超次元ゲイムネプテューヌ ~嵐の仮面ライダー~   作:ソルヒート

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遂に現れた四人目の神殺し"フリーズ"、未知なる相手に宗谷君とイストワールはどうするのか…。

そして行方知らずとなったネプテューヌは何処に…。

激化する二つの展開を見逃すな!!


TIME 6 ~氷結の悪意と嵐の救世主~

 

TIME 6 ~氷結の悪意と嵐の救世主~

 

 

停止したプラネテューヌの街、その中にある巨大なショッピングパークの広い外の駐車場。

そこにはあまりにも異質な雰囲気が漂っていた。

 

"赤き勝利の勇者"の異名を持ち、愛する人との融合にてその輝きと翼を持つクロス・ヴィクトリー フォーチュンリンク。

そして……"四人目の神殺し"であり、"停止する氷結"の名を持つその名の通り、神をも凌駕し、そして殺す力を持つと言われる未知の存在である仮面ライダー……"フリーズ"。

その二つの存在がこの駐車場にて睨みを効かせ合っていた。

 

「……フン…はぁぁぁぁぁあああああああ!!」

 

暫く続く静かな目のぶつかり合いをやめ、フリーズはクロス・ヴィクトリーに向かって走り出す。クロス・ヴィクトリーもまたそんなフリーズを迎え撃たんと手にした愛剣、赤剣を構え、右から左へと横一線に振るうが、フリーズは振るわれたその刃をあろうことか、ハエを払うかのように左腕を振るってその剣を弾く。

 

「なに!?」

 

「ふん!」

 

「うぐっ!」

 

『宗谷さん!』

 

決して油断も何もなく全力で振るった一閃が簡単に弾かれ、驚くクロス・ヴィクトリーの胸部にフリーズは右手の掌底を放ち、怯んだ所に左拳をまた胸部へと叩き込む。予想以上に重い攻撃だったのか、数歩下がるクロス・ヴィクトリーだが、反撃に横腹へと蹴りを叩き込むが、痛くも痒くもないのか、フリーズは微動だにせず、蹴ってきた足を払い、逆に蹴りとはこう言うものだと言わんばかりに腹部へと蹴りを放ってクロス・ヴィクトリーを後退させる。

 

「くっ……このぉ!」

 

『宗谷さん!スキルリンクを発動させました!』

 

《Skill Link ! Dragon Ball ! 》

 

「仮面ライダー………フリーズだと!!」

 

仰け反るクロス・ヴィクトリーだが、負けじと挑みかかり、彼と一体化しているイストワールからスキル発動の声がかかる。

フォーチュンリンクとなったクロス・ヴィクトリーは、いつもなら赤剣に付いたブイホを操作してから発動する"スキルリンク"や"スキルチェイン"を、一体化したイストワールにその制御を任せる事でその必要性がなくなり、即座にスキルを発動する事が出来る特徴がある。

現にそのイストワールが、クロス・ヴィクトリーに一時的にパワーを爆発的に引き上げるスキル"ドラゴンボール"の力を与え、走り出すクロス・ヴィクトリーはそのパワーを持ってありったけの力を込めた右ストレートをフリーズの胸部にぶつける。

 

だが……。

 

「そうだ……」

 

「『ッ!?』」

 

その一撃はフリーズの身体を僅かに揺らしただけに終わり、それ以外の反応を示すことなく立つフリーズはその手を払い、クロス・ヴィクトリーの顔面を殴り飛ばし、両手を広げて優雅に佇む。

 

「俺は"白銀の嵐(メテオ・ソルヒート)"と"漆黒の騎士団(カズマ・カスミ)"、そして"業火の愚者(紅蓮達馬)"と同じ神殺しの仮面ライダー……」

 

『宗谷さん!』

 

「ッ!!」

 

「今その真髄、その一端を見せてやる」

 

《TIME QUICK》

 

殴られた顔を抑え、後退するクロス・ヴィクトリーに勝ち誇る事も、自信に満ちた素振りも見せず、平然と言いのけるフリーズのベルトから電子音が響いた瞬間、クロス・ヴィクトリーの視界からフリーズは……"消えた"。

 

「なっ!?」

 

『消え……』

 

「てなどいない」

 

「ッ!?ぐわっ!?」

 

『宗谷さん!?』

 

驚くクロス・ヴィクトリーの背後から音もなく、気配も何もなく、突然背後からフリーズが現れ、クロス・ヴィクトリーを殴り、振り向くとまた別の方向からフリーズが現れてまたクロス・ヴィクトリーを殴る。

