術式?呪力?最終的に物言うのはフィジカルですが? 作:ありがとうはなまる
「ごめん。何も知らないのに偉そうなこと言った」
「何があったか、話してくれ」
「俺はもう、絶対に順平を呪ったりしない。だから⋯⋯」
里桜高校。そこで、2人の少年が死闘を繰り広げ、そして終演を迎えようとしていた
1人は吉野順平。里桜高校の学生にして、実の母を呪い殺され自暴自棄となり里桜高校全生徒を気絶させ、自身をイジメていた男に復讐を決行した呪詛師
そして、もう1人の少年の名は虎杖悠仁。吉野順平の犯行を知り、里桜高校へと1人でやって来た後、順平を止めるため交戦した高専の呪術師
現在、順平の顕現させたクラゲのような式神の攻撃を真正面から受け止めたことで、虎杖の右肩と左腹部には大きな傷穴が開けられており、少なくない血が流れ出ていた
しかし、虎杖は傷のことなど気にせず戦意を失った順平に寄り添い、事件を起こした動機を聞く
順平は少し考え込むように俯くと、ポツポツと事件の動機を話し始めた。怒りや悲しみ、自身の内に渦巻きごちゃまぜになった感情を乗せた順平の思い(言葉)を、虎杖は順平が話し終わるまで真剣に耳を傾けた
そして、順平の話しを全て聞き、犯行を起こした動機も今思う気持ちも、順平が抱える全てを知り、理解した虎杖は、ある提案を順平に投げかける
「順平、高専に来いよ」
「バカみてぇに強い先生とか、頼りになる仲間がいっぱいいるんだ。皆で協力すれば順平の母ちゃんを呪った奴もきっと見つかる」
「必ず報いを受けさせてやる。一緒に戦おう」
どこまでも自身を思いやる温かい言葉に、順平の心に揺さぶられ、虎杖の提案を受けようと口を動かそうとした時
「やぁ、始めましてだね。宿儺の器」
唐突に順平から視線を外し、後ろにある階段の方を見る虎杖に、順平も後ろを振り返る。すると、そこには顔や腕にツギハギの跡を付けた男が立っており、ツギハギの男が左腕を上げると、腕は突如膨張、肥大化し、そのまま肥大化した腕で虎杖に襲いかかる
「待って真人さん!!」
順平の制止の声も間に合わず、ツギハギ男─真人の肥大化した腕は虎杖に直撃。虎杖は校舎の壁へと叩き付けられ、そのまま肥大化した腕で壁へと固定され、拘束される
「逃げろ順平!!」
「!」
「コイツとどんな関係かは知らん!!けど、今は逃げてくれ!!頼む!!」
突如現れた呪霊、共に任務に当たっている先輩術師─七海建人から聞いた特徴と一致する人語を発する人型呪霊に拘束されたことで、虎杖は呪霊の拘束を解くため暴れながら、順平に逃げるよう言葉を発する
そんな虎杖を落ち着かせようと、真人が敵ではないと順平が口にしようとした瞬間、順平の脳内に、真人と初めて会ったきっかけの瞬間と、真人のアジトに無造作に置かれた見るも無残に改造された人間の数々を思い出し、出かかった言葉はそれ以上口から発されることはなかった
ポンッ
「順平はさ、まぁ頭いいんだろうね」
「でも、
「順平って、君が馬鹿にしている人間の、その次位には馬鹿だから」
「だから、死ぬんだよ」
順平の肩に手を置く真人は、掌に触れる順平の肩から順平の「魂」に触れ、順平の身体を改造するため己に刻まれた術式を発動させる
『無為─
真人の術式─『無為転変』。触れたものの魂に触れ、形を自由自在に変えることができる術式。それにより順平は、真人の手によって呪霊に近い存在、改造人間となり、人としての人生を終える─
─転
「可愛い後輩候補を化け物にするのは辞めてもらおうか、呪霊」
─
『!』
