東方現想郷 〜True or Phantasmagoria of Another Dream… 作:しゃきしゃきれたす。
いわゆる伏線回(自白)です。 意味がわからんと思うので、飛ばしても大丈夫です。
/プロローグ/
______破滅。 荒廃したその場所に、訪れる者はなかった。
瓦礫と灰が辺りを覆い尽くし、そこに生気は感じられなかった。
熱い火炎と恐ろしい放射能に覆われたかつての都は、人々と共に消え去った。
結界に囲まれた、その“異世界“は、終焉を迎えようとしている。
戦争と呪い。 小さなその世界を滅ぼすには、十分すぎるほどの悲劇だった。
人と人が、互いを憎む、恨む、妬む。
排除しようとする。 手に入れようとする。
それだけで、何百年という歴史はひと夜にして崩れる。
逃げ惑う人々。 殺意を持った閃光。
救いはない。
世界と歴史をともにした樹木が薙ぎ払われ、幸せな家庭を守ってきた家が焼き尽くされ、
森が、町が、火の海に沈む。
夕日と、炎に赤く照らされた少年の横顔に、雫が流れる。
映る景色は、なぜこうも暗いのか。
少年は絶望を味わった。
人生で2回目の、終わりを経験した。
戦が、呪いが、彼を蝕む。
腐敗を耐え、穴だらけになった心を持って、立ち尽くす______
時は流れる。
過去と重なる。
一人の男が、灰色の世界に立つ。
手を伸ばし、虚空を握る。
栄華の記憶を掴むように。 救いを求めるように。
しかし握られた幻は、指の間を通って闇に消えた。
なにもかもが失われた世界。 時は、それを救わなかった。
なら誰が。
誰が、救世主となるのか。
呼吸。
刹那、世界を光が満たした__________
「…」
静寂。
遺されたのは、小さな穴が一つ。
時空は、乱れる。
運命が、動き出す。
世界は救われるのだろうか。
彼は______
夢と現が交わる、そのとき_______________
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/前夜/
薄暗い部屋に、障子から月明かりが漏れる。雨の滴る音が、一定のリズムを刻んでいる。
向かい合う2人の人物は、神妙な面持ちのまま、言葉を吐かずにいた。
ふいに、明るさが増したように感じられた。
1人は、艶のある美しい毛並みの尾を揺らしながら立ち上がった。
そして主に問う。
「こんな時間に、一体誰でしょうか」
と。
問われて主は、
「藍、お客様よ。 ご丁寧にもてなして差し上げなさい」
と答えた。
その指示に応じて、藍と呼ばれた人物は、戸を開けて部屋を後にした。
流れ込んだ外の湿った空気が、わずかに肌に触れ、すぐに消えた。
主は座ったまま、パチン、と左手に持った菫色の扇子を閉じた。
再び、雨音がリズムをとり始めた。
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