Legend inherit~ネコの師匠と人間の弟子の物語~   作:麗紫 水晶

5 / 5
 5話目でございます~!では。


~第5話~ 1人と1匹…ユクモ村へ。

 試験としてドスマッカオを倒したアメリアは2日程眠り続けていた。

 目を覚まして、正式にカリスタ教官に認められた事を聞き、喜ぶアメリアであった……。しかし、何故自身がベッドで寝ていたのかが気になりニャースに確認すると、ニャースに抱っこされて来て寝かされたと知り恥ずかしさと驚きでその場で大騒ぎしていた……。

 気持ちが少し落ち着いたのか、ジョッキの水を飲み干し包帯だらけの自分の身体を見回した。体の至る所に傷がある。いくらベルダー装備でも防げる所と出来ない所とある。強い素材の防具ならば、ほとんどがダメージを受けずに済むだろうが初期装備なのでダメージを受けやすい、無いよりはましである。こんなに傷を負っていたんだと、アメリアは改めて苦笑いした。

 

「はは……傷だらけだね……。」

 

「ニャが、それは頑張った証拠ニャ。凄いことニャ。」

 

「そうなのかな?……師匠はもっと凄くて強いモンスターと戦って来たんでしょ?」

 

「そうニャァ、これからアメリアもきっとそうなれるニャ。」

 

「………ふ~ん…分かった、頑張る……。」

 

 お互いに無言で微笑みあって、頷いた。

 

「ところで着替えと装備は出来るニャか?」

 

「で、出来るよ!?大丈夫!」

 

 これ以上は……と顔を真っ赤にしているアメリアに怪訝に首を傾げるニャースであった……。

 

「それニャ、食事をしてオトモ広場に顔を出すニャ。まだ会いに行ってないニャから心配してるはずニャ。」

 

「……オトモ広場!?」

 

 アメリアはまだ隣のエリアを紹介されてはいなかったので、そんな場所があるとは思いもよらず首を傾げるばかりだった。

 

 ニャース達は、まずは腹ごしらえにとネコ飯屋の女将さんの料理をご馳走になりそのままオトモ広場の方へ移動する。

 

「あ!ニャースさんっ!」

 

 可愛いお嬢さんの声が広場中に響く。すると、広場にいたオトモ達が一斉に1人と1匹に注目が集まった。

 

「ニャ、ニャァ…て、照れるニャ……。」

 

(ふう~ん、師匠が照れる事なんてあるんだぁ……。)

 

 アメリアはそう思いながらもニャースの後をついて行く。ネコ嬢の所に向かっていた。

 

「ごめんニャ、用事があって直ぐに寄れなかったニャ。」

 

「いえ大丈夫ですよ、余程でない限り私達は場所を離れませんから。」

 

「ニャァ、ネコ嬢も相変わらず可愛いニャ!」

 

「え…照れますね、ニャン♪ニャン♪」

 

 両手を頭の横に着け、握りこぶしを手首で曲げておいでポーズするネコ嬢。

 

「ニャ~~~っ!ネコよりも可愛いニャンてどういう事ニャ~~~っ!」

 

(確かに可愛い……。)

 

 アメリアも思わずそう思ってしまった。ネコ嬢……恐るべし。

 

「ニャ!?紹介するニャ、おいらの弟子になったアメリアニャ!」

 

「よ、宜しくお願いします。」

 

 アメリアは深々とお辞儀した。また、何かと頼る事もあるだろうと思ったからだ。

 

「え!?………あの……古龍が襲って来ないですよね?……ニャースさんが弟子だなんて……。」

 

「……おいらを一体なんだと思ってるニャ……。」

 

 不安になっているネコ嬢に、化け物の様に思われているニャース。まあ、確かに化け物じみた強さはあるだろうが……。お互いに複雑な顔つきだったので、それを見ていたアメリアがクスクスと笑いだした。

 

「ニャ!?どうしたニャ?」

 

「だって、2人が面白くて……クスクス。」

 

「ぷっ、そうですね……ふふふ……。」

 

 ネコ嬢も笑いだした。何となくアメリアが思った事が分かったからだ。ニャースは相変わらず、不思議そうだった。

 

 ニャースはそれぞれのネコ達に挨拶を済ませ、家に戻る事にした。

 

「ニャァ!また来るニャ~~っ!」

 

「いつでも待ってますよ~~!」

 

 お互いに大きく手を振って、広場を後にした……。

 

「ニャてと、ユクモ村に向かうとするニャ。」

 

「へ!?ユクモ村?」

 

 急にニャースからそんな言葉が出たので、アメリアも驚きを隠せなかった。

 

「温泉に入りに行こうニャ!」

 

