キヴォトスの生徒達がロボットを開発するお話   作:レイサン

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ゲヘナ学園は不良生徒がいっぱいらしい

さてと、これはどういう事だ?

私は一昨日、吉月メロに戦闘データを集めてほしいと言ったのだが、何故か正義実現委員会とかいう組織の一般戦闘員である大旗マキアに武器を提供しなくてはならなくなった。

どうやら銃が軽すぎて使いにくらしいのだが、偶然にも数日前に思いついた重装備のアイデアがあったのだ。

求めていたのは戦闘データだが、まぁそれはこの大旗マキアさんに、依頼料の代わりとして提供してもらうとしよう。

それより、新開発の武装のテスターがこうもあっさり見つかるとは、やはり最近の私はツイてるようだ。

 

『ねぇレイミ!私は何か仕事をしたいよ!』

 

「え?いや、君はまだ知識不足だからあまり動かしたくないのだが。」

 

『でもミレニアムの天童アリスは目覚めて間もない頃にゲーム開発部の見るに耐えないゲームをプレイしたんでしょ?私が天童アリスと同じような存在なら、私も外で自由に動いても良いでしょ?』

 

「フラム…確かに君は彼女と同じく機械だ。だが、天童アリスはただの機械では無いし、君は天童アリスでは無い。少なくとも今の君は精神的にも身体的にも彼女とはかけ離れているだろう?彼女の取った行動が彼女にとって最適解だったとしも、それが君自身にとって最適解だとは限らないんだ。」

 

『え〜?でも私暇なんだよォ!それにインターネットの情報だけで世界を知ることはできないでしょ?外に出るのが少し早まるだけだよ!』

 

「…まぁ良いだろう。いずれ社会勉強のために外に出る事にはなるのは事実。うむ、君に任務を与えるよ。」

 

『やったー!何をすればいいの?』

 

「君にはゲヘナ学園の風紀委員会の活動を観察し、君自身のラーニングシステムによってその戦闘データを自分の糧にしてもらいたい。ラーニングシステムの動作確認に加えて、君自身の自己防衛能力を確かめる目的がある。」

 

『なるほど…理解!』

 

「ゲヘナ学園自治区の場所は分かるよね?」

 

『もちろん!ルート検索で最短ルート探すね!』

 

はぁ、押しに負けて許してしまったが、今回向かわせたゲヘナにはあまり良い噂を聞かない。

先日完成したばかりのフラムが破損してしまったら正直かなりショックを受けるが、まぁ最悪バックアップは取ってある。

それに心配はいらないさ。

だって彼女は私の最高傑作なのだから。

 

 

────────────────────────

 

 

『へ〜、ここがゲヘナ学園かぁ。遊園地に来たみたいだぜ、テンション上がるなぁ!』

 

事前情報通り銃声や爆発音が聞こえるし、生徒も多いみたいだ。

ゲヘナ学園、キヴォトス三大校とも呼ばれる学園の一つ。

学園内に犯罪組織が複数存在し、不良生徒が蔓延るひたすら治安の悪い学園と聞く。

 

今回私が観察することになった風紀委員会は、そんなゲヘナの治安維持を行う組織だ。

事前情報ではかなりの頻度で厳しい訓練を行っていると聞いたし、実力者揃いの武闘派集団に違いない。

彼女らのお世話にならないよう、大人しくしておくべきだろう。

 

しばらく歩いていると、何やら女性の声とバイクの走り去る音が聞こえた。

 

「ちょっ!またひったくりなの!?あのヘルメットめ、今日と言う今日はギタギタにしてやるわよ!」

 

ダダダダダッ

 

「ハッハッハッ!逃げろ逃げろ!」

 

「へへへへっ!あいつやっぱクソエイムだぜ!」

 

驚いたな、全弾外した。

 

「ムッキー!!相変わらず頭に来るわねアイツら!わざわざ毎回違うメンバーにひったくらせて、もう盗まれて困るようなものカバンに入れてないわよ!」

 

『そこのお方、カバン取り返してきましょうか?』

 

「え、誰?」

 

『私こういう者です。』

 

右手を相手のスマホにかざす……つもりだったが携帯をカバンに入れっぱなしだったらしい。

 

『カバン取り戻したら返しますので自己紹介はその後でしますね!』

 

「え?ち、ちょっと!アンタ絶対にカバンごと盗むんじゃないわよ!?」

 

さて、SNS上の目撃情報と周辺の監視カメラの映像から大まかな逃亡先は分かっている。

まあ、見た感じ原付だったし、一般道路の法定速度絵に違反しない速度なら徒歩でも十分に追いつけるでしょう。

さて、走って追いかけようか。

 

「……足早。」

 

追いつくのに1分ほどかかってしまったけど、法定速度を超えない速さで走っていたので仕方ないだらう。

にしても、相手も相手で制限速度は守るんだね、ひったくりのくせに。

 

『やあキミ達、そのカバン返してもらおうか。』

 

「は?誰だお前?」

 

「っておいおい!お前丸腰で喧嘩売るとか頭脳がマヌケか?」

 

「うわ、マジじゃん!こいつ変態かよ!わざわざボコられに来たのかなぁ?」

 

「「ギャハハハハハ!!」」

 

『おう、言い残すことはそれだけか?』

 

「あ?」

 

『くらえ、シャイニングキラキラ目潰し!』

 

「ぐあぁ、眩しい!」

 

「なんも見えねぇ!おい、そこにいるのか!?」

 

『はい!そこに私はいます!ミニ・ビックバン・キャノン!』

 

 

────────────────────────

 

 

