酔ってるくらいが丁度良い。   作:リミュドラ

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臆病で悪戯好き


Kahlua and Milk

短針は6を、長針は0を指す。

 

ゴォーン、ゴォーンと鐘の音が鳴る。

 

夜が明け、朝が訪れる。

私の目は覚め体に乗る敷布団を退かす。洗面所に向かい鏡を見る。

 

「……酷い顔だな。」

 

一言つぶやき、蛇口を捻る。捻りすぎただろうか。いつもより水圧が高い気がする。いちいち気にするのも面倒くさい。気にせず滝のように出る水を両手で受け止める。

すぐに手の中には水が集まりジャブジャブと溢れ出す。

 

手に溜めた水を顔に打ちつける。水の冷たさで頭がクリアになってくきた。

 

食事の準備をしなくては。キッチンに行き冷蔵庫を開く。卵とベーコン、食パンを取り出す。偶には果物でも食うかと思い、ミカンも取り出す。食パンはトースターで少し長めに焼く。ベーコンを先にフライパンで焼き、ベーコンから出た油を使い目玉焼きを作った。

チンっと軽快な音が鳴る。トースターを掴む。少し焦げ目がついたおいしそうな色だ。トーストの上にベーコンを置きその上から目玉焼きをのせベーコンエッグトーストの完成だ。

一口食べる。美味しい。それ以上でもそれ以下でもない。朝飯はすぐに食べ終わり、ミカンを一つ剥き食べる。酸っぱさと甘さが程よい。口の中がすっきりする。

食器をシンクに入れ水に浸す。ミカンの皮はビニール袋の中に入れ口を塞ぎ生ごみのごみ入れに入れる。

……少し臭い。そろそろ捨てるか。

 

棚からコップを取り出し、机の上に置いてある瓶を取り、コップの半分まで入れる。

それを一気に呷る。

 

瓶のキャップを閉める。

コップは一度水で洗い、流す。水道水をコップの中に入れ飲む。それを二杯ほど。

 

カーテンを開き、電気をつける。外からは酷く眩しい朝日が顔を見せている。

自分の制服に着替えるためにパジャマを脱ぎ一か所にまとめる。

 

ハンガーにかかるサックスブルーのシャツ、ライトグレーのスーツ、ワインレッドのネクタイ、ブラックの靴下を身に着け、ベルトを締める。ベルトにはホルスターが2つ、スピードローダーがいくつもある。

 

玄関前まで行き、黒のトレンチコートを羽織る。靴入れを開けブラックシューズを地面に置き、履く。しゃがみ靴入れの中にある金庫から私の愛銃、『Golden Dream』を取り出しホルスターへと入れる。

 

「行ってきます。」

 

扉はガシャンと閉まりカチャンと鍵が閉める音が鳴る。

 

 

 

朝日に照らされた机。光が映していた文字は『SPIRYTUS REKTYFIKOWANY』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝7時の風は冷たい。人通りも少なく、爆発も起きてないから猶更。

少し散歩しながら学び舎へと向かう。

私はゲヘナ学園でも珍しい登校者だ。この学園は温泉開発を大義名分に町を破壊する部員や評価に値しない飲食店を破壊する部員が進級できる。大人たちは早く何とかした方がいい。まぁできないから放置してるのだろうが。

 

学園へと続く大通りに一人の影が立っている。全身的に黒い姿だが顔の左目を中心として光っている。

……厄介な大人が来た。

 

「何の用だ、黒服。面倒な話なら聞かんぞ。貴様みたいに色々な場所に行けるほど暇じゃないからな。」

 

「おやおや、まだ何も話していないというのにこれほど言われるとは。まずは挨拶からでしょう。おはようございます、マウさん。」

 

「……おはよう。」

 

どうせまた手を貸して欲しいとかの話だろう。契約者としては信頼できるが、セールスマンとしては信頼度は0に等しい。

 

「長話はご所望ではないでしょうから手短に話しましょう。ベアトリーチェの手伝いをして頂けますか?」

 

「お断りだ。あの女は一切信頼できない。生徒を駒としか見ず、傲慢で不遜な奴だ。何より、奴の探求方法は愚者のやり方だ。恐怖支配による独裁国家そのもの。フランス革命のロベスピエール派。ソビエト連邦のヨシフ・スターリン。ドイツのアドルフ・ヒトラー。イタリアのベニート・ムッソリーニ。大日本帝国の東条英機。カンボジアのポルポト。最終的には淘汰された考え方だ。それをやろうとする愚者の下で働くと思うか?」

 

すぐさま立ち去ろうとした。

 

「断っても良いと思っているのかしら、酔痴マウ。」

 

「……久しぶりだな花女。」

 

白いドレスに鮮血のような赤い体。そして複数の翼で覆われた頭、一枚一枚に目がある。

 

「────すいません。」

 

この頭花女の所為で私は朝から気分を悪くしなくちゃならんのか。

 

「確か黒服に『私は未来で何が起こるのか知っている』と仰ったそうではないですか。その力を貸してくださるだけで構いません。」

 

「私が知っているのは『これからの未来』じゃなく『未来の物語』について知っているだけで、私がお前に教えるだけでフローチャートは崩れるぞ。全く意味のないことだ。」

 

「ではこうしましょう。私は最終的にどうなるのですか?」

 

「みじめな姿を晒し、ゲマトリアからは恥と呼ばれ、自分が駒だと思っていた生徒たちに敗北する。」

 

「そうなれば危険分子を「止めといたほうがいいぞ」……何故ですか?」

 

「そいつらを殺せば間違いなく計画は早い段階で失敗するからだ。まぁ結局失敗するのだがな。」

 

ベアトリーチェを嘲笑する。

 

 

私は知っている。この女が惨めに負けることを。

 

彼女は知らない。自分の駒たちに負けることを。

 

 

「今夜私の店に来ればいい。ホーセズネックを貴様に奢ってやる。ついでにカルーアミルクも出してやる。貴様にお似合いだ。」

 

私は言い終え、二人から離れるためにビルの上へ駆け上りゲヘナ学園へと向かう。

 

私は前半で死ぬつもりはないさ。

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