あーあ、気持ち悪い。
「勇者の息子なんだからもっと頑張らないと」
俺はアイツの
そんな事も分からないのかよ?頭大丈夫なのかよ。
「また姫様に負けたんだってな。まあ、落ち込むなよ。俺の子供なんだから才能はあるからさ」
負けるのが悪いのか?そもそも俺はアンタじゃないんだよ。
それに握りたくてこんな『人斬り包丁』握っている訳じゃないんだよ、確かに握るのを決めたのは俺だよ。でも握らなかったら俺を失望の眼差しで見て恐怖を与えて俺に握るように強制したのは他でもないお前だろうが。
そもそも戦争が終わった後の時代に戦う力を求められないといけない理由ってなんだよ?いつも聞いても答えないで目を逸らしてはぐらかす癖に偉そうにするなよ。
1番じゃないと駄目なのかよ?2番には価値がないって言うのかよ。あんたは座学でドベだったのに俺が2番だったらお前は上から言うのかよ。
俺がいつ戦いたいなんて言った?いつお前の跡を継ぐなんて言ったよ?ただのお前の妄想だろうが。
「俺達の時代ならな....」
また始まった。そんなに戦争の話を自慢して楽しいか?自分が誰をどう殺したとかそんな事言って楽しいとか頭どうなってんだ?
黄金時代?笑わせんな。戦争なんてやってる時点でどっちもクソでしかないし正義とか大義とか言ってるけどただの言い訳だろうが、戦争の原因からは目を背けて都合のいい事しか見えてないだけだろ。
『共存できる世界』とか言ってるけどどの口が言うんだよ?自分らがした虐殺は覚えてないのかよ?
言葉に対して何の成果も挙げられてないじゃん、『英雄』って言う言葉と立場に酔っぱらってるだけの酔っ払いだろ。
「勇者である父君にがっかりされてしまうぞ?」
お前は俺のなんだ?
母親か?恋人か?妻か?それとも神だとでも思ってんのか?
毎日の様に上から話してきて鬱陶しい。お前に俺の何かを決める権利があるのか?ねぇだろが。
「卒業したらお前は戦士となり、王宮に仕え、父君と共にこの帝都を守るのだぞ」
ふざけんな!あんなのと一緒とか死んでも御免だ。
それに俺は王宮に仕える気はないしどうでもいい、戦士にもなる気はない。お前の頭の中の『理想の勇者の息子』を押し付けるな!お前の理想と現実は違うんだよ。
俺の理想は平穏に生きることだ。お前の理想を叶える義務はない。
「俺達はいずれ英雄の跡を継ぐんだぞ!どうしてヘラヘラしている!そんなお前は認めんぞ!」
うっぜーーーーーーーーー。
お前もかよーーーーーーーーー!
継ぐ気なんてねぇよ。『俺達』?勝手に『俺達』に入れないでくれ、やりたきゃ勝手にやってろよ。
なんでお前に認めてもらう必要があるんだ?俺はお前の奴隷か?操り人形か何か?
お前も理想を押し付けるタイプかよ。めんどくせー。
「自分勝手な理由で全てを蔑ろにするお前に...全力で分からせてやる!」
マジでめんどくせー。
何こいつ?昔から思ってたけどこいつアイツと似たようなことしか言わないんだよな。俺はお前と違って継ぐべきとか時代に繋げるべきだとか思わないんだよ。所詮実戦剣術なんてただ殺す為の技術でしかないのに。
「剣を捨てるなんて認められん!お前は勇者の息子だろう、なら剣で戦え!」
キモイ、もうそれ以外何も言えない。
俺が強くなったのはお前らがごちゃごちゃ言って五月蠅いから黙らせる為に強くなったんだよ。
何もかも強制してきて鬱陶しい、やっぱり俺の事は人形としか思ってないんだな、もういいや面倒くさい。
そもそも殺される覚悟のない奴が剣なんて持ってんじゃねぇよ。腕が折れれ痛い目にあえば理解できるかな。
「自分が何をしたのか分かってるのか!!」
何がだよ?
「強くなる為ならなんだっていいのか!とにかく来い何があったか....」
「離せよこのクソ野郎!」
捕まれていた手を振りほどくと驚いた表情で見てくる。結局お前はそうなのかよ。
「話す?ふざけてんじゃねぇ!今まで俺との話し合いは拒絶してきたくせに自分の時は話し合いしてくれなんてどこまで都合がいい事しか言えないんだ!」
「都合がいいのは分かってる、でも....」
「分かってるんなら最初から言うんじゃねぇよ!」
襟首を掴んで顔を覗き込む。
「そもそもお前らは1度だって俺の事を見たことなんてないだろうが!いつだって『理想の勇者の息子』しか見てなくて現実の俺を見たことなんって1度もない!だからお前らは俺の事を何も知らないんだよ、お前らにできるのは所詮知ったかぶりだけで理解なんてできないんだよ、だって妄想と現実の区別もついてないんだからな!」
何もかも気持ち悪い、こいつもこの国も。
「俺が周りになんて言われたのかも知らないだろ?『ハズレ』だよ、その時お前ら何してた?見ないフリしてたよな。期待を押し付けるだけ押し付けてそれに押し潰されたら見えないフリで無視し続けてきた癖に俺が自分達の思い通りに動かなかったらヒステリー起こしやがって気持ち悪い」
「待ってくれ、ちゃんと話を....」
「俺はお前の
我慢の限界に来て殴ってしまったが後悔なんてない、こいつとはもう関わりたくない。
「よく分かったよ、この国が望んでいたのは『自分達に都合のいい勇者の息子』って言う人形だけで、思い通りに動かないアース・ラガンなんて誰も望んでない。こんな事なら生れたてこない方が遥かにマシだった」
振り返って立ち去る、もうここには何もない。思い残したこともない、幸福な記憶なんて片手で数えられるだけでそれ以外は吐気を催す汚物でしかない。
「待ってくれ!父ちゃんはお前が憎くてこんな事を言ってるんじゃない、ただお前が心配なだけ...」
「父ちゃん?....聞き間違いか?今『父ちゃん』って言ったのか?」
「そ、そうだ!俺達は家族だ....」
「お前今まで『父親』って言葉に相応しい何かをした事があるのかよ?何一つとしてないだろ」
「っ、そんな事は....」
「俺がいつ剣を握りたいって言った?俺が握ったのは握らなかったらお前が俺に失望の眼差しを向けられるのが怖かったから握っただけだ。いつお前の跡を継ぐなんて言った?それはお前の頭の中だけの話で現実の話じゃないんだよ。お前らが何か俺に与えたか?お前らがしてきたのは自分達の作った憎悪の後始末を押し付けたのと自分達の理想を押し付けてきただけだ、これが父親のする事なのか?」
当然か今まで言う事に従っていた人形が反抗するなんて予想外だよな。
「アース!ヒイロの事を少しは考えて.....」
「俺の気持ちを考えなかった奴の事を何で気遣わないといけないんだ?それとこいつは父親じゃない、『親擬き』だ。それはあんたも同じだ。俺は何度もお前の目の前で助けを求めた、なのにお前は見えないフリをした。その時点でもうお前らの事は家族とも思ってねぇよ。お前らがしてきたのは『家族ごっこ』だよ」
何が家族だよ、ふざけんな!
この国は俺にとって地獄以外の何ものでもないんだよ。
酷い人生だ、何かの冗談って言われた方がまだ納得できる。
キモチワルイ