❇︎葬送のフリーレンです
❇︎アニメ派の人にはちょっとネタバレが入っている可能性があります
❇︎の注意書きが許せる人のみ観覧○
「うわあああああああああああ!!」
子供の泣き声がこだまするこの町は、魔族によって滅ぼされかけていた。
そこに勇者ヒンメル率いる勇者パーティーが立ち寄り、魔族を倒したのは良いものの……
家族を失った人たちは、勿論居るわけだ。
「…ヒンメル」
後に葬送のフリーレンと呼ばれる彼女は声を掛ける。
勇者ヒンメルは珍しくフリーレンの声に反応しない。それは何故か。
彼女はもう行こうとしているからだ。
彼女も自分の集落を魔族に潰された経験がある。胸の痛みが耐えないのだろう。
ヒンメルは歩みを進めた。…彼らの元へ。
そして、何も言わずに抱きしめたのだ。
子供たちの頭を撫で始めた。
彼らが泣き止むまで、ずっと____
「…僕たちは無力だね」
帰り際、ヒンメルがそう口にした。
「ヒンメル、それは__」
フリーレンは言うのをやめた。
彼が、ヒンメルが、自身が悔しそうな顔をしていることを隠せていないのに気付いたからだ。
「はぁ……。ヒンメルって、結構面倒くさいんだね」
「……え?」
心外だと言うように驚いた顔をした。
そんなことを言われるとは、露程にも思っていなかったと言いたげな。
「あのさ、私はお姉さんだからこの際はっきり言わせてもらうけど」
ヒンメルの顔を、瞳を、しっかりと見つめる。
「全てが全て、思い通りにいかないのが人生でしょ?」
痛いところを突かれ、苦い表情を浮かべるヒンメル。
「……でも、」
「それでも勇者ヒンメルは立ち上がってきた。思い通りにするために努力してきた。___違う?」
ヒンメルは目を見開く。
「ふふっ。ふっ……。ふははははっ」
「え、何?」
いきなり笑い出したヒンメルにちょっと引くフリーレン。
「もしかしてフリーレン、僕を励ましてくれてるのかい?」
「っ! 別にそんなんじゃ…」
「うん。そっかそっか……。そう、だよな」
晴れやかな表情になったヒンメルが、今度はフリーレンを見つめる。
「ありがとう、フリーレン。じゃあ行こうか」
「もう大丈夫なの?」
「__ああ。勇者ヒンメルは挫けないんだろう?」
悪戯をした子供のような、茶目っ気な笑顔を見せる。
「僕は前を向くよ。…“僕”なら、そうするかな」
___この勇者の行動は、後、多くの人に語り継がれることとなる。
勇者パーティー、救われた町や人々、その者たちから話を聞いた人たちが、次々に語り継いでいく。
「強いて言うなら__」
「勇者ヒンメルならそうしたから、かな?」
そして、あの魔法使いの心の中にも。