一体何が起きてるのか、クロス・ヴィクトリーもイストワールもまったく理解出来ず、一方的な攻撃を受けるがままである。

 

「がふっ……!?」

 

「これが我が力……その一端だ」

 

『宗谷さん、しっかりしてください!今スキルリンクを発動しますから!』

 

《Skill Link ! Kateikyousi Hittman Riborn ! 》

 

「この……だったらこれで…!」

 

一方的になぶられ、トドメに蹴り飛ばされて地面を転がるクロス・ヴィクトリーにイストワールは再びスキルリンクを発動させ、今度はスキル"家庭教師ヒットマンRIBORN"により、両手両足にブースターを取り付けたガントレットとシューズの武装型のスキル"ブースデット・フィアンマ"を装着させ、クロス・ヴィクトリーはその爆発的なスピードを持ってフリーズに突撃するが…。

 

「そうか、ならば……」

 

《TIME QUICK》

 

「そのスピードの威力を自分で味わうといい」

 

「『ッ!?』」

 

横へと歩き、フリーズのベルトから再び電子音が響いた瞬間、ブースデット・フィアンマの推進力が急激に上がり、突然の事にクロス・ヴィクトリーは制御出来ず、そのままフリーズに当たることなく、その先にあった建物に突撃し、自らダメージ…所謂自爆をして受けてしまった。

 

「…ぅ……一体…何が…?」

 

『急に……推進力が上がって…制御が……』

 

「どうした?次世代の勇者の力はこんなものなのか?」

 

「……こんのぉぉぉぉぉおおおおおお!!」

 

建物と激突し、フラフラと立ち上がって自身の身に起きた不可思議な事に二人は話し合うが、フリーズからの挑発にクロス・ヴィクトリーは再びブースデット・フィアンマを起動させ、突撃しかかる。

 

だがそれも……。

 

「無駄な事を……」

 

 

 

 

《TIME SLOW》

 

 

 

 

フリーズのベルトから電子音がまた響いた瞬間、自身の動きがまるでビデオのスローモーションの如く"遅く"なる事によって意味をなさなくなってしまった。

 

「か、体が……!?」

 

『今度は……遅く…!?』

 

突如体が重くなり、自身の動きが遅くなる事に戸惑いを隠せない二人。

だがこの状況でそれはフリーズにとっては格好の的なり、まさに命取りであった。

 

「神殺しの前には森羅万象、古今東西……ありとあらゆる全てが無力と化す…」

 

《TIME QUICK》

 

「そこを……"動くな"よ?」

 

《TIME STOP》

 

フリーズのベルトから鳴り響く二つの電子音。

その瞬間、クロス・ヴィクトリーとイストワールは戦慄を感じ、お互いに仮面の下で青ざめる。

 

 

「か、体が……!」

 

《"動かない"……!?》

 

 

 

遅くなった自身の体が、今度はまるで……そう、"時が止まった"ように止まり、指一本も背中の翼も動かす事も出来ず、"止まった"クロス・ヴィクトリー。

逆に……動きが"早くなった"フリーズはクロス・ヴィクトリーに急接近し、その胸部に、腹部に、肩に、太股に、顔面に…体全身余すことなくフリーズはその拳を叩き込む。まるで……"時が早くなった"ように……。

 

「フリーズ……」

 

高速、音速、神速……どの言葉にも当てはまらない程の超スピードでクロス・ヴィクトリーに拳を叩き込むフリーズはトドメにと、その右腕に力を込める……。

その右腕にはまるで"氷"のような……冷たく、見るものを氷付かせるような蒼白いオーラを纏わせ、その拳を……。

 

 

 

 

 

「……ライダーパンチ!!」

 

 

 

 

 

クロス・ヴィクトリーの胸部に叩き込んだ。

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

 

ーーーここ、何処なんだろう……。

 

 

 

ーーーもう、どのくらい女神化して飛んだんだろう……。

 

 

 

ーーーわからない…わからない……どうしてあそこから逃げたのか……。

 

 

 

 

昼間にも関わらず、日の光が当たらない暗い森の中、桃色の髪を揺らし、さ迷うネプテューヌの頭の中にはずっとそれが支配していた。

 

 

 

ーーー知られちゃった…知られて欲しくなかった、"大好きな人"に……。

 

 

 

彼女の頭には、自身の部屋で偶然ベットの上に置いたままにしておいた"過去の日記"を読んでしまった"彼"の姿。

 

 

 

ーーーもう忘れようと思っていたのに……もう思い出したくないって思っていたのに……。

 

 

 

