Legend inherit~ネコの師匠と人間の弟子の物語~ 作:麗紫 水晶
ベルナ村まで、何故かジャングル!?森!?の中を道なき道を進んでいく1人と1匹………。
「師匠!ベルナ村に着く前に日が暮れちゃいますよう。」
赤毛の少女で、ハンターになるべく険しい森の中を進む”アメリア”。 行方不明の両親を探す為、”ニャース”に弟子入りした変わった少女。
(変わった言わないでっ!!)
…すいません……なんで聞こえた!?彼女超能力者とか言うか?
(違うしっ!)
ま、まあそこは向こうに投げとくとして………。
(………。)
木々の枝や草を払いながら、アメリアの前を進んでいく変わった猫。
(変わった言うニャ!!)
………なんで聞こえるの!?さ、さては君も猫でありながら超能………。
(違うニャ!!)
いや、こっちも投げとこう………。
(………。)
1人と1匹………似た者同士と言う事かな? いや、いいか。いずれ分かる………。
((何がっ!?))
……コントかっ!! ………ったく、話を脱線するなんて………失礼、本題に戻ろうと思う。
何故ジャングルを………と言うと、やはりもうすでにニャースの特訓は始まっていた。確かにクエストの中には道がない箇所も行くことがある。それで、スタミナ消費を抑えられないようでは大型モンスターに遭遇した時に対処できない。1に体力2に体力………3,4が無くて5にスタミナ!?の意味が込められていた。
なので、ニャースもそれなりに気を使って先頭を進んでいるのだ。
「大丈夫ニャ、いざとなったら野営するニャ!」
「はいっ!?この森の中で!?」
ニャースは大威張りで頷いた。少女の顔が歪む………。
「一体どこで野営するんですか?モンスターの格好の餌食でしょ。」
アメリアが、文句を言っている内に広い場所へと出た。いきなり草原!?いや、どうやらここは………。
「いニャァ、”森丘”に来ちゃったニャ!」
頭を掻きながら照れまくる猫………。
「師匠………ベルナ村は………どっち?」
低い声で、脅しの様にニャースに話しかけるアメリア。
「ニャヒッ!?ニャ、ニャァ、このままベースキャンプに行くニャ!そこから気球船でベルナ村に移動するニャ!」
「だったら、最初からそうすればいいでしょうに!」
仲が良さそうで何より………。
((どこがっ!!))
さあ~て、どこでしょう?ま、それも置いといてと。
取り敢えず、ベースキャンプへと向かう。其所からなら村へ戻る気球船もある筈だ。戻ると言ってもベルナ村へと向かう訳だから往来している船も沢山ある筈だ。
ただ、運が味方をしているかと言うか……出た先はエリアの2だった為、直ぐにベースキャンプへと行く事が出来た。
そこから気球船に乗せてもらい、ベルナ村へと直行したのである……。
……………。
……ベルナ村……龍歴院や集会場に近く、道具屋・武具屋・猫飯屋・隣にオトモ広場があったりする。
ハンター登録が出来る村でもあるため、血気盛んな若者はよくこの村を訪れていた。龍歴院の研究員もよく訪れている。
「はぁ…ようやくベルナ村に着いたぁ。」
深い溜め息をつきながら、船を降りるアメリア。その後を項垂れながら降りてくる最強猫ニャース。
船で色々と聞かれるわ言われるわで、落ち着いて乗って居られなかったようだ。アメリアは初のベルナ村だけに、緊張と嬉しさが入り交じっているようだ。
村の入り口から入って正面に背が高く髭を生やし、帽子を被り杖をつき堂々とした老人とその斜め後ろに綺麗な顔立ちの金髪のロングなウェーブヘアで、ミニスカートで黒のストッキングを履いた受付嬢の制服を着こなす、書類を持った女性と更に反対側には特別なヘアスタイルでフライ返しやお玉を腰に下げ、フライパンを持って軽快な料理の腕を見せる猫が居た。
「おおっ!ニャース殿ではないか!」
その髭を生やした老人が声を掛けてきた。
「ニャ……お久し振りニャ……。」
「どうかしたかの?元気が無いようじゃが?」
「ニャァ、大丈夫ニャ……!?待ってニャ!良い匂いがするニャ!!」
「ちょ……師匠っ!」
ニャースはすぐ隣の猫飯屋へ。アメリアはガックリと項垂れてしまう。
「ホッホッホ、君がアメリア君かの?」
突然、名前を呼ばれたので驚いてその老人を見る。その老人はニッコリ微笑みながらアメリアを見ていた。
「は、はい………あの………?」
「すまんな、わたしはこのベルナ村の村長じゃよ。」
「え、あっ、村長さん!?」