真人が順平の「魂」に触れ形を変えようとした瞬間、地面の下から赤いマフラーを首に巻き、全身黒色の忍者のような服を着たモミアゲの濃い男が現れ、その場にいた全員は眼を見開き驚き、突如現れた男に視線を向ける
地面の下から現れた忍者姿の男は、背中に背負った鞘から刀を抜き、突然の事に術式発動が遅れた真人が順平の体を変形させるよりも早く、順平の肩に置いていた真人の腕と、虎杖を拘束している腕を切り裂き、順平の胸ぐらを掴み自身の方へと引っ張ると、呪力で強化した脚力で真人を蹴り飛ばし強引に距離を離す
「伊駄天の剛!ここに見参!!」
「⋯⋯ハッ!?あ、ありがとうございます⋯」
「⋯!おっさん助かった!!⋯けど、誰なんだアンタ」
「俺は上層部からオマエを監視する用命を受けた呪術師だ」
「!?」
「お前が少年院で宿儺となり自ら命を立ち、上層部はお前が死んだものと思っている。だが、この俺、伊駄天の剛は違う!」
「「宿儺の器」、その危険性と特殊性からお前が生き返ることを考慮し、五条悟の目を掻い潜り*1安置所を監視していた。そして、俺の勘は正しくお前は生き返った」
「生き返り、五条悟によって偽装されてからのお前の行動は全て見ていた。映画を見ていたことも、特級呪霊と出会ったことも、七海と行動を共にし、ここで戦っていることも全てな」
「ちょっと待ってくれ!あんたは俺を監視してたんじゃねぇのか?なのに、何で俺の前に出て来て正体を晒すなんてことしてんだ」
「確かにお前の言う通り。忍者が監視対象に接触し存在を露見するなど普通はあってはならないことだ。だが、それは救える命を見捨てる理由にはならない」
「「!」」
「俺は誇り高い猿飛家の忍だ。だが、同時に人の命を救い守る呪術師でもある」
「それに⋯もう俺にはお前(虎杖悠仁)を監視する理由がない」
「え!?」
「お前が死んだ時点で、上層部から下っていた監視の命令は終了している。よって、お前を監視する理由も、お前が生きていたことを上層部に報告する義務は俺にはない。今までお前を監視していたのはお前自身を見極めるためだ」
「お前は両面宿儺という爆弾を内に宿している、いぜん危険な存在。その判断が覆ることはない。だが、人として、術師として信用するに値する人間だと分かった」
「おっさん⋯」
「おっさんではない。猿飛剛、五条悟の先輩に当たる偉大な忍者の名だ」
「⋯やっぱおっさんじゃね?」
「⋯⋯⋯」
「長話は終わったかな?」
「「!」」
声のした方向を向く虎杖と順平。そこには、猿飛によって切られた腕が再生している無傷の真人が笑みを浮かべ、階段を椅子代わりに座っていた
「猿飛のおっさん、一緒にこいつを倒そうぜ」
「いや、お前は吉野君を帳の外へと連れていった後傷を止血しろ。帳からの出入りの有無は確認済みだ」
「!⋯でも!!」
「俺の心配をするなんて百年早いぞ、後輩」
猿飛は呪力を高め、真人に向かい飛躍し手に持つ刀を振り上げ、真人はそれを手を剣状にして迎え撃ち、金属通しがぶつかり合うような衝突音が響く
「何してる!!さっさと行け」
「⋯⋯⋯すぐ戻ってくるから、それまで耐えてくれ!!」
猿飛の言葉に虎杖は少しの間葛藤するも、横にいる不安そうな順平を視界に入れると、順平を抱き抱えて、順平との戦闘で割れた窓を通りその場から離脱する
「⋯⋯追わなくていいのか?」
「追ってもいいけど、君の首を持って追ったほうが面白そうだ」
「安々と取れる首じゃないぞ」
鍔迫り合いを辞め弾くように刀を振り、後方へ下がる猿飛。手に持つ刀を逆手に持ち、呪力を練り、構えを取る
猿飛の纏う呪力の総量で、先日戦った術師よりも相手が弱いと感じた真人は舌舐めずりをして猿飛を見る
