キヴォトスの生徒達がロボットを開発するお話   作:レイサン

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奈々地ラボ防衛作戦

菜々地レイミが他校生を集め、試作武器を提供してからそれなりに長い時間が流れ、提供された武器たちは更なる改良を加えられた。

メロやアスモは目立つような活動をしていないため話題に上がる事はほとんど無かったのだが、問題は正義実現委員会で期待の新人として注目を集めているマキアである。

 

レイミが調子に乗って魔改造したマキア専用装備である「フルアーマーキャノン」が未だかつて無いほど無骨な外見をしており、治安維持組織でありながら一般生徒にまで恐怖を与えるという本末転倒な状態に陥っている。

 

しかし、フルアーマーキャノン自体の性能は本物で、名前通り全身を覆い隠す鎧のような装甲に、四台のガトリング砲が装着されたアーマーである。

恐ろしい事に、重厚な見た目に反して車輪とジェットエンジンによる加速と短時間飛行を可能とする高い機動力を持っている。

それに加えてオート照準機能・暗視機能・サーモグラフィー機能・ズーム機能搭載の特殊ゴーグルを併用する事でありとあらゆる場面で高い戦闘能力を発揮できる超高性能武装に仕上がっている。

最も、それを使いこなしているマキアが最も末恐ろしいのは言うまでもない。

 

そんな訳でトリニティ総合学園の自治区内での犯罪率は激減したが、マキアの使用する出処不明の兵器の存在を知ったティーパーティーや救護騎士団、さらにはシスターフッドまでもが、正義実現委員会を今までに無いほど危険視するようになった。

 

レイミにとっては自分の存在が危険視されている訳ではないので、今回の件については痛くも痒くもないが、レイミが今ぶち当たっている問題は別にあった。

それは、以前追い払った不良集団が、ロボット系の不良集団やトリニティで居場所を失った不良達、さらには悪い大人に利用されている可能性まであるという問題だ。

 

一番謎なのは、わざわざレイミに対してここまで執着する理由だろう。

確かに過去に一度不良集団を返り討ちにしたが、それにしたってここまで戦力を集めているのは異常だ。

一体何が狙いなのだろうか。

 

「と、言うわけでだ。君たちはこの件についてどう思う?」

 

「どうもこうも無いわよ!異常よ異常!」

 

「元々は私が喧嘩売ったのが原因だったけど、もはやそんな事忘れてそうな勢いですよね。」

 

「やっぱり私が目立ちすぎたんでしょうか?」

 

「私達だけで考えても分からない事な気もするね。」

 

『もう正面突破で良くない?僕たちが全戦力突っ込めば勝てるよ!』

 

「確かにフラムの言う通り、君たちに加えて私の用意している機械兵を全員投入すれば容易に返り討ちにできるだろう。だが、もしそれ自体が相手の狙いだとしたら?」

 

「それ自体が狙いですって?どういう事なの?」

 

「簡単な事さ。フルアーマーキャノンやチェイサーグレネード、そしてフラムさえも私が作った。自分で言うのもなんだが、こんな兵器を開発できる人物を取り込みたい組織などいくらでもいるだろう。敵の狙いは私の作成した設計図か……あるいは私自身だろう。」

 

「いやいやいや、それ誘拐じゃない!犯罪よ!ヴァルキューレに訴えてやるわ!」

 

「大人のズル賢さをなめない方がいい。あれこれ理由をつけて正当化してくるに決まっている。」

 

「じゃあどうするつもりなんですか?」

 

「本当は避けたい方法なんだが、状況が状況だから仕方ないね。相手が大人の力を借りるなら、こちらも大人の力を借りるのさ。」

 

「大人の力を……てことはもしかして!」

 

「ああ、シャーレの先生に協力してもらえないか相談しようと思っている。」

 

「良いじゃないソレ!あの人色んな所で良い噂聞くわよ?たまに変な噂も聞くけど。」

 

「でも先生も忙しいんじゃないですか?ちょっと前に何か空が変な感じになってた時も先生が色々やってたみたいですし。」

 

「でもあの先生モモトーク送ったらすぐ来てくれるわよ?この前お弁当盗まれた時に先生に話したらお弁当買ってくれたの!」

 

「そんな事で呼んだんですか!?ていうかしれっとモモトーク繋がってる!?」

 

『そういえば僕はシャーレの先生?には会ったことないんだよね。イマイチどんな人か知らないけどそんなに頼りになる人なの?』

 

「私が知る限りでは一番頼りになる大人だよあの人は。天童アリスの一件以来私は度々先生を観察していたんだが、あのエデン条約にも出向いていたのは驚いたよ。まぁ立場的に当然と言えば当然だが。」

 

「エデン条約……やっぱりあの人が先生だったんですね。」

 

