術式?呪力?最終的に物言うのはフィジカルですが? 作:ありがとうはなまる
「俺は、ケツとタッパの小さい子がタイプです!!」
己の性癖を叫びながら東堂へと殴りかかる晴人
そんな中、
〜〜東堂の脳内回想〜〜
「来たか」
芝生坂と川の間に位置する夕日で照らされた場所で、仁王立ちする学生服を着た晴人の元に、学ランを肩に掛け、腹に鉢巻きを巻く半裸の東堂が歩いてきた
「今日こそ、お前との決着を付けてやる」
「決着だと⋯笑わせる。無駄に詰まった山よりも引き締まったスレンダーな小山の先に言い表すことのできない究極のエロス!!高身長にはない、保護欲を刺激される低身長にしかない可愛さ!!ケツとタッパの小さい女の子こそ至高のボディを持った最高の女の子だ!!」
「いいや!!確かに、お前の言う魅力はあるのだろう。だが!ケツが大きければそれだけ男の夢を掻き立て、高身長な女にしか醸し出すことができないエロスと美しさがある!!ケツとタッパのデカい女の魅力は、お前の理想とする女の一歩も2歩も大きく超えているのだ!!」
「「⋯⋯⋯」」
「やはり⋯」
「口論は無意味⋯」
互いに拳を握り構える
「これからは⋯」
「拳で語ろう」
「東堂ォォォォォ!!」
「天授ゥゥゥゥゥ!!」
互いに地面を蹴り上げ走り出し、お互いの顔面に全力の拳を振り当て、頬にめり込ませる
互いに一歩も引かず、互いに相手の攻撃を避けずに、全て真正面から受け止めながら、激しい殴り合いの応酬を繰り広げた
殴り合いは数分、あるいは数十分も続き、辺りが暗くなろうとしていた頃、東堂と晴人はボロボロになりながら地面へと仰向けに倒れていた
「ハァ⋯ハァ⋯」
「ハァ⋯ハァ⋯フッ 今回の勝負、俺の勝ちのようだな」
「ハァ⋯何寝言言ってんだ。俺より倒れるのが早かったくせに、今回も俺の勝ちだ」
「お前こそ、寝言は寝てから言うんだな」
「ハァ⋯よっ⋯と⋯⋯帰りにラーメン屋に寄っていくぞ、動いて腹減った」
「フン!⋯そうだな」
「そう言えば知ってっか?今週出たあの漫画の最新刊。最初っからクライマックスでな、特にあのシーンがな⋯⋯」
「ほぉ、そんなことに⋯⋯」
互いにボロボロの状態のまま芝生坂を登り、歩道を2人並んで歩きながら、笑顔で雑談を嗜んでいた
〜〜脳内回想終了〜〜
「⋯!」
振り下ろされた晴人の拳が東堂の顔面に直撃する寸前、下から伸ばされた東堂の手により阻まれ難なくキャッチされた
「⋯どうやら、俺たちは生涯の宿敵(ライバル)だったようだな」
「は⋯?⋯⋯ゥゥ゙!」
口角を上げた東堂の突拍子も無い言葉に面食らう晴人だったが、次の瞬間、受け止められていた拳から鈍い痛みが流れ、小さなうめき声を漏らす
東堂は、受け止めた晴人の拳を離すまいと強く握りしめると、晴人を持つ腕を大きく振りかぶり、そのまま地面へと力強く叩きつける
叩きつける際、東堂が晴人の拳を握っていた手を離したことで、晴人は地面の木床を砕き前方へと吹き飛ぶも、空中で回転し体勢を整え受け身を取り、投げ飛ばされた勢いを殺し地面に足をつけ着地した
「かなり強く叩きつけたつもりだが、流石だな」
「⋯くっ」(痛てぇ。呪力無しの素のパワーでコレか、流石東堂。アイツの脳内での俺は
(東堂とは真逆の性癖を言ったから勝手にライバル認定されるのは、まぁ許容内だ。質問された瞬間からこうなることは分かってたし。下手に嘘ついても、東堂なら勘づいてキレてマジの半殺しにしてくるキモい信頼感がある)
「どうした、来ないのか?来ないならこっちから行くぞ!」
