キヴォトスの生徒達がロボットを開発するお話   作:レイサン

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一話目前半は主人公が原作の(主にパヴァーヌ編2章辺りの)出来事について説明っぽく話すだけです。
飛ばしたい人は飛ばしても大丈夫だと思います。


『皆よりちょっとだけ凄い生徒』

突然だが自己紹介をさせていただこう。

私は奈々池 レイミ(ななち れいみ)、ミレニアムサイエンススクールのエンジニア部所属の一年生だ。

といってもここ最近は幽霊部員みたいな物で、もはや同級生からも先輩からも距離を置かれているけど。

 

というのも、私がこの学園に入学したのにはいくつか理由がある。

まず一つは、私が所有する別荘から距離が近かったから。

その次に、学園での活動の一環として自分の目標に集中できそうだったから。

そして最後に、部活に入れば開発費用を学園から出してもらえるから。

 

しかし、私では想像もできなかった事態が重なった結果、私は活動方針を大きく変えることにした。

大きな要因は二つだ。

一つ目の要因は学園のトップであるセミナーのメンバーが色々やらかして資金的に余裕が無いという点だ。

まぁ大体はリオ会長が資金を横領して要塞都市エリドゥを建設したせいだろう。

 

何故そんな事を知ってるのかって?

それは二つ目の要因にも関わってくる。

 

二つ目の要因は、天童アリスとの出会いだ。

彼女は普通の人間では無い。

私も全てを知っている訳では無いが、どうやら彼女は人造人間のようなものらしい。

正直、初めて会った時は彼女が機械だなんてとても信じられなかった。

しかし、真相が気になった私は自作のAI搭載超小型自動操縦ドローンを彼女に追従させて、超小型カメラと超小型録音機で情報を集めた。

ほとんどの時間はゲーム開発部という部活でゲームをしていたが、ある事件の後彼女は調月リオによって自身の秘められた力の危険性を知らされた。

当然私もその時の録音音声を聞いたときは驚いた。

彼女には人のような感情を持つ以外にも、並外れた戦闘能力まで搭載されていたのだから。

 

それだけに留まらず、アビ・エシュフやアバンギャルド君といった高性能な兵器の数々には度肝を抜かれた。

特にアバンギャルド君は、戦力が整っていなかったとはいえあのシャーレの先生の指揮能力を持ってしても敵わない強敵だった。

アビ・エシュフもそのスペックをフルに活用すれば、ミレニアム最強とも噂されるあのネル先輩と互角の戦いを繰り広げることが可能なほどの武装だ。

 

私が三年かけて考案した設計図を書き直すのには十分すぎるインパクトだった。

シャーレの先生の指揮能力を超える兵器、ミレニアム最強を相手にできる武装。

これらに匹敵する戦闘兵器の開発や、アリスちゃんのようなまるで人間みたいなロボットを作るためには、今以上に資金も人手もデータも必要になる。

 

何故そこまでして戦闘兵器を作りたいのか?

『人よりちょっと優れてる』私の才能とやらがどの程度のものなのか、その限界がしりたい。

ただそれだけの話である。

 

そのためには、まずは協力者が必要になるだろう。

まぁひとまず、一昨年山奥に建設した別荘に帰って体を休めながら考えよう。

 

そんな事を考えながら山道を進んでいったら、別荘の門の前に見慣れない人物を見つけた。

あの白っぽい制服と立派な純白の翼、まさかトリニティ総合学園の生徒だろうか。

軽く調べた情報では所謂お嬢様学校らしいが、陰湿なイジメが度々目撃されるという悪い噂も耳にする。

まぁそれでもゲヘナ学園よりはマシなのだろうが。

何にせよ、私の別荘に用があるというなら家主の私が声をかけるのは自然だろう。

 

「おーい、そこの君!私の別荘に何か用かね?」

 

「ああ、失礼。こんな山奥に大きくて見栄えの良い建物があったので、絵に描くか迷っていた所なんです。」

 

