東方現想郷 〜True or Phantasmagoria of Another Dream… 作:しゃきしゃきれたす。
見ると、数十mほど離れたところに別の少女の姿があった。
さっきの玉は彼女が出したのか?
紅白の装束にこれまた頭にでっかいリボン、手には大幣のような物。
巫女だろうか? その迫力からは年齢が推測できない。年上かな。
そんなに視力がよくない俺としては、認識できるのはその程度だった。
と、推察する前にまず逃げなければならない。飛ばされた女の子が立ちあがろうとしている。
あれだけの距離を飛ばされたのに全くの無傷のように見える。
左に巫女らしき少女、右に力が強い女の子。どちらも異質であるが、さっき俺を助けてくれたことから、
少なくとも敵意はないだろうと即決して巫女の方へ駆けた。
が、後ろから女の子の気配が近づいてくる。スピードも尋常じゃないのか…?
とにかく全力で走るしかない、! また捕まったら逃げられるかわからないぞ…!
俺が向かってくることに気付いた巫女は少し驚いた表情をしたが、すぐに戻って何かを取り出して構えた。
ヒュン___
「あっぶねぇ!」
構えた何かを超高速で投げてきた。いや、後ろの女の子に投げたのか、?
後方で小爆発。 危険物じゃねぇか!
振り返る暇はなく、木を避けながら走り続けるしかなかった。
しかしまた不可思議なことが起きた。 巫女の方に向かって走っていたのだが、瞬きのわずかな瞬間で彼女は消えてしまった。
すると後方で連続した爆発音が。 視界の端に巫女の姿が映った。
あの一刹那であそこまで移動したというのか?
疑問は絶えなかった。しかし俺はその思考を一旦捨てて、走りに集中した。
「はぁ…、はぁ」
どれだけ走っただろうか。 少し開けた岩場に出た。
呼吸は乱れ、足はもう限界だ。
後ろからもう音はない。ここで休んでも大丈夫だろう。
一際大きい岩に腰掛け、滴る汗を拭った。
息が整うのにともなって、冷静さが取り戻され思考ができるようになってきた。
「それにしても、よく逃げ切れたな…」
安堵の独り言である。
かつてはクラスでも足が速い方だった。運動会のリレーでも活躍していた。
だが最近ではめっぽう運動不足である。インドア派の極地に達し、休日ともなればほとんど動かずに1日を終える。
…火事場の馬鹿力、というものか。
などと言いつつ、状況整理に取り掛かった。
まずはこの場所である。起きたところからはかなり離れたと思うが、途中で全く人工物を見なかった。
完全に手付かずな山の中のようだ。
なぜこんなところに来たのか。とりあえず今は結論が出そうにはないが…
次に最初の女の子。見た目の年齢からは想像もつかないほどの身体能力。
体格差はかなりあるはずなのに、対峙したときには背筋が凍るような感覚がした。
ただの幼女というわけではないようだ。
それで結局どうなったのだろう? あの巫女は?
謎は多すぎる…が、 とりあえずここからどうするか、それを考えようか。