「温泉!」(やたっ!温泉だ)

 

 アメリアの顔が綻ぶ、ユクモ村は温泉や足湯など源泉が沸いていて体にも良いし温まれる。疲れを癒すには最高な所である。

 アメリア自身も温泉が有名な村と言うことは知ってはいた……ただ、何か用事があって行くのかと思ったので不思議に思ったのだ。

 目的が温泉と分かって安心していた。

 家に戻ると早速引っ越し準備。ユクモ村にも部屋はあるらしい……かと言って元々大荷物な2人ではない。なのでそんなに大量に持って行く物もなく、ほとんどが身の回り品ばかりだった……。

 

「ニャて……今度は飛行船で行くニャか。」

 

「そうだね、敵わないモンスターに出くわしたら困るし……あ……でも師匠が居るか。」

 

「………アメリアもおいらを何だと思ってるニャ……。」

 

「モンスターと同類かと……。」

 

「ニャンで!?」

 

「めっちゃ強いんだもん……。」

 

 そう言われて赤面するネコ………それ以上ツッコミを入れることが出来なかった。

 

「ニャ、ニャて行こうニャか!」

 

 照れながら、気を逸らすように飛行船乗り場へ移動する。アメリアもそれについて行くのだった。

 

「ニャンテンションプリーズ!どちらまで行かれますかニャ?」

 

 受付ネコがテンション高めで行き先を聞いてきた。それでもいつものテンションだそうだ……。

 

「ユクモ村まで頼むニャ!」

 

「了解ですニャ!早速お乗りくださいニャ!」

 

 促されて1人と1匹は飛行船に乗り込む。飛行船は小型で船頭とハンターが4人までで、オトモも最高4匹までぐらいが乗れる船だ。ゆえに数も多く往来が激しい。フィールドへ向かったり、今回の様に村との間を往復したりしている。移動に欠かせない乗り物となっている。

 

「出向する!」

 

 船頭さんが錘を回収し、船が浮かび上がった……アメリアは初めてだっただけに周りの景色に胸を打たれる。夕焼けが大陸を照らし、違った色の風景を醸し出している……ずっとユクモ村に着くまで何も言わずにその景色を眺めているのだった……。

 そして周りの風景に浸っているとき、もう1隻の飛行船が別の方向へと飛んでいくのを見た……ハンターが3人、ニャンターが1匹、オトモが1匹。1人はアメリアと同じベルダー装備でベルダーハンマーを所持し同じ女性で、もう一人はライトボーガンのクゥイルバーストにマッカオの装備で好青年、もう一人はホロロホルルの装備で大剣のバスタードソードを所持する男性ハンター、顔は装備で隠れている。ニャンターもベルダー装備にベルダーネコワンドという初心者パーティーの様だった……きっと大型モンスターの討伐に出向くのだろうなとハンターになったばかりながら、アメリアもあんな風に成れれば良いな……と羨ましくも思うのだった。

 

 ……ユクモ村……温泉が絶え間なく湧き出でている村で、足湯や宿がありハンターに必要なお店が出並んで活気に満ちている。色んな方面からも行商や来客があり、疲れを癒しに来ている者も多い。

 源泉を調査している者もいる。地質や状態を調べ、他にも利用出来ないかと日々研鑽しているようだ。ただし、大型モンスターも出現するためハンターの出番も多い。

 飛行船を降りて、真っ先に村長さんの元へと向かう。アメリアにしては初めて会う人物だが、ニャースには久々であった……。

 長椅子に赤い高級そうな敷物が敷かれ、その中央に腰掛けて着物姿でゆったりとしかし堂々とした着物美人と言うのだろうか、綺麗な女性が居た……アメリアも引き付けられるようないで立ちである。

 

「村長さん久しぶりニャ!」

 

「ええっ!村長さん!?」

 

 あまりにイメージが違っていたのだろう、驚きを隠せないでいる。

 

「まあ、ニャースさんお久しぶり。後ろに居る子はアメリアさんね。」

 

「え!?どうして私の名前を?」

 

 口元を押さえて笑みを浮かべる村長。

 

「もう知らせが届いているニャ?」

 

「はい、部屋は用意してあります。荷物をしまってごゆるりと……。」

 

「ニャ、厄介になりますニャ。」

 

 ニャースが頭を下げると村長さんもゆっくりとお辞儀を返してきた。

 

「こちらこそ……伝説のオトモさん……。」

 

 アメリアには村長の言った言葉が気になった……伝説のオトモ……だが、なかなか詳しい事が聞けない。まだそこまで親しくなっていない事もある。聞いてはいけないのかもしれないとも思っていた。本人から話すまで待った方が……。