「絵に?絵を描くというと、もしかしてワイルドハント芸術学院の生徒さん?」

 

「えっと、見て分からないかな?トリニティ総合学園の一年生ですよ。こんなわかりやすい羽が目に入らなかったのかな?」

 

「君結構嫌味な事言うね。」

 

「悪く思わないでください。最近あまり気分が良くないんですよ。聖園ミカを魔女だの何だのと騒ぐ人達のせいで、ゆっくり落ち着いて絵を描くこともままならないので。それに、大事に持ち歩いていた"コレ"も最近動かせなくなってしまいました。」

 

そう言うと彼女は、背中に背負ったやたらデカイ機械に触れた。

背負っている機械も気になるが、それ以前にもっと気になることがあった。

 

「聖園ミカ……確かティーパーティーのメンバーではなかったかな?学園の権力者を魔女呼ばわりなんて問題になるんじゃないのか?」

 

「は?……ああ、他校生は知らないのか。現在聖園ミカはティーパーティーのメンバーでは無いですよ。私も興味無いので詳しいことは知らないが色々と問題を起こしたらしいです。重罪を犯したのに処罰が軽すぎると批判を受けているらしいですけど正直私には関係の無い話かな。」

 

「そ、そんな事が…やはり私はもっと他校について知る必要があるな…。」

 

「エデン条約のイザコザなんて知って何になるんです?お腹痛くなりますよ?」

 

「いや、それ自体には興味は無いんだ。ただ、このキヴォトスにおいて事件ある所には争いがある。戦闘データの収集にはそういった出来事にも首を突っ込まなくてはね。」

 

「戦闘データ?そんなもの何に使うの?」

 

「それは極秘情報だ。」

 

「そ、そうですか…。」

 

「さて、話はもう良いからそろそろ帰ってもらえないかな?絵を描きたいっていうなら他所を当ってほしい。」

 

「あ、そういえば他に用事があってここに来たんでした!」

 

「用事?」

 

「はい!今"私が背負ってる機械"を修理してほしいんです!」

 

「はぁ、わざわざここまで来たならミレニアムのエンジニア部に頼むべきでは?」

 

「はい、エンジニア部にも頼んだけど色々調べてから断られてあなたを紹介されました。」

 

「いや、先輩方が無理なら私も無理なんだけども。ていうか何よそれ?光の剣?」

 

「ヒカリノケン?というのは知らないですけど、私はこの武器を焼却砲と呼んでいます。前までは熱光線を発射できたんですよこれ!」

 

「ね、熱光線!?どこでそんなもの手に入れたんです!?」

 

「拾い物です。よく覚えていませんが確か砂漠のような場所でしたね。」

 

「砂漠……アビドス自治区だろうか……?だとしたら随分とフットワークが軽いようだが…。」

 

「まぁ昔からいろんな景色を描くためにキヴォトス中歩き回ってるので慣れたものです。」

 

「そうなると色々話が聞きたくなってきたな…よし決めた。君のその機械は私が可能な限り修理しよう。その代わりに君が知る限りでの各校の強者について情報提供してもらおう。君と私でギブアンドテイクだよ。」

 

「まぁ直していただけるなら構いませんよ。私も他校について詳しい訳ではありませんけどね。」

 

そうして私は彼女を一旦家へ招き入れた。

彼女の名前は吉月メロ(よしづき めろ)、趣味で絵を描きながらキヴォトス中を歩き回っているトリニティ総合学園の一年生だそうだ。

こうなると、せっかくだから三大校の生徒を揃えてみたい所だが、生憎ゲヘナ学園に知り合いはいない。

まぁ、家に招くからには色々話さなくてはならないだろう。

 

「ようこそ、ここが私の別荘だよ。」

 

「簡単に言ってるけど普通は別荘なんて持ってないですよ?」

 

「え、持ってないの?」

 

「流石に持ってませんよ。」

 

「ふーん、まぁそんなことはどうでもいいさ。さて、修理するなら私についてきてもらおうか。」

 

