Legend inherit~ネコの師匠と人間の弟子の物語~   作:麗紫 水晶

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 2話目です……では。


~第2話~ 1人と1匹…旅立ち。

 

「ニャ!?こんニャに持って行くニャか?」

 

 さすがに驚きを隠せないオトモの”ニャース”。LV99の最強ネコ………それでも驚くほどの量を背負って抱えているのは、急きょ弟子になった少女の”アメリア”……彼女はハンターになって両親を探す為、物資と身体を鍛えるために毎日薬草や実等素材を集めて毎日村へと戻っていた。そのお陰か、マッチョの様に筋肉隆々と言うわけではないがそこそこに力を付けていた。なので、彼女にとっては日常……当たり前のルーティンだった。逆にニャースの方が感心した程だ。

 その地道な努力は買っていた、鍛え方次第では強くなると……。

 その意図を組んで、彼女の荷物を持つのを手伝う事を遠慮した。その方が後々彼女の為になると思ったからだ。一緒には付いていく……村に戻れば話を通して、彼女をハンターに育てるべく外の世界へと連れ出さなければならない。

 

「一匹狼だったおいらがニャ……ニャ、ニャ、ニャ♪」

 

 ニャースは歩きながらそんな事を呟いた。仲間を……などと考えた事もなかった、まして弟子など……今までも周りのハンターからは1歩も2歩も距離を置かれていた。そんな自分に……そう思うと自分に呆れて苦笑いをしていた……だが、それもまんざらでもなかった。

 アメリアの方は、荷物を運ぶのに必至でニャースの表情には気付かなかった。ひたすらに村迄歩いていくのだった………。

 

 ここ、ココット村に着くと、中の広場では大騒ぎになっていた。

 無論、アメリアの帰りが遅いと道具屋のお姉さんが村長に相談したことが発端だった。

 その事を知らないアメリア達は村の入り口から入って行くと、村人達がアメリアを見つけてざわついた。全員が彼女に注目の眼差しを送る、その中の1人の女性が走ってアメリアに近付いて来た。目の前に来るなりアメリアの頬を平手打ちしたのである!

 

「一体何処まで行ってたのよ!心配したじゃないっ!」

 

 頬を叩いたのは道具屋のお姉さん、いつもの時間よりかなり遅かったようだ。心配になって村人達に相談したらしい。

 

「ご、ごめんなさい!素材が足りなくて少し奥まで行ってました……。」

 

 驚きと頬の痛みに堪えながら申し訳なさそうに応えるアメリア。

 

「お!奥までですって!?モンスターに出くわしたらどうするつもりだったの!」

 

 目に涙を浮かべながら叱りつける。余程心配したのだろう、アメリアを抱き締めて泣いていた。

 

「彼女は殺されかけたニャが、おいらが助けたニャ。」

 

 アメリアの後ろで突然声がしたので、お姉さんを含めて村人達が驚いて声のした方を注目する。

 そこには紺の武具を纏ったアイルーが居た……。

 全員が驚いた、お姉さんも勿論だが一番驚いたのは村長である……。

 

「ま、まさか……ニャース殿か?」

 

 目を丸くして驚いている村長にニッコリ微笑んで返事を返していた。

 

「久しぶりニャ村長さん!」

 

 周りの村民達は誰かが分からず呆気にとられてしまった。

 

「お、おおお!やはり……しかしなぜアメリアと一緒に居られるのですかな?」

 

 確かに村長も疑問に思い問い掛けていた。

 

「ニャ…縁あって、アメリアはおいらの弟子になったニャ!」

 

 ……………村人全てが聞き捨てならない事を聴いた気がした……。

 

「「「「「「「な、なにぃっ!」」」」」」

 

 …………………………。

 

「ちょっ!ちょっと待ってください!村長!この猫は一体何者ですかっ!」

 

 村人達が誰なのか分からず集まって村長に問いただしていた。

 

「そうだな、こっちは仕事の依頼がパアになっちまったぜ。」

 

 4人の男性がニャースの傍までやって来て、文句を言いだした。武具を装備しているのでハンターのようだ。実は村長がアメリアの捜索依頼をしていたらしい、それが出発前に見つかって更には助けられてもいたとなれば依頼も報酬も無くなる……当然の様にハンター達は苛立っていた。

