術式?呪力?最終的に物言うのはフィジカルですが? 作:ありがとうはなまる
俺が高専に入学してから半年ぐらいが経ち、夏の暑さが和らぐ季節になった
高専生活は、1に呪霊狩り、2に鍛錬、3に呪霊狩り、4に学問、5に呪霊狩りと、漫画とかで見た学校ならではの甘酸っぱい青春ではなく、血みどろの青春を送っている
まぁ呪術師である以上予想はしていたが、まさかクラスメートと任務が別々になるとは思わなかった
俺は御三家に生まれなため、特別に2級からのスタートとなり、単独任務をすることが可能
そのため、現場に引っ張りだこで為右衛門や育子とは任務が別々となり、会う時間が作れずにいた
(禪院家の古参が、目障りな禪院仁を密かに抹殺しようと、一人で任務に行ける最低ラインの2級にまで上げるよう息のかかった上層部の人間に言い、等級違いの任務に行かせている。*1)
しかし!今日違う。今回は俺達1年ズ+αとの共同作業が開始される日なのである
その名も…………京都校姉妹校交流会!!
呪術高専・東京校と京都校の学生同士で2日間競い合う恒例行事。2日間の戦いの中で、仲間を知り、己を知ることを目的とした呪術合戦をする行事だ
相手に再起不能の怪我を負わせること及び、殺害以外は何でもありのデスマッチ
呪術師にとっての繁忙期が過ぎて落ち着いてくる毎年この月に、東京校・京都校それぞれの学長が提案した勝負方法が1日ずつ2日間かけて実施されるそうだ*2
普通は俺達一年は出ることはなかったが、出るはずだった3年生全員が交流会に来られないので、その埋め合わせとして俺達1年ズが呼ばれたそうだ
なんでも3年の一人、比叡という人が作ったカレーを食って、全員が意識不明の重症を負ったとか
そんなわけで今俺達は、京都校の敷地内の森にある集合地点まで向かい、2年の先輩達との初顔合わせを果たしていた
「ズズズーー」(立ちながらラーメンを啜ってる顔がラーメンマン似の男)
「海の次は森か〜…森なら次はカブトでも狩ろうかな〜」(脇にカジキマグロを持っている水着褐色女子)
「ヒャッハー!森だー!汚物は消毒だー!」(殺虫剤を両手に持ったモヒカンクソダサ肩パット世紀末顔男)
俺達の心が一致した瞬間だった
「……よし2年生との初顔合わせは1年生代表の君に任せる為右衛門君」ガシ(๑•̀ㅂ•́)و✧
「え!?」
「バシッと決めてこいよ代表!」ガシ
「ちょっ!?二人共離して!押さないで!やめて!ほんと!やめろー!!」ズサササ
俺は肩、育子は足を持ちながら、為右衛門を盾のようにして引っ張っていった
この時は育子と心を通わせれたと思う。そして済まん為右衛門、今度いっぱい相撲取ってやるから
そうして為右衛門という尊い犠牲の元、俺達は無事?初顔合わせを終え、今は和室の一室で交流会に向けての作戦会議をしている(褐色女子さんはこの時には水着から制服に着替えていた)
といっても俺達1年ズは急遽数合わせで呼ばれたため、俺達は作戦内容も先輩の術式、戦闘スタイル、相手のことも全く知らない状態だ
今回は交流がメインなため、勝手に動く行為はあまりしたくない
なので、ほぼ先輩方におんぶに抱っこ状態で挑むことにした
「今回、東京校にはあの五条悟が出てくる」
ラーメン先輩の一言で場の雰囲気が変わる
「五条悟?」
「ん?知らないのか。五条悟は御三家の一つ、五条家の次期当主にして五条家相伝の無下限呪術と、特異体質の六眼を持っている、現代最強と謳われる呪術師さ」
育子が?マークを頭上につけていると、ラーメン先輩(通称)が悟について教え始めた
俺は悟と何度も組手を取っているため、そこまで驚きはなかったが、周りはそうでもなく悟の噂を知っていたのであろう為右衛門は、顔を下にして少し肩を震わせていた
ビビっているのかと為右衛門の顔を除くと、ものすごい笑顔で嬉しそうにしていたので俺の心配は杞憂に終わった
ギャル先輩(通称)は何も言わないが、目をギラつかせ物凄いやる気を出し、世紀末先輩(通称)は笑ってはいるが額には物凄い汗が垂れていた
先輩達の作戦は、全員別れて散らばっている呪霊を素早く狩っていき、速やかに交流戦を終わらせるというシンプルな作戦になっていた
道中、悟に合っても全力逃げるか、全力で足止めをするという事になっていたので、俺が悟の足止め役をかうと提案したが、すぐに先輩達に止められ、悟と何度か組手をしたことがあることを告げたことで、囮役をかうことができた
悟と組手をしていたといったときには、先輩たちや育子たちも凄く驚いていたな
ー三人称視点ー
作戦会議を終えた京都校メンバーは、一室から出て、今回の舞台となる森の前に横に並んでスタートの合図を待っていた
「腕がなる、いや麺がなるな!」
「ヒャッハー!全員ぶっ潰してやるぜー!」
「呪霊じゃなくてあーしも五条悟を狩りたかったな〜」
「分かります先輩。俺も五条悟と相撲が取りたかったです!」