(地面から急に出てきたのはアイツの術式によるものだろう。透過、
(透過であろうと
真人は、剣状の腕を鞭のように伸ばし猿飛に先制攻撃を仕掛けるも、猿飛は向かってくる腕を余裕を持って避け、片手を伸ばしたことで生まれた隙を突くように真人に接近し刀を振るう
(やっぱり、俺よりも速い。捉えるのは少し難しいかな。なら⋯)
猿飛の刀は真人に直撃し、切られた箇所からは赤い血が飛び散るも、次には血が流れた傷跡からは血ではなく無数の棘が押し寄せ、猿飛を串刺しにしようと猿飛に迫る
猿飛は、真人から伸びる棘を上へとジャンプして冷静に回避し、空中で回転して天井へと足を付け、足場として使用し、勢いをつけて天井を蹴り上げ急降下、真人に縦一文の傷をつける
またも体に切り口を作られ、血を流す真人だが、その顔には焦燥も苦悶の表情も無い不気味な笑みを崩さず、変形させた猿飛の背丈を軽々と超える大きさを誇るハンマー型の両腕で地面に着地した猿飛を横からプレスするように両サイドから叩きつける
防御することも、避ける素振りも見せず両腕のハンマーで猿飛が潰されたことを両の眼で確認した真人だったが、数秒もしない内に猿飛は真人の腕からすり抜けるように真人の真上に現れ、手に持つ刀の刃を真人へと向け落下する
(コイツの透過の術式には、明確な穴がある)
ハンマー状の腕を剣状へと変形させ、猿飛の攻撃を避け、後ろへと回り込み剣状になった腕を振るうも、横の壁を蹴り上げ回避され階段が縦に切り裂かれる
真人の攻撃を避けた猿飛は、そのまま廊下の方へと飛び込み窓ガラスのある壁を使い壁宙を決め、後ろから伸びてきた掌を回避し空中で伸びた腕を切り飛ばす
切り飛ばされた腕の切り目からニョキッと手を生やす真人と猿飛は、互いに構え、睨み合いを続けながら廊下を走り、やがて行き止まりにたどり着いた2人は、行き止まりの壁を蹴り上げ廊下を登るように上下左右、あらゆる方向の壁を使い戦い始める
重力を感じさせない軽やかな動きで縦横無尽に廊下を動く猿飛に、真人は持ち前のセンスと変幻自在な体を駆使し猿飛と互角の勝負を繰り広げる
(透過が常時使えるなら、わざわざ俺の攻撃を避ける必要はない。攻撃時は透過が使えない、何らかの工程を挟まなければ発動できないのか、恐らく
壁、廊下、天井を走る真人は、並走する猿飛を追い抜き廊下へと着地すると、猿飛に向かい腕を振り抜き、腕を変形。廊下全てを覆うほどの大きさまで変形させた腕で直線上にいた猿飛を巻き込み、廊下の突き当たりの壁をぶち抜く
猿飛に向けた巨大な拳で校舎の壁をぶち抜いた真人は、肥大化させた腕をそのままに剣状の腕を元に戻し、肘から先を地面に這うように伸ばしていく。そして、真人が腕を伸ばして数秒もせず猿飛は肥大化した腕の中から、腕をクロス状にして刀を振りかぶる体勢の状態で飛び出してきた
(ビンゴ!!)
真人は猿飛が飛び出してきた瞬間、待っていましたとばかりに伸ばしていた腕を空中にいる猿飛目掛け、死角である真下から奇襲を仕掛ける
真人の策。それは、まず、廊下を覆うほどの攻撃を仕掛け、猿飛が術式を使わざるを得ない状況を作り、強制的に猿飛の視界を防ぐ。そうすれば猿飛からこちらの状況は分からなくなる
次に、強襲してくる猿飛に気取られないよう視覚に入りにくい地面に腕を伸ばし這わせておき、猿飛が出て自身を攻撃する瞬間、猿飛の死角から手を伸ばし触れて殺す
真人の策は完全にハマっていた。死角からの強襲に、猿飛は気付いた素振り見せず手に持つ刀を真人目掛け振りかぶり、真人の掌が猿飛の足に触れようとした
(は?)