ーーー"彼"に……"メテオ"に読まれてしまった……知られてしまった……"無能な自分"の姿を…。

 

 

 

ーーーきっと失望してる……されてしまってる…。

 

 

 

ーーーもう私には……生きる価値も……救われる権利もない……。

 

 

 

「もう……どうすればいいの…?」

 

 

 

頭の中にずっとグルグルと渦巻いてくる負の連鎖、過去を知られ、浮かんでくるは"彼"が失望する顔……。

今のネプテューヌにはもう何もない、何も残っていないと思い込み、涙を流すしかなかった。

 

その時……。

 

 

 

 

 

「ひみゃ!?」

 

 

 

 

ふと、茂みの方から聞こえてきた妙な声、ネプテューヌは気になり、その茂みを掻き分けて行くと……。

 

 

 

 

「……ぅ…痛い……」

 

 

 

 

そこには転んで膝を擦りむいたのか、痛そうに膝を抑え、目に涙を溜め込んだ幼い顔付きの少女が、花の髪飾りを付けた肩までかかった白い髪を揺らしていた。

 

「だ、大丈夫?」

 

「ふぇっ!?」

 

いくら自分の事を無能だの生きる価値もないだの救われる権利もないだのと思っていても、困ってる人は放っておけない性分なのか、ネプテューヌは茂みを掻き分け、少女の前に姿を現し、駆け寄る。

突然のネプテューヌの出現に少女は驚くものの、膝の痛みで逃げれないのか、後ずさるだけに終わる。

 

「…………」

 

「ッ!だ、大丈夫だよ!私はなにもしない!ただ怪我を見るだけだから安心して!」

 

怯えるような目でこちらを見る少女に一瞬、嘗て自分を罵ってきたり、失望してきた人々の姿が重なったが、ネプテューヌはそれでも何とかしたいと少女に説得を試みる。

 

「…本当……?」

 

「本当だから!怪我を見たらすぐに君の前から消える!だから……お願い!」

 

疑う様子でじっと見つめる少女にネプテューヌはズキリッと胸を痛めるも、何とか助けたいという気持ちが勝ってか、諦めずに説得を試みる。

 

「…………」

 

するとその気持ちが少女に届いたのか、恐る恐るながらもこちらに膝を差し出した少女にネプテューヌはホッと胸を撫で下ろし、その怪我の様子を見る。

 

「さっき転んだ時に膝を擦りむいちゃったんだね……ちょっと待ってて!」

 

「…………ぅ……」

 

幸いにも、大きな怪我をしている訳でもなく、ネプテューヌはパーカーの中に入れていたハンカチと絆創膏を取りだし、怪我をした膝に付いた血や汚れをハンカチで拭き取り、その膝に絆創膏を付けて応急処置をした。

 

「…と、これでよし!……それじゃあ…」

 

「………待って」

 

処置を終え、ネプテューヌはさっき少女に言った通り立ち去ろうとするが、少女が彼女を呼び止め、気になったネプテューヌは顔を少女へと向ける。

 

「…えっと………ど、どうして貴方は…………

 

 

 

 

 

そんな"悲しい目"をしてるの………?」

 

 

 

 

 

まるで今の自分を見透かしたかのように、透き通った紫の瞳を向けて少女はそう口を開いた。

 

「……………え?」

 

突然と言われた言葉に衝撃を受け、驚くネプテューヌ。

だが目の前にいるこの少女は自分の事をじっと見つめて逃がさない。

 

「ねぇ……どうして?」

 

「………………」

 

何も答えない、答えたくない……そんな顔をするネプテューヌに少女は問い詰めるように言い寄るが、彼女は決して口を開かない、開きたくないのである。

 

「……………ちょっと来て…」

 

「え?ちょ、ちょっと!?」

 

痺れを切らした少女はネプテューヌの手を掴み、何処かへと連れて行く。

強引なこの少女にネプテューヌは戸惑うばかりであった。

 

 

 

 

「…………綺麗……」

 

少女がネプテューヌを連れて来た場所には、先程の真っ暗闇な森とは違い、太陽の光が眩しく、広大で自然が広く溢れ、透き通った水が辺りを覆う湖であった。こんな場所に連れて来られ、戸惑うネプテューヌもその綺麗さに魅了される。

 

「………………」

 

「……あはは…」

 

そんな彼女を隣でじっと見つめ、何を思うのか定かでないが、その紫の瞳を向ける少女に目もくれず、ネプテューヌは何故か力なく乾いた笑いを浮かべた。

 

