術式?呪力?最終的に物言うのはフィジカルですが? 作:ありがとうはなまる
ある男の奇行
「ラーメン最高!!ラーメン最高!!お前もラーメン最高!!と叫びなさい!!」
「我がラーメン屋のラーメンは世界イチィィィ!!!」
「お前もラーメンにならないか」
2007年 8月
理子ちゃんを襲った謎の男─禪院甚爾を仁が倒した後、私達は体の傷を反転術式で治してもらい、私達は理子ちゃんが襲撃者によって殺されたと高専へ連絡し理子ちゃんの死を偽装、理子ちゃんたちを匿った
今頃は黒井さんと共に海外へ移住しのどかに暮らしている頃だろう
あの任務、私は何もすることができなかった
先輩にスーツの女、そして薨星宮で出会った男
あの3人に負けてから自身を鍛えた、時には仁や悟に協力して貰い文字通り死ぬ思いで訓練をした
お陰で反転術式の取得や領域展開の精度向上など目覚ましい成長を遂げていると自分ながらそう実感している
だが、どれだけ鍛えてもどれだけ強くなってもあの3人につけられた敗北の記憶が消えることは無かった
私達は最強だ
だが、私は悟たちに並ぶような最強であるのか分からなくなってきている
私は最強なのか?
…す……すぐ…… すぐる……傑…傑!
「傑!?」
「っ!どうしたんだい悟」
「いや来週のカラオケ火曜日で良いかって話してただろ、寝不足か?」
「済まない聞いていなかった」
「おいおい大丈夫かよ」
「あぁ大丈夫。ただの夏バテさ」
「ソーメン食い過ぎた?」
その夏は忙しかった
昨年頻発した災害の影響もあったのだろう
蛆のように呪霊が湧いた
特級となった悟や私は任務も全て一人でこなすようになり、硝子は元々危険な任務で外に出ることはない
必然的に私も1人になることが増えた
祓う 取り込む その繰り返し
祓う 取り込む
みんなは知らない呪霊の味
吐瀉物を処理した雑巾を丸呑みしている様な
祓う
取り込む
あの日から自分に言い聞かせている
私の行動は
私が頑張ることで人々の心の平穏が保たれる
"弱者生存"弱きを助け強きを挫く、
ポジショントークで気持ちよくなってんじゃねーよ
自分自身に言い聞かせる内に昔悟に言われた言葉が頭を駆け巡る
時々考える
悟が言っていたことは正しかったのではないかと
私は"弱者生存"を掲げながら
私は
それを理解した時、私は自分自身の醜悪さに嫌悪した
それでも私は止まれない、止まることはできない
…いや
いっその事
「くそ…」
シャワーを浴びても流すことができない挫折感と己自身の嫌悪感が喉を通りシャワー室にこぼれた
「あ!!夏油さん!!」
「灰原…仁」
シャワーを浴び終え、高専内のベンチに座っている夏油の前に夏油の後輩 灰原、そして別の高専の同級生にして星漿体護衛任務で一緒に護衛をした仁が現れた
「顔色悪いな傑、夏バテか?」
「お疲れ様です!!」ピシッ
「…何か飲むか?」
「えぇ!?悪いですよ コーラで!!!」
「じゃあ俺も」
「フフッ…」
夏油が2人分のコーラを自販機で購入し、灰原たちはそれを貰い夏油を挟むようにベンチへ座り飲み始める
「仁は何故ここに?」
「ゴクゴク…ん?任務場所がここからすぐ近くだったから悟やお前の顔を見にここまで足を運んだわけ」
「そうかい任務はもう終わったのかい」
「"ここの任務"*2はここに来る前にサクッと終わらせてきたから大丈夫」
「そうか…」
「あっそういえば夏油さん、実は僕、明日の任務結構遠出なんですよ」
「そうかお土産頼むよ」
「了解です!!甘いのとしょっぱいのどっちがいいですか?」
「悟と食べるかもしれないから甘いのかな」
「俺も!俺も!俺の分の甘いお土産買ってきてくれ」
「分かりました!!」
それからお土産にどんなものを買ってきて欲しいのかや最近の任務での出来事など他愛もない話を3人で話し合った
「君が夏油君?」
そんな私達の前に唐突に現れた金髪の女性によって私達の会話は中断された
「どんな女が
「どちら様ですか?」
「…」(こいつ…強いな)
「自分はたくさん食べる子が好きです!!」
「俺は特に
「灰原、仁…」(汗)
「大丈夫ですよ、悪い人じゃないです。人を見る目には自身があります」
「左に同じ」
「…私の隣に座っておいてか?」
「?…ハイ!!」
「?…どういうこと?」
「あっはっはっ 君たち、今のは皮肉だよ」
「あっ、そろそろ待ち合わせの時間だ。遅れたら七海に怒られちゃうので僕はこれで、それじゃあ夏油さん、禪院さん失礼しまーす」
手をぶんぶんと振りながら灰原は去っていった
「後輩?素直でカワイイじゃないか」