「全員、刀の錆にしてやるよ!」
左から順に、交流戦に対しての意気込みを口にしていると、近くのスピーカーから、東京校の先生─
『これより京都交流戦を開始する。両者無茶せず、この時間を有意義なものにしろ。では───
スタートの合図と共に、足を前に出そうとした一同は、直後、前方から突然きた凄まじい呪力に歩みを止めてしまっていた
一同は、尋常ではない呪力圧に一歩も動けなくなっていた……ただ一人、禪院仁を除いて
「ハハッ!殺る気だな!悟!!」
仁は知っていた。前方から垂れ流されている呪力が五条悟のものであることも、そして五条悟が一体何をするのかも
「いいぜ。あの時みたいに乗ってやるよ」
禪院仁は一呼吸起き、宣言した
禪院仁が呪力を開放したと同時に、一瞬で呪力が仁の手に集まり、気づけば仁の手には黒い鞘に収まった刀が握られていた
仁は手に持っている刀を握り、腰の位置まで持っていき抜刀の構えを取った
「お前が全力なら俺も全力を出してやるよ」
この瞬間、禪院仁には先輩の作戦など頭の中にはなく、ただ目の前にいるであろう親友であり、現代最強の呪術師に心躍っていた
東京校side
「よせ!悟!」
独特な髪型の男―夏油傑が自身の親友である五条悟の行動を静止しようと必死に声をかけていた
「止めんなよ傑」
「ッ!よすんだ!悟!そんな威力を放てば間違いなく死人が出る!考え直せ!」
「ハッ…でねーよ、そんなの」
しかし、夏油傑の静止の声を無視し、五条悟は詠唱を開始していた
幼少期から、禪院仁とのたび重なる試合という名の死闘の末、五条悟は呪術師でもほんの一握りしか習得したものがいない『反転術式』、そして術式に反転術式の正のエネルギーを流し込んだ『術式反転』を取得していた
五条悟は京都校にいる、自身が
五条悟はこの交流戦前に考えた
いつもの組手のように肉弾戦を仕掛けても、禪院仁に勝つ確率は低い
ならば、ベストコンディションの今、この瞬間に放てる自身の
(これは五条家でもごく一部しか知らない、無下限呪術の必殺技であり奥義)
(仁にもこのことは教えたことない)
詠唱中、五条悟はあの日のことを思い出していた
自分が初めて負けたあの時を…
この状況があの時の
この一撃で決まる…いや、決める
「絶対負けねぇ!」
全てを消し去る仮想の質量である、直径50mほどの紫色の球体が京都校メンバーへと放たれ……
……縦に真っ二つに割れた
「…はっ?」
これが五条悟から漏れた声なのか、他のメンバーから漏れたものなのか、はたまた全員からなのか、五条悟自身分も分からなかった
五条悟は、自身が全身全霊で放った一撃が、まるで包丁で切られた果実のように真っ二つに裂け、地面を抉りながら左右に向かっている光景を、自身の六眼に焼き付け、敗北という事実を目の当たりにした
「……やっぱ…つえーな」
悔しさと尊敬が混じったような声に出し、五条悟は地面に大の字で倒れた
全呪力を乗せた【虚式・茈】を放ったことで、五条悟の中の呪力は空となっていた
五条悟は激しい疲労感に耐えきれず、静かに両の目を閉ざし、気絶した
だが、自分が負けたというのに、その顔は雲一つない晴れやかな笑みだった
その後、五条悟と禪院仁は縛りや呪力枯渇により、呪力が練れないため戦線離脱し、残りのメンバーのみで交流戦が行われた
ラーメン先輩「これで終わりだ!!!ラーメンラーメンラーメン!!ラーメンラーメンラーメン!!ラーメンラーメンラーメンラーメンラーメンラーメンラーメンラーメン」クワ!!
ラーメン先輩「ラーメンラーメンラーメンラーメンのラーメンによるラーメンのためのラーメン」目ガンギマリ
東京校の先輩「ぎゃああああ」
育子、為右衛門(こ…怖えー!!!)ガタガタ
極ノ番『刀』
禪院仁が構築術式を参考にし、いくつもの縛りを結んで威力を上げた必殺技の一つ
刀は、刀身に大量の呪力が凝縮してできた暗い深淵を思わせる黒い刀身に、大量の呪力を閉じ込め、より圧縮するための拘束具の役割を担う、呪力に似た炎模様が書かれている黒色の鞘でできている
1.自身に流れている呪力、全てを刀の構築と破壊力に費やすこと
2.刀を抜刀したあと刀はすぐに呪力となり飛散する
3.鞘から刀を抜き、抜刀しない限り、刀が消えることは絶対にない
4.刀が顕現中、自身にかけられた反転術式の回復を無効する
5.刀が顕現中、呪力の使用を禁止する
6.極ノ番『刀』発動後、一日(24時間)呪力使用不可
高濃度の呪力で出来た刀なため、簡易領域と同じ相手の術式効果を中和出来る
平安時代、この刀で切れなかったものはない
また、平安の世で暴れまわっていた八首八尾の巨龍を空ごと断ち切ったことから、平安時代この刀を知っているものは、この刀を【
なお、仁は自分の必殺技にそんな大層な名をつけられていたと知った時は顔を赤くして凄く恥ずかしがっていた