「なァ……どうなると思う? 平和の象徴が……
とあるバーにて、身体中に腕が張り付いた不気味な男が、不敵な笑みを浮かべていた。
そんなことはつゆ知らずオールマイトによる戦闘訓練の翌日のこと。
「急で悪いが今日は君らに……」
(え……何何また除籍危機……?)
「学級委員長を決めてもらう」
「学校っぽいの来たー!!!」
次の瞬間、全員が手を挙げる。
「俺もやりたい!!!」
「ボクのためにあるヤツ☆」
「リーダー!! やるやるー!!」
「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm!!」
「ウチもやりたいス」
もちろん我らが無勝も立候補をしていた。
「委員長やるのは誰? 俺!! 俺俺俺!!」
そんな喧騒の中、大きな声で場を鎮めたものがいた。
「静粛にしたまえ!! 他を牽引する責任重大な仕事だぉ……!! やりたいから、やれるモノではないだろう!! 周囲からの信頼があってこそ務まる聖務……! 民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら……これは投票で決めるべき議案!!」
そう言い放ったのは飯田。しかしそんな彼も手を挙げていた。
「そびえ立ってんじゃねーか!! なぜ発案した!!!」
「震えてんぞー飯田ー」
「日も浅いのに信頼もクソもないわ、飯田ちゃん」
「そんなん皆自分に入れらぁ!」
「だからこそ、ここで複数票を取ったものこそが真にふさわしい人間ということにならないか!?」
そういうと飯田は先生に確認をとる。相澤はいつも通り寝袋からモゾモゾ動き言った。
「時間内に決めりゃ何でもいいよ」
とまぁ、一旦は緑谷が委員長になったものの、マスコミによる雄英侵入の一件を経て飯田が委員長、八百万が副委員長となったのだった。しかしその裏で蠢くものがいた。それはマスコミ侵入の際のこと……。
「オールマイトは学校ではどんな感じですか?」
「そうですねーやっぱり、第一印象は"頼もしい"でしょうか。それと当たり前ですが強────」
「おい未効バカ遅刻すんだろうが!! アホか!!」
「うわっと上鳴お前!! え!? まじもうそんな時間!? てかお前も時間やべ────あ、ごめんなさい記者さんもうこの辺で!」
しかし授業が始まる時間になってもこの押し寄せる記者の波は留まることを知らず……。
「オールマイトに直接お話伺いたいのですが!!」
オールマイトが雄英に赴任したというニュースは全国を驚かせ、連日マスコミが雄英に押し寄せる事態になっていたのだった。
「ちょっと!! 少しでいいのでオールマイトに……」
「あ、バカ」
「うああああああ何だ!?」
1人の女記者が迂闊に敷地内に1歩、足を踏み入れたことでセンサーが反応し、強固な雄英バリアーが作動したのだ。
「なにそれー!! お高くとまっちゃって!! 一言くらいくれてもいいのに!!」
作動させた張本人は雄英バリアーについて知らなかったのか、同業者からそのことについて聞き、愚痴をこぼす。
「ったく本当によー!! 2日も張ってんのにうんともすんとも言わねー!!」
そう、そこにいたのだ。ガリガリにやせ細った薄水色の髪の青年。ニンマリと口角をゆがませ、誰もいなくなった雄英の門の前に立つ。手を、いや5本の指が門に触れるとパラパラと崩れ始め、1分ほどで崩壊しきってしまった。
記者のひとりがそれを目ざとく見つけるとそれを周りの記者にも言い伝える。
「雄英バリアーが解除されてるぞ!!」
「入っても作動しない!! やった! 入れるぞ! オールマイトの取材だ!!」
そう、これが事の顛末である。
「ただのマスコミが、こんなこと出来る?」
「そそのかした者がいるね」
「邪な者が入り込んだか、もしくは宣戦布告のつもりか」
崩壊した門を見た根津校長、並びに教師陣は言った。
そう、これは宣戦布告である。今はまだ名もない、悪の芽の。
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