術式?呪力?最終的に物言うのはフィジカルですが? 作:ありがとうはなまる
天授side
「はっ!」
気を失っていた意識が覚醒する。俺はすぐさままぶたを開き周囲を見るが、周囲に呪霊の気配はなかった
やったのか⋯?
いやそれは無い。思考した答えを即座に否定する
俺の
地面に呪霊が叩きつけられる瞬間、呪具は確かに呪霊の首に食い込み傷をつけていた。だが、半分の所まで食い込んだ瞬間、呪具の方が耐えきれず、パキンと刀身が折れてしまった
落下のことを考え、呪霊をクッションにできるよう上に乗っていたおかげで、死ぬことも骨が折れることもなかったようだが、着地に失敗してしまったんだろう。俺は壁に激突して打ち所悪くそのまま気絶してたらしい
「虎杖は⋯どこだ?」
周囲を見るが虎杖の姿は見られない
これは⋯まずいな
俺はすぐに壁から抜け出し、虎杖を探すため周囲を捜索する。すると、どこからか聞いたことのある邪悪な笑い声が聞こえ、俺はため息を吐きながら声が聞こえた方角へ急いで向かう
十中八九悪い方向へ物事が進んでいることだけは分かる。原作通りって言えば聞こえは良いが、運命の修正力ってのは残酷だな
「我々は共に"特級"という等級に分類されるそうだ。俺と⋯
「フーッ フーッ」ググ⋯
声のする方へ向かうと、下が水場となってる空間に到着し、その下を見ると、虎杖と思しきシルエットと切り離された四肢と一緒に壁に埋められているダルマ状態の呪霊の姿があった
宿儺か、原作同様あの呪霊で遊んでるな。あいつを倒すために俺がどんだけ頑張ったか
しかし不味いな、このままだと宿儺が領域を展開してあの呪霊を倒してしまう。いや、倒してくれていいけどその後に伏黒のところに行くのがヤバい
かと言ってこのままあの場に行っても呪霊共々領域展開で卸されるのが目に見える
⋯⋯仕方ない。
そうこうしている内に壁に埋まっていた呪霊が四肢を再生し、宿儺の前へと降り立っていた。なんであんなにボコられて笑ってられんだアイツ
迷ってる時間はなさそうなのでさっさと下に降りて宿儺の近くに移動する
その際は、宿儺にバレないよう素人ながらなるべく足音など気配を消して近づくようにする
「嬉しそうだな、褒めてやろうか?だが、呪力による治癒は人間と違い呪霊にとってそう難しいことではないぞ」
宿儺に気づかれないであろう距離かつ、そのまま宿儺に攻撃出来るような場所に移動した俺は、その場にしゃがみクランチングの構えを取り、足に力を溜める
「オマエもこの小僧も、呪いのなんたるかをまるで分かっていないな」
五条先生に会えなくなる前に聞いた領域展開について。領域を展開するにはいくつかのプロセス(工程)が必要とされ、それをしなければ領域を展開することはできないらしい
1.呪力を練る2.印を結ぶ3.練った呪力で生得領域を作る4.生得領域に術式を付与して術式を発動する
「いい機会だ、教えてやる」
宿儺の一挙手一投足を見逃さのよう目を見開き凝らす
「本物の呪術というものを⋯」
宿儺が領域を展開するため印を結んだ、来る
「領域展開─
今!!