ドン!
しかし、真人の掌は当たることなく空を切り、突然横からの衝撃に真人は横へと吹き飛ばされ、先程までいた階段へと叩きつけられる
階段に叩きつけられた真人は、すぐさま衝撃のした方へと視線を向けると、そこには猿飛の姿があり、猿飛は胸元から短い導火線が付いた筒状の物を3つ取り出し呪力を纏った手で3つの筒を握ると、呪力によってそれぞれの導火線に火を付け真人へと投げつけた
「忍法、爆撃の術!!」
投げ込まれた筒状の物体が真人のいる階段へと近づく中、真人は体を起こしその場から離れようとするも、寅の印を結んだ猿飛の言葉で、投げられた筒状の物─ダイナマイトが真人を巻き込み炸裂。爆発音と衝撃を出しながら、階段の周囲を巻き込み大部分を破壊し、黒煙が辺りを漂う
(対複数呪霊用の炸裂ダイナマイト。中には火薬と共に、呪力を纏わせるための破片が詰め込まれている俺特製の爆弾。呪力を纏わせ炸裂すれば、広範囲に呪力を纏った破片が飛び散る)
(刀で何度も手傷を負わせたが効いている様子がなかった。恐らく奴の術式によるもの、直撃すれば1級ですら手傷を追うこれなら、奴とて無傷では済⋯⋯ッ⋯!)
爆心地を注意深く見ていた猿飛は、心の中で驚愕し、舌打ちをうつ
「イヤぁ爆発なんて初めてで、まだ耳がキーンってするよ。凄い攻撃だったね。でも残念、魂に響かない攻撃は基本効かないんだよね」
ヘラヘラと、こちらを小馬鹿にしたような笑いを浮かべながら黒煙を抜けて歩いてくる真人。ダイナマイトによって着ていた服はボロボロとなってはいるが、その下から見える体には外傷らしきものはほとんど見受けられなかった
(あれだけ攻撃を受けても外傷どころか、呪力もほとんど減っていない。不死身か、コイツ⋯)
幾度攻撃してもまるで効いている様子がない真人に冷や汗を流す猿飛
「それにしても、中々面白い術式なんだね。すっかり騙されてたよ」
「⋯⋯なんのことかな?」
「とぼけんなよ。お前の術式は「透過」なんかじゃない⋯「分身」だ」
「抜けてきたお前に触れようとして手がすり抜けた瞬間、俺はお前の姿を見逃していない。けど、横から来た衝撃は明らかに誰かに蹴られた触感があった。術式が「分身」だと分かれば、自ずと「透過」だと思っていた現象にも説明がつく」
「⋯成る程。ただ暴れ回るだけの呪霊と言うわけではないらしい」
真人から視線は外さず、猿飛は刀を鞘に戻すと、両手の人差し指と中指だけを立て、十字を作るように印を結ぶ。すると、猿飛の周りに猿飛と同じ容姿の人間が複数体同時に現れる
「俺の術式は『分身』。質量のない、いわばホログラムのような分身を作り相手を撹乱する
「!」(術式の開示、こっから本気ってわけね)
「ここからが本番だ呪霊。1級術師の名にかけて、お前を祓う」
「ニィィ⋯やってみろよ!!」
真人はその場から飛躍し、肥大化させ棘付きこん棒のようにした右腕を振るい猿飛に襲いかかる
猿飛は右側に飛び真人の攻撃を回避するも、真人は脇腹から腕を生成し、横に飛んだ猿飛へと伸ばし触れようとする
しかし、伸ばされた真人の腕は猿飛の体を透過し当たることはなく、真人は自身の周りにいる猿飛へと視線を飛ばし本体を探す
だが、十数といる分身から本体を瞬時に探すことは困難を極め、猿飛を狙う真人の攻撃は全て空を切り、分身に扮した猿飛の攻撃は全て真人に当たり防戦一方
猿飛本体を捕らえることができず、真人は猿飛によって切り裂かれ殴られ蹴られ続ける真人は、肥大化させた腕を横に力任せに振るい本体である猿飛を遠ざけると、体の至るところから棘や刃が付いた殺意漂う触手を生やし、四方を囲むようにいる猿飛たち全員に向かい乱雑に振り回す
