sideゆかり
「それじゃあ、買い物に行こう」
「そうですね」
「す、すまないな」
五行さんを忘れてきた私と薫は五行家に戻り、五行さんを連れて、今日の目的である買い物に出掛けることにした。
ここまで来るのに予想以上に時間がかかったような気がするが、どうでもいいだろう。
「それで、どこで買い物を?」
「う~ん、なら私がよく買い物しているところでいいかな?沢山、お店が入っているし」
「うん、いいと思うぞ」
ショッピングにれっつごー。
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「相変わらず混んでるね」
「仕方がないよ、今日は休日だし」
「お嬢様、ゆかり様。痴漢に気をつけてくださいね」
「うん」
「か、薫さんが、南条さんを名前で読んでる!?」
五行さんは驚愕した。多分、普段の薫の言動を知っている者ならみんな驚くだろう。それは、彼女は他人に一線を引いているからだ。たとえそれが親い人であってもだ。それなのにあって間もない人を名前で呼んだのだ。『様』がついているのは、メイドたから仕方がないのだろう。昔は五行さんのことを、『聖ちゃん』と呼んでいた。
と五行さんが教えてくれた。あと、五行さん本名、五行 聖(ごぎょう ひじり)である。
「へー、聖ちゃんって呼んでたんだ」
「昔の話ですよ」
「そういえば、薫さんはどうして南条さんを名前で呼ぶようになったんだ?私がいない間になにがあったんだ?」
「あー、それはね」
「エレベーターが着ましたよ。その話はまた、あとにでも」
エレベーターから沢山の人が出ていき、私たちが入る。エレベーターの中は先程降りてきた人たちよりは少なかったが、やはり多くの人が乗ってくる。
薫が言った通り、痴漢には気をつけるべきだね。窮屈ではないが、身動きがとりづらいし。特に五行さん。顔もいいし、胸も大きい。痴漢のいい的になりそうだ。いや、逆に痴漢されにくいのか?
そういえば、ルナたちも今日買い物するんだっけ。もしかしたら鉢合わせするかもね。
「あ、この階よ」
「すみません、この階でおります」
「きゃ、どこ触っているんですか!」
なんとかエレベーターから出ることができた。エレベーターガールってのがいて助かったよ。でなきゃ、おり損ねていたよ。出る際に薫が痴漢にあったけどね。そのあと『わたくしはこの痴漢を警察に引渡しますので、お嬢様たちは先に買い物を楽しんでいてください』と言い残して警備員と一緒に痴漢を引きずりながらどこかに行った。きっと警察に行くんだね。あと、引きずりながらは誤字じゃないからね。
「薫さんに痴漢した人大丈夫かな」
「え、なんで?」
「薫さんは南条さんと買い物ができるのを楽しんでいたから、それを邪魔した痴漢になにをするか……」
五行さんは微笑みながらいう。
それにしても、薫は楽しんでいたんだ。表情を変えないから分からなかったよ。あと、痴漢ドンマイ。いや仕方ないのか?……うん、痴漢の自業自得だね。
「そういえば、南条さんはどうやって薫さんと仲良くなったんだ?」
「え、どうって、どうなんだろ?」
「私が聞きたいのだけど」
「だってなにか特別なことをしたってわけじゃないし。あるとしたら、倒れたことと、キャラが壊れたことくらいかな」
「キャラが壊れた?」
「うん。私って普段はこんな感じだけど、なぜか高圧的?に喋ったんだよね」
「へー、不思議なこともあるんだな」
「あっ、この人形可愛い」
ゲームセンターをふと見ると可愛い人形がいるクレーンゲームを見つけた。
「たしかにそうだな」
「ねえ、ちょっとやってかない?」
「いいぞ。私も欲しいものを見つけたしな」
私と五行さんはゲームセンターの中へ入って行く。
私は目的のクレーンゲームにたどり着くとさっそくお金を入れてプレイする。五行さんも私とは違う種類のクレーンゲームをしていた。
クレーンゲームは苦手だが、あの子だけは。あの子だけは捕まえなければ!