私達は別荘の地下にある開発室へ向かった。

私が個人制作した地下開発室、規模の大きさには自信があったが、リオ会長が作ったアレを見た後では見劣りするというものだ。

とりあえず機械の修理という事なので普段使っている開発室の前まで着いてきてもらったが、流石に関係者以外が部屋の中に入るのは危険なので外で待ってもらうことにした。

さて、まずは動作不良の原因解明のために……

 

 

────────────────────────

 

 

ここに来れば直してもらえると言われて来てみたけど、何と言うか機械的な物だらけの場所だ。

流石ミレニアムサイエンススクール、名前通りのサイエンスな雰囲気だ。

まぁここは学校の施設では無いらしいけど。

 

それにしても、奈々池レイミだったっけ?彼女は一体何者なんだろうか。

応接室的な場所に案内された時は変な機械がわざわざコーヒーを持ってきてくれた。

私は食わず嫌いしないタイプだから良かったけど、他の生徒だったら紅茶じゃない事に不満を持ったかもしれない。

 

こうして開発室の外で待っている間も、清掃用の機械や何かダンボールのようなものを運ぶ機械が部屋の前を行き来している。

まさかこの広さで人間は一人しかいないのだろうか?

 

「……ちょっと歩いてみようかな。」

 

退屈だったから、興味が湧いたから、いくつか理由はあったが冷静に考えて他人の家を勝手に歩き回るのは良くなかった。

でも、この時何となく歩き回ったおかげで、彼女と出会うことができた。

 

「……この部屋随分と明るいけど何かあるのかな?」

 

私は扉の隙間から青白い光が漏れ出る部屋を覗き込んだ。

するとそこには予想外の物があった。

 

「あれは……女の子……?」

 

私と同じ黒髪の少女が眠っていた。

扉の隙間から漏れ出た青白い光は、彼女の胸元から出ていたようで、ベッドの周りは私には何なのかも分からない機械がいくつか置かれていた。

しばらく眺めていると、彼女の胸元の光が小さくなって行った。

と言うより、開いていた胸の穴が閉じて光が外に出なくなったと言うべきかもしれない。

 

「に…人間じゃ無いよね……流石に…。」

 

だって、人間だったら心臓が青白く光ったり、傷口が一瞬で治ったりしないだろうから。

しばらくすると少女が目覚め、勢いよく飛び起きた。

 

「うわぁ!き、急に起き上がった!」

 

もしかして起こしたらマズイやつだろうか?

だとしたらどう責任を取るべきか。

そういった事がすぐに頭に思い浮かんだ。

そんな私を後目に、彼女は部屋を出て開発室へ向かっていった。

 

 

────────────────────────

 

 

「ふう、直して欲しいと言われたから一度解体して原因を調べたが、まさかただのバッテリー切れだったとは。」

 

頼まれていたのは修理だが、まぁ再び動くようになったのだから文句もあるまい。

 

「さて、修理終わったよメロさん……メロさん?うむ、トイレかな?」

 

『あっ見つけた!おはようレイミ!』

 

「ああ、おはよ……うわぁっ!!な、なんで自立して部屋を抜け出してるんだ!?」

 

『そんなに驚くことじゃないでしょ?体はほとんど完成してたんだし。』

 

「まぁ確かに今月中には完成すると予想されていたが……それにしてもだよ?勝手に起動するっていうのはおかしいじゃないか。まさかシステムの不具合か?」

 

『え?部屋に人が入ってきたから大丈夫かなって。』

 

「……メロさんか。」

 

「あ、あのぉ…私何かやっちゃいました?」

 

「はぁ……誰にも見せたこと無かったんだけど、まさか来客時に完成してしまうとはね。」

 

見られてしまったなら、まぁ説明せざるを得ないか。

どの道まだ計画の途中だし、誰かにバレるのは時間の問題だっただろうからね。




唐突に動き出した謎の少女については次回その正体が明かされるかも。
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