足に溜めた力を全て解放し、虎杖を助けたときとは比べ物にならないほど早く宿儺の元へ飛び出した
そして、
─伏魔御厨⋯!」
俺の足は宿儺の手を抉り蹴った
「夜ガイ!!!」
第三者視点side
天授晴人のした対領域封じ。それは領域展開をする者に必ず起こる致命的な隙を突き、領域の強制解除を狙うこと
領域展開のプロセス(工程)は大きく区分して4つ
1.呪力を練る
2.印を結ぶ
3.練った呪力で生得領域を作る
4.生得領域に術式を付与して術式を発動する
まず前提として、領域を展開するには膨大な呪力を消費しなければいけない
そのため、領域を展開する瞬間、術者の纏う呪力は領域を展開するリソースに回され、必然的に身体能力に回すリソースが少なくなり無防備な状態になってしまう弱点がある
無論、無防備となる時間は数秒にも満たない雀の涙ほど、そこを突くことは困難を極め、欠点と呼べる欠点とはならない
領域から逃れる方法は幾つかあり、同じくこちらも領域を展開する、呪力で領域に付与された術式を防ぐ、領域内からの脱出、そして領域を展開した術者に領域の維持ができなくなるほどのダメージを与える、の4つが該当する
天授はそのことを五条悟から教わり、ある策を考え実行した。それは、領域展開直後の無防備となる一瞬に、領域を維持することのできないほどのダメージを与える
そうすれば、領域は術式を発動することなく瓦解し、相手は呪力を大量に消費し、術式が焼き切れ使用困難な状態となる。天授はそう考え、その考えを呪いの王へとぶつけた
数秒にも満たない雀の涙ほどの時間に、領域を維持することのできないほどのダメージを与える、無理難題だ。到底出来ることではない、ましてや相手は呪いの王 両面宿儺、成功の確率は那由多の彼方
しかし、宿儺の感知を掻い潜れる呪力0の肉体に、指2本分の力しか持たない現在の宿儺が瞬間移動と一瞬見間違えるほどの速度で放つことの出来る身体能力によって、欠点は欠点として機能を果たし、那由多の彼方へと届き、呪いの王へと一矢報いることに成功した
キン!!
(え?)
天授の目論みも、宿儺へと放った一撃も全てが完璧だったと言える。しかし、相手が悪かった
相手は『呪いの王』
天授が飛び出す瞬間、1000年前に一度味わった悪寒を感じ取った宿儺は、瞬時に展開する領域に縛りを加え、領域展開のプロセスを省略
本来通る3*1と4*2の工程を一つにまとめ、『領域による斬撃の数を減らし「解」のみに絞る』縛りにより領域展開と術式発動のスピードを底上げ、天授に手印が破壊されるよりも早く領域展開を発動されることに成功した。まさに神業
指2本分の力しかなくとも宿儺は『呪いの王』、その異名は力だけで手に入れられるほど安い名ではない
宿儺の領域展開によって体中を「解」で切り裂かれた天授は、数メートル先の壁へ深くめり込ませるほどの蹴りを宿儺に叩きつけると、事切れたように地面へと倒れ動かなくなる
「クハハハハハハ!!俺に肝を冷やさせるだけでなく手傷を負わせるとは。存外、
壁に叩きつけられ、両手は完全破壊、胸部には天授の蹴りによって出来た凹みができており、普通の人間なら重傷どころではない怪我を負っていた。しかし、宿儺は笑った。口から血を流しながらも高笑いをし、己を傷付けた天授を称賛した
一通り笑い終えた宿儺は、未だ口角を上げながら両手と胸を反転術式で治療し足元で気絶している血だらけの天授を見下ろす
(「解」だけとはいえ、俺の領域に一瞬とは言え踏み入れ原型が残っているとはな、つくづく面白い男よ)
「クハ 先の一撃に、笑わせてくれた礼だ、貴様の息の根を止めるのは次にとっておいてやろう」
「それまで、せいぜい実り俺を楽しませてみろ」
そう言い残し、宿儺は地面に落ちていた自身の指を拾い上げ、外へと向かうのだった。自身の「快」を満たすために
その頃甚爾は、ボコしていた呪詛師を置いて、第六感で察知した娘の危機に、馳せ参じようと全速力で向かっていた
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特級呪霊君。宿儺の領域によってサイコロ状に切り刻まれ人知れず消滅
宿儺の威厳と圧倒的強さを出しつつ、天授の強さを見せる。私にはこれが限界でした。
次回:天授強化フラグ立つ、呪霊組暗躍開始する、在庫切れなんで連続投稿最終回
の3つをお届けします。