東方現想郷 〜True or Phantasmagoria of Another Dream… 作:しゃきしゃきれたす。
「外の世界の人間、つまり幻想入りした外来人の多くは、すぐに妖怪に襲われてしまうわ。
幻想郷に永住している人間を襲ってはいけないというルールがあるから、人間を食べたい妖怪たちは森に潜んで外来人を狙う。だけどアンタは運よく私が見つけられて、選択肢が与えられた。
私としては帰ることをおすすめするわ、ここは危険だし、外の世界に家族がいるんでしょ?」
そう、だな。家族も数少ない友人もみんな元の世界にいる。帰るのが妥当だろう。
だが? 考えてみよう。異世界転生なんて体験できる人がどれほどいるだろうか。
漫画やアニメのようなことがこの身に起きているのだ。素直に帰ってしまえば、もう二度とその機会はないだろう。
こんな貴重な経験を何もせず終わらせてしまうのが勿体なく思われた。
「なぁ、これってすぐに帰らないといけないのか?好きな時に戻れたりしない?」
ダメもとで質問。創作物のお決まりパターンは、すぐに決断しないといけないものだ。
転生先でピンチになったとき、『じゃ俺帰るわ』って言って逃れた主人公がいただろうか、いやいない(反語)
「んーそうねぇ、3ヶ月くらいなら大丈夫よ」
「えっ!?」
まじ?大丈夫なの?
「幻想郷に居続けるとだんだん存在自体が幻想になっていくの。完全な幻想になってしまったらもう二度と帰れない。だけど神隠しで入ってきたアンタは幻想に染まる速度がゆっくりなのよね。だから3ヶ月くらいならこっちにいても大丈夫。前に紫が言ってたから信じていいと思うわ」
「そういうもんなのか、、」
予想していなかった答えに、少し戸惑った。 幸い今日から夏休み。しばらくは学校に行く必要もない。
地元から少し遠い高校に通っているので、親とは離れて生活している。元々インドアな性格で、外出がなくても違和感ない。
あれ、意外と条件揃ってるんじゃない?
ただそんな簡単に決断していいのだろうか。霊夢も言ってたようにこの世界には危険がある。
こんなところでお陀仏はごめんだ。
「まぁ、そんなすぐに決めなくてもいいんじゃないか?いつでも帰れるんだったらさ。この世界を見てから帰ってもいいわけだし。幻想郷も楽しいぜ、なぁ霊夢」
「え、えぇ。だけど強制はしないわ、じっくり考えなさい」
「わかったよ、ありがとう」
という流れになってしまった。せっかくの異世界、じっくり見て帰ろうぜ。ということらしい。
「じゃあ決まりだな。真は幻想郷を見てから帰るか決めるってことで!
ところで霊夢さんよ、こいつはどこに住まわせるんだ?」
「え?うーん、やっぱり人里とか?」
「それは無理だぜ、あそこは永住者じゃないと家建てれないだろー」
「そうだったわね、じゃあうちに泊まらせるしかないのかしら」
ちょちょちょまってまって、どうしてそうなった?女の子の家にお泊まり?いや無理だって!心臓がもたない!
「ストップストップ、流石にそれは申し訳ないから大丈夫だ、野宿でもするよ」
「アンタバカなの?さっきみたくすぐ襲われるわよ。アンタじゃ妖怪になんて勝てるわけないわ。
あー、もう。それで死なれたら気分悪いじゃない。泊まって行きなさい」
「いやでも迷惑だろ…?」
「いいのよそれも仕事だから。人間を守るのが博麗の巫女の務め。
そうねぇ、ちょっとでも申し訳ない気持ちがあるのなら、うちの手伝いでもしなさい。どっかのバカが定期的に荒らすから、人手はいくらあってもいいのよ」
魔理沙のことか。横を見ると、当人がぶすーっとした顔でこっちを見ている。
「ひどい話だぜ、私なんてもう何年も親友やってるのに全然泊めてくれないし一緒に寝てくれないんだ」
お、おう。そうなのか。だがそれを言って俺を睨んでもしょうがなくないか…
「それはアンタの寝相がおかしいからじゃない。まともに寝れやしないわ」
魔理沙は寝相が悪いのか。意外…ではないな。
てなわけで、結局俺はこの神社に居候することになってしまった。
まさかこんなことになろうとは。元の世界に戻ったら非リア同盟に自慢しなきゃな。
「じゃあ、お世話になります、霊夢さん」
「なんで今更敬語なのよ。呼び捨てでいいから。アンタ何歳?」
「17です… 霊夢は?」
「…16」
年下じゃねぇか!!!
心の中で思いっきり叫んだ。
ここから、俺の夏が始まる。さて、どんなことが起こるかな。