「まぁこうして話している間も敵はこちらを攻め落とす作戦を練っているかもしれない。こちらから手を打つなら早くするべきだろうね。」

 

「私は賛成するわよ!何だかんだ頼れる人がいると安心するもの!」

 

「わ、私も賛成です!私は先生の事詳しく知らないですが、先輩方から良い人だと聞いているので!」

 

「まぁあなた達がそういうなら大丈夫なんでしょうね。私も異論はありません。」

 

『僕も先生に会ってみたい!』

 

「よし、決まりだね。」

 

五人は話し合いの末に、シャーレの先生からの協力を得る事で合意した。

 

 

─────────────────────

 

 

レイミ達がシャーレの先生に協力してもらおうと考えている中、とある兵器製造を行う企業も行動に出ていた。

 

「しかし社長、子供を利用してまで奪うほどの技術力なんて本当にあるんですか?いくらあのミレニアムの生徒と言ってもまだ一年生ですよ?ちょっと大袈裟なのでは?」

 

「大袈裟なはずないだろう!確かに我々にもあの生徒が作った戦闘兵器を再現しようと思えば可能だろう。だがそれは多額の借金を投入した場合の話だ。それをあの生徒は一人で開発したのだ。」

 

「だからって不良生徒なんか宛にするようじゃこの先不安でいっぱいですよ。」

 

「ええい黙れ!私がこの会社をここまで大きくしたのだ!私の考えに口答えをするな!」

 

「わかりましたよも〜。まったくウチの社長は頑固なんだから困っちゃいますよ。」

 

社長と秘書と思われる人物が話していると、扉をノックする音が聞こえた。

 

「どうぞ入ってください。」

 

「失礼します!カチコミ入れる準備できました!指示があればいつでもぶっ潰せますよ!」

 

「よし!では明日にでも行動を開始するぞ!」

 

「あ、明日っておま、正気かこのオッサン!なんで私こんな社長の秘書なんかになっちゃったんだ〜?勢いについていけないぜ〜。」

 

 

─────────────────────

 

 

翌日、奈々地ラボにて。

 

"初めまして、私がシャーレの先生だよ"

 

「おお、待っていたよ先生。しかし本当にモモトークで呼ぶだけで来てくれるとは。」

 

"困っている生徒を助けるのは先生として当然の事だよ"

 

「うんうん!相変わらず頼もしいわ先生!」

 

「しかしまぁ来たのが先生だけだとしたら正直あまり状況が変わらなそうですけど、そこの所どうなんですか先生。」

 

"ああ、それについてなんだけど……"

 

先生は今回の件について、どうやら各校のトップに相談してくれたようだ。

ミレニアムサイエンススクールからは部員のピンチを救うためにと、エンジニア部を中心に様々な機械の提供。

トリニティ総合学園からも仲間を救うためにと正義実現委員会から援軍が来る予定との事。

ゲヘナ学園は運悪く自治区内の治安維持のために戦力を動かしているため協力を得られなかったが、代わりの戦力に先生が『依頼』してくれたとの事。

生徒を守るためは大前提として、先生もレイミの技術力を下手に利用されるのはまずいと考え、可能な限り戦力を集めたようだ。

 

「そうか、私達のためにこれだけの人員が動いたのか。本当にありがたい話だな。」

 

「これだけの協力を得られるなら何だか行けそうな気がしてきたわ!やってやろうじゃないの!」

 

「まぁ自分から乗った船だし、最後まで一緒に行きますよ。」

 

「委員会の皆が来てくれるなら、私もそれに答えないとメンバーとして恥ずかしいですからね!」

 

『よーし、ぶっ飛ばしていこー!!』

 

そう話していると、レイミ達がいた部屋、コントロールルームで警報が鳴った。

奈々地ラボ近辺に不審人物を発見したという情報が入ったようだ。

 

「さっそく来たようだね。」

 

警報を聞いて周辺の監視カメラの映像を確認すると、どうやら複数方向から一斉に攻め込んできているようだ。

 

「これはてわけした方が良さそうだね。ラボの正面は私達五人で迎撃しよう。先生には他三方向からの襲撃に対応していただきたい。任せても問題ないかな?」

 

"私に任せて!"

"皆無事に帰ってきてね!"