 4人はそれぞれに下位の装備をしていた。まあ、村の近くでもあるし上位やG級の様なモンスターは滅多に現れる事はない。なので、下位のハンターにも仕事を与えた。経験値稼ぎの意味もあったのだろう、それをハンター達は仕事をつぶされたのだ。

 

「ニャァ、悪いニャァ、偶然見かけてニャ助けなきゃ今頃ランポスの餌になってたニャ。」

 

「ランポスだと!?」

 

 4人はそれを聞いて口角を吊り上げて笑い出した。

 

「確かにそれなりに装備をしちゃいるが、お前さん1匹じゃ倒せないだろ。嬢ちゃんを助けながら逃げてきたのか?」

 

「だろうな。」

 

「ちげえねえ。」

 

 後の3人のハンターも笑い出した。何も知らないと言うのは、度胸が良い………。

 

「ニャァ違うニャ。5匹とも薙ぎ払ったニャ………ニャァ!!そう言えば剝ぎ取っとくんだったニャ!!」

 

「おいおい、大法螺はその辺にしてくれよ。」

 

 4人は疑ってかかり信じようとはしない、嘘をついているとしか思っていないのだ。更には報酬が得られなかった事にもイラついていたようで皮肉たっぷりだ。

 

「嘘じゃないっ!!」

 

 アメリアが突然大声を上げたので、4人がアメリアの方を振り向く。

 

「おい、弟子になったからってこんな猫の肩を持たなくてもいいんだぜ。」

 

 ニヤ付きながらアメリアの顔を覗き込むハンターの男。

 

「本当に師匠は強いんだ!ランポスを1頭ずつ、1撃で倒したんだ!あんたらなんかよりずっと強いっ!!」

 

「ほお~、言ってくれるねぇ………。」

 

 ハンターの男が、目を吊り上げながらアメリアの腕を掴もうとした時、手首を掴んだものが居た。

 

「な、なにしやがる!」

 

 その手首を掴んだのはニャース。しかし、その状態から微動だにしない。男が振り払おうとしても動かないのだ。

 

「師匠!」

 

「言う事を聞かせようとするのは良くないニャ。」

 

 男は焦りと苛立ちで、逆の腕を振り上げた!

 

「こいつっ!!」

 

「し、師匠っ!!」

 

 拳をニャースの頬に叩き込んでいた。だが、驚いたのは男の方である………。

 頬に手応えはあった…しかし、手も放さずそこから1歩も動かず倒れもしなかった……。

 

「こいつ…何処にこんな力が……。」

 

「フンニャ。この程度ニャか……こんニャのラージャンの重みのパンチに比べたら微塵も効かないニャ。今度食らってみると良いニャ!!」

 

 誰も居ない方に向かって片手で掴んだ手首を振り回して背負い投げで6m程そのハンターを吹っ飛ばしていた………。それを他の3人のハンターが唖然として見ている。

 

「この、馬鹿者達がっ!!」

 

 村長がそこで割って入り、それ以上の争いにならないように制止する。

 

「お前たちではこのアイルーには勝てぬ!何故なら二つ名を持つ”爆炎の焔”じゃからじゃ!」

 

「なっ!?!?」

 

「ば、”爆炎の……焔”!?!?」

 

「こ、こ、こ、この猫が!?」

 

 改めて吹っ飛ばされたハンターと交互に見つめる3人。段々と顔が青ざめていくのが分かった。

 

「そうじゃ!かの伝説のハンターと一緒に長年クエストに行き、LV99になってもなお1匹で大型モンスタークエストをこなしてくる伝説のオトモじゃ!そんな相手の強さが分からんようじゃ、まだまだ上位には上がれんのう!」

 

 3人のハンターはがっくりと項垂れてさっきの勢いは何処かへ居なくなってしまった。それは、驚いていた村人達もであった。改めて言うが、知らないと言う事は怖いものである………。

 

「やっぱり師匠は強いネコさんだった♪」

 

 アメリアがニッコリと微笑んでニャースの顔を見る。ニャースもその笑顔に照れてしまうのだった………。

 