「凄く綺麗だよ……本当に…綺麗……こんな無能な私なんかには…凄く眩しいくらいに……」

 

「…………」

 

何故だろうか……ポツリ、ポツリと語り始めるネプテューヌ。少女はそれを何も言わずに耳を傾ける。

 

「お姉ちゃんが死んで……女神になって、失敗ばかりをして…それでも女神として……私と比べてまだ幼いノワールやブランにベールを支えて行かないと駄目だ、って自分に言い聞かせて…それでも結局失敗して、いっぱい人から失望の目を向けられて…もう訳がわからなくなって……死のうとして…でも死ねなくて…いっぱい暴れて……あはは、私何がしたかったんだろう……」

 

力なくその場に座り込み、自身の過去を語って自虐めいた笑いを浮かべ、隣の少女を見やるネプテューヌだが、その少女は何も言わず、黙って自分を見つめるだけである。

 

「……ネプギアが生まれて…もうこんなことやめようって思って、友好条約を結んでみんなと仲直りしようと思っても……ダークトゥダークネスが現れて、それがうやむやになっちゃって……なにしてんだろうな私って……」

 

それでもなお、ネプテューヌは語り続ける。

もういっその事全てをぶちまけたい、そんな気持ちを込めて、今……自分が思っている事をありのまま、素直な気持ちを隣の少女に向けて……。

 

 

 

 

 

「私、生きてる意味あるのかな?」

 

 

 

 

大好きな姉を失い、その悲しみに暮れる事も許されずに女神の座に就き、失敗を繰り返してもなお、国の為、人々の為と自身に言い聞かせ、さらにはまだ自分よりも幼い他の女神達の分まで頑張ってきた……だが、人々から返ってきた反応は"失望"。

先代の女神なら出来た事を自分は出来ず、人々から罵倒を受け、教会の者達からも"無能"の烙印を押される日々。

生きる価値もなく、救いを受ける権利もないそんな自分がどうしてのうのうと生きてしまっているのか……。

 

辛く、悲しく、醜く、そして儚い思いを抱き続けた今の自分を、今ここで晒し出した今のネプテューヌは……何処かへ消えて行きそうに見えるくらいに身も心も、既に壊れるくらいに疲弊していた。

 

だがそれでも隣の少女は何も言わない……きっと今までの人々と同じく失望されたか……ネプテューヌはそう思い、その場から立ち上がって立ち去ろうとするが……。

 

 

 

 

 

 

 

「………諦めちゃ……駄目……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………え?」

 

「……………」

 

突然に返ってきた言葉にネプテューヌは立ち去ろうとしたその足を止め、振り向くと……先程までずっと黙っていた少女がこちらへと目を向けていた。

 

「………なん……で…?」

 

「………どんなに辛くても……明日が来るように…今がとても辛くても、貴方は救われる……それに…そんなことを言っちゃ……駄目…だよ?」

 

「どうして……」

 

じっとこちらを見つめ、揺らぐことのない強い意思が籠った紫の瞳を向ける少女の言葉にネプテューヌは戸惑う。

 

「……ぅ…どんな命にも意味がある……無駄なものがないように……無駄な命なんて……ないよ…誰にでも……生きる価値はあるし……救われる権利も……あるんだよ…?」

 

「……でもそれは人間の話で女神の私には…」

 

「関係……ない!……人間も女神もみんな……誰にでも意味は…ある」

 

無駄な命なんてない……そう言う少女にネプテューヌは否定しようとするが、少女は首を左右に振り、その強い瞳で彼女を見つめ続ける。

 

「……貴方が……"彼"を助けたいのと同じように……"彼"もまた……貴方を助けたいって思ってる……貴方が"彼"を支えたいって思っているように……"彼"も……貴方を支えたいって思っているよ……?」

 

「"彼"って……誰なの?」

 

「……"彼"は貴方が一番に傍にいて欲しいって思っている人でもあり……私も…"彼"の傍に一番にいて欲しいって思っている人……」

 

「…………そ、それって……」

 

少女の言う"彼"……ネプテューヌが真っ先に思い浮かんだのは、誰よりも一番に傷付く道を選び、それでも誰かを助けようとする……いつもぶっきらぼうで、口も目付きも悪く、自分に素直に生きようとしない不器用で…でも本当は心優しいあの"白銀の嵐"……。

 

 

 

 

 

「おい、ネプテューヌ!!」

 

 

 

 

 

……"メテオ・ソルヒート"…。

 

 

 

 

 

 

「……メテ……オ…?」

 

「探したんだぞお前!一体何処まで行って……"シンシア"!?」

 

「……また、会えたね……メテオ…」

 

不意に声が聞こえて振り向くと、そこには息を切らし、両手を膝に付けてこちらを見る"彼"……メテオの姿があり、メテオはやっとの思いで見つけた彼女に歩み寄ると、その隣にいた少女……"シンシア"の存在に気付いて目を見開く。

 

「なんでシンシアがこんな所に……と、取り敢えずネプテューヌ!お前なぁ……!!」

 

「ッ!!」

 

この世界が停止している中、シンシアがいることにメテオは驚くも、ネプテューヌを睨み、叫び上げて左腕を大きく震う。

 

ーーーぶたれる……!!

