Legend inherit~ネコの師匠と人間の弟子の物語~ 作:麗紫 水晶
嫌わないでください! ま、まずは……あの……読んでみて………頂いて……。
よろしくお願いいたします……では。
「………ねえ、師匠?」
全身に銀の甲冑に身を包み、背中には小さい龍の羽根の装飾が施されたシャガルマガラの素材で作られたフィリア装備で、片手剣は二つ名”天眼タマミツネ”の素材で作られた”さにつらう色法忌風扇LV5”を装備した赤毛のロングヘアーの女性ハンターが二つ名“燼滅刃”の名を持つディノバルドの横たわる上に足を伸ばして後ろに手を着いて座り空を見上げていた……。
「何ニャ?」
そう呼ばれて返事を返すのは隣に同じ体勢で空を眺めるオトモアイルーである……。
しかしただのアイルーではない……全身を燼滅刃XX ネコメイルで身を包み、真滅剣ニャールノヴァを装備したLV99の最強オトモである。
「あたし……強くなれたかなぁ?」
「そうニャァ……確かに強くはなれたニャ。」
「そうなのかなぁ?」
「その証しにおいらの“二つ名”を暖簾分けするニャ。」
「え!?師匠の“二つ名”を?」
「そうニャ。ニャが、これからまだまだ沢山の知らニャいモンスターが世界中に居る筈ニャ……どうニャ、一緒に行くニャか?」
口角を少し上げてハンターの顔を見つめるオトモ。
「勿論!♪♪」
即答で笑みを浮かべて、返事をする女性ハンター。
………これはとある1人の少女と1匹のアイルーが偶然出会い、師匠と弟子として成長していくお話し。
後に少女も伝説の……と詠われる迄になる物語……。
ただし、師匠は猫で弟子は人間!……一体どうなる事やら…………。
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ココット村に、ある少女が独りで暮らしをしていた。
少女の両親はハンターで、三年前に大型モンスターの討伐に出掛けたまま行方不明になり、それ以来家に帰って来ては居ない……。
少女は数日泣き明かしていたが、生きるために両親の帰る場所を守るためにと思い、村の外で薬草等を採集して、道具屋に売ってお金に換えて食費を賄っていた。
何故薬草の事を知っているかと言うと、ハンターに成り立ての新人が最初に購入して持ち歩くとされるのは調合書と呼ばれる本があったからだ。無論焼き肉セット等、他にも必要な物は多々あるが……本は3番迄あり、書いてある通りにすれば調合できると言う仕組みだ。
たまたま彼女は両親の物を整理しているときにその本を偶然見つけた。それを読み漁り、村から離れない程度に外を周って素材を見つけていた。小型モンスターが出没するエリアには足を踏み入れないようにし、何かしらの材料は持ち帰っていた。調合の練習も兼ねて回復薬や更に蜂蜜を合わせて回復薬グレートを作ったりもしていた。
グレートは蜂蜜の調合分、甘さがあって意外に飲みやすかったようだ。周りに誰も居ない事から自身で試してもいた。そして体力もかなり回復するのを少なからず実感していた……まあ、そこはやはりというか親の遺伝だろうか……。
少女には1つの目標があった……“ハンターになって両親を捜す事”……他のプロ達にクエスト依頼も出来るだろうが、いかんせんその為には大金が必要である。食費を賄って行くのが精一杯で、ほとんど余裕がない。
なのでお金を貯める迄にかなりの時間が掛かってしまうだろう。ならば自分が直接捜す事にすれば……と考え、彼女に目標というものが出来た。調合書は所謂その予習といった所でもある。
当然、彼女はまだハンターになってはいない。ハンター登録をしなければ仮にモンスターをどう狩ってきたとしても認めてはもらえない。
そこで、体力・スタミナ・知識………後少々の準備金を用意してベルナ村へ向かおうと思って日々を送っていた。
彼女にはまだ住む家があるので良かったのかもしれない。何の力も持たない少女が野宿など出来るはずもなく、ましてや武器や防具もない訳だから小型モンスターに遭遇しただけでもジ・エンドだ。ココット村のはずれに家があるということだけでも、まず襲われる事はない。運が良いのか悪いのか………。
そんな彼女をココット村の村長は心配をしていた。彼女がこれからどうしたいのかが気にかかってはいた。しかし、聞きだすきっかけが見つからず途方に暮れる毎日だ。
「あの剣を抜く事が出来ればのう………。」