「術師としてはもっと人を疑うべきかと」
「で、夏油君は答えてくれないのかな?」
「まずはアナタが答えてください、どちら様?」
「特級術師
「!!アナタがあの…!?」
「知ってるのか傑?」
「おっいいね、どのどの?」ウキウキ
「特級のくせに任務を全く受けず、海外をプラプラしてるろくでなしの…」
「…ろくでなし」
「……はーあ、私高専って嫌ーい」ハアー
(スネた…)
(スネたな…)
「冗談、でも高専と方針が合わないのは本当。ここの人達がやってるのは対症療法、私は原因療法がしたいの」
「「原因療法?」」
「呪霊を狩るんじゃなくて呪霊の生まれない世界を作ろうよってこと」
「!」
「そんな事できるのか?」
「少し授業をしようか、そもそも呪霊とは何かな?」
「人間から漏出した呪力が
「
「モデルケース?」
「君たちも良く知っている人さ」
「禪院甚爾、天与呪縛によって呪力が一般人並になるケースはいくつか見てきたけど、呪力が完全に0なのは世界中探しても彼1人だった」
「彼の面白い点はそれだけじゃない。禪院甚爾は呪力0にも拘らず五感で呪霊を認識できた。呪力を完全に捨て去ることで肉体は一線を画し、逆に呪いの耐性を得たんだよ彼は」
「正に超人。負けたことは恥じなくていい、彼を研究したかったがフラれてしまってね、惜しい人を亡くしたよ」
「「…」」
「天与呪縛はサンプルも少ないし、私の今の本命は②だね」
「知ってる?術師からは呪霊は生まれないんだよ」
「!?」
「勿論、術師本人が死後、呪いに転ずるのを除いてね」
「術師は呪力の漏出が非常に少ない。術式行使による呪力の消費量や
「大雑把に言ってしまうと全人類が術師になれば呪いは生まれない」
「………じゃあh「じゃあ術師以外の人間を全員殺したら達成できないか?」…!?」
仁の発言に目を見開き驚愕してしまう
なぜならそれは今自分が無意識のうちに出そうとした自身の内なる本音と同じ言葉だったからである
「仁君それは"アリ"だ」
「というか多分それが一番
「えっ…」
「やっぱり〜?」
「非術師を間引き続け、生存戦略として術師に適応してもらう。要は進化を促すの、鳥達が翼を得たように恐怖や危機感を使ってね」
「だが、残念ながら私はそこまでイカれねない」
「君たちは非術師が嫌いかい?」
「…分からないです」
「術師は非術師を守るためにあると考えていました。でも、最近私の中で非術師の…価値のようなものが揺らいでいます」
「弱者故の尊さ、弱者故の醜さ」
「その分別と受容ができなくなってしまっている。非術師を見下す自分、それを否定する自分」
「術師というマラソンゲーム、その果ての
「俺はどーでもいいと思ってる。術師だろうが非術師だろうが人は人だし、そこまで
「…」
「なるほどね。仁君はきっぱりと線引出来てるようだけど夏油君はそうじゃないようだね。夏油君、君の言う本音はどちらも本音じゃないよ、まだその段階じゃない」
「非術師を見下す君、それを否定する君、これらはただの思考された可能性だ。どちらを本音にするのかは君がこれから選択するんだよ」
「…」
──
────
──────
夏油と仁の挨拶を終えた九十九は言いたいことだけを言い残し、バイクに跨り出発しようとしていた
「じゃあね。本当は五条君にもあいさつしたかったけど間が悪かったようだ」
「これからは特級同士3人、いや4人仲良くしよう」
「悟には私から言っておきます」
「しっかり働けよ特級」
「うっさいよそこ ビシッ(指差し)……あ、そうだ最後に」
「星漿体のことは気にしなくていい」
「「……」」
「あの時もう一人の星漿体がいたか、既に新しい星漿体が産まれたのか、どちらにせよ天元は安定しているよ」
「……でしょうね」
「……んじゃあ、そろそろ俺も帰るよ」
「あぁ、またね仁」
「おう!……あ、そうだ傑!」
「…?」
「些細なことでもいい。なんか困ったことがあれば俺に電話して
「?…な、何故」
「いいから! するのか、しないのかどっちだ」
「…わ、分かったするよ」
「はい縛り取ったり!!絶対だぞ!!」
「えぇ…仁、それはちょっと強引すぎないかい」
「良いんだよこれで、こうでもしないとお前は口約束で終わらせるだろ。強引でも縛りは縛りだろ」
「全く……ふふふ─」
「ははははは─」
術師というマラソンゲーム
その果てにあるのが
「……」ポリ…
任務概要
村落内での神隠し、変死、その原因と思われる呪霊の
「これはなんですか?」
「「フー フー」」