 

そう思ってネプテューヌは目を瞑るが……。

 

 

 

 

「……心配したんだぞ」

 

 

「…………え?」

 

 

次に彼女が感じたのは頭を優しく撫でられる感触であった。

ぶたれると思って覚悟し、目を瞑っていたネプテューヌは驚き、彼の顔を覗くと、彼は怒っている様子もなく、本当に心配していたのか、よかったと安心している顔であった。

 

「なんで……怒って…ないの?」

 

「ん?……当たり前だろ、むしろ俺が勝手にお前の部屋に入ってあんなものを見ちまったんだ…ごめんな?」

 

恐る恐るな様子のネプテューヌの言葉にメテオは、むしろ申し訳ないと言って彼女を安心させるように微笑んで頭を撫でる。

 

「…………失望…しちゃった?」

 

「あ?」

 

「……あの日記を見て……メテオも失望しちゃったでしょ?」

 

「………………」

 

不安げに聞いてくるネプテューヌにメテオは考え込むように顎に手を当てる。その様子をネプテューヌ、そしてシンシアは黙って見つめる。

 

「……いや、別に?」

 

「ッ!?どうして!」

 

「いや、だってなぁ……

 

 

 

 

 

誰だって、初めから何でも出来る訳ねぇだろ?」

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

あっけらかんと言いのける彼の言葉……思わずネプテューヌはまぬけな顔になる。

 

「馬鹿だよな~?その人々、誰だって初めは戸惑ってばかりで失敗なんて当たり前なのに……過剰な期待も良いところだろ?」

 

「でもそれは人間の話で……」

 

「はぁ?神様だって同じだろ?……そもそも神様がすぐに何でも出来るなんて誰が決めた?馬鹿なのその決めた奴?」

 

「え、えー……」

 

神様だからって何でも……それもすぐに出来るなんて誰が決めた?…そう言ってのけるメテオにネプテューヌはただ困惑するばかりである。

 

「やれ先代の女神様がよかったなんて言うけどよ?その先代だって初めは失敗してたんじゃねえか?」

 

「そ、それは……」

 

彼の一言にネプテューヌは言葉を詰まらせる。

それも当然だ、彼女もよく姉から失敗談を聞かされた事はよくある。姉もまた失敗を繰り返してそこから徐々に出来上がって来たのだから。

 

「……あ~、なんかお前の事を散々言ってきた奴等の事を考えたら笑えてきた、だってそうだろ?神様の仕事然り、俺的な感じで言ったら……料理も然り、剣技も然り、武術も然り……初めから出来た訳でもねぇだろ?」

 

「あ………」

 

何事も初めから出来た訳でもない……そう言われてみると、自分も姉の為にいつも振る舞った料理も最初から出来ていた訳でもなく、初めは失敗していた…そこから努力を重ね、今の形になってきたのであるから…。

 

「いや~笑えてくる、もし俺がその時いたら言ってやりてぇもん、『じゃあテメェは初めから何でも出来るのか?』ってな?」

 

《ちょ、マスター!な、なんだか私も笑えて……www( ^∀^)》

 

「あ~、どいつもこいつも馬鹿ばかりだよ、俺もその一人だけど……人間だからなんだ?神様だからなんだ?失敗しちゃいけねぇのかよ?だったら初めっからみんな"無能"で生きる価値もねぇ"ゴミ"って自分で言ってるようなもんじゃねぇかよ」

 

《機械の私でさえもこんなんですのに……プッ!(^ω^)》

 

「ちょ、何でメテオもデスティニーも!そんなに笑えるの!?」

 

いつも全てが失敗を許されないならみんな生きる価値もない"無能"……腹を抱え、笑い出すメテオとデスティニーに戸惑いつつもネプテューヌが訪ねると、メテオは笑うのをやめ、強気に微笑んで彼女をまっすぐに見つめて言い放つ。

 

「……だって、みんな失敗があるから"今"があるんだろ?」

 