特級の剛力を持って振るわれる無数の触手は、一振りで建物をバターを切るかのように切り裂き、ビスケットを砕くように建物を粉砕していく。この暴力の嵐の中で生存するなど、並の術師には不可能、無残な肉塊となるだけの結果になる
「そんな隙だらけの攻撃、忍者には通じん!!」
だが、猿飛は
「忍法、爆裂の術!!」
猿飛は、先程真人に投げつけたダイナマイトを周囲に投げつけ、自身の周囲にあった触手を吹き飛ばし、真人の触手を一時的に無力化する
ダイナマイトから飛び出る呪力を纏った破片で千切れた触手を再生させる真人だったが、その隙を見逃す猿飛ではない
邪魔な触手が消えた瞬間、一気に真人の懐に潜る猿飛に、真人はほぼ反射的に手を伸ばすも、猿飛は伸びてきた手を躱し真人の手首を掴み、触手の攻撃でボロボロになっている天井へと投げつけ、真人は天井を突き破り上の階へと放り出された
「くっ⋯」(やっぱ速いなコイツ。漏瑚には劣るけど、今の俺じゃあ触れるのは相当難しい。けど、依然こちらの脅威にはなってない)
(コイツに不用意な変形は逆に隙を生む。分身と本体の区別はさっきで分かった。分身は完全無視して攻撃してくる本体を俺の出せる最速のカウンターで殺す)
3階の廊下を突き破った真人は、廊下に倒れた状態で猿飛の戦略を立て起き上がると、体の表面を変形させる
変形させる形はカウンター特化の外皮、触れた瞬間をノータイムで感知できるように、皮膚の表面に神経を露出。猿飛の攻撃が皮膚に触れた瞬間、回避も入れ替えも間に合わない速度で棘を伸ばすため、体に呪力は纏わず、猿飛を攻撃する棘だけに呪力を集中させる*2
真人の変形が完了し終えるとほぼ同時に、真人を囲うように四方から猿飛が地面の下から飛び出してきた
(魂が無い。ならこいつらは陽動、四方を囲み、俺の視界を塞いで攻撃、もしくは囲んだコイツラのどれかと入れ替わっての攻撃。攻撃してきた瞬間、その方向に棘を伸ばして腹に風穴を開けてやるよ!!)
猿飛の動向に全神経を集中させ、カウンターを狙う真人
だから、気づかなかった。猿飛の行動ばかりに気を取られていた真人は、眼前に迫る予期せぬ来客の存在を目前に迫るまで気づかくことができなかった
(はっ⋯!?「グッ!?」
真人の四方を囲うようにいた猿飛の分身。その中で、真人の真横にいた分身から、突如として飛び出してきた拳を顔面で受け止めた真人だったが、猿飛から受けていた拳よりも重く、先程までなかった二重の衝撃に驚きつい声を漏らす
予想外な衝撃に驚く真人だったが、カウンターはしっかりと発動し、振るわれた拳の伸びる場所目掛け、串刺しにしようと真人の体から棘が伸ばされる
しかし、伸ばされた棘は、拳を振るった者に当たる前に横から伸びた刀によって2つに分けられ空を切り、二発目の打撃により後方へと殴り飛ばされた
「流石のパワーだな、虎杖悠仁」
「ッシ!⋯良いの入った!!」
真人に拳を振り上げたのは、順平を連れて離脱していた虎杖
猿飛が真人を上の階へと投げ飛ばし真人を追おうとした直後、順平を帳の外へと逃がし終えた虎杖と合流。猿飛は、虎杖に速やかに状況と作戦を伝え、真人のヘイトを猿飛が受け持ち、その隙を突き虎杖が真人に攻撃を当てた
「何度言えば分かるかな。魂に響かないお前らの攻撃は無意味なん、だって⋯」ブッ
「「!!」」
後方に殴り飛ばされ床に倒れる真人は、なんでもないように立ちがり虎杖たちの方へと向かい笑みを浮かべるも、虎杖に殴られた鼻部分の傷の治りが悪く、鼻血が流れたことで笑みは驚愕に変わり、その現象に猿飛も目を見開き驚き、虎杖だけが何も分かっていないような顔を傾げる
(どういう事だ!?魂の形ごと叩かれた。あの妙な打撃のせい⋯いや、そうか!!)