「フー⋯逆にわからせてやるよ!筋肉ゴリラ!!」
東堂が走り出すと同時に晴人も走り出し、両者の腕がクロス状にぶつかり合う。その衝撃で周囲に小規模の衝撃波が放たれ、両者の立つ足場はバキバキと2人のパワーに耐え切れず割れ、足がめり込んでいた
互いに歯を食いしばり、拮抗した力比べを繰り広げる。しかし、力比べは長くは続かなかった
「ヤベーぞ!!棘、伏黒たちを!!」
「しゃけ!!」
東堂と晴人の衝突により発生した衝撃波がトドメとなり、戦闘によってボロボロとなった建物が限界を迎え崩壊を初めた
東堂たちの行動を傍観気味に眺めていたパンダと棘は、建物近くに寝かせていた伏黒と釘崎を回収するため、東堂たちを置いて走り出した
一方、力比べをしていた東堂と晴人はそのまま建物の崩壊に巻き込まれ、二人仲良く建物の残骸と共に落下していた。しかし、東堂は落下の最中にも関わらず、晴人との戦闘を続行を開始した
付近にある建物の残骸を足場として蹴り上げ、晴人へと迫り攻撃を仕掛ける。晴人は冷静に東堂の拳を両腕をクロスにして受け止め、防御に成功するも、空中のため勢いは殺せず拳の勢いそのままに後方へ吹き飛ばされる
吹き飛ばされた晴人は、後方を振り返り見ると、体を回転させ仰向けの体制を取る
晴人が吹き飛ばされ向かう場所には、未だ無事に残っていた寺を支える懸造りの木の柱が存在し、晴人は仰向けの状態で横に伸びる大木を驚異的なピンチ力で掴むと、鉄棒の逆上がりのように大木を軸に回転し、投げ飛ばされた勢いを殺すことなく、さながらブーメランのように東堂の元へと返り咲き、東堂にドロップキックを叩き込む。
晴人のドロップキックを真正面から防御もせず食らった東堂は、満面の笑みを浮かべながら地面に叩き付けられ、東堂を蹴り飛ばした晴人は落下する残骸と共に地面へと落下した
(予想外の事態に対する咄嗟の判断能力も高く、攻撃に移る際の思い切りもいい。これまでの戦闘中、未だ呪力を使った形跡は無いにも関わらず呪力で身体能力を上げた俺と拮抗したあのパワーにスピード、恐らく天与呪縛だろう。だが、真希とは比べ物にならんほどの身体能力の高さ⋯⋯)⋯⋯なるほど、逸脱者か」
残骸の山から瓦礫をどかし、埃だらけにながら出てくる晴人を見ながら、僅かな戦闘で晴人の詳細を正確に分析し整理する東堂*1
すると、東堂は徐ろにポケットから携帯機を取り出し、睨むように数分画面を凝視すると、またポケットに携帯機を戻して向かってくる晴人を見る
「高田ちゃんとの
「そこでだ。お前に1つ提案がある」
「⋯⋯」
「次でお互いに最後の一撃にしようじゃないか。防御なんて忘れてノーガードで、今俺たちが出せる全てを乗せた拳をぶつけ合おうじゃないか!!」
「⋯⋯いいぜ、先手は譲ってやるよ」
「ほぉ、良いのか?俺は、手加減せんぞ」
(育子先輩らとの訓練で、実戦での戦い方はある程度覚えた。だが、俺にはまだ足りないものがある。それは、"痛み")
(どれだけ特訓をしてもそれは特訓の域を出ない。擦り傷や青痣軽度の軽度な怪我の痛みなら訓練で沢山受けて大体慣れてきた。けど、骨折や内臓の損傷などの大怪我にはなったことが無い。
呪霊、呪詛師と戦う上で、大怪我を負った経験は貴重だ。実戦で痛みで動けなくなるなんて致命的にも程がある)
(痛いものは痛いから嫌だ、食らわないならそれに越したことはない。だが、重症を負う経験を積める東堂の提案は願ってもない。東堂なら俺が死にかねない攻撃をして来てくれる、ライバル認定したんなら手加減なんてしないよな!!)
