術式?呪力?最終的に物言うのはフィジカルですが?   作:ありがとうはなまる

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10 領域展開

 

 

 

 

 「こいつを放っておけばより強くなり手が付けられなくなる。その過程で多くの人間が犠牲になる。確実にここで祓うぞ。俺たち三人で!!」

 

 「応!!」

 

 「了解です。」

 

 ・・・・・

 

 「⋯⋯?3人⋯?」チラツ

 

 「⋯⋯」

 

 「ナ、ナナミ!?」

 

 「独断行動の件の説教は後ほどしますからね、虎杖君」

 

 「ぅ⋯⋯」

 

 「ナイスなタイミングでのご到着だな七海」

 

 「⋯あなたがここに居る理由も後ほど聞かせてもらいますからね、猿飛さん」

 

 「フッ 賢いお前のことだ。俺がここにいる理由もある程度は予想できてるだろ?」

 

 「⋯⋯」

 

 「まあそれはさておき⋯さっきも言ったと思うが、あの呪霊には虎杖の攻撃しか有効打を与えられん。俺とお前で奴の動きを止め、その隙に虎杖は奴に攻撃を叩き込め」

 

 

 人語を理解し話せる呪霊にこちらの情報を極力晒さないため、猿飛は合流した七海に知り得た有力な情報と簡潔な作戦だけを伝え、虎杖、七海、猿飛の3人は呪力を巡らせ臨戦態勢を取り、眼前の敵を睨むように見る

 

 

 (1級術師が2人に、俺にダメージを与えられる天敵が1人。中々どうして⋯崖っぷち)

 

 「ふふ⋯」

 

 

 七海(1級術師)が合流、面倒な術師(猿飛)に己の天敵がいることで、術師側が数も戦力も優位に立つ中、それでも真人は笑みを浮かべ、目をギラつかせながら虎杖たちを見る。その目には闘志とは似つかない邪悪な想いが籠もっていた

 

 

 (宿儺の器である虎杖悠仁は殺せない。なら、虎杖悠仁と面倒なモミアゲ忍者に注意を払いつつ、まずは七三術師から片付けるか)

 

 

 虎杖たちの品定めを終えた真人は、3人の中で一番殺すのが容易な七海を殺すため、自身の体を変形させる。左腕を剣状に変形させ、おでこから頭上にかけて無数の目玉が生成させ、力技で死角を消した

 

 腕の変形は七海を、無数の目玉は猿飛の動きを360°警戒出来るように変形させたもの。真人の中で、3人の警戒度は猿飛→虎杖→七海の順で高く、先程受けた虎杖の攻撃は確かに真人に有効打を与えたが、複数人での戦闘で最も厄介な術式と戦闘技術を持つ猿飛を一番に警戒。一度の戦闘で、問題なく仕留められる相手だと判断した七海に真人の矛先は向いた

 

 

 「シッ⋯!」

 

 

 互いに睨み合う静寂の中、その静寂を解いたのは猿飛の投げたクナイだった

 

 真人は投げつけられたクナイを変形していない右手でキャッチすると、虎杖の方へ投げつける

 投げつける際、呪力を込めたことで殺傷力と速度が増したクナイに、虎杖は持ち前の動体視力に身体能力で回避。その隙に真人は七海の方へ一直線に接近し、剣状に変形させた腕を高速で伸ばし攻撃を仕掛けるも、七海は身を捩ることで回避する

 

 真人の攻撃を避け、態勢の整っていない七海に追撃として右手を突き出す真人だったが、その掌が七海に触れるよりも先に横から現れた虎杖の振り上げた足蹴りによって、真人の右手は地面に叩きつけられる

 

 ❘❘❘❘❘❘❘❙❘❘

 

 虎杖によって右手が地面に固定されたことで生じた隙に、七海は自身の術式「十劃呪法(とおかくじゅほう)」で真人の右腕を7:3の割合で切り飛ばす

 

 

 「ッシ!!」

 

 

 右腕が切り飛ばされた真人は、直ぐに切り飛ばされた右腕を直しながら、七海に向けて残った左腕の刀身を伸ばすも、鉈を盾のようにして受け止められ、腕が止まった隙に猿飛が刀で切り裂く

 

 両腕が一時的に使用不可になり無防備となった真人に、虎杖の逕庭拳が真人の胸部に炸裂、二重の打撃を味わいながらゴロゴロと後方へ吹き飛ばされるも、転がっている最中に両腕を修復し、片手をバネのように使い体を飛び上がらせ、両の足で地面に立ち体勢を整えながら虎杖たちとの距離を取る

 

 

 (やっぱ三対一だと動きが阻害されて思うように動けないね)

 

 「軽っるい拳だねぇ、それで本気ってマジ!?」

 

 「くっ!!」

 

 「奴の言葉を鵜呑みにしないように。攻撃が当たっている以上ノーダメージではありません。冷静に攻撃を当て続けてください」

 

 「おう!」ダッ!