「では、本当にひったくり犯を撃退しただけなんですね?」

 

『はい…』

 

「それで、使用武器はロケットランチャーですか?それとも手榴弾?」

 

『えっと…手からビーム出しました。』

 

「はい?風紀委員会舐めてるんですか?」

 

『すみません…でもホントなんですよ?』

 

「もうそういう事で良いんで早く帰ってください。所属不明の生徒なんて面倒な事案に対処してる暇ないんですよ今の風紀委員会は。」

 

『忙しいんですか?』

 

「貴方に話すことはありません。面倒なので今後はゲヘナ自治区内に入らないでください。良いですね?」

 

『あの、まだ仕事が済んでないのですが……』

 

「余計なこと言うと牢屋にぶち込みますよ?」

 

『はいすみませんでした帰ります。』

 

トホホ……まさかデータを集める対象だった風紀委員会に補導されるとは。

職務怠慢な人だったから助かったけど、真面目な人だったら逮捕されてた。

 

「あ!出てきた!おーい!」

 

『あ、わざわざ出てくるの待ってたんですね。』

 

「うん、カバン帰ってきたからね!私からも是非お礼がしたいわ!」

 

『はあ、まあそういう事なら私じゃなくて私の開発者にお礼してあげてください。』

 

「開発者?」

 

『はい、私こう見えて人造人間なんですけど、私を作ったのは奈々地レイミって人なんですけど……』

 

「奈々地レイミ!?奈々地レイミって、あの奈々地レイミ!?」

 

『えっと、どの奈々地レイミ?』

 

「奈々地レイミって言ったらミレニアムの天才一年生として有名じゃない!汎用型建築補助装置、通称『ビルダーマシン』や、半自動調理装置『万能クッキングポッド』の開発者よ!?他のゲヘナ生ならまだしも私が知らないわけないわよ!」

 

『えっと、確かにその奈々地レイミで間違い無いんですけど、そんなに詳しく知ってる貴方は何者なんですか?』

 

「私?私は別に名乗る程のもんじゃないわよ。まぁ聞かれたからには答えるけど、ただの通りすがりのゲヘナ生徒、名前は篭浦アスモよ。まぁ世間話が好きな変わり者って所かしら?」

 

『なるほど、シスターフッドはゲヘナにも勢力を拡大してたんですね。』

 

「シス…何?」

 

『シスターフッドです。その服装はシスターフッドの服装でしょ?違うんですか?』

 

「いやこれはこういうファッションよ!そのシスター何とかって組織には興味無いし、そもそも名前さえ聞いた事も無いわ!」

 

『はあ…よく分かりませんがそう言うならそうなんでしょうね。』

 

 

まあ何はともあれ、戦闘データは取れた。

それに、引きこもりがちなレイミを人と関わらせるのには丁度よさそうな人に借りをつくれた。

まぁ当初の目的では風紀委員会の戦闘を見る予定だったけど、出禁を食らったなら仕方ないよね。

 

 

────────────────────────

 

 

『というわけなんですよ〜。』

 

「うむ、事情は理解した。だが今のこの面倒な状況がどうにかなるような有益な情報は無かったのが残念だ。」

 

名も無き不良集団に喧嘩を売ったせいで、私の別荘は現在不良生徒に囲まれている。

フラムやメロが不良生徒を撃退した結果、私の存在が大規模な不良生徒の組織に認知されてしまった。

監視カメラから見える範囲で少なくとも50人はいる。

いくらフラムでも一人で50人近くの不良生徒を相手するのは難しいだろう。

かと言って私が出ても焼け石に水だ。

 

ミレニアムにはこういう時気軽に頼れる治安維持組織が無いのが良くない。

いや、そんな組織必要ない程度には穏やかだったのに余計なことしてしまった自分も悪いか。

 

幸いと言うべきか、この別荘は篭城戦に強い作りになっている。

ボタン一つで固定砲台が起動して迎撃態勢をとれる仕組みにしてある。

 

「だが、こんな事もあろうかと私は裏口を用意しておいたのだよ。」

 

『その裏口も位置バレして待ち伏せされてるから困ってるんじゃないすか。』

 

「フフ、やはり今こそ皆の力を借りる時なのかもしれないね。さあフラム、モモトークでメロとマキアとアスモに連絡してくれ。」

 

『それぐらい自分でやれば良いものを…。』

 

「私は彼女らに頼まれていた新兵器を用意するよ。新兵器の実戦データを収集するにはもってこいの良い機会だ。」

 

 

────────────────────────

 

 

「呼ばれたか指示通りの場所に来てみたんだけど……私以外全員トリニティの生徒じゃない!あの人ゲヘナに友達居ないの!?ていうか友達の友達っていう関係はすっごい気まずいわよ!」

 

「正義実現委員会として、今は正義のために戦いますが、ゲヘナの生徒と仲良くなるつもりはありませんよ。」

 

「なんでよりにもよってこういう時に呼ばれるのかな…私戦闘は得意じゃないのに…。」

 

「とにかく、まずはモモトークに送信されたレイミさんの研究所の裏口から制圧しましょう!私は委員会活動でこう言った作戦に参加した経験がありますので、現場の指揮は任せてください!」

 

「やけに自信ありそうだし、私は全然それで構わないわよ!そっちのお嬢さんも異論ないかしら?」

 

「はい、手伝うと言ったからには最後までやるつもりですので。」

 

「皆さん銃の準備は済みましたか?では行きますよ!目標は前方の青い屋根の小屋、ヘルメットを被った構成員を撃破しつつ突入しましょう!」

 

「「了解!」」

 

 

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