「あ…………」

 

"失敗があるから今がある"……その言葉に胸を撃たれたネプテューヌの目には一筋の涙が溢れた。

 

「そもそも……失敗=無能なんて考えていたら、キリがねぇし、みんな無能な駄目な奴等の集まりだろ?」

 

《みんな失敗や過ちを繰り返して、今があるんですよネプテューヌさん、そこには人間も神も関係ない……みんな同じなんですよ(^_^)》

 

「……メテ…オ…!デス……ティ…ニー…!」

 

失敗や過ちを繰り返して今がある、そこには人間も神も関係ない……その言葉にネプテューヌは何処か救われたかのように溢れ出る涙を抑えきれなかった。

 

「どうして……どうしてそこまでメテオは……メテオは私に優しくしてくれるの…!」

 

「……決まってんだろ」

 

するとメテオは泣きじゃくる彼女を優しく抱き締め、背中を擦る……壊れものを扱うかのように優しく、そっと撫でてやって……。

 

 

 

 

 

「お前を……助けたいからだ」

 

 

 

 

 

「ッ!!」

 

その言葉を言われた瞬間、ネプテューヌの涙腺は崩壊し、その涙は止まる事なく彼女の顔を濡らした。

メテオはそんな彼女を慰めるようにずっと抱き締め続けた。

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

停止したプラネテューヌにあるショッピングパークの駐車場、そこでクロス・ヴィクトリーとフリーズの戦いは続いていた。

 

「がぁぁぁぁあああああ!!」

 

『宗谷さん!!』

 

フリーズの激しいラッシュに、トドメの一撃を受け、コンクリートの地面の上を転がるクロス・ヴィクトリー。フリーズはその拳を振り抜いた体勢をゆっくりと戻し、彼の元へと歩む。

 

「貴様達には感謝しているぞ?この世界が停止した事態に気を取られ、さらに我らが送り出した尖兵達ばかりに目を向けてくれたお陰で俺はこうして誰にも邪魔をされる事なく誕生したのだからな……」

 

「…っ……く…ぅ……!」

 

そして何とか起き上がろうにも受けたダメージが大きく、立ち上がる事の出来ないクロス・ヴィクトリーの目の前にしゃがみ、頭を掴んでフリーズは語り始める。

 

『私達の世界、ヒロムさんの世界、そしてメテオさん達の世界の時を止めたのは貴方なのですか!?』

 

「ああ…その通りだ……俺はダークトゥダークネスの全次元世界の支配の為に作り出され、これまで散々邪魔をしてくれた貴様達を葬る為にな…」

 

「くっ……!」

 

「俺は"停止する氷結"、その名の通り……世界も…貴様達の"時"を……止めてやる!」

 

「ッ!?ぐはっ!!」

 

イストワールの言葉に頷いたフリーズは掴んでいたクロス・ヴィクトリーの頭を離し、直ぐ様にサッカーボールを蹴り飛ばすようにその頭を蹴り、クロス・ヴィクトリーは再びコンクリートの地面の上を転がる。

 

「いや……"時"だけじゃない…"空間"すらも俺は氷付かせる!」

 

その両腕に冷気を纏わせ、フリーズはその両手を正面向けると、そこから無数の氷弾が飛んで行き、クロス・ヴィクトリーに襲い掛かる!

先程までのダメージもあってか、避ける事が出来ないクロス・ヴィクトリーは全弾全てをその身に浴び、何とか立ち上がれたその膝を地面に付けてしまう。

 

「宗谷!!」

 

そこに宗谷達と同じくネプテューヌを探していたヒロムが駆け付けてくる。

 

『ヒロムさん!宗谷さんが……!』

 

「ッ!……ダークトゥダークネスはこんな奴を生み出す為に今回の事態を引き起こしたのか!?」

 

「今回の事態を引き起こした……だと?違うな……目的は他にもある」

 

ヒロムの言葉にフリーズは否定し、両腕をだらんと下げ、まっすぐに彼を睨む。

 

「他の目的……それは…この俺の力を持って、全ての次元世界の"時"を止める、そして……その邪魔をするであろう貴様達をこの世界に集め、始末する事……」

 

「……ッ!!うわっ!?」

 

空から何か来ることを察知したヒロムが上を見上げると、そこにはずっと空を飛び回っていた"青い戦闘機"がこちらに向かって左右の翼に取り付けられた機関砲を撃ってきたのである。

 

「それを可能とするのはこの俺の力と……我が愛機"ブルーブリザード"だけだ」

 