確かに堂々とした感じで立ってはいるが、まさか村長自身がそこに構えているとは思っていなかった。
「村長……彼女…怖がってますよ………。」
後ろから女性の声がして、しまったと頭を掻く村長。
「ホッ!?これは済まない!びっくりさせてしまったか。」
「ごめんなさいね、私はこの村で受付嬢をしています。よろしくね♪」
村長の横から顔を出して挨拶してくる可愛いお姉さん。
「は、はい!よろしくお願いします!」
アメリアは綺麗な人だなと、同じ女性でありながら照れてしまうのだった。
「ホッホ…まずは、ハンター登録を済ませると良い。ほれ、向こうに龍歴院の研究員が居るじゃろ?彼に登録証を作って貰うのじゃ。」
確かにその方向を見ると、スラリとした体型に眼鏡を掛けた2枚目でガリ勉そうな青年が立っていた。
制服が龍歴院の物なので直ぐに見分けがついた。
アメリアはその青年の所に行く。青年も気付いてアメリアに話し掛けて来た。
「あ、君がアメリア君かい?」
「あ、はい、そうです!」
青年はアメリアをマジマジと見つめ、ハンターとしてやって行けるのかどうかを判断していた……。
アメリアも照れながらも、登録証を作って貰う為に我慢していた。何はともあれ、これがないと話が先に進まない。本編もここで終わってしまう……何か切ない………。
「フム、これなら合格だね。登録証をお渡ししよう。」
「えっ!?」
彼女が驚いている内に登録証に名前が記され、彼女に手渡された。確かに登録証である。
「やたっ!」
彼女は小さな声で小さくガッツポーズをしていた。青年からすると不思議に見えた様だ、首を傾げていた。
アメリアは直ぐに村長達の所に戻った。ニャースも村長の所に来ていた。
「貰えたニャか?」
「うんっ!」
早速、登録証をニャースに見せる。ニャースも間違いないことを確認すると、食事をしようとアメリアを誘う。
猫飯屋の女将は何人かの弟子を持つと言われる凄腕料理人……いや、猫である。
「いらっしゃいニャ!久しぶりニャねニャース。」
「久しぶりニャ。相変わらず元気そうで何よりニャ。」
「勿論ニャ。元気がニャいと勤まらないニャ。」
「確かにニャ。ニャ、紹介するニャ、弟子になったアメリアニャ。よろしくニャ。」
横に座ったアメリアもお辞儀する、女将もお辞儀を返してきた。
「可愛い子ニャね、いつナンパして来たニャ?」
「ニャから弟子ニャ!」
そんなツッコミを入れつつ、マスターのフルコースを頼み食事に舌鼓をうつ1人と1匹。
「ホッホッホ、食事中に悪いのう。君にこれを渡さねばな。」
それは支度金とベルダー装備であった。
「これで武器を買うと良いだろう、ではな。」
そう言い残して村長は戻って行った……。
確かにターバンやマフラー、全体に寒さ対策を施されたような防具だ。しかしアメリアはそれでも嬉しかった……何故なら普段着よりも俄然良かったからである。防御力も今時点では、村人の服よりは勿論高い。後々、もっと凄い防具へと変わっていくだろうが何も身に付けないよりは良い。
早速、食事を済ませた後に自分達の借家に入り、防具を着用する。
不格好になるかと思ったが、なかなかどうして似合っていた。
「孫にも衣装ニャか……。」
そんな事をニャースが呟きつつ、後は武器を買いに行こうとなった。
道具屋・武具屋と並んで、何故か鍛冶職人までが居た。小柄なマッチョなお爺さんで鉄の専用ハンマーを担いでいる。凄腕と思わせる程の気質だ。
「嬢ちゃん、武器を作りたいのかい?だったら任せな!良い武器に仕上げてやるぞ………んんっ!?おま……ニャース……ニャースじゃねえか!」
一緒に傍に居た猫に気付き、驚きの声を上げる。
「久しぶりニャ、おやっさん!」
「いつこっちに来たんじゃ?」
「今日ニャ。」
「そうか…じゃ、こっちの嬢ちゃんは?嫁さんか?」
「「違うしっ!」」
思わず同時にツッコミを入れる1人と1匹。
アメリアが弟子になったと伝えると奇跡に近いなと驚いていた……。
「で、どうするんじゃ?武器の種類は?」
アメリアもいろんな武器種があるんだと驚いた。
大剣・片手剣・太刀・双剣・ハンマー・スラッシュアックス・チャージアックス・操虫昆・ランス・ガンランス・ライトボーガン・ヘビーボーガン・弓。
しかもモンスターに対抗するべく作られている物ばかりだ。切れ味や強度、攻撃力は勿論違ってくるがレベルアップも見込めるし、更に強力な武器に派生も可能だ。そうすれば、大型の強いモンスターとも対峙する事が出来る様になる。だが、それは後々の話し……今はどの武器で修行を積むか……彼女は悩んでいた……。