 

「では行こうか!」

 

「「「おー!」」」

『おー!』

 

 

─────────────────────

 

 

「よしお前ら!ここが目的地だ!眼鏡をかけた茶髪で赤い目のミレニアムの生徒がターゲットだ!そいつを捕まえれば例の会社からたんまり報酬が支払われるそうだ!」

 

「うっひょー!腕がなるねー!」

 

「思いっきり暴れちゃおう!」

 

不良生徒達が騒いでいると、周辺の地形が変化した。

レイミが戦闘シミュレーションシステムを起動し、地形を市街地から廃墟に変更した。

 

『さあ、これで周辺の状況は気にしなくて済む。この場は君たちに任せよう。』

 

「ええ!それはもう派手にやってやろうじゃないの!」

 

「フルアーマーキャノン発進準備完了!大旗マキア、いつでも行けます!」

 

「ええっと、まぁ、はい。私も準備できてますよ。」

 

『うむ、こちらも今急いで準備を進めている。とにかく時間を稼いでくれ!』

 

レイミは何かを準備しているが、時間がかかるため他三人に時間を稼いでもらっているようだ。

 

「ビビるな!相手はたったの三人だけだ!数で押し切るぞ!」

 

「「「おおおぉぉぉ!!」」」

 

以前現れた不良生徒に紛れて、ヘルメット団やスケバンもチラホラ見える。

他の方角には傭兵やロボットもいるらしい。

戦力の規模は今までとは桁違いであり、敵組織の本気度が伺える。

しかし、レイミの兵器とアスモ達の実力もかなりの物。

フルアーマーキャノンで正面突破し、散らばったところを焼却砲とチェイサーグレネードで仕留める。

やはりレイミ開発の兵器は破壊力が一般的な銃火器とは桁違いだ。

 

「まずいっすねぇ、押されてますよ。」

 

「大丈夫、ここまでは予想通りだ。本部に連絡を入れて"アレ"の使用を頼んでくれ。」

 

「了解です。」

 

何やら不穏なやり取りが聞こえてきた。

 

「敵組織が何か秘策を用意しているようです!皆さん気をつけてください!」

 

するとレイミから通信が入った。

 

『まずいぞ!奴らミサイルを飛ばしやがった!伏せろ!』

 

「ええぇぇ!?ちょ、流石にそれはヤバいじゃない!」

 

「まさか仲間ごと吹っ飛ばす気!?」

 

「伏せてください!」

 

発射されたミサイルは威力こそさほど高くは無いが、その分複数発射され、たちまち周囲を更地にしてしまった。

しかし、そこは流石のキヴォトス人。

敵味方共に何とか持ちこたえていた。

 

「フルアーマーキャノン機能停止!」

 

「私らも流石に立ってられないわ。どうする?」

 

「通信機器は無事みたいですね。どういう硬度してんですかねコレ。」

 

『ここまでよく耐えてくれた!ではこちらも最終兵器を使うとしようか!』

 

「最終兵器……まさかアレを使うの!?」

 

「なるほど、だからフラムは待機してたのか。これは期待できそうだね。」

 

『最終兵器メタルウォーカー起動準備完了!メタルウォーカーとフラムのシステム同期完了!ゲートを開ける!』

 

地面が真っ二つに割れ、その下には空間が広がっていた。

その空間から凄まじい轟音が鳴り響く。

そして超大型の二足歩行戦闘兵器メタルウォーカーが、勢い良く飛び出してきた。

着地だけで大地を揺らす巨体は、見る者を圧倒する。

 

「ひえぇぇぇえ!!なんじゃありゃ!?」

 

「本部から最終兵器の話は聞いてたが……なんだあのクソデカいロボットは。カイテンジャーのロボットよりデカイぞ。しかも随分とスリムな形状してるじゃないか。」

 

『シュシュッ!ドスドスドスッ!やはりレイミが作ったマシンは良く馴染む!最高の操作感だ!』

 

「シャベッター!!」

 

「おい本部!次のミサイルはまだなのか!?」

 

「発射準備完了!二陣目発射!」

 

再び複数のミサイルが発射された。

しかし、今度はメタルウォーカーが…というよりメタルウォーカーを装備したフラムが相手だ。

 

『何か凄いバリア展開!!』

 

フラムが両手を前に突き出すと、六角形のバリアが複数連結した半透明の壁が出現した。

その壁には実体があり、ミサイルが直撃してもほぼノーダメージだった。

 

『フッフッフッ、このバリアは物理的衝撃に対して非常に高い耐久力を発揮する!強い神秘を持つ者でなければこのバリアは突破不可能なのだよ!ハッハッハッハッハッ!!』

 

『ちょっとレイミ!同じスピーカーで喋ったらややこしいから黙っててよ!』

 

『ごめん。』

 

「ば、バカな!?ミサイルの直撃が効いてないだとぉ!?」

 

「だから言ったんですよやめたほうがいいって!私は一足先に避難しますよ!」

 

本部にいた者たちも一斉に逃げ出したが時すでに遅し。

 

「動くな!ヴァルキューレ公安局だ!」

 

「な、なにぃ!?何故我々の居場所がバレているんだァ!?」

 

「我々の情報収集能力を甘くみたな。」

 

メタルウォーカーを目にした不良達は戦意喪失、他のチームも無事に鎮圧された。

奈々地ラボ防衛戦はレイミ達の勝利に終わったのだった。

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