(呪霊のあの傷⋯恐らく先程の虎杖の攻撃で出来た傷。しかし何故⋯⋯そうか!!)
(虎杖悠仁は"器"!!常に肉体の中に自分以外の魂が在る状態。だから、自然に⋯)
「知覚しているのか、魂の輪郭を!!」
「奴の言う魂に直に攻撃を与えられる唯一の存在!!」
ほぼ同じタイミングで同じ結論にたどり着いた両者
「虎どッ⋯!?」
猿飛がこの事を虎杖に告げるよりも早く、真人は行動に移った。そのことを真人の纏う呪力で感じ取った猿飛は真人の方へ顔を向ける
真人は両腕を肥大化させ掲げるように構えると、両腕に呪力を集中し始める
「ステージチェンジだ!!」
「!不味い」
真人は、巨大化させ、掲げていた両腕を力の限り振り降ろし、地面である校舎を粉々に粉砕
猿飛は真人の行動を察知し、急いで虎杖を担ぎグラウンドの方へと飛び、破壊の衝撃に巻き込まれることはなかった
「あっぶねぇ、助かった猿飛のおっさん」
「⋯」(無理やり開けたグラウンドへ誘導されたか⋯⋯!)
「フッ 場所が変わったのは好都合だな。虎杖悠仁」
「?どうしたんだ」
「今から情報を共有する」
砂煙漂う崩れた校舎を見ながら猿飛は虎杖に話す
「奴の術式は自身や相手の身体を多種多様な形へと変形させることも伸縮させることも出来る。距離が離れているから安心と考えていると足元を掬われかねんから注意しろ」
「了解」
「次に、奴の手には絶対に触れるな。触れたら最後、お前の知る改造人間に成り果てる。用心しろ」
「押忍!」
「それと最後に、俺の攻撃は奴には効かん」
「は!?なんで!?」
「詳細はこれが終わった後でゆっくりしてやる。とにかく、お前が攻撃の要ということを意識しろ」
「お前が死ねば俺"たち"は全滅するかもしれん。いや、すると思って行動しろ」
「こいつを放っておけばより強くなり手が付けられなくなる。その過程で多くの人間が犠牲になる」
「故に、確実にここで祓うぞ。俺たち三人で!!」
「応!!」
「了解です。」
特級呪霊1体を討伐すべく、2人の1級術師と呪術師となって一月も経っていない器が死力を尽くす
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《猿飛剛》
年齢:30歳
身長:179cmほど
所属:呪術上層部直属隠密起動員
高専入学方法:スカウト(忍者の家系ではあるが、呪術師家系ではない)
等級:1級呪術師
一人称 :「俺」
好きな食べ物 :月見バーガー
嫌いな食べ物:ホワイトアスパラ
趣味・特技:アスレチック、新体操
ストレス:上司の無茶振り、未来の不安(DT)
生得術式:「分身」
領域展開:未習得
反転術式:未習得
黒閃:未経験
極ノ番:使用可能
高専卒業後、上層部の元に訪れ自身から部下にと志願した。(立場の上の者の下で任務をこなしたほうが忍者っぽいからという理由)
任務の際は冷徹な判断を下し確実に任務を遂行するリアリスト精神を持つが、自身の信念には正直で、上層部の命令でも自身の定めた一定ラインを越えれば屁理屈込めて命令を有耶無耶にする善人。(虎杖の件がそう)
七海が攻撃力と防御力に秀でているなら、猿飛は俊敏性と機敏性に秀でている術師。