場内に百はいるだろう。

『禍の団』の英雄派構成員。ここのところ、この英雄派が俺達の町や、各勢力の重要拠点を襲撃する事件が多発している。

 本格的にテロリストだな。

 襲撃者は殆どが神器持ちの人間で、人型のモンスターは神滅具の『魔獣創造』で生み出された存在と推測されている。

 そんな集団が何度も襲来しているのだが、

 

「この町の平和は魔法少女ミルたんが守るにょ!ミルたんミラクルミルルルー・ストーンバレット!」

 

「ヒャハハハ!これが使い魔怪人の力だ!ほぅら死んだ英雄だけが、良い英雄だぁ!ヒャハハハ!」

 

 ま、この町に襲来してきたらこうなるよね。

 工場内で大暴れする、魔法少女ミルたん(ヨルノスガタ)と使い魔怪人フリード。

 ミルたんによる投石がモンスターを粉砕し、フリードの銃火器が神器持ち英雄派構成員を打ち倒す。

 

「今回も回収だけになりそうね」

 

「「「「「はい」」」」」

 

 その一方的かつ凄惨な光景を俺達は黄昏ながらながめるのであった。

 いや加勢して巻き込まれたら下手したら死ぬからね。

 何らかの意図があって送り込まれ続ける構成員達。だがその全員が何も出来ず、俺達に接触すら出来ずに返り討ちに合うのであった。

 





 補足・説明。

 英雄派による襲撃。
 あの二人により全て返り討ちです。まあイッセーがやっても同じ結果ですが。原作の影使い君も退場済みです。

 ミルたん物理魔法・ストーンバレット。
 要するに単なる投石。
 だが半端ないパワーで投げられるため、石が空気摩擦で燃え尽きるため、ファイヤーボールでも良いかもしれない。くらったらドラゴンの胴体にも大穴が空く。

 フリードはああ言ってますが、(一応)生かしてます。ただ英雄派という存在そのものが不快でしかないらしく、かなりやり過ぎ気味とか。

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