 

 (初めの一発は呪力無しのほぼノーガード状態でモロに食らったからダメージを負ったけど、しっかり呪力で肉体を守ってれば特に問題なく耐えられる。もう少し体を変えてもいいかな)

 

 

 真人を挟み込むように左右に分かれ向かってくる虎杖と七海に、真人は両腕を鋭利な触手へと変形させ、高速でしならせ2人の接近を阻む

 

 素早い触手の猛攻に、当たりこそしていないものの攻めあぐねる2人を他所に、猿飛はがら空きとなっている真人の裏を取り、虎杖を襲う腕(触手)を切り落とそうと刀を振りかぶるも、首を半回転させ猿飛の方を向いた真人の顔が一気に巨大化して、口を開き猿飛を襲う

 

 

 「!!」

 

 

 真人の顔が急に巨大化し、口を広げ迫る光景には流石の猿飛も目を見開き驚くも、体はしっかりと回避の行動を取っており、すぐさま分身と入れ替わる

 分身を噛んだ真人は、無数の眼で猿飛の本体の位置をすぐさま特定し、肩から新たな腕(触手)を使い本体へと迫るも当たる直前に入れ替わられ、捕捉しては触手を伸ばし、届きそうになれば分身と入れ替わるとイタチごっこを繰り広げる

 

 本体を捕まえられないことでイライラが募る真人に、猿飛とのイタチごっこの際に隙を見て触手の猛攻から逃れた七海が襲う

 真人はすぐさま猿飛に伸ばしていた触手で七海の鉈を防ぎ、そのまま七海へと追撃をしかける

 

 鉈と触手の打ち合う音が数回、触手と打ち合う七海に手のひらを伸ばし襲い、回避されること数回、七海の術式を警戒し触手の長さを変化させる真人。この間も残った片腕で虎杖を攻撃し続けていたが、触手に悪戦苦闘していた虎杖を颯爽と救出する猿飛を視界に捉えたことで、七海との撃ち合いを切り上げ距離を離すと、体を元の姿へと戻す

 

 

 (う~んマルチタスクって難しいんだな。片方の攻撃に意識が行くと、もう片方の攻撃が疎かになる。目を複製しても結局俺の体は1つだから処理が間に合わないし、逆にいろんな情報が流れ込んで来て邪魔。今後の課題かな)

 

 (やっぱりあの中で一番厄介なのはあのモミアゲ忍者だな。虎杖悠仁たちと少し離れた場所に陣取って、七三術師か虎杖悠仁のどちらかが危なくなると必ず邪魔をしてくる。排除しようにも攻撃が当たる直前に入れ替わって当たらない。ホント面倒くさい能力(術式)だね⋯ちょっと大人しくしてもらおうか)

 

 「お゙ぇっ」ゲロ⋯

 

 

 真人は指を喉元まで突っ込み、嘔吐と共にハニワのような顔が付いた小さな物体─小型化させた改造人間を"10つ"を吐き出す

 

 

 (改造人間!!まだストックがあったのか!!)

 

 「短髪のガキと黒髪の男を殺せ」

 

 

 口から吐き出した改造人間を術式で元の大きさに戻した真人は、改造人間を虎杖と猿飛に3:7の数で襲わせた

 

 七海はすぐさま虎杖の元へ向かおうとするも、真人の鋭利な腕によって無理やり回避行動を取らされ、その隙に虎杖と虎杖を追う改造人間の姿が校舎の影に消えていった

 

 

 「猿飛さん、呪霊の相手は私がしますのであなたは虎杖君の助力をお願いします」

 

 「駄目だ。お前1人にコイツは荷が重い」スッ

 

 

 足を鹿のように変化させ、走力が上がった真人の攻撃を避けながら、七海の言葉を断る猿飛。周囲には既に息絶えている改造人間の死体が転がっていた

 

 