あまりにも威圧的で…畏怖を感じさせ…無条件に恐怖を与えてくるフリーズの上をその愛機"ブルーブリザード"が通り過ぎる。

 

「……あいつ…!」

 

『こいつはか~な~り!ヤバめな状況だねヒロム!』

 

「ん?"ヒロミ"?」

 

『ここはどーんと私に任せて!!』

 

「は?ちょ、おま!?"ヒロミ"ィィィイイイ!?」

 

その時、ヒロムが突然独り言のように騒ぎだし、"ヒロミ"と叫んだ瞬間、ヒロムの体が光出す。

突然の事にクロス・ヴィクトリーは目が眩み、フリーズもまるで面白いものが見れそうだと興味深く見つめる。

やがてヒロムを包んでいた光が収まると……。

 

 

 

 

 

「さぁさぁ!見せてあげるよ!このみんなのスーパーアイドル女神"ヒロミ"ちゃんの力を!!」

 

 

 

 

そこには……腰辺りまでに伸びた茶髪のロングヘアを綺麗に靡かせ、幼さがありつつも、アイドルのように整った顔立ち。

女性特有に膨らんだ胸が服の上からもわかるような赤いシャツに袖無しの白地に鮮やかな黄色いラインが入った色合いのロングコートをその上に羽織り、下は黒いデニムパンツ、さらにはすらりとした女性らしく綺麗な足を太股まで包み込んだ黒いニーハイソックスに焦げ目な茶色いロングブーツの服装スタイルをした"女性"が、そのルビーのように輝く瞳をまっすぐにフリーズへと向けていた。

 

「ひ、ヒロミちゃん!?」

 

「ヤッホー宗くん!なんかヤバめに見えたから出てきちゃった♪」

 

この女性こそ、とある理由で女神の力を宿すと言われる"女神メモリー"を偶然手にし、偶然にも適合してその力を得たヒロムの中に生まれたもう一人の人格…否、"もう一人の自分自身"であり、女神である……"ヒロミ"である。

 

「ふむ……報告にあった通り、女神メモリーの力を手にし、その力に適合した"イレギュラー"……貴様はそこに這いつくばる勇者の代わりにこの俺を楽しませてくれるか?」

 

「もちろん!楽しませるだけじゃなく、宗くんとおっきいーすんの仇も取っちゃうからね!」

 

「いやいやいやいや!?」

 

『勝手に殺さないで下さいヒロミさん!?』

 

「……よかろう、なら……存分に遊ばせてもらおう!!」

 

謎のテンションを振り撒くヒロミに戸惑うクロス・ヴィクトリーとイストワールを余所に、フリーズはその漆黒の複眼を彼女へと向け、両手を大きく広げた状態で走り出し、ヒロミもまた、それを迎え撃たんと走り出すのはほぼ同時であった。

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

「……もう落ち着いたか?」

 

「うん……ごめんね、メテオ?」

 

「いいんだよ別に、気にすんな」

 

あれから数十分、泣き終えたネプテューヌはメテオから離れた。その目には不安も怯えも一切なく、いつもの天真爛漫で明るい目付きに戻っており、メテオは安心するように肩を下ろす。

 

「……メテオ……」

 

「ん?……シンシア…」

 

そこに、ずっと二人の様子を見守っていたシンシアが彼に声を掛け、チラリとネプテューヌを見やる。

それに気付いたメテオは首を傾げ、ネプテューヌは何か分かったのか、微笑む。

 

「えっと、シンシア……だよね?ありがとう…」

 

「……私はなにもしていない……したのは……メテオ…」

 

「それでも言わせて?……ありがとう」

 

「………ぅ……」

 

お礼を言うネプテューヌにシンシアは小さく頷くが、一体何の事かわからないメテオだが、黙って見守る。

 

「忘れないで……貴方がメテオを助けたいのと同じように……メテオも……貴方を助けたいって思ってるから……」

 

「……うん、忘れないよ、絶対に……私がメテオを支えたいって思ってるのと同じ、メテオも私を支えたいんだって」

 

「………え?」

 

自分の名前が出たことに驚くメテオだが、二人の会話の内容に何となくだが察し、何も言わずに頷く。

 

「私ね、思うんだ……メテオなら…昔私が読んだ本にある……"救世主"って奴になれるかもしれないって」

 

「………うん」

 

「…は?"救世主"?……俺が?」

 

突然と切り出したネプテューヌの言葉にシンシアは頷くが、"救世主"と言う言葉にメテオは思わず自分に指を差して戸惑う。

そんな大袈裟なと思うメテオだが、ネプテューヌとシンシアの二人には心辺りがあった。

 