何故そうつぶやくのかは村の中央に広場があり、その中心に岩がある。その岩に突き刺さっている剣の事を言っていた………。”英雄の剣”………その少女が抜くことが出来れば生き方が変わるかもしれないと、期待するところもあった。それは両親がハンターであったと言う事からの理由付け………子供がそうなるとは思わずとも生きる目標を見つけて欲しいと願う村長であった。
しかし、村長の心配とは裏腹に彼女がハンターになろうとしていることは気付いてはいない。変わらず薬草を採取し売って食費にしている毎日で、ハンターになろうと表立ってはいないので村の住民も気づいては居ないのだ。
もうそれが半年になろうとしていた………。少女は14歳、確かにハンターになるには少し若いかもしれない。だが、少女はずっと準備してきた………ハンターになる為の準備を………。足腰や腕に力を付けるため、毎日大量の薬草や毒消し草、ペイントの実やツラヌキ草等背中に背負って両腕で抱えて村へと戻ってきていた。それを売るので少しずつではあるがお金も溜まっていく。生活費も考えながら自炊の日々だ。持ち物の準備も少しずつ集めてきた。調合書は勿論だが、作った薬類やペイントボール等も用意していた。ハンターになったら早速クエストに行きたいと思っていたからだ。少女なりに生きる目標を掴んでいた………。
そして………その思いが伝わったのか………どうかは別として、彼女に出来事が起こる………彼女にとっては大変でもあるが、とてもラッキー!?な事が………。
「う~ん、どうしようかなぁ?」
ある時、彼女は村の外側でいつものように採集をしていた。たまたまペイントの実が納める数より少ない………範囲を広げれば集められるだろうが、その分危険が伴う。諦めるかどうかを迷っていた………。
そしてしばらく考え込んだ末、意を決して範囲を広げる事にした。そうする事で、更に素材を集めることが出来る事も分かっていた。今まで広げなかったのは大荷物の時にモンスターに襲われる事を嫌ったからだ。いくら小型のモンスターといえど、装備をしていなければ丸裸も同然、爪で引き裂かれて絶息する事だろう。それは嫌だと彼女もためらっていた………。しかし今回は素材が足りないために、広げる決意をした………それが危険と隣り合わせでラッキー!?が起こるなんて事も分からない事だった………。
ペイントの実を集めるため、他の集めた採集素材は見つからないように自分だけが分かる場所に隠し、軽装でナイフと麻袋は持って周りを警戒しつつ、実のある場所へと向かっていた。
ここはまだ代表的な”古代林”や”砂漠”等のフィールドではなく、”森丘”に近い場所ではあるがそのフィールド内ではない。丁度その中間と言ったところか………それでも小型モンスターが居るのを発見された事もあり、あまり入り込まないように村としては警戒をしている場所でもある。
まさにその場所に採集の為に彼女が入り込んでいるのだ……。
「確か、前に見つかったのは”ランポス”とか言ってたよね………。」
彼女も採集する手前、道具屋のお姉さんから聞かされていた。他にも似たような体躯のモンスターが居るらしいが、全身が青と黒の縞模様で嘴が鋭く、2足歩行で両前足の爪は長く尖っていて物を引き裂くとか押さえるとかは得意そうで、群れで行動し集団で獲物を狩る。囲まれて逃げ場を失ったらお終いだ……唯一、ハンターならばその場を突破する事も出来るかもしれない。だが一般人には到底そんな真似は出来そうにない。もし遭遇したなら”引き返すのは待ち伏せされる”とも聞かされていたので、別方向へと全力で走る!と決めていた。
今のところは遭遇はしていない……何とかペイントの実を確保する事が出来た。
「よし、すぐに戻らなきゃ。」
彼女が麻袋に採集した実をしまって戻ろうとしたとき………前方で草むらが揺れ動いた!
(まずいっ!)
そう思って走り出そうとした時、既に半径3m位で囲まれている事に気が付いた……万事休す………。
(そんな……気づけなかった………。)
彼女は、ナイフを構えてモンスターが近づかないように威嚇する。姿を現したのは、想像の通りの”ランポス”である。何頭いるのかを確認すると5頭いる……噛みつき・引っ掻き・飛びつき………どれで攻撃されても無事では済まない。
「ギャアギャア!」
「グワアァァ!」
5頭がそれぞれに声を上げだした。会話をしているかのようにお互いに顔を見合わせている。
(今だっ!!)