 「お前が元人間であるコイツらを、まだ子供である虎杖に殺させたくない気持ちを持っていることは分かっている。だがな、これだけは覚えておけ⋯()()()()()()()()

 

 「世界に蔓延り続ける理不尽を死ぬまで祓い続けるイカれた存在が呪術師だ。子供だろうと、この世界に足を踏み入れ呪術師になったのならこの程度、乗り越えてもらわなければ困る」

 

 「⋯⋯」

 

 「へぇ~意外と厳しい事言うじゃん、てっきり虎杖悠仁を追って行くもんかと思ってたのに。でも残念、虎杖悠仁は人間を殺せないよ。虎杖悠仁は現実と理想の擦り合わせができていない、典型的な馬鹿なガキ「それは違います」⋯ッ!」

 

 

 足を動物の足に変化させたことで得た走力で、猿飛と互角以上の高速戦闘を繰り広げる真人

 その横から、猿飛の攻撃に合わせて挟み撃ちのように真人へ襲い掛かる七海

 

 

 真人は、猿飛の攻撃を変化させていない呪力を纏った腕で防ぎ、七海の攻撃は剣状に変化させ、呪力を纏う腕で防ぐも、七対三の位置に当っていたことで七割程切り裂かれ食い込んでいた

 

 

 「私も、まだまだ社会人生活の名残りが残っていたようです⋯」カチャ

 

 

 両者の攻撃を防いだ真人は、猿飛の攻撃を防いだ腕の手首から先の関節を外し、猿飛に触れようと伸ばすも分身と入れ替わられ、七海の方は鉈が食い込んでいる腕の一部を変化させ、鉈を腕に固定させる

 

 

 「彼は今まさに現実と理想の擦り合わせの真っ最中、どちらかと言えば─」

 

 

 絶体絶命の最中の中、体ではなく口を動かし真人を見据える七海を、真人は無視して猿飛に触れようと伸ばしていた手を元の位置に戻し、七海の腹へと手を伸ばす

 

 

 「馬鹿はアナタです」

 

 パリン!

 

 「うっらぁ!!」

 

 「!」

 

 

 真人の掌が七海に触れるまであと数cmという所で、頭上からガラスが割れる音が響き、直後上空から落下してきた虎杖の拳によって七海に迫る真人の腕は強制的に下へと下げられる

 

 

 (殺してきたか!!)「!」

 

 

 落ちてきた虎杖に気を取られ、虎杖のインパクトの瞬間、持ち前の腕力で拘束から逃れた七海の攻撃に一足遅れて気づく真人

 

 

 (七三(コッチ)のネタは上がってる。インパクトの直前、形を変え─バゴゴン!!ウブァァ!!」

 

 ドガァ!! ❘❘❘❘❘❘❘❙❘❘

 

 虎杖の渾身の右ストレート、七海のクリティカルヒットが真人にクリーンヒットする

 

 

 (身代わりを作る暇がない)

 

 

 互いの攻撃の隙間を縫った絶え間ない連続攻撃によって、真人の行動を完全に阻害。防御も攻撃も回避も術式すら許さない連続攻撃に、真人は為す術なく肉体も魂も徐々に削られて行く

 

 

 (ああなんて⋯)

 

 (なんて新鮮なインスピレーション)

 

 

 猿飛は、虎杖と七海の連続攻撃に自身が加われば却って邪魔になると悟り、不測の事態に備えていつでも手が出せる場所で虎杖たちの戦いの行方を見守る

 

 

 (これが─

 

 

 

 だが、

 

 

 

 「死」か!!

 

 

 

 「!」

 

 

 呪霊との戦闘において"不測の事態"というのは、いつも術師の想定を大きく上回り、そして─

 

 

 (今ならできるよね)

 

 

 「死」に直結する

 

 

 

 領域展開

 

 

 真人から放たれた膨大な呪力に、猿飛は出せる最高速度で真人に迫り斬りかかる

 

 

 「何ッ!?⋯グッ!」(結界の構築が早い!!)

 

 

 しかし、猿飛の突き出す刃は下から生えた無数の黒い手によって阻まれ、真人に攻撃を仕掛けていた虎杖と猿飛は湧き出るように出てくる無数の黒い手に押し出される

 

 

 自閉円頓裹(じへいえんどんか)

 

 

 無数の人の手が絡み合うように合わさったオブジェクトと、腕同士が掴まり網目のように結界を覆う空間内で、真人と七海は対面する

 

 

 「今はただ、君に感謝を」

 

 

 

 

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