「く、こうか、こうなのか。…………あ、あぁー!」
落とし口まであとちょっとだったのに、それにお金も買い物を考えるともうやれない。
チラリ、と五行さんのほうを見ると五行さんも苦戦しているようだ。
よし、次で最後だ。お財布を確認すると100円玉がなかった。両替してこよ。
「五行さん、私両替してくるね」
「分かった。……あっ、また違うのとっちゃった」
両替機の目の前に行くと並んでいた。仕方がないか。
それにしても薫が遅い。ゲームセンターに入ってから
既に1時間は経過している。まさか本当に痴漢に八つ当たりを?あとで聞こ。
「さて、両替両替~。………え?」
お財布の中に千円札がなかった。目の前にある両替機は1000円札にか対応しないやつだし。
仕方ないなにか買って札を崩してこよう。近くにスーパーっぽいのもあるし。
なに買おっかな。安いのならうまいぼーだね。いや、折角みんなで買い物に来てるんだし、飴のほうがいいか。
私は飴を買うとゲームセンターに戻った。
入り口が見えてくると、五行さんがナンパ男らしいチャラチャラした男たちに絡まれ、困った顔をしている。よく見るとナンパ男の一人は、朝私に絡んで途中で帰っていった人だった。
あれ?もしかして今日、私たちって不幸なのかな?私はナンパにあって、薫は痴漢に、五行さんもナンパに。
ふ、不幸だぁー!
「はぁ、助けますか」
嫌々ながら助けに行く。五行さんを助けるのが嫌なのではなく、この不幸に嫌々しながらだ。
「なあ一人なんだろ?一緒に遊ぼうぜ」
「俺ら三人いるからさ、絶対愉しませるよ」
「ほら行こうぜ。お姉さん」
「大きいのもいいけど、小さいのもいいんだよ。ちっパイ最高」
彼らはニヤニヤしながら続ける。
「一人でも退屈だろ?ほら、行こうぜ」
「奢ってやるからさ」
「ちっパイ!ちっパイ!チューハイ!」
先程から『ちっパイ』コールをしているのは私です。二回目のかけ声のときに一人たりないのは、私にナンパしてきた人に仕返ししたら、床に倒れ伏せたからだ。私はただ蹴り上げただけなのに。
ん?他のナンパ男たちが私を見詰めてきますね。にこっ、と笑ってみますか。
「にこっ」
「「ひっ」」
男たちはまるで恐怖体験をしたかのようにビクビク、している。
酷くないですか?人が笑っただけなのに。
「にこっ」
「ひぃっ!す、すみませんでした!」
「ちょ、ちょっと待てよぉー!」
「あ゛ぁぁぁぁーー」
男たちはギャーといいながら逃げていった。床に伏せていた男は、唸りながら股を両手でおさえ、産まれたての仔鹿の様に、ピクピクしている。まともな人が見たら、気持ち悪い光景だ。
「ねえ、お母さん。なんであの人、股を押さえて叫んでるの?」
「見ちゃいけません!」
「「「「うっ」」」」
「あれを今度ダーリンにやってみようかしら?」
近くを通りかかった子供はナンパ男に指をさし。その母親は教育に悪いからと子供を抱いて離れていく。ゲナンパ男を見た男たちは皆、股を押さえ。二十歳前後の女性は危ない思考の持ち主のようだ。
「ねえ、五行さん」
「南条さん助かったよ」
「私ってそんなに恐いの?」
「…………」
五行さんは私から目をそらす。私ってそんなに恐いの?ねぇ、五行さん答えてよ。
「五行さん?」
「…………」
「…………」
「…………」
「あ、あのこの状況はいったい?」
薫が私たちを見つけ、近づいてきた。
ここは薫に聞くべきだね。
「ねえ、薫。私って恐いのかな?」
「す、少なくとも、今のゆかり様は怖いですね」
「どうして?」
「ど、どうしてって、床に倒れながら股を押さえている男性の、お尻付近を笑顔で踏んでいたら、わたくしでも怖がりますよ!」
「そ、そうだぞ」
薫と五行さんの告白に、私は驚愕した。私はただ、ちょうどいい高さにあったものに足を置いていただけなのに。怖がられるなんて……。あと笑顔じゃないよ。口が勝手になってるだけだから。
数十分、“なぜか”警察に事情聴衆をされ、『もうやらないように』と言われた。それも事情聴衆に来た男性警察官全員にだ。
さらに任意同行、という名の強制同行されそうになったが、五行さんや周りの人の証言から回避することができた。
本当に理不尽だ。冤罪だ。私はナンパ男たちから、少女(五行さん)を守っただけだというのに。
事情聴衆が終わったあと、約束通り買い物をした。なぜかメイド服やチャイナドレス、スクール水着などが売っていた。
折角なので、なずなちゃんのお土産にネコミミを購入した。
ネタが思いつかない。
ただの学園ものやファンタジー要素の低いラノベ読み返そ。
かなり無茶にかおるんルートを開かせたな……どういう理由にしようか。