 村長宅で、ニャースから一部始終の話を聞かされ、更にはアメリアがハンターになりたがっていた事も聞き改めて驚きを隠せないでいた。応接間で向い合わせでソファに座り、テーブルにはお菓子と飲み物が並べられていた。

 

「ま、まさかの……アメリアがそんな事を思っておったとはのぅ……。」

 

 確かに普段の生活からは想像出来なかったらしい。

 

「わ、私もです。家と同じように道具屋か農家……あるいは龍歴院に入って研究員にでもなるのかと……。」

 

 一緒に来ていた道具屋のお姉さんも驚いていた。確かにそんな道もあるだろう、しかし彼女はハンターになることを願っていた。自給自足も慣れている、後は本当に実践だけ……。

 元々村長もハンターになって欲しいと願っていた事ではある。ただ、きっかけがニャースだった事に驚きを隠せなかった。

 

「ニャース殿は良いのかのぅ?アメリアは大層ニャース殿を気に入っておるようじゃが………。」

 

 先程からソファーに一緒に座ってはいるが、アメリアがニャースにべったりとくっついているのは複雑な気持ちだったようだ。

 

「ニャァ、どうしようかと思ったニャが目が真剣だったニャ。土下座までされたら断りきれなかったニャ。」

 

 苦笑いで応えるニャース。横には腕に微笑んでしがみついているアメリアが居た………絶対離さない……とばかりに。

 

「まあのぅ、ニャース殿が師匠なら心配は要らんかのう。」

 

「村長さん!じゃ、じゃあ?」

 

「うむ、ニャース殿……アメリアの事、よろしく頼みますじゃ。」

 

 村長は改めてニャースにお辞儀した。それに連れて道具屋のお姉さんも………。

 

「了解ですニャ。任せてくださいニャ!」

 

「やったっ!」

 

 ガッツポーズで喜ぶアメリアだった………。

 

 村長の家を後にして、アメリアの自宅へと向かった。道中準備する物とかを話し合いながら………。

 と、その前に猫飯屋に寄る。

 

「腹が減ったニャ~~~!!」

 

「いらっしゃいニャ!何にするニャか?」

 

 猫飯屋のアイルーが注文を聞いてきた。アメリアは気を使ってかニャースの顔を覗き込んできた。

 

「マスター、おすすめを2人分お願いするニャ。おいらが出すニャ、お祝いニャ。」

 

 それを聞いたアメリアが破願する。可愛い顔である、将来美人になるニャ………と内心思うニャースだった。

 

「「乾杯っ!!」」

 

 同じジョッキで上にかざしてぶつける。片やビールで片やジュース、一気に飲み干して余韻に浸る。

 そして出てきた料理を堪能する。2人でうまいと微笑みながら食事をするのだった………。

 家路に着いて、明日は早速出発するとニャースに言われてドキドキしながらベッドに潜り込むアメリア。ニャースは毛布を床に敷いてくれたので、気持ちよく寝ることが出来た。

 

(き、緊張する………。)

 

 しばし思いに耽っていたが、やがてご就寝していた………。

 太陽の日差しがこれでもかと言うほどに2人を照らしつけ、起床を促す。あくびと背伸びを同時にしながら立ち上がった………出発の日である………。

 

 2人は作り置きのパンを噛みしめながら、荷物をまとめる。必要最低限の持ち物だ、後はハンターに登録された時に支給される物があるという。なので少なめでも大丈夫となった。でなければ、背中に背負うつもりで用意していたからだ。すごく残念がっていたが、また採取して集めればいいと諭されしぶしぶ頷いていた。

 

「お姉さん、村長さん、行って来ます。」

 

 村の入口で見送られる1人と1匹………。

 

「気をつけてな………。」

 

「ダメだと思ったら何時でも戻って来て良いよ、私の所で雇ってあげるから。」

 

 アメリアとハグしあうお姉さん。

 

「あたしは頑張るよ、師匠も居るし♪」

 

「ニャて行ってみるニャか。」

 

「はい!師匠!」

 

 お互いに手を振って、1人と1匹は歩き出した。まずはハンター登録をする為………目的地は”ベルナ村”意気揚々と向かうのだった………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 続きますよ~!では。
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