Grand Theft Archive:Kivotos 作:火焔茸
"美少女だらけのGTA"ことブルーアーカイブに、透明感皆無のオッサンを着任させてみました。
まともな選択、まともじゃない展開
『
体が炎に包まれる、熱いのは最初だけだった。
すぐに息が詰まって、意識が遠のく。
俺が何か間違えたか?愛想を尽かされるような事したか?
いや…誰かに唆されたんだろうな。
「騙してコソコソ生きてたのがバレて、復讐されるんじゃねえか…」とか思ってたんだろう。
まぁ検討は付く、ヘインズとかその辺のFIBの差し金に違いない。
Mとの取引を知っちまったうえ、
そんな思考もだんだんと薄れて、眠気にも似た闇が意識を塗り潰していく。
ママ…こんな最後でごめん…
「…い。」
声が聞こえる…誰だ?
お迎えの天使ってか?いや、やってきた事を考えりゃ地獄のお迎えか。
「起きて下さい、先生。」
誰だ、その先生ってのは。
人を起こすなら近くで寝てる奴の邪魔すんじゃねえ。
「フィリップス先生!!」
「"…ッ!?"」
その"先生"って俺のことかよ!?
慌てて目を開き、体を起こす。
待て…開ける目が、起こせる体がある、だと?
「少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。
なかなか起きないほど熟睡されるとは。」
目の前には、まだガキにしか見えねえ女が1人。
顔は美形と言えるが、やたら耳が尖っている。エルフじみた見た目だ。
「夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください。」
夢、あの
しかも集中って、何の話だ、状況がまったく見えねえ。
「"なあお嬢さん、さっきから何の話をしてんだ?"」
「まだ寝ぼけていらっしゃる…?
とにかくもう一度、あらためて今の状況をお伝えします。」
「"はぁ…!?いや分かった、とりあえず話せ。聞いてやるから。"」
寝ぼけてるとかそういう問題か!?
つい声を荒げそうになるが、相手は女性…それも子供だ。
口角が引きつるのを抑えてとりあえず話を聞く。
それにしても感情の起伏が少ない、ヤクが抜けた…のか?
「私は七神リン、学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です。」
キヴォトス…ギリシャ語で方舟とかそんな意味だったか。
いやそれよりも、学園都市?連邦生徒会?
なんで説明を頼んだのに謎が増えてんだ?
「そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生…のようですが」
「"なんでそこ曖昧なんだよ!?"」
「っ…す、推測形でお話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです。」
「"ああ…怒ってるワケじゃねえ、悪いな。"」
「いえ…」
いつもの癖で怒鳴っちまった、リンの肩が若干跳ねたのを見て若干の罪悪感を覚える。
罪悪感…Mが聞いたら笑うだろうな、やけにマトモな思考がポンポン出てきやがる。
本当に俺はトレバー・フィリップスなのか?まるで別人になった気分だ。
「混乱されてますよね。わかります。」
「"ああ混乱してるさ!どうやってここに来たのか分からねえ、先生ってのが何を指すのか分からねえ、キヴォトスなんて街も知らねえ。
分からねえことだらけだ…だがそれはお前も同じに見えるぞ。"」
「はい…こんな状況になってしまった事、遺憾に思います。
でも今はとりあえず、私についてきてください。
どうしても先生に、やっていただかなくてはいけない事があります。」
どうしても俺に…ね。
リンは考え込むような素振りを見せてから、少し笑って告げる。
「学園都市の命運をかけた大事な事…ということにしておきましょう。」
「"ということに…じゃねえ、人に物を頼むならハッキリ言うもんだ。"
"分かったか?リン。"」
「…はい。どうか力をお貸しください、先生。
学園都市の命運をかけた、大事なお仕事です。」
「"よし、案内してくれ。"」
七神リン についていけ。
エレベーターに乗り込む、下っていくゴンドラの壁からガラス越しに街が見下ろせる。
ロスサントスに勝るとも劣らないビルの群れ、透き通った青い空、そこに浮かぶ光の輪。
…光の輪、か。
("トンでもねえ場所に来ちまったのは間違いねえな")
そういや、
決めた。もう何が出ても驚かねえぞクソが、とことん楽しんでやろうじゃねえか。
「キヴォトスへようこそ、先生。
キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります。」
今シレっと重大な事言ったなコイツ、働く?俺が?ここで?
「きっと先生がいらっしゃった所とは色々な事が違っていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが…でも先生なら、それほど心配しなくてもいいでしょう。
あの連邦生徒会長がお選びになった方ですからね。」
「"連邦生徒会長?誰だそりゃ?"」
「…それは後でゆっくり説明することにして。」
「"秘密の多い女は魅力的だとか思ってると、後で痛い目見るぞ"」
そんな話をしているうちに、エレベーターのベルが響く。
地上階に着いたな、俺とリンはドアを抜けて外へ出る。
それを待ち構えたように、4人ほどの人間がリンに詰め寄ってきた。
「"伏せろ、リン!"」
「え、ちょっ、先生!?」
見た目はリンと大差ねえガキだが、揃いも揃って銃で武装してやがる。
おおかた俺か、リンか…狙いがどっちにせよ銃を持ってるなら消しに来たのは間違いねえ。
少女兵 を倒せ。
俺は飛びだすなり、一番近くにいたSMGを二挺も吊るした奴へと狙いを定める。
驚いたツラを見るに俺が反撃する事は考えてなかった…となると狙いはリンか。
SMGのバレルを掴んでそのままネジるように奪い、ついでに懐に仕舞ったもう一丁からマガジンを抜いて拝借する。
「ユウカさん!下がって…ッきゃあ!?」
これで1人は丸腰、叫びながらライフルを構えた黒髪の方に向けてフルオートで10発ほどブチ込む。
そのまま倒れ込んだのを見届けつつ、先ほどユウカと呼ばれたSMG女の眉間にもダブルタップ。
「待ってください先生!その子たちは敵ではありません!」
「"リン!危険だから下が…はぁ!?"」
張り詰めた神経を弾くようにリンの声が響き、ワンテンポ遅れて理解が追いつく。
まさか味方を殺しちまったかと、行き先を失った銃口がフラフラと下がる。
「"どういう事か…説明してくれるんだろうな?"」
「それはこっちのセリフなのですが…あ、チナツさん。お二人の手当てをお願いします。」
「はい!」
どうやら俺はヤラかしたらしい。
トレバーの性格がだいぶ温厚になっていますが、コレは一度死んだことにより肉体がリセットされた結果体内のヤクが抜けて中毒・依存が解消した結果という設定です。
こうでもしないと、これから先生としてやっていけないと判断しました…『作劇上の都合』とも言います。