ネプテューヌは、突然とこのゲイムギョウ界に現れ、暴虐の限りを尽くそうとしたダークトゥダークネスの猛威の中メテオが現れ、自分を救った事に……。

それを初めとしてから幾度も自分を初め、みんなを救い、さらには姉を失い、頑張る事を諦めていた自分をまた立ち上がらせてくれ、そして今、過去で思い悩んでいた自分をまた助けてくれた事に……。

 

シンシアは、突然異世界に飛ばされた彼と出会い、その際に怪我をした自分の手当てをしてくれた事をきっかけに幾度も自分を守ろうと戦い、その後にも今度は自分が彼の世界に来てしまった時にその時と同じように自分を守ってくれた……。

 

まさに今の彼女達にとってメテオと言う存在は"救世主"に他ならなかった。

 

「ねぇ、知ってる?救世主ってのはね?"闇を切り裂き、光をもたらす"んだって!」

 

「……どんな大きな闇も切り裂いて……みんなに光を与える…そんな存在……」

 

「……重いな…そんな存在になれって……」

 

"救世主"と言う存在を説くネプテューヌとシンシアにメテオは苦笑しつつ遠回しに俺には無理だと言うが、彼女達は首を左右に振る。

 

「大丈夫だよ!だって……」

 

「メテオは……メテオ、だから……」

 

「………俺は……俺、ね……」

 

過剰とも取れる彼女達の期待にメテオは重みを感じてしまうが、ふと嘗て一人の"兄"が自分に託した"夢"の事を思い出した。

 

 

 

 

 

ーーー"世界中の洗濯物が真っ白であるように……みんなが、幸せになりますように…"

 

 

 

 

 

 

(……巧兄さん………)

 

もし彼がこの場にいてそれを聞いたらどう思うんだろう……何故かそう思ったメテオは二人を見つめ、答える。

 

「……なら、なってやろうじゃねぇか、その"救世主"って奴に…俺に……そんな"可能性"があるならな」

 

「あるよ!メテオにだって"可能性"はあるよ!」

 

「……人間だけが持つ……神を越える…"可能性"と言う"光"…」

 

"可能性"、"光"……この言葉に不思議と胸を撃たれたメテオは、今ここに"最愛の二人"に告げた。

 

 

 

 

「……ならもたらしてやるよ、闇を切り裂いて、誰もが神を越える……"可能性"って言う"光"をな?」

 

 

 

 

新たに自身の胸に刻んだ決意、"揺るがぬ信念"を見いだしたメテオ。その時ネプテューヌとシンシアの二人の目には一瞬だが、メテオの胸に"鍵"のようなものが浮かんだように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

「悪ぃがそれは駄目だ」

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

「………誰だ?」

 

「ひぅ………」

 

突然と聞こえてきた第四者の声、メテオは驚くネプテューヌと怯えるシンシアを庇うように立ち、その声が聞こえた方向に目を向け、睨み付ける。

 

「これ以上はメテオ、お前をダークネスや神殺しと戦わせる訳には行かねぇんだよ」

 

「ッ!?……あんたは…!?」

 

そこに立つ一人の男性……片手に"マヨネーズが入った容器"を持ち、彼らを見つめるその存在にメテオは見覚えがあった。

 

嘗て地球で過ごしていた頃、ある一人の"兄"の紹介で出会い、よく自分に"マヨネーズの素晴らしさ"を語っては勧めて来てよくその兄に怒られ、喧嘩をした"古の魔法使い"…。

 

 

 

 

「……"仁藤"…さん……!?」

 

 

 

 

"仮面ライダービースト"、"仁藤攻介"がそこに現れていた。

 

 

TIME 6 ~fin~




いかがでしたかね?四人目の神殺し、仮面ライダーフリーズの力?
まあ、今はまだその"一端"なんですけどね?(黒笑

ネプテューヌの事に関しては……まあ、ある意味でこれは自分の考えですけどね?
いくら神様と言えどもすぐに何でも出来る訳がないんじゃないか?ネプテューヌ達女神様だって始めての事に関しては戸惑って失敗するんじゃないか?って。

それを無能だのなんだの言う奴は何様なんだコノヤロー、じゃあテメェはすぐに何でも出来るのか?だったらテメェが神様になれやって感じで(笑)

ではでは次回は激化するフリーズVSヒロミちゃん&クロス・ヴィクトリー、仮面ライダービーストVSメテオ&ネプテューヌって感じでやっていきたいなと思います!

次回も刮目せよ!

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