「どれが良いんだろ……?」
「片手剣が良いんじゃニャいか?」
ニャースがさりげなく、彼女に合いそうな武器種を勧める。何故なら、ハンターとして初心者でもあるからだ。他の武器種だと、扱いも特殊な所もあるので慣れない可能性もある。ならば、片手剣の方が盾で相手の攻撃を受け流せるし、片手で剣を振り回せるので細かくではあるが、ダメージを入れやすいのも事実。但し、一番の接近戦の武器でもある。なので、その覚悟もあるかどうかにも影響する。後は彼女次第なのだ。
「うん、このハンターナイフにする。」
「おお、嬢ちゃん度胸が良いな。気に入った!大特別に1つレベルアップしといてやる。これで小型モンスターも倒しやすくなるじゃろ。」
「ありがとうございます!」
「良いニャか?可愛い子には甘いニャ、相変わらず。」
「ふん、こんな可愛い嬢ちゃんをそう易々とモンスターの餌にされてたまるか!」
「確かにニャ、ありがとうニャ!」
「おう、嬢ちゃん強くなれよ、いつでも武具の事なら話しに乗るぞい。」
「ありがとう♪」
「ニャてと……。」
後は道具屋に顔を出そうとした時である。
「おお~~い!」
少し遠くから大きな呼び声が?
「こっちだ!こっち!!」
更に声を掛けてきた人物が……。
1人と1匹が声のする方へと向くと、ハンター装備であろうか…腕を組んで仁王立ちに居るものが1人。
「ニャ……そうニャった……すっかり忘れてたニャ……。」
「おいおい、俺を忘れちゃいないだろうな!」
「ニャァそんニャ事はないニャ……。」
(いや、師匠……忘れてたよね………。)
そう……ハンターになって最初に基本を教えてくれる先生………”カリスタ教官”である。
「つれないなニャース。弟子が出来たなら教えてくれてもいいんじゃないか?」
「ニャァ……ごめんニャ。アメリアニャ、よろしくニャ。」
「あ、あの………よろしくお願いします!」
「カリスタだ、よろしく!」
教官が握手を求めてきたので、アメリアも照れながらも握手を交わした。
「ほう……良い面構えをしているな。将来有望そうだぞ、ニャースの弟子にしておくには勿体ないな。」
「ほっといてニャ!」
「はっはっは!それはさておき、早速だが基礎を叩き込むからな。覚悟しろよ………。」
カリスタが手始めに………と指示をしようとした時、ニャースが割って入った。
「ニャ、アメリアは薬草や調合の知識は十分に持ってるニャ。ニャから焼肉と実践の基礎を頼むニャ!」
「な………薬草や調合の知識があるだと!?」
カリスタはアメリアがそこまでの知識がある事を知らなかった。アメリアが調合書を3冊分出して見せる………カリスタもそれで納得した、親が残した物だとも聞いた。
「そうか……両親を探す為か………。」
「はい、なので出来る事をずっとやってきました。ハンターの基礎は初めてですが………。」
「いや、そこまで出来ているなら大したものだ。確かにニャースの言う通り、こんがり肉の焼き方と実践だな。」
カリスタは頷いて納得すると、早速焼肉セットを進呈した。みんな彼女に甘いな………。
そして一緒にこんがり肉を教わる。何度も試して彼女も覚えていった……時折、生焼け肉や焦げ肉も作ってみた。彼女は調合書にもその素材が載っているのを見ているので、いざという時には必要な物だと認識していた。
「おお、物覚えが良いな。やっぱりニャースの弟子にして………。」
「余計なお世話ニャ!」
カリスタが残念がるので、アメリアも噴き出していた。
「ニャ……笑った顔も良いニャ。」
「え!?……あ……その………。」
それを聞いてアメリアが顔を赤くしてうつむいてしまう。カリスタも納得だと頷いていた………。
「ならば、今度は実践だな。」
アメリアも真剣な面持ちになった。本格的な狩りの実践………。
「場所は闘技場だが、”ドスマッカオ”を討伐してもらう………最終試験だ。」
「え!?ドスマッカオって………。」
彼女も小型のモンスターの討伐からと思っていたので、驚きを隠せなかった………。冷や汗が流れ、緊張が走る。
「ニャ、危なくなったらおいらも加わるニャ。ニャが、倒さなきゃ先には進めないニャ。」
「先に………。」
その言葉を噛みしめるアメリア。初めから諦める様なら、ハンターなど目指さない。彼女の目が真剣さを増すのだった。
「望むところ!!」
かくして闘技場での戦いが始まろうとしているのだった………………………。
続いております~~! では。