村から離れた古ぼけた一軒家、そこに連れられた夏油傑が目にしたのは木の檻に入れられた衰弱した双子の女の子2人が眼の前にいた
「■■…?■■■■!?(なにとは?この2人が一連の事件の原因でしょう?)」
「違います」
「■■■■!!(この2人は頭がおかしい、不思議な力で村人を度々襲うのです)」
「事件の原因は私が取り除きました」
「■■■!!(私の孫もこの2人に殺されかけたことがあります)」
「それはあっちが─」
「■■■!!(黙りなさい化物め)」
「■■!!(あなた達の親もそうだった)■■■!!(やはり赤子の中に殺しておくべきだった)」
「だ…だい、大丈夫…」
夏油傑は小さい呪霊を指先から出し檻の中にいる双子を安心させる
非術師を見下す自分、それを否定する自分、どちらを本音にするのかは
「皆さん一旦外に出ましょうか」ニコッ
君がこれから選択するんだよ
・担当者(高専3年 夏油傑)派遣から5日後、旧■■村の住民112名が地面に突き刺さった状態で発見
・地面に突き刺さった村人は全員無傷ではあったが、老若男女問わず全村人の頭皮が欠損していた
・任務に派遣された夏油傑はこの事について「呪霊を祓った後すぐに帰還したため分からない」と述べた
・高専は担当者(高専3年 夏油傑)が犯行を行ったと推察し捜索するが、
・高専はこの事件に呪術的要因は関与していないと判断し、この事件は不干渉となった
「………は?」
「何度も言わせるな傑は──」
「聞こえてますよだから「は?」つったんだ」
五条悟は親友の思いもよらない行動に、激しく取り乱していた
「悟、俺も…何が何だか分からんのだ……傑が羅亜麺麺丸の経営しているラーメン屋に弟子入りすると言い残して高専から去った」
「んなわけねぇだろ!!」
「ここに退学届がある…これで信じたか悟」
「──っ!!」
五条悟は夜蛾正道が出した退学届とその表情から、この話が本当であることを嫌でも実感せざるおえなかった
数年後 羅亜麺麺丸が経営するラーメン店『超人 ラーメンマン』
「お前が進む道、これで良かったのか?」
「何を今更、こうなった原因の半数は君のせいだぞ」
カウンター席に座る白シャツに黒のニッカポッカ*3、上に黒のレザーコート*4を着ている禪院仁と、五条袈裟を着た夏油傑が隣に座って話ている。数年経過しているだけあって2人の姿は大きく変わり、禪院仁は学生時代に比べ背が伸び筋肉も発達してより戦闘向きの肉体に成長している、夏油傑は学生時代に比べ腹は出て腕も膨らみ全体的に丸みを帯びた肉体になっていた
「いらっしゃいませ!!夏油様、仁さんご注文は決まってますか?」
「あぁ私は豚骨
「俺はあっさりラーメンと唐揚げと杏仁豆腐で」
「分かりました。麺丸さ〜ん!」
厨房から夏油傑たちの注文を聞いて奥へ消えていった黒Tシャツにタオルを頭に巻いた金髪のギャルみたいな女性の名は
「夏油様、仁さんお冷です。」
「お、
「ありがとう
夏油傑たちにお冷を出した
お冷を出した
「……ありがとう仁」
「は?なんだよ急に」
「あの時、あの
「…なんか真正面から感謝されるのって照れるな」
「ハハハ 君のテレ顔なんて初めて見たよ」
「…うるせーよ///」
夏油傑が禪院仁をからかい、禪院仁は夏油傑にからかわれて顔を赤くするという和やかな空気がラーメン店内に広がった
「ン゙、ン゙……傑、そろそろ本題に入っていいか?」
禪院仁が咳払いをし、場の空気を戻す
「…はー 嫌だね〜ここでも仕事か。せっかく久しぶりに会えたんだ、もっとゆっくり話さないかい?」
「俺もそうしたいが事はそうゆっくり出来るほど甘くないそうだ」
「…君がそう言うということはよほどのことなんだろう。はー より聞きたくなくなってきたよ」
「…お前、体だけじゃなく性格まで変わったな…ため息とか気だるそうな態度とか」
「ふふ…冗談だよ。で、私にしてほしいことはなんだい?君の頼みなら喜んで引き受けるよ」
「それなんだがお前の仲間も呼んでほしい」
「……?」
「近々
東京、京都にそれぞれ5万体の呪霊が放たれ未曾有の大規模呪術テロが発生
東京、京都に放たれた呪霊を祓うため呪術師たちは駆り出された
この大規模呪術テロを行った首謀者は千年前の伝説の陰陽師─
「さぁ、始めようか未来の呪術師、思う存分呪い合おうじゃないか」
次回は呪術廻戦0か、楓たちの過去編、じゅじゅさんぽ的な小話どれかを書きます。まとめて投稿する予定なので投稿は今よりも落ちると思います。ご了承ください
あと夏油がなぜ麺丸のラーメン屋に弟子入りしたのかは麺丸の術式と技術、そして雑巾味の呪霊玉が関係します