 そんな気持ちのまま、荷物を片付け商店街に繰り出した。

 村の中は結構な賑わいだ。行商に来ている者も居れば、ハンターとして訪れて居る者がいる。クエスト後の骨休めに温泉に来ている者も居た。なので、他の村と同じ様に店が在るわけだが繁盛している様に思えた。少なからず、ココット村よりは……と思ってしまうアメリアであった……。

 

「ねぇ師匠?」

 

「ニャ、どうしたニャか?」

 

 突然声を掛けられて、アメリアの顔を見るニャース。

 

「ここに来るまでにずっと考えてたんだけど……。」

 

「なんニャ?」

 

「わたし、太刀って扱えるかなぁ?」

 

「ニャ!?太刀ニャか?」

 

「うん、ユクモ村の堅木とかで造られてる武器類が有るって聞いたの。片手剣も……とも思ったけど、太刀が何となく気になって……。」

 

「ニャるほどニャ……。」

 

 とニャースがアメリアに合うのかどうか悩んでいる時、突然声を掛けてくる者が。

 

「何やら武器の事で悩んでいるようじゃの。話しに乗ってやらんでもないぞい。」

 

 声を掛けて来たじいさんは、小柄で痩せてる割には鍛え上げられた見事な筋肉……とてもおじいさんとは思えない体躯だ。しかも片手で柄の長いハンマーを担いでいる。しかし何処かで見覚えが……。

 

「ニャ!ベルナ村に居た武器屋の爺さんニャ!」

 

「おいおい、ありゃワシの従兄弟での。」

 

「ニャに~~!!」

 

 さすがにそこまでの情報は知らなかったらしい。

 

「あ、あの……太刀って造ってもらえますか?」

 

「おう!素材がありゃぁな。どんな武器種も可能じゃ。して、どんな太刀が欲しいんじゃ?」

 

 太刀を……と漠然に聞かれたので、逆に聞き返してきた。

 

「は、はい。ユクモの木を使った太刀をと思ってます……。」

 

「おお!ユクモの太刀か。ユクモの木とそれと鉄鉱石だの。まずはそれらが揃えば、その太刀は造れるぞい。」

 

「ほ、ほんとですか?」

 

「勿論じゃ!素材を追加すればレベルUPも可能じゃ。」

 

「やった!師匠、良いかなぁ!ユクモの太刀を造ってみたい!」

 

 ニャースは微笑んで頷いていた。アメリアが感激してニャースに飛び付く!

 

「ニャ、ニャァ!く、苦しいニャ……。」

 

「あ、ごめんなさい……でもありがとう師匠!てへっ!」

 

 可愛い舌を出してウィンクしてくる少女に、ちょっとドキリとしたニャースであった……。

 

「んん?なんじゃ、この嬢ちゃん嫁さんか?」

 

「「違うしっ!」」

 

 さすが従兄弟だ……と思った1人と1匹だった……。

 

「ニャ、今日は足湯にしようニャ。」

 

「うん、そうする。今からワクワクする……。」

 

「足湯ニャか?」

 

「ううん、太刀の事。」

 

「そうニャか、太刀ニャか。」

 

「でも使いこなせるなかぁ?」

 

「立ち回りは教えるニャ。後は戦うスタイルをどうするか、ニャ。」

 

「スタイルかぁ……。」

 

 と、そんな話をしながら足湯に到着。そこには両手に扇子を持ち躍りながら話す番頭ネコが居た。

 

「いらっしゃいニャ~、どうぞ浸かって行って下さいニャ~!」

 

「そうするニャ。」

 

「わたしも!」

 

 早速1人と1匹は膝まで出して靴を脱ぎ、足湯に浸かる……これでも効能があるらしく、疲れが癒せるんだそうだ。

 

「気持ちぃ………♪」

 

「ほんとニャ………♪」

 

 双方大満足、筋肉の疲労が癒された気がした。と言ってもニャースは何もしていない訳だが。

 

「ほっといてニャ!」

 

 ハイハイ。

 

「わたし……エリアルスタイルでいこうかな。」

 

「ほう、エリアルの太刀ニャか……ニャ、意外とイケるかもニャ!」

 

「そう?じゃそうする!」

 

「決まりニャ!」

 

「うん!」

 

 1人と1匹は頷きあって、足湯を後にし女将の弟子と言うネコ飯屋で食事を済ませ、家に戻る。

 

「ニャて、明日からは忙しくなるニャ。」

 

「そうだね、頑張る!」

 

 1人と1匹はそれぞれご就寝………いよいよハンター稼業を始める事になったのだった…………。

 




 続きは今しばらく……でも、続いていきますのでよろしくお願いいたします。では。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。