彼女は意を決して2頭の間を滑り込んで潜り抜ける!!一瞬拍子抜けしたように驚いた様子だったが、すぐに彼女を追い掛け出した!彼女も全力で走るが、限界がある………ましてあの後ろ足の筋力の違いはランポスの方が俄然有利だ。何とか回り込んで村の方へと向かおうとしていた……しかし相手は集団で狡猾獲物を捕らえる為には容赦はない。
「ぎゃっ!?」
距離が近づいたとき、1頭がジャンプして彼女の背中を蹴っていた……その反動で前のめりに勢いよく転がる!
「あああああ………!!」
背中に鋭い痛みが襲い掛かってきた!爪で引っ掻かれたのだろう、手で触れるとヌルっとした感触があり、赤い血が付いていた………。
(やっぱり、止めとけば良かった………。)
痛みを堪えつつも、その場から動く事も出来ない………瞬く間に5頭のランポスに再度囲まれてしまった………。
彼女はその光景を見つめながら、もう助からないと覚悟していた。折角ここまで準備してきたのになぁ……そんな後悔を思いながら………。
彼女は目を瞑った……殺されてしまうなら瞬間を見ているよりも、目を瞑っている方が良いと思ったのだ。
まさにその瞬間が訪れようとしていた………。
1頭が嘴を彼女に突き立てて息を止めようとした時である……後ろに居た1頭が5m程吹っ飛ばされていたのだ!
残りの4頭が1頭を吹き飛ばした方を振り向く!そこにはハンターではなく、アイルーが居た………。
そのアイルーは次々とランポスを剣で薙ぎ払っていく!更には炎まで付け加えて………悲鳴を上げる暇もない………。
他のランポスもそのアイルーに襲い掛かるも、強さが違いすぎて1振り1頭で5頭全部を討伐してしまった。
彼女は、自分が襲われない事を不思議に思い、目を開けて見てみると、そこには白馬の王子様ならぬ紺の武具を纏ったアイルーが居た………しかも、ただならぬ強さを醸し出しながら………。
アイルーは武器を納刀すると、彼女の傍に寄ってきた。早速、ある薬を彼女の口元へと運ぶ。少しづつ飲み込んでいくとみるみる体の傷や体力・スタミナが回復する……彼女も驚いた……なぜこの薬をアイルーが持っているのかと………。
「古の………秘薬………。」
「そうニャ、よく知ってるニャ?」
彼女のささやきにアイルーが反応した。彼女はそのアイルーを見つめる………。
「大丈夫ニャか?」
「あの……ありがとう♪」
「あぶニャかったニャ、もう少しでランポスの餌になるところだったニャ。」
ニッコリ微笑んでくるアイルーにドキリとしてしまう少女。それを不思議に思ったアイルーが彼女の顔を覗き込んだ。
「お、お願いっ!あたしに剣を教えてっ!!」
「ニャ!?ニャァァァッ!?」
突拍子もない発言にアイルーも驚いた!しかし、彼女の表情は真顔で真剣そのものだ。冗談で言っているようには見えない………。
さすがにアイルーも困り果ててしまった。たまたま、鉱物採取に来ていただけの筈がこんな事になろうとは………。
「お願いっ!ハンターになりたいの!パパとママを探したいの!お願い、弟子にしてくださいっ!!何でもしますからっ!お願いっ………!!」
地面に土下座されて、しかも頭を地面に擦り付けられて……アイルーも観念してしまった。いくら子供とはいえ女性である……そこまでされては断る言葉が出てこない……。
アイルーは彼女の手を取って立たせた。彼女は驚いた様子でアイルーを見つめてくる。
「名前はなんて言うニャ?」
「アメリア………。」
「おいらは”ニャース”ニャ。」
ニャースは片手を出してきた、彼女と握手するつもりで………。
「え、じゃ、じゃあ………。」
「おいらは知っている事を教えるだけニャ。後は経験しかないニャ。」
その言葉にアメリアは涙を潤ませる。ゆっくりとニャースの手を取った。
「よろしくお願いします、師匠。」
「よろしくニャ、アメリア。」
………………………そして、ここから本当の旅路……いや伝説が始まるのである………出会いはこんな感じではあるが………。
5話まで一気に投稿しますので、よろしくで御座います。