拳を握り呪力を高める東堂に、ドッシリと足を広げ構えを取り、東堂を睨むように見る晴人
その鋭い眼光に、東堂は深い笑みで返した
「⋯無粋だったな」
東堂は拳に呪力を込め上に掲げ、遠心力を付けるよう弧を描くように腕を上から下へと振り下げ、左足を前へと踏み込み晴人へと急接近し、晴人の腹部へと遠心力と腕力、そして呪力を乗せた全力の一撃を叩きこんだ
「がフッ!!!」バキブヂゴォ!!
東堂の拳が腹部にクリーヒットし、腹に拳がめり込む音と何かが潰れる音が鳴り響いた
晴人の目からは涙があふれ、口からは血が吐き出しくの字になった晴人の体は後方の建物へと吹き飛ばされ、激しい激突音と砂煙を発生させながら建物を破壊し、建物の奥へと消えていった
「⋯⋯」
数分程度、砂煙が巻き上がり、ぽっかりと大穴が空いた晴人が吹き飛んだ場所を見守った東堂だったが、遂に晴人が出て来ることはなく、東堂は眉尻を下げるとその場から視線を外し、真依の元へ戻ろうと踵を返した
「!」
しかし、次の瞬間東堂は眼を見開き驚きの表情を浮かべる。何故なら、東堂の眼の前には、下を見き、重心を下げた状態で拳を構える晴人が待ち構えていたからだ
どうやって自身に気づかれず後ろに回り込んだのか、内臓が破壊されるほどの致命傷を負ったにも関わらず何故動けているのか、様々な疑問の言葉が東堂の脳内に駆け巡ったが、それも一瞬。東堂は笑みを浮かべ、全身に呪力を纏わせ晴人の攻撃を待ち構える
顔を下に向け、拳を構えていた晴人は、構えていた拳を後ろに移動させ拳を振りかぶる
不意に東堂と晴人の目が合った
「⋯⋯」
「!」ゾッ
速度と体重を乗せた晴人の拳は、吸い寄せられたかのように東堂の腹に直撃した。だが、東堂は数メートルほど後方へ押され、地面に引きずる跡を残しながらも二の足で立つ
晴人の拳が当たった腹の箇所には、青痣が1つ付いた程度の損傷しか付いておらず、東堂を殴った晴人は拳を振るや否や糸が切れたように地面に倒れ気絶した
「⋯⋯」(あの一瞬、本能的に腹に呪力を集中させていなければ、勝敗はまた変わっていただろう)
「⋯フッ 見事な一撃だった我がライバルよ。今回はオレの勝ちだが、次に相まみえる交流会では、お互い全力で臨むとしよう」
腹から来る鈍い痛みなど無視して、東堂は爽やかな笑みを浮かべながら地面に横たわる晴人を抱え、今度こそ真依の下へと歩いていった
「何終わった感出してんだコラ。後輩殺った責任キッチリ取れよ」ゴスッ!!
「歯食いしめろよ!」ドカッ!!
「明太子!!」ドスッ!!
「勝手した罰、しっかり受けなさいよ」バキッ!!
尚、晴人を抱え真依の下へ戻った東堂は、散々暴れ回った落とし前として2年全員の全力の拳を呪力無しノーガードで食らい、高田ちゃんの
そんな東堂に流石の高田ちゃんも少し引いたが、笑顔絶やさずプロ意識でしっかりと東堂と握手をして、シメの高たんビームを東堂にお見舞いした。東堂は全回復した(※東堂は反転術式未習得です)
───────────────────────────
高たんビームを受ければ東堂はどんな重傷を負っても